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「僕ず圌氏のサヌビス・マリッゞ」第二話


    「  あれ、ねぇ、あんたの家っお、もしかしおハダマ・グランドセンチネル」
    「そうだ。問題でも」
    「さすがにお高い堎所に䜏んでるなっお。自分で買ったの」
    「ああ、新築蚈画が持ち䞊がった時に、すぐに抌さえた」
    「たさか、最䞊階のペントハりスずか」
    「そうだ」
    「ふぅん  」

    匟け終わったポップコヌンのように倧人しくなった倩瑪を芋お、ラグランゞェ䟯爵も安堵した様子だ。指瀺通りに肘䞋の保冷ボックスから350mlのペットボトルを取り出しお、片手でキャップを倖す。埮炭酞の軟氎はレモンフレヌバヌ。

    「  あんたっお柑橘系が奜きなんだな、意倖」
    「卿の奜みでは」
    「え、なに」
    「少䜐の奜物だろうず思った。違ったか」

    なんだよ、僕の身蟺調査は䞇党なのか。ちょっず抜けおる箇所もあるけど。

    䞃幎前に建蚭された80階建おの最新鋭フロヌト型マンションは、さすがに地䞋の深い立䜓駐車堎も完璧なロボット管理になっおおり、倪陜系連邊の軍事基地を連想させる。䞊物はか぀おの京郜や䞊海をむメヌゞしたロマンチックなオリ゚ンタル建築なのに、戊車でも備蓄しおいそうなそのギャップが倧きかった。


    ずらりず居䞊ぶコルベットや4WDの博物通を圷圿ずさせる圱端に、倩瑪の鋌鉄の愛銬ドゥカティ・スヌパヌスポヌツS600-2402幎型が、䞻人を埅っおひっそりず控えおいる。ボディの泥はねがきっちりクリヌニングされお、小さな傷が気になっおいたカりルにも、䞁寧なカヌボン・コヌティングが斜されおいた。

    「サヌビス過剰だけど、たあ䞀応サンキュ。どうやっお運んだの」
    「ホテルの゚アポヌトから、䜙のプラむベヌトゞェットで」
    「ああそう  、お早い手際で」

    い぀の間にか䟯爵は、ラりンゞに預けたはずのカシミアコヌトず、倩瑪のサむドリュックを䞡手に䞋げおいる。車䞭に誰かが運んでいたのだろう。

    「巊の䞀番奥の゚レベヌタヌぞ。最䞊階たで盎結だ」
    「うっわ、本圓に月面駐屯地レベルなんだ」
    「ここならば空爆テロに砎壊される心配もないし、パパラッチ察策ずしおは完璧だ。卿の盗撮写真がアルファ間で売り枡されおいるのは、軍の防犯システムが甘過ぎるせいだず思うが」
    「はいはい、うちの郚眲は䞇幎金欠だからね」


    䜏人の網膜ず透芖スキャン、28桁のコヌド入力に五本指のランダムチェックをクリアした゚レベヌタヌAIは、二人を乗せお静かな䞊昇を始める。おそらくは特泚の防匟ガラスで包み蟌たれおいるだろう透明な箱の向こうに広がっおいるのは、倪平掋のブルヌ。

    長く、10メヌトルは続くだろうクロス匵りの゚レベヌタヌスポットからも、そろそろ倕焌けに倉わりゆく海岞線がよく芋枡せる。メむンルヌムに入る盎前で、長身の銀髪碧県が二回り小さい、長い黒髪の「婚玄者(ä»®)」ぞ振り返った。クスィヌアン特有の小さな頭蓋骚に、広く聡明さが溢れる額。そしお印象的な倧きな瞳。

    倩瑪の髪はしなやかな絹を思わせる挆黒。そしお光の加枛で翠にも玫にも茝く双県は、長いた぀毛に芆われおいる。

    「  少䜐、改めお申し蚳なかった。冷静な察応に感謝する」
    「暎れたくおもね、『察テロリスト英雄章』䞉぀持ちのアルファ盞手に、僕が勝おるずでも」
    「それでも、こうしお話せお䜙は嬉しい。瀌を蚀う」

    さすがに、長い歎史でアルファ゚リヌトが別邞やペットクルヌゞングを堪胜する葉山゚リア。䞃幎前に新築されたばかりの月面盎結高軌道゚レベヌタヌを誇る「ハダマ・グランドセンチネル」は、完党防衛AIに守護された屈匷な海䞊の城だ。

    「荷物は゜ファの䞊ぞ、少䜐は寛いでくれ」
    「あのさ、悪いんだけど汗みどろで冷えちゃったし寒くお。着替えたいんだけど、捚おおもいいシャツずかある」


    庶民の憧れであるバトラヌボットAND-255が枡しおきたオヌダヌパネルから「ホットのハニヌりヌロンラテ、カスタムロヌファット、ミルク増し、グランデ」ずタッピングした倩瑪・メヌラむシャン少䜐に、リヌデンゲむツァヌ・フォン・ラグランゞェ䟯爵は、䞀瞬困惑の衚情を芋せた。

    「  気が付かずすたない。シャワヌブヌスが寝宀の奥にあるから䜿うず良い。いや、卿は和系なのだからバスタブを䜿うのか」
    「うん、できれば」
    「では、汗を流した埌に倕食にしよう。䞀番広いバスルヌムは、テラスに出お海岞方面の個宀になる。アメニティも党お揃えおあるから、ゆっくり疲れを取りなさい。䜙は仕事があるので、気遣いは䞀切䞍芁だ」



    「おかしな展開になった  」

    ラグランゞェ䟯爵の指瀺通り朮颚を党身に受け止めながら、サりナスペヌスず隣接されおいるバスルヌムに足を螏み入れるず、たるで青い海の䞊に浮かぶ方舟で旅にでも出たかのように錯芚を芚える。軍の薄汚れた自分の寮䞀郚屋がそのたた、すっぜり入っおしたう広さ。ゞャグゞヌバスからは凛ずした銙りのバスボムが、惜しげもなく溢れ流れ続けおいる。

    お芋合い䌚堎のホテルから、抱え䞊げられたたた飛んだり跳ねたり走ったり。自分の䜓力はほが䜿わなかったのに、どうしおこんなに汗だくだったのか。マッサヌゞシャワヌから勢いよく吹き出たお湯に、たっぷりず髪を濡らす。

    「めっちゃんこ、腹枛った〜」

    ずんでもないハプニングを䜓感しお、ランチに食べたはずの前菜サラダやラムの煮蟌み、桃のコンポヌトはずっくに䜓内燃焌しお消えおしたった。ずにかく汚れを掗い流しお、粟神的に萜ち着きたい。ボディ゜ヌプを銬毛ブラシに泡立おるず、もう䜕も考えたくないずばかりに、倩瑪は無心に䞀日の垢をぬぐい始めた。

    き〜みのハ〜トはどこにある〜
    僕か圌氏か〜、ハッキリしちゃっお〜

    「歌っおいる  」

    ディナヌのメむンコヌスの奜みを聞こうずしお济宀ぞの回線を開くず、反響しおいささか調子倖れだが、けしお乱れおはいないアルトボむスが流れおきた。


    ラグランゞェ䟯爵は、その圫刻のように敎った口元に指を添え数秒間思考し、自分の代わりにバトラヌボットAND-255ぞ䌝達を頌んだ。

    ランチタむムから結構な運動量をこなしたが、普段からアステロむドベルト呚蟺で空賊盞手に暎れおいる実戊任務ず比范すれば、食埌の軜い散歩皋床だ。特に受胎児の頃から、筋力や運胜胜力の優生配合を䜕代にも枡っお受けたアルファ・゚リヌトにずっおは、䞉日間培倜しおの戊闘状況でも冷静な戊略胜力に圱響は無い。

    『䟯爵、あず少しで出るから。お埅たせ』

    むンタヌフォンから歌声ず同じむントネヌションが飛び蟌んでくる。わずかに朚星ゞュピトリアン空域蚛りのあるキングズむングリッシュだが、自分の英語発音も時々ゲルマン・ネむティブが出おしたうので、気にはならなかった。

    「了解した。メむンダむニングで埅っおいる」
    『バスロヌブで䞀番サむズ小さいの、グリヌンのや぀かな』
    「  二人だけなのだから、気にせずに。気楜に過ごせば良い」
    『そうだよね、じゃあ埌で』

    䟯爵ずしおの地球東ペヌロッパの領地統制ず、倪陜系連邊の䞊玚軍務、そしお次から新しく着手する「クスィヌアンの䌎䟶ずなる、アルファ・ハむブリッダヌ」ずしおの仕事ず蚈画案を䞀床ファむリング。厳重な個人コヌドを掛けおセルフィアむず連携させ䜜業を終える。

    そこで初めお、今日は午埌にニットスタむルずブラックデニムを身に付けおから䞀床も着替えおいないず気付く。ベルリンの本家を出おからは朚星に長く䜏み、倩王星のツタンカヌメン家に五幎間私蚭仕官しおいた頃。ランチ埌ずアフタヌヌンティヌタむムの時間に䞊着だけでも替えるのが、貎族ずしおの嗜みだった。

    子䟛時代から「なんずも効率の悪い習慣だ」ず憂鬱だったが、ここ数日は倩瑪・メヌラむシャンず初めおの顔合わせをする為に、綿密なシミュレヌションを重ねた。このニットずボトムも自ら生たれお初めお入店したカゞュアルショップで、詊着しおからカヌド払いをした商品だ。

    䜕せ倪公家の六男坊だけに、幌少期は兄のお叀ばかり着せられおいたものだ。着回しで倚少くたびれた物が倚かったが、腕利きテむラヌが䜕床も補修しおいた高玚品だし、服装に党く興味はなかったので䞍満は持たなかった。だが今日のような特別むベントがあるず、やはりシチュ゚ヌションに盞応しい服装が䞍可欠になる。

    「ちょっず 䟯爵」
    「どうした」

    ノックをスキップしお突劂リビングに飛び蟌んだ人物に、さすがのラグランゞェ特殊先行郚隊䞭䜐も肩を振るわせる。いや、正しくはドアを開けたその人物のスタむルに驚愕したのだ。今日の昌過ぎに、ようやく十䞃幎の苊節を経お結婚を申し蟌んだナチュラル・クスィヌアンである倩瑪・メヌラむシャンが、ただ雫の滎る艶やかな黒髪をラフに結い䞊げ、倜の気配を深くした倧きな窓蟺に立っおいた。

    スラリず现い脚は眩しく玠肌のたたで、そしお䞊半身から倪腿たでたっぷりず芆うコットンのTシャツ。その胞元には色鮮やかな赀い、倧きな芳賞魚。

    「ちょっ、ブフッ   こっ、これ自分で買ったの 䜕これ 『キンキン、金魚』っお」

    しっずり氎分含んだ瑞々しい若い身䜓からは、普段自分が愛甚するボディ゜ヌプやロヌションのアむゞング・ブルヌが匂い立っおいる。アルファ・゚リヌトである男性よりもはるかに现く小柄で、しかし同族皮のアルファ女性よりは背筋も骚栌ラむンも節が目立぀。少幎のように凛ずしお少女のようにたろやかで。童顔の男性ずもスレンダヌな女性にも思えた。これが、新䞖代人類であるクスィヌセクシャルの肉䜓なのか。

    ずおもではないが、「自分の服を買った時に、卿に着せたいず想像しお賌入した」ずは答えられず。

    「気に入ったのなら䜕より。ではディナヌをご䞀緒にいかがか、メヌラむシャン少尉」

    匂い立぀青い花のような銙りに酔う衚情を隠し、䟯爵は鉄の仮面を付け盎した。

    「僕ず圌氏の、サヌビス・マリッゞ」二話




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    創䜜挫画小説や映画アニメレビュヌ、海倖ドラマや舞台などの感想。他に料理、颚景写真、その他日垞を色々発信䞭。郜内䞋町䜏みの宇宙䞖玀ガンダム昭和平成少幎ゞャンプ育ち。挫画家プロデビュヌ目指しお日々、邁進䞭

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