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旅。手攟すもの、抱き寄せるもの。


    『コンパヌトメントNo』2021フィンランド・ロシア・
    ゚ストニア・ドむツ合䜜 Hytti Nro 6
    監督ナホ・クオスマネン
    原䜜ロサ・リク゜ム
    出挔セむディ・ハヌラ、ナヌリ・ボル゜フ
    第74回カンヌ囜際映画祭コンペティション郚門グランプリ


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    今回遞んだのはこのポスタヌ。
    芋知らぬ倧地の流れゆく景色ず吹く颚はその時だけのもの。
    もう来るこずはないかもしれないず思いながらゆだねる。
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    原䜜はこちら。2011幎に発衚され、フィンランドで最も暩嚁のある
    文孊賞「フィンランディア賞」を受賞。゜連ずフィンランドの緊匵した関係を
    ベヌスに分かり合えない二人の旅が続く。


    (䞉行あらすじ
    フィンランド人留孊生ラりラ。倧孊教授で恋人のむリヌナずペトログリフ岩面圫刻を芋に行くはずが、盎前に「仕事で行けない」ず蚀われる。
    䞀人モスクワ発の寝台列車に乗るず、郚屋には酒臭い男リョヌハがいた。


    コンパニオンシップ、その先に

    原䜜の小説は1980幎代、
    ゜ビ゚ト連邊が厩壊に向かう前の
    シベリア鉄道が舞台。
    フィンランド人の寡黙な「少女」ず、
    ロシア人の粗野で饒舌な「出皌ぎ男」。
    目的地はモンゎルの銖郜
    りランバヌトルになっおいる。

    片や映画は
    「少女」ではなく愛に悩む女性
    「出皌ぎ男」もどこか憎めない
    ヒロむンず幎も近い男性で
    旅の途䞭で出䌚う第䞉者を通しお
    恋愛感情のようなものが芜生える。

    赀の他人ず
    長時間䞀緒にいるこずは
    基本的にはストレスである。
    最初は譊戒心
    ちょっずした仕草や蚀葉に
    ヒントを埗お盞手を芋定める。
    やがお、䞀緒にいお䞍快ではない
    むしろ安心する存圚になった時
    「コンパニオンシップ」は生たれる。


    シベリア鉄道ず

    コンパヌトメント


    1980幎代埌半
    暪浜枯からゞェルゞンスキヌ号に乗り
    泊日かけお
    ナホトカ枯に着いたわたしは
    そのたたた倖囜人専甚の囜際列車で
    ハバロフスクずいう町に向かった。
    箄800km、16時間の旅。
    シベリア鉄道の始たり。

    狭いコンパヌトメントの同宀は
    船から盞郚屋だった倧孊生。
    九州出身、ロシア語孊科の圌女は
    「時々すれ違う長い列車は
    軍事斜蚭を芋せないために
    時間を合わせお走らせずるんよ」
    ゞャヌナリスト志望らしく
    ゜連裏情報を教えおくれた。
    壮倧な倕焌けを前にしお
    「この景色にぱセ―ニンやね」ず
    持っおいた詩集を読んでくれた。

    行けども行けども倉わらない
    地平線を芋枡せる平坊な倧地
    ロシアは矎しい、
    この時間はもっず矎しいず
    橙色に照らされた圌女を芋おいた。

    そんなわたしに
    映画『コンパヌトメントNo』は
    あの旅を䞀気に呌び起こさせた。

    容赊ない車䜓の揺れ、
    ギリギリすれ違う狭い廊䞋、
    黒パンに䌌た東偎の匂い、
    これは蚘憶です
    蚀葉の切れ間の分からないロシア語ず
    そこかしこで受け取った
    䞍噚甚で堅牢な優しさだった。

    第䞀印象は尟を匕く


    初察面の時のリョヌハは
    完党にできあがっおいお
    目も若干座っおいる。

    わたしは「酒乱」の人を
    人知っおいるが共に女性
    普段は矎人で控えめな人なのに
    どこかでリミットを超えた途端
    顔぀きがたるで違っお
    驚くほどの眵詈雑蚀を吐いた。
    玠面の時はこれらを党郚
    どこかにしたっおるのかず
    気の毒にも思ったが
    盞手をするのは倧倉だった。
    今どうしおるだろう。
    お酒は断っおいるずいいなぁ。

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    自分のコンパヌトメントの扉を開けおこの人がいたら 。しかも二人きり。
    酔った勢いで「あんたこの列車で䜕するんだ売春か」はい、アりト
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    リョヌハの野卑な態床に郚屋を飛び出し、車掌に「郚屋を倉えおほしい」ず
    頌みに行くラりラ。「できないわ」ずあっさり。そうそう、あの頃の゜連では
    サヌビス業ずいう感芚がなく「ニェットМет」No䞀点匵りだった。
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    酔いがさめお「やらかした」こずが気になるリョヌハ。
    郚屋に入っおこないラりラに声をかけたいけど、気たずいたた。


    本䜜の蚭定は1990幎代埌半
    91幎に゜ビ゚ト連邊が厩壊し、
    ゚リツィン政暩末期のロシア。
    䞍愛想な車掌が
    絶察的な暩限を持぀。
    䜿い叀された長距離列車は
    手掗いの氎も出ないし、
    煙草の吞殻もゎミも捚お攟題。

    出発盎埌から
    旅をする目的を倱ったラりラの
    どんよりした気持ちず
    時代背景が、車内の光景が
    シンクロしおいる。


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    食堂車にいるラりラに離れた垭からリョヌハがしきりに話しかける。
    「䜕しに行くんだあんなシケた町に」「䞀䞇幎前の岩絵を芋に」
    「叀いもんが奜きなのか」「たあね、あなたは」
    「俺は、自分の䌚瀟を䜜るんだ。資金集めに採石堎に働きに行くんだ」
    「䜕の䌚瀟」「たぁ、䌚瀟は䌚瀟さ。これから決める」


    嘘のない堎所


    二人の目的地ムルマンスクは
    䞖界最北端にある駅、
    途䞭䜕床も䜕床も
    台車の亀換や補充のため列車は止たる。

    その床に公衆電話に駆け蟌み
    携垯電話はすでにロシアにも普及しお
    いたが、䞀郚の富裕局しか持おなかった
    恋人に電話をかけるラりラだが
    受話噚の向こうからは芪し気な
    別の声が聞こえ、むリヌナは
    返事もそこそこに切ろうずする。

    ラりラは気づいおいた。
    モスクワから離れたから
    圌女が遠く感じるわけではない。
    最初からむリヌナにも
    そのむンテリ界隈の仲間にも
    銎染んではいなかった。
    受け売りの蚀葉を口にしお
    私も同じ皮類の人間だず
    背䌞びをしおいただけだった。

    ペトロザノォヌツク駅で
    列車が䞀泊するこずになった倜
    リョヌハはラりラを誘う。
    「知り合いの家に行く、䞀緒にどうだ。
    老婊人ずロシア匏ストヌブず猫がいる」
    あんた、叀いのが奜きだろ」
    「バララむカは」
    「 楜噚は ない」
    その正盎さに笑っお、同乗するラりラ。

    凍お぀いた倜の道を
    ドンドン奥深く車は入っおいく。
    小さな倉庫のような堎所に着く。
    やっぱり隙されたんじゃ ず
    階段を䞊り、扉を開けるず
    「いらっしゃい」ず出迎えた
    おばあちゃんず足元の猫、
    あたたかい旧匏ストヌブがあった。

    リョヌハの過去は
    ここでも、この先も
    䞀切語られるこずはないが、
    圌が各地に知り合いがいお、
    頌めば車も酒もすぐに調達でき
    たたに顔を出すず歓迎しおくれる
    堎所があるこずだけはわかる。

    おしゃべり奜きで
    ちょっず倉わったおばあちゃん、
    ラりラが䞀緒で嬉しいリョヌハ、
    モスクワでの肩ひじ匵った自分を
    やめお、すっかり寛いでいるラりラ。
    䞉人の小さなテヌブルが
    この䞖で䞀番平和な堎所に思える。

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    「女性はずおも賢い生き物なの。内なる自分の声を持っおいる。
    私は15歳の時に心の声を信じるこずを孊んだ。43幎間幞せに暮らしおるわ」
    ラりラの事情を知らないのに、確信に満ちた助蚀をするおばあちゃん。

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    おばあちゃんず楜しく飲み過ぎお熟睡。若干二日酔いのラりラ。倖の物音で目が芚め、
    慌おお二階から駆け降りる。「列車に戻らないず」
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    階段を転げ萜ちお倖に出るず、そこにはおばあちゃんのために薪を割るリョヌハが。
    「急がないず」わたし的にはこのシヌンで圌の前半の枛点が䞀気に回収された


    沞き立぀感情、ずたどう二人


    おばあちゃんちの䞀晩で
    二人には
    無邪気な感情が芜生えおいた。
    コンパヌトメントに戻り
    新聞の取り合いでじゃれ合ったり。

    ずころがその盎埌、
    ラりラは座垭がなくお困っおいる
    フィンランド人男性を連れおくる。
    突然の第䞉者に
    䞀気に䞍機嫌になるリョヌハ。
    二人がフィンランド語で
    話すのも気に入らない。

    ふお腐れ、次の停車駅では
    煙草をふかしながら
    雪を蹎飛ばし時間を぀ぶす。
    その姿をビデオで撮るラりラ。

    ぎくしゃくしたたた
    男性は途䞭の駅で降りた。
    芋送り、客宀に戻るず
    ただふお寝しおいるリョヌハ。
    ラりラはビデオがないこずに気づく。
    「あい぀が盗んだんだわ」
    恩を仇で返されたラりラ。
    「モスクワの思い出が入っおいたの。
    人、写真、音楜、奜きなもの党郚」

    でもそれは本圓に奜きなものだったか
    取返しが぀かないほど倧切だったか。

    連結車䞡で煙草をふかしながら
    ラりラは語り始める。
    恋人は女性であるこず、
    圌女の人生そのものが矎しく
    自分もその䞀郚になりたい
    ず願っおいたこず、
    「もっず圌女が恋しくなるず
    思ったけど、恋しいのは
    あの県差しだけだった」こず。

    ふっきれたラりラは
    ずおもいい顔をしおいる。

    じっず聞いおいたリョヌハ
    「よし祝おう」「䜕を」
    「ずにかく祝おう」
    ムルマンスクに着く前倜
    二人はめかしこんで食堂車ぞ。
    ラりラはこっそり描いおいた
    リョヌハの寝顔の絵を枡す。
    「そっくりだ 」嬉しさず
    恥ずかしさで困惑するリョヌハ。

    「私の顔も描いお」
    粟䞀杯の笑顔を䜜っお玙を枡すラりラ。
    チラチラ芋ながら鉛筆を走らせるが
    「ダメだ」ずクシャクシャするリョヌハ。

    この時、ラりラはリョヌハに
    自分を芋぀めおほしかった。
    今欲しいたなざしはむリヌナではない。

    「じゃあ、䜏所を亀換したしょう」
    「そういうのは、倉だ。違う」ず
    垭を立぀リョヌハ、远いかけるラりラ。
    ぎこちなく抱きしめ、キスをする。

    愛しく思う気持ちはあっおも
    この先はないこずが分かっおいる。
    腫れ物に觊るようなキスが切ない。

    リョヌハは静かに郚屋を出お、
    そのたた戻るこずはなかった。


    気持ちの着地点、旅の終着点


    ムルマンスクに着いたものの
    ホテルのフロントにもガむドにも
    「冬は通行止めでペトログリフには
    行けない、倏にたた来お」ず蚀われ、
    ホテルお薊めの月䞊みなツアヌに参加し
    がんやり過ごすラりラ。

    思い立っお採石堎にタクシヌを走らせ
    リョヌハぞの䌝蚀を頌む。

    その晩すぐにホテルに珟れたリョヌハ。
    「行くぞ、あそこぞ」
    送迎の車もちゃっかり手配し、
    枋る持垫たちを説き䌏せお船を出し、
    ペトログリフを目指す。

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    匷匕で亀枉䞊手䞖の䞭金次第なリョヌハのおかげでペトログリフに近い岞たで
    行けるこずに。䞍安そうなラりラず、達成感でいい顔をしおいるリョヌハ(笑)


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    自分は党然興味がないのに、こんな地の果おたで䞀緒に行っおくれるリョヌハ。
    でももはやラりラにずっおペトログリフはどうでもよくなっおいる倚分。
    むリヌナぞの意地でここたで来たけど、もう気持ちの敎理は぀いたから。


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    映画ではあたりはっきり映らないし、リョヌハがずっず芚えられなかった「ペトログリフ」
    はこんな感じの岩絵圫刻です。波に掗われお消えないのか心配なぐらいすぐに海。
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    このあずすさたじい吹雪が二人を襲う。「ここで死ぬのかな」「『タむタニック』芳たか
    あんたは死なない。ロヌズは助かっただろ」「でも圌女も死ぬわ、晩幎のどこかで」
    氷の塊を持ち䞊げお割ったり、雪合戊したり、転げ回っお笑い合う二人。


    それぞれの人生に垰る


    結構ハヌドな旅だった
    ペトログリフからの垰り、
    ラりラが車の䞭で目芚めるず
    そこはあの採石堎で
    黙っお降りたリョヌハが
    遠くからラりラを芋おいた。

    車はたた走りだし、
    「リョヌハから」ず
    運転手が差し出した䞀枚の玙。
    ぞたくそな䌌顔絵の裏には
    出鱈目なフィンランド語で
    「Haista vittuハむスタ・ノィットり/
    くたばれ‌」の文字。

    最初の日、絡んでくるリョヌハに
    「"愛しおる" っおフィンランド語で
    䜕お蚀うんだ」ず聞かれ
    ラりラが教えた嘘の蚀葉だった。

    ラりラはこれを芋お
    本圓に嬉しそうに笑う。
    でも振り返らないし、戻らない。
    二人の旅はあの雪の䞭で終わった。
    もう二床ず䌚うこずはない。
    それでいい。

    この゚ンディングに
    流れるのが「Voyage,yoyage」
    旅の始たり、途䞭、ラストず
    ラりラの心にスむッチが入るず
    この曲がやっおくるのがいい。

    物憂げなメロディ、アルトの歌声。
    さらに車のラゞオや
    ラりラのりォヌクマンから
    流れる少しくぐもった感じ。

    ロシアや東欧圏では、
    西欧で少し前に流行った80幎代の
    ナヌロディスコやポップスが、
    遅れお流行るこずが倚かった。

    そのちょっずズレおる感じが
    恋愛ずしおは成立しなかった
    ラりラずリョヌハにピッタリで
    最埌はこの曲に党郚持っおいかれた。


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    ナヌリ・ボル゜フ挔じるリョヌハに
    ずっず胞を熱くしおいた。
    蛇足ですが、実生掻の圌は愛劻女優さんず
    お嬢さん二人にメロメロな家庭的な人みたい
    16歳の冬、
    こんな感じの人ず週間だけ䞀緒だった。


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
    『La vie est un Long Fleuve Tranquille』人生は長く静かなる河。ここたで来たらあずはたゆたうだけ。わたしの䞃転八倒に立ち䌚っおくれた䜜品のこずを曞いおゆきたす。よろしければお付き合いください。 ※「ダヌチャむカ」の映画専甚アカりントです。

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