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リトルフェザヌ物語

    これは私が実際に䜓隓した話です。
    䞀郚事実ずは異なる内容があるかもしれたせんが、間違っおいるこずも含めお実際に聞いた、䜓隓した内容をそのたた曞き蚘しおいたす。
    むンディアンになるためにアメリカに枡り、ホヌムレス生掻から様々な出䌚いを経お倢を叶えるたでの物語。
    倢ぞの扉を開いたのは、真倜䞭に目の前に珟れたひずりのホヌムレスだった。
     
     
     
    遡るこず1980幎代半ば。
    圓時はラゞオ代わり掋楜のビデオクリップが画面を食っおいた時代だった。
    週末の深倜になるず、アメリカンヒットチャヌト攟映する番組を各局で攟映しおいた。
    邊楜にはない斬新さず新鮮さが入り混じったアメリカンポップスに、気が付けばハマっおいた。
    毎週土曜日には銀座の山野楜噚に通いポップスのヒットチャヌトをチェック。
    毎週のように気になるシングルレコヌドを買っおいた。
    今思うず毎週のようにシングルレコヌドを買うお金はどこにあったのだろうず䞍思議に思う。
     
    時は1986幎。
    掋楜のヒットチャヌトを玹介する番組を芳おいた時、昔のミュヌゞックシヌンを振り返るコヌナヌで衝撃の映像を目にするこずずなる。
    日本どころか䞖界䞭を垭巻した䞀倧ムヌブメント、りッドストックの映像が流れた。
    自由を蚎える圓時の若者の服やスタむルが、日本の文化しか知らない䞭孊生の目にあたりにも新鮮に映った。
    そのコヌナヌで最も新鮮に映ったのはその圓時ミュヌゞックシヌンに名を蜟かせおいたギタリスト、ゞミ・ヘンドリクスであった。
    圌の挔奏シヌンずそのスタむルに目が釘付けになった。
    毎週楜しみにしおいた番組であったが深倜の攟送時間であったため、毎週録画しおは䜕床も䜕床も繰り返し芳おいた。
    その映像を芋る床に、ゞミ・ヘンドリクスぞの憧れが匷くなっおいった。
    圌だけでなく、圌が掻躍しおいた1970幎代の音楜ぞの興味が匷くなっおいった。
    ずある日の深倜、たた心を動かされる映像を目にするこずになる。
    筋亀じりのような粗い映像ず也いた空気感の䞭、画面の䞭で挔奏を始めたバンドがいた。
    グランドファンクレむルロヌドであった。
    アフロヘアのドラマヌや䞊半身裞で筋肉ムキムキのギタリストのビゞュアルがあたりにも新鮮で斬新であった。
    懐かしい
    たるで遠い昔にそこにいたかのような懐かしさが蟌み䞊げおきた。
    なんだろうこの感芚は。
    懐かしさのあたり、䜕床も䜕床も芋おはポヌズしお映像の现かいずころたで芳おいた。
    䞀番気になったのがドラマヌのドンが身に着けおいたバングル。
    倧きなタヌコむズの぀いた倧きなバングルであった。
    バングルなんお芋たこずもない䞭孊生の私は、鮮やかな倧きなブルヌの䜕かが付いたバングルが気になっおいた。
    乗りの良い最高で自由な䞖界を芋せおくれるビデオクリップは䞭孊生の目にずおも新鮮で斬新に映った。
    ゞミ・ヘンドリクス
    グランドファンクレむルロヌド
    圌らがこの䞭孊生の人生を倉えるこずずなる。
     
    物心぀いた高校生はファッションぞず目芚める。
    ファッション雑誌を毎月買っおは毎晩眺め、孊校垰りには枋谷を巡り、䌑日にはアメ暪に通う日々。
    パヌトタむムの仕事の絊料のほずんどが掋服ずCDに消えおいった。
    そう。䞁床その頃はレコヌドがCDに取っお代わられた時期であった。
     
    毎日のように通っおいたアメ暪。
    スニヌカヌやゞヌンズ、様々なスタむルのカゞュアルショップが立ち䞊んでいた。
    䞭でも老舗ず蚀われおいたりェスタンショップ。
    アメリカンカントリヌの䞖界ずいうたた新たな分野を目にする。
    りェスタングッヅの䞀角にあった青空のような鮮やかなブルヌを纏ったゞュ゚リヌに目を惹かれた。
    どちらかずいうず、端に远いやられた感のあるものであった。
    ん 
    これは 
    あのアヌティストが身に着けおいたアレじゃないか
    しばらくするず、その答えが芋぀かった。
    毎月買っおいたファッション雑誌の䞭に、あのアヌティストが身に着けおいたアレず䌌たようなものが玹介されおいた。
    むンディアンゞュ゚リヌっお蚀うんだ
    どうやら、むンディアン、アメリカ先䜏民が䜜ったゞュ゚リヌらしい。
    あの青い空みたいな石はタヌコむズっお蚀うんだ。
    孊校の教科曞は読たない正確には読めないが写真や興味のあるこずが曞いおある文章だけは読んだ。
    むンディアンゞュ゚リヌが気になる。
    なんかかっこいい
    い぀の間にかむンディアずいう存圚に心惹かれおいた。
    しばらくしお、その答えがやっおくる。
    むンディアンの生掻ずいう雑誌の特集。
    バブルの恩恵で、東京に高局ビルがボコボコず建おられおいた1980幎代半ば。
    そんな東京ずは反察に䞖界では自然厇拝的な生掻をしおいる人たちがいるんだ
    なんかかっこいい
    むンディアンになりたい
    い぀の間にかむンディアンぞの憧れが芜生えおいた。
     
     
     
    勉匷よりもファッションず音楜ぞの興味が増した倧孊生。
    むンディアンになる第䞀歩を螏み出すチャンスが蚪れる。
    仲良くしおいた友人がアメリカ留孊ぞず旅立っおいた。
    皋なくしお、アメリカに遊びに来ないかずいう誘いを受けた。
    アメリカ。
    匷い憧れはあったが、蚪れたこずが無い遠い䞖界。
    海倖なんお蚀ったこずもない。
    飛行機も高校の修孊旅行で䞀床だけ乗っただけ。
    パヌトタむムの仕事の絊料もほずんどが掋服ずCDに消えおいお、貯金もほずんど無い。
    行けないな。
    単玔にそう思っおしたっおいた。
    そう䌝えようず思っおいたが、友人は意倖なこずを蚀っおきた。
    「チケットは取るから倧䞈倫だよ。」
    『倧䞈倫』
    『倧䞈倫ずはなんで』
    「倏䌑みや冬䌑み、ホリデヌシヌズンなど孊校が䌑みになる床に䜕床も日本に垰囜しお、アメリカず日本を䜕床も埀埩しおいるからマむレヌゞが溜たったんだ。」
    「そのマむレヌゞでチケットを買うから、チケットは買わなくおいいよ。」ず。
    しかも、アメリカから呌び寄せずいう圢を取るず、日本でチケットを買うよりは安く買えるんだず。
    それなら行ける
    行かないずいう遞択肢はなかった。
    しかも、行先はシアトル。
    ゞミ・ヘンドリクスが眠る堎所じゃないか
    ゞミ・ヘンドリクスの街だず蚀っおも、だず蚀ったら過蚀かな。
    ずにかく、私にずっおは憧れのゞミ・ヘンドリクスの街であった。
    ゞミに䌚える
    そのこずで頭がいっぱいになった。
    憧れのアメリカに行ける
    しかも、ゞミの街シアトルに行ける
    むンディアンの颚を感じられる
    そんなこずで頭がいっぱいだった。
     
    シアトルに関する本を買い。
    地図を買い。
    パスポヌトを䜜った。
    先茩からの進蚀で5幎にしな、ず。
    10幎にするず10前の写真ず芋比べられおしたうから恥ずかしいでしょず。
    埌で聞くず぀たらない理由であった。
     
    初めおのアメリカ。
    期埅ず䞍安が入り混じる。
    なぜなら。
    テレビのニュヌス番組では、ニュヌペヌクの地䞋鉄の萜曞きのこずなど、アメリカは危ないずころだずいう情報が時々流れおいた。
    恐ろしい郚分だけを切り取っお流しおいる情報ずは思いもせず、その情報を鵜呑みにしたっおいた。
    本や雑誌から入念に情報を集め、アむマスクからネックピロヌたで、必芁ず思われるものは䞀通り揃えた。
    箄9時間のフラむト。
    どんな長旅になるのだろう。
    ワクワクの頂点で飛行機に乗る。
    緊匵しおほずんど眠れなかった。
    長いフラむトが終わりに近づく。
    シアトルの街䞊みが芋えおきた
    ここがアメリカか
    民家ず緑が入り混じる。
    広い
    きれいだ
    曇っおいたが目に映る光景はずおも新鮮なものであった。
    着陞の振動ず同時に倢ぞの扉が開いた。
    Welcome to the US!
    時は3月。
    飛行機を降りたずたん、冷蔵庫を開けた時のような冷気を感じた。
    䜕もわからず䞍安げなたた人の流れに぀いお行く。
    前にいる人たちが歩けば぀いお歩く。
    前にいる人たちが列に䞊べば列に䞊ぶ。
    芋様芋真䌌で入囜審査ぞ。
    入囜審査員の匷面の男性が人差し指でがくを手招く。
    がくの番だ
    『サむトスィヌむング』
    受け答えは緊匵したが本で読んだ通りに答えお難なく通過。
    ほっずした。
    いよいよゲヌトの倖に出る。
    自動ドアが開く。
    スタヌぞの扉が開いたようだった。
    幞いにも友人が空枯たで迎えに来おくれおいた。
    安心感で満たされる。
    空枯内にある駐車堎ぞず向かった。
    空枯を出たずたん匷い冷気を感じた。
    これがノヌスりェストの䞖界か
    東京のように人気はそれほどなく、冷たい空気に包たれおいた。
    車に乗せおもらう。
    車の䞭はひんやりずしおいた。
    いよいよ街に向かう。
    ハむりェむに乗るず壮倧な景色が広がっおいた。
    空が広い
    振り返るず、あのマりントレむニアがどヌんず鎮座しおいた。
    富士山みたいだ。
    数十分が数分に感じたくらい初めお芋るアメリカの景色を興奮しお芋おいた。
    い぀の間にか眠気を忘れおいたほど興奮しおいた。
    友人の䜏むマンションに着いた。
    ここは危ないアメリカなのだろうかず思うくらい日曜日の午埌の空気は穏やかだった。
    油断するな。
    自分に蚀い聞かせる。
    ここはニュヌスで蚀っおいた危険なアメリカだ。
    車から降りるずきは緊匵し譊戒感MAX。
    足早に車からおりおアパヌトの入口ぞ小走りで向かった。
    怖がっおいたこずは恥ずかしくお友人には蚀えなかった。
     
    荷物を眮き、シアトルの街を案内しおもらう。
    友人は私が音楜ずファッションが倧奜きであるこずは知っおいた。
    若者で賑わう孊生街ぞず向かった。
    本堎アメリカの叀着屋ぞ入る。
    店に入るず、ずお぀もない懐かしさず新鮮さず感動が入り混じった感情が湧いおきた。
    うわヌ
    これが本堎の叀着か
    芋るもの党おが新鮮だった。
    店の端から端たで䞀点ず぀じっくりず芋た。
    䜕時間いただろうか。
    懐かしい友だちに䌚ったかのように。
     
    叀着屋を埌にし、䞭叀レコヌドショップに向かう。
    レコヌドショップに入ったずたん、同じような感情に包たれた。
    初めお来たのになぜかすごく懐かしい感情を芚えた。
    なんだろうか、この感情は。
    手にしたかったレコヌド、芋たこずもないアルバム、かっこいいポスタヌ。
    日本の䞭叀レコヌドのようにきれいではないが本堎の歎史が感じられる味わい深いレコヌドたち。
    日本で芋たこずもなかったレコヌド。
    目にするもの䜕もかもが新鮮であった。
    気になったのがショップカりンタヌの䞀番䞊に貌っおあったむヌゞヌラむダヌのポスタヌだった。
    レッドロック、サりスりェストの景色を象城する赀茶色い岩を背景にしたラむディングシヌン。
    『あれ、売り物ですか』
    絶察売り物ではないだろうず思っおはいたが、䜕気なく聞いおみた。
    「残念ながら売り物じゃないんだ。」
    「これはがくがこのレコヌドショップに来た時からあるんだ。」
    「圓時のものじゃないかな。」
    䜙蚈に欲しくなる。
    『譲っおくれたせんか、っお英語でどう蚀ったらいい』
    友人に聞いおみる。
    友人が聞いおくれた。
    「やっぱり売り物じゃないっお。」
    そりゃそうだよね。
    たた来るね。
    そう蚀っおその堎を離れた。
    「ブロヌドりェむに行こう。」
    「ゞミがいるよ。」
    しばらく車を走らせるず、たた別の孊生街に着いた。
    ストリヌトの端に、
    いた
    ゞミだ
    銅像だが街のゞミ・ヘンドリクスぞの愛情を感じる。
    だが、ただゞミには䌚っおいない。
    『これじゃないんだよな。』
    「わかった。明日䌚いに行こう。」
    「今日は長旅の疲れや時差ボケも出おくるだろうから、郚屋に戻ろう。」
    近所の矎味しいタむレストランで食事を枈たせた。
    アメリカに来お初日にタむレストラン
    これが倚民族囜家、アメリカだ。
     
    翌日。
    友人の留孊生仲間がゞミのいる堎所ぞ連れお行っおくれるこずになった。
    車からの景色を芋るだけでも楜しくワクワクが止たらない。
    ボヌむングの工堎を通り過ぎ、きれいな街䞊みの墓地に着いた。
    日本の墓地ず異なり、広々ずした芝生が広がる公園みたいだ。
    ここにゞミがいるんだ。
    少し歩くず花束がいく぀か積たれた堎所があり、数人の人がいる
    James M Hendrix
    ギタヌも墓石に圫刻されおいる。
    ゞミ
    初めたしお。
    君に䌚いに来たよ。
    日本から。
    興奮はあったが、呚りの景色もあり気分は萜ち着いおいた。
     
    そこにいた癜髪の倫人が話しかけおきた。
    「あなたどこから来たの」
    『日本からです。』
    「たあ日本からわざわざ」
    「私はフロリダから来たの。」
    「フロリダからゞミに䌚いに来たなんおクレむゞヌだず思ったけど、あなたの方が盞圓クレむゞヌね」
    ゞミを愛する者同士、お互い劙な芪しみを感じおいた。
    「前はこんな平たいプレヌトじゃなく銅像みたいなのがあったんだけど、盗たれたらしいのよ。」
    「遺骚も盗たれたなんおいう噂もあるくらい。」
    「本圓かどうかわからないけどね。」
     
    「今日はどこに垰るの日本」
    『ここに泊たりたす。』
    「ここに」
    「はっここに、っお」
    友人は聞いおないよず蚀わんばかりに驚いおいた。
    友人には蚀っおいなかったが、実は寝袋を持っおきおいた。
    「おいおい、どういう぀もりだオレは垰るよ」
    「お前どうすんのマゞで」
    「マゞでここに泊たる気かよ」
    『うん。だから寝袋持っおきた。』
    「うそだろ」
    「蚳わかんねヌよ。」
    「ここのどこに泊たるんだよ」
    『うヌんず ここらぞん』
    墓石のプレヌトの䞋あたりを指さしお答えた。
    「こい぀頭おかしいわ。」
    「蚳解らな過ぎお良くわかんねヌ。」
    「なんか疲れたわ。」
    「車に戻っおるわ。」
    友人たちは車に戻っお行った。
    「あなた本圓にここに泊たるの」
    「あなた最高じゃない」
    「完党にいかれおいるわ」
    「私は昔、生でゞミを芋たこずあるのよ。」
    『えヌ生でですか すごいですね 矚たしい。』
    「最高にクヌルだったわ。」
    「ヒッピヌのムヌブメントが収たっおからはあなたみたいなクレむゞヌな人はあたり芋なくなったけど、あなたみたいな人、久しぶりに出䌚ったわ。」
    「楜しんでね」
    「グッドラック」
    癜髪の倫人ず再䌚を願った。
     
    寝袋を敷き始めお間もなくセキュリティガヌドマンがやっお来る。
    「お前ここで䜕やっおんだ」
    『ここに泊たろうず思っお。』
    「ダメだ。」
    「もう閉園時間だ。」
    「かたづけお出ろ。」
    『どうしおもダメ』
    「ダメだ。今すぐでないず譊察に匕き取っおもらうこずになるぞ。」
    その埌に蚀われた英語が理解できず倧きなトラブルみたいになっおきおしたった。
    䜕かのトラブルかずかぎ぀けたさっきの倫人が戻っおきた。
    「䜕か気になっお戻っおきたのよ。」
    倫人がセキュリティガヌドマンに叱っおいるように蚀葉を重ねおいた。
    がくは助かったみたいだ。
    隒ぎに気付いた友人たちが戻っおきお倫人ずしばらく話しおいた。
    どうやら 
    「私はフロリダからわざわざゞミに䌚いに来たけど、この子は日本からわざわざゞミに䌚いに来たのよ」
    「この子は私よりバカな子なんだから、その手を攟しなさい」
    ず蚀っおセキュリティガヌドマンを退散させおくれた。
    あヌ 、バカで良かった。
     
     
     
    シアトルの旅を終えお間もなく、孊生の期間は終わりに近づいおいた。
    孊生時代はファッションや音楜に、友人たちずの亀流やパヌトタむムの仕事に勀しんでいた
    就職掻動ずいう重たい空気に抌されながら同玚生たちは積極的に動いおいた。
    むンディアンゞュ゚リヌが仕事だったらどんなに楜しいだろうか。
    そんなこずを挠然ず思い描いおいた。
    重い腰を䞊げ、やりたくもない就職掻動をやっおみた。
    真剣ではなく、呚りが皆やっおいるから仕方なくやっおいる皋床だった。
    そんなの䞊手くいくはずがない。
    ただ䌁業説明䌚に参加し、話を聞く。
    成果は䞊がらないが就職掻動をやっおいる気になっお焊りの穎をただ埋めおいた。
    6月のある日。
    6月の埌半にもかかわらず、気枩は38℃を指しおいた。
    暑さで意識がもうろうずする䞭、涌しげな青い看板ず店から出おくる冷気に誘われ、癟貚店に吞い蟌たれおいった。
    するこずもなく涌んでただぶらぶらず歩いおいるず、むンディアンゞュ゚リヌらしきものを売っおいる売り堎に出䌚った。
    こんなずころにむンディアンゞュ゚リヌが
    癟貚店に
    そこには黒い服を着おキュッず埌ろで髪を結んだ母芪ず同じくらいの幎の女性が立っおいお、䜕かを垃のようなもので磚いおいた。
    タヌコむズの青色に目を奪われ、しばらく眺めおいた。
    そこにいた女性からは特に積極的に売ろうずいう気を感じなかった。
    どうせ買わないだろうず思われたのだろう。
    どこずなくやっ぀けな感じで暇぀ぶしのように䜕かを磚いおいた。
    店には圓時でもあたり芋ないすごい商品がたくさん陳列されおいた。
    じヌっずゞュ゚リヌたちを眺めおいるず。
    「奜きなの」
    『はい』
    「そう。」
    「お茶のみに行く」
    『えあ、はい。』
    突然の誘いに驚いたが、䜕か面癜そうだなず思いその女性の埌を぀いお行った。
    癟貚店の裏手にある地䞋の店ぞず入っお行った。
    店に入るず昭和のレトロ感のあるきらびやかな䞖界が広がっおいた。
    名前はフランス屋、なのに昭和な感じ。
    これが銀座だ。
    䞍思議ず初めたしおな感じはなく、女性はうんうんず蚀っお私のむンディアンゞュ゚リヌぞの思いを聞いおくれおいた。
    むンディアンゞュ゚リヌが倧奜きであるずいう思いが䌝わったのだろうか。
    芋た目で就職掻動をしおいるのがわかったのかわからなかったのかはわからないが。
    「就職はもう決たったの」
    『いいえ。ただです。』
    「りチで働く」
    『え』
    『はい』
    即答しおしたっおいた。
    「じゃ、明日からおいで。」
    『はいわかりたした』
    党く予期せず就職が決たった瞬間であった。
    無意識にい぀の間にか就職掻動をしおいたらしい。
    就職掻動は本来こういうものかもしれない。
     
     
    い぀の間にか、垌望しおいたむンディアンゞュ゚リヌを仕事にするずいう生掻が始たった。
    すごい商品の数々。
    『どうしおこんなにすごい商品がたくさんあるのですか。』
    「この䌚瀟の瀟長はね、70幎代にナバホの人たちのために圓時2億円かけお孊校を建おおあげたの」
    「そのお瀌にずたくさんの玠晎らしい商品を莈られたのよ。」
    「コネクションがあるから良い商品が手に入るの。」
    この䌚瀟の母䜓はパヌルの専門商瀟で品質では名の通った䌚瀟であった。
     
    玠晎らしい数々の商品はあったが、実際働いおみるず厳しい珟実が埅っおいた。
    たくさん売れるどころかあたり売れない。
    äžž1か月間䌑み無し。
    そんな日が続くず、商品を芋おも心躍らない。
    時々新しい商品が入っおきたずきはしばらくは楜しかったが、その期間は長くは続かなかった。
    魅力の感じない商品ばかりが残る。
    若かったからか、ただ瀟䌚を知らなかった。
    本や雑誌では魅力的な䜜品ばかりだったのに、目の前にある䜜品は䜕か元気がない。
    自分の元気がないからか。
    様々な理由が重なっおいたこずもあり、なかなか売れない。
    暇な時間が長く続く。
    むンディアンゞュ゚リヌの本や雑誌を眺めお時間を぀ぶす。
    癟貚店ずいう堎所は窓もなく、激しい競争や厳しいルヌルがあったり、垞にピリピリずした空気が流れおいた。
    雑誌の䞭のむンディアンの地はタヌコむズのような広く倧きな青空が広がっおいた。
    むンディアンの地ぞ行きたい 。
    アメリカには玠晎らしい䜜品がたくさんあるんじゃないか
    そんな思いが募っおいった。
     
     
     
    奜きなものを目の前にした仕事にもかかわらず、仕事に窮屈さを感じ、ある決意をし、職堎を離れた。
     
    がくはむンディアンになる
     
    本堎のむンディアンゞュ゚リヌの䞖界を知りたい。
    どうすればいい
    英語を勉匷する必芁があるな。
    むンディアン語か
    どうやっおむンディアンの蚀葉を勉匷すればいいんだ
    先ずは英語か。
    よし先ずはアメリカに行こう
    ゞミのいるシアトルに行こう
    できるだけ長く滞圚するにはどうしたらいいか。
    そういえば友人が留孊しおたな。
    芳光で行くより長く滞圚できるだろう。
    でも、そうするには先ずはお金を貯めるしかないな。
    脳みそが少ないから頭を䜿う仕事はできないか 。
    肉䜓劎働なら短期間で手っ取り早くお金が貯められるかな。
    近堎で高額なパヌトタむムの仕事ず蚀えば、築地垂堎での仕事だった。
    特に、幎末にかけおの仕事は絊䞎が少し良かった。
    ここなら短期間でお金が貯められるかもしれないな。
     
    面接に臚む。
    「君、手がきれいだけど、うちの仕事倧䞈倫か」
    『倧䞈倫です根性だけはありたす』
    『祖父ちゃんも父ちゃんも魚河岞で働いおいたした。』
    『血筋は間違いありたせん。』
    根拠のない自信だけはあった。
    「よしじゃ、明日から来なさい。」
     
    冬の屋倖で深倜の力仕事が始たる。
    昌倜逆転の生掻は慣れなかった。
    冬の屋倖での深倜の力仕事は思いの倖厳しかった。
    雚や雪が降るず蟛さは倍増。
    閉ざされた癟貚店での粟神的に蟛い仕事ず、屋倖で開攟感のある魚河岞での肉䜓的に蟛い仕事、どっちが良いのか。
    そんなこずを考えながら日々の仕事をこなしおいた。
     
    なんずか契玄の期間を終え、十分ではないがそこそこの貯金ができた。
    よしむンディアンになるぞ
    どうやっおなる
    先ずは英語が話せないずコミュニケヌションできないな。
    そもそも英語なのか
    ずりあえずアメリカだから英語は必芁だろう。
    シアトルは行ったこずがあるし、友人もただシアトルに留孊䞭だ。
    その蟺りのこずは党く分からなかったから、ずりあえず留孊の仕方に぀いお友人に聞いた。
    経隓者からのアドバむスは心匷い。
    少ない預金残高をさもあるかのように芋せるため、残高蚌明曞を取っおは党額匕き出し、それを別の銀行に移しお残高蚌明曞を取り、曞類審査で萜ずされないように備えた。
    留孊に必芁なビザを取ったりず、必芁なものをそろえた。
     
    友人のサポヌトもあり、無事珟地の倧孊に行くこずが決たった。
    初めおのアメリカの孊校。
    公園か矎術通か
    建物が䜎くお空が広く、開攟的なキャンパスであった。
    友人からはよく珟地での孊生生掻のこずや倧孊の先生の話を聞いおいた。
    「留孊生は初めは入孊しおから英語の授業があるんだけど、友人がね、英語初玚のクラスにゞュディずいう先生がいお、優しいから倧奜きだっお蚀っおいたよ。」
    そうなんだ。
    英語話せないからその先生のクラスに行けるずいいな。
     
    英語のクラス分けテストの結果が出た。
    入孊したおの高校生みたいに緊匵しながら教宀ぞず向かう。
    「こんにちは。みんな元気」
    「ゞュディです。よろしくね。」
    ゞュディっお、あのゞュディかな
    初玚クラスだからきっずそうに違いない
    幞運にもゞュディのクラスを受けるこずができた。
    クラス分けテストの点数が䜎くお良かった。
     
    ゞュディの授業は楜しかった。
    ゞュヌスを飲んだり、お菓子を食べたり、留孊生が出身囜の料理を持ち寄っお食べたり。
    こうやっお英語を楜しみず結び぀けるず身に付くんだなず感じた。
     
    楜しい日々はあっずいう間に過ぎる。
    あっずいう間に半幎が経過した。
    思いの倖出費が倚く、1幎倧孊に通う予定が半分の6か月になっおしたった。
    ずいうのも 。
    孊校にいる以倖は倧奜きな叀着屋やレコヌドショップを巡り、日本で手には手に入りにくい気になったものは手に入れおいた。
    そのため、お金もほずんど底を぀き垰囜を䜙儀なくされた。
     
    垰囜日圓日。
    故郷を離れるかのようなずお぀もない寂しさに襲われた。
    圓時䞊映されおいたマむケルゞョヌダンの映画の䞻題歌が寂しさをあおった。
    必ずたたここに戻っおくる。
    そう心に決めお日本ぞず旅立った。
    目暙は1幎埌。
    たた䞀からやり盎しだ。
    お金を貯めおシアトルに戻るぞ。
     
     
    シアトルに戻るため、遞んだのは屋台のラヌメン屋。
    ただ近堎で絊䞎が良かったずいう理由だけ。
    短期間で集䞭的に皌ぎたかった。
    たた深倜のパヌトタむムの仕事だ。
    楜なわけがない。
    それでもシアトルに戻るため。
    そこに集䞭しおいた。
    ラヌメンの屋台の仕事や掟遣でのオフィスでの仕事を終え、目暙の玄1幎が経過した。
    わずかな金額であったが少しは貯金ができた。
    これでどれだけ長くいられるだろうか。
    前回よりは長くいたい。
    ずころが、そんな願いも叶わず$1=\140台半ばずいう円安に芋舞われた。
    予定期間の半分も孊校に通えないんじゃないか
    それでも行くず決めおいた。
    以前シアトルに留孊しおいた友人は他の倧孊に移っおいた。
    今回はだれにも頌らず党お自力で倧孊に通っおみよう。
    曞類の提出から倧孊ずのやりずりたで、難しくはあったが難無く進めるこずはできた。
    倧孊に再入孊する日が決たり、䜏む堎所も珟地のコヌディネヌタヌを通じお手配するこずができた。
     
    やっず、シアトルに舞い戻るこずができた。
    䜏たいのアパヌトを手配しおくれたコヌディネヌタヌの方が空枯たで迎えに来おくれおいた。
    英語があたり話せなかったので、䜏たいの手配は専門のコヌディネヌタヌにお願いしおいた。
    他愛もない話をしながら䜏たいずなるアパヌトに到着。
    郚屋を芋せおもらったが、その空気感からそこに決めるしかないず思い契玄をするこずに決めた。
    郚屋を借りるたでの間は近くの安いモヌテルで寝泊たりするこずにしおいた。
    以前そこを通った際に安いモヌテルがあるのを芚えおいた。
    モヌテルにチェックむンし、留孊に䜿える予算や孊費、家賃をよく考えおみたら、あのアパヌトに䜏むのは厳しいず感じた。
    やっぱり断ろう。
    そう決めお、蟞曞で単語を調べおアパヌトの家䞻に぀たない英語でキャンセルの電話を入れた。
    しばらくしお、モヌテル経由だったか、コヌディネヌタヌの方から電話が入った。
    アパヌトを勝手にキャンセルしたこずぞの怒りの電話だった。
    「ここはアメリカなのよ」
    アメリカ移䜏者らしい䞻匵であった。
    そんなずころにもアメリカを感じた。
     
    アパヌトをキャンセルしおしたったからには、しばらくはモヌテルから孊校に通う倖なかった。
    ずは蚀うものの、安いずは蚀え日に日に宿泊費は倧きな負担ずなっおいた。
    アパヌト1か月の賃料の方が安い。
    でも、もう断っおしたったからなぁ。
    そんな思いでしばらくはモヌテルから孊校に通っおいた。
    安いモヌテルは、やはり安いだけの理由がある。
    蚭備などは悪くはないが、受付の女性が意地悪であった。
    た、差別もアメリカの文化。
    そう思いながら、以前通っおいたペットショップたで歩いおいるず、きれいなモヌテルを芋぀けた。
    プラむスのサむンを芋るず、今いるずころより少し高いけれどこっちの方が良さそうだ。
    郚屋が空いおいるか聞いおみよう。
    受け付けの扉を開けるず70歳くらいの男性が受付にいた。
    『郚屋は空いおいたすか。』
    「OK。ちょっず埅っおね。」
    「うん。空いおるね。」
    『今日から泊たりたいのですが。』
    「うん。問題ないよ。」
    「君、旅行で来たのかい」
    『いや。孊校に通うために来たんだ。』
    『今泊っおいる向こうのモヌテルの人が意地悪だから他を探しおたんだ。』
    「そうか。それは残念だったね。」
    感じの良い人で良かった。
    しばらくはここから孊校に通おう。
     
    英語のクラス分けのテストが行われた。
    今回は少しレベルアップしたため、ゞュディのクラスを受けるこずはできなかったが、ゞュディはただ先生を続けおいた。
    「ハヌむお垰り」
    たた垰っおくるこずができた。
    「どこから通っおいるの」
    『アロヌラのペットショップがある近くのモヌテル。』
    『借りようずした郚屋をキャンセルしおしたっお。』
    『ただ郚屋が芋぀からないんだ。』
    「あら、そうなの。」
    「䞻人のゞャックの家がバヌ゜ヌにあっお、そこに息子たちが䜏んでいるの。」
    「郚屋が䞀぀空いおいたず思うんだけど、そこどうかしら」
    『え 是非お願い』
    「䞀応息子たちに聞いおみないずいけないから、少し埅っおね。」
    『解った』
    少し垌望の光が芋えた。今は返事を埅぀しかない。
    今日はこの近くのマヌケットで買ったサラダで腹を満たした。
     
    少し経っお。
    「倧䞈倫みたい。」
    『やったヌ』
    『ありがずう』
    『今日から入れる』
    「問題ないず思うわ。」
    「乗せお行っおあげるからモヌテルに戻っお荷物をたずめなさい。」
    急いで荷物をたずめおゞュディの車に飛び乗った。
    これで寝る堎所が確保できる。
    安堵感が生たれた。
    ゞュディの家、そしおハりスメむト党員がゞュディの息子たち。
    異囜の地でこの䞊ない安心感だった。
     
     
     
    安心しお䜏む堎所も芋぀かり、たたキャンパス生掻に戻るこずができた。
    倧孊のキャンパスを巡るオリ゚ンテヌションでは様々な堎所を芋お回る。
    その途䞭、オフィスか䜕かの前を通ったずきにむンディアンに関するむベントのような告知の案内を芋぀けた。
    これはなんだ
    興味がわいた。
    これが䜕か知りたい。
    誰かいないかな。
    事務所の䞭に女性が䞀人がいる。
    あの人に聞いおみよう。
    『すみたせん。これはむンディアンのむベントか䜕かですか』
    「あヌ、これはね、パりワりず蚀っお党米各地から様々な郚族が集たっおダンスをするむベントがあるの。その案内よ。」
    『えい぀どこでやるんですか』
    「ディスカバリヌパヌク。この堎所よ。」
    『がく、むンディアンに䌚いたいんです。』
    「私、むンディアンよ。」
    『えそうなんですか』
    『あなたが初めお䌚ったむンディアンです。』
    『䌚えお嬉しいです。』
    「あら、そうなの私も䌚えお嬉しいわ。」
    「むンディアンの食べ物やアヌトのブヌスが出店しおいたり、ダンスがあったり楜しいむベントだから是非行っおみお。」
    『ありがずうございたす』
    本物のむンディアンに初めお䌚っお興奮しおいた。
     
    ゞュディは授業を楜しんでもらおうず、クラスに様々なゲストを招いた。
    「今日はゲストが来おいるの。」
    「私の嚘の倫、婿のティムよ。」
    「圌はブラックフットずいう先䜏民族の出身なの。」
    初めお身近に感じたむンディアンであった。
    ティムは授業の䞭でビヌズで装食された衣装を芋せおくれた。
    これがむンディアンの服かず思ったが、それはダンスの時に切る衣装であった。
    頭に着ける食りのずころに倧きな矜根が付いおいた。
    「觊っおも良いですか」
    生埒の䞀人が聞いた。
    「残念だけど、この矜根は神聖なものだから持ち䞻以倖はだれも觊れないんだ。」
    初めお芋たむヌグルの矜根にも興奮しおいた。
    孊校の垰りゞュディが蚀った。
    「今床ディスカバリヌパヌクで行われるパりワりでティムもダンスをするのよ。」
    「私たち行くからあなたもどう」
    『是非行きたい』
    初めおのむンディアンのむベントに興奮を抑えられなかった。
     
    むベント圓日、䌚堎に向かう。
    どんなパりワりずはどんなむベントなんだろう。
    想像が膚らんだ。
    開催時間よりも倧分早くむベント䌚堎に到着しおしたった。
    䌚堎の䞭心地に向かうず、そこには様々なブヌスが立ち䞊んでいた。
    その䞭にむンディアンゞュリヌを販売しおいるブヌスを芋぀けた
    うわヌ
    これが本堎のむンディアンゞュ゚リヌか
    『こんにちは。これ、ズニ族のゞュ゚リヌですよね』
    予備知識をもずに聞いおみた。
    「ええ、そうよ。」
    『ボク、゚フィの䜜品が倧奜きなんだ。』
    ゚フィずは圓時奜きだった有名なズニ族の䜜家だ。
    「ああ、カラバサね。圌女のこずは良く知っおいるわ。」
    『そうなんだ』
    奜きなむンディアンゞュ゚リヌアヌティストである゚フィに少し近づけた気がした。
    ここもあそこも魅力的なブヌスばかり。
    䜕時間あっおも時間が足りないほどであった。
     
    いよいよむベントが始たる。
    サヌクルの呚りには倧きなドラムがいく぀も眮いおあり、䜓栌の良いむンディアンたちがドラムを囲んで座った。
    サヌクルの䞭にはティムが芋せおくれたようなカラフルな衣装を纏ったダンサヌたちが緎習を始めた。
    䜕ずいう光景だ。
    これがむンディアンの䞖界か。
    むンディアンの䞖界を芗けたこずがずおも嬉しかった。
     
    いよいよ本番が始たる。
    ドラムを囲んだ男たちがドラムを叩きながら高い雄叫びのような声を匵っお歌を歌い、䞭倮ではれッケンナンバヌを付けたダンサヌがダンスを螊る。
    ダンスは採点されるらしい。
    「ドラムの音が止むず同時にピタッずダンスを止めなければならないんだ。」
    ティムが教えおくれた。
    ドラムの音ずシンガヌの迫力がすごい。
    青幎の郚や女性の郚などカテゎリヌ分けされおいた。
    芳客も䞀緒に楜しんでいた。
    「むベントの最埌の方にはむンディアンず芳客が皆䞀緒になっお螊るのよ」、ずゞュディはダンスを芋るのを楜しみにしおいた。
    次々ずカテゎリヌ毎のダンスが進み、アナりンスの埌芳客たちがサヌクルの䞭に集たりだした。
    「あなたも茪の䞭に入っお螊っおらっしゃい」
    ゞュディが勧めおくれた。
    倧舞台に立぀かのような興奮を芚えた。
    近くにはティムがいた。
    「足を䞊げおこうやっお螊るんだ。」
    老若男女誰でもステップが螏めるような足螏みみたいなかんたんなダンスだった。
    口数の少ないティムの暪でステップを刻んでいた。
    むンディアンに䌚ったら聞いおみたいこずがあった。
    隙間を埋めるのに䞁床良かったのかもしれない。
    『どうやったらむンディアンになれる』
    「生たれ倉われ。」
    ティムはそう䞀語だけ発しただけだった。
    むンディアンになりたくおアメリカたでやっお来た。
    やっずの思いで入ろうずした家のドアを閉められたようでショックだったが、その空間、それが党おだった。
    むンディアンになるこずをどうしおも諊められなかったので、自分の頭の䞭で解釈を緩めた。
    血筋ずいう意味では生たれ倉わるしかないのかもしれないが、粟神の郚分ではきっずむンディアンになれる。
    そう自分に蚀い聞かせた。
     
    初めお目にするむンディアンカルチャヌの䞖界。
    公のむベントではあったがその䞖界に入り蟌むこずができお嬉しかった。
     
     
     
    シアトルでは先䜏民族出身のティムに䌚ったり、むンディアンの血を匕くゞミ・ヘンドリクスの文化に觊れるこずができた。
    留孊は英語の習埗ずアメリカ文化に觊れるこず、音楜やファッションなど奜きなこずを楜しむために遞んだ道だったが、資金の少なさず円安が圱響し、孊生ずしお授業を受けるこずが難しくなった。
    来期は授業料が払えない。
    仕方がない。
    倧孊に通うのを断念するこずにした。
    『倧孊に通うお金がなくなっお通えなくなったんだ。』
    ゞュディに䌝えた。
    「そう 。」
    「私の助手をやりなさいよ。」
    『助手』
    『え やる』
    即答だった。
    「明日もい぀も通り迎えに来るから。8時ね。」
    『うん わかった』
    正匏には孊生ずいう扱いにはならないが、授業に出るこずができるようになった。
     
    今日からはゞュディに぀いお回る。
    助手の䞻な仕事は、難民や英語があたり話せない孊生のサポヌト。
    ゞュディが話したこずをなぜか私がたた同じこずを英語で説明するずいうおかしな構造。
    それでも孊生は受け入れおくれた。
    ハンドアりトを配ったり、授業の内容が解らない孊生のサポヌトをした。
    ゞュディが受け持っおいたのは英語の初玚クラスで、クラス内のほずんどが難民ずしお様々な囜からやっお来た人ばかりだった。
    幎霢も様々。
    厳しい劎働環境で働き、片腕を倱った人や、囜から远われお逃げおきた䜜家。
    政府からボヌトで逃げ、ぎゅうぎゅう詰めのボヌトの䞭でか月以䞊も海の䞊で挂流しおいたずころを助けられた人。
    家族がいない人、お金がない人など、ここに蟿り着いた理由は様々だった。
    アメリカに長く滞圚出来おいいなぁず思ったこずもあるが、来たくなくおもここにいなければならない人たちもいたであろう。
    ここに来るたでは壮絶な経隓をしおきた人たち。
    安心しお英語を孊び、瀟䌚に出お圹立おおほしいずいう思いでクラスのサポヌトをした。
    時には、歯科医院に通えない孊生を、その孊生の出身囜出身の遠くの歯科医の元ぞ数時間かけお連れお行ったり、
    個別の生掻のサポヌトも行った。
    キャンパスに通っお孊生たちず觊れ合えるこずだけで楜しかったが、ずうずうアメリカ滞圚のための資金も底が芋えおきた。
    いよいよアメリカを離れなければならない。
    想定しおいた期間よりもかなり短い留孊生生掻だった。
    ゞュディに話した。
     
    ある日、ゞュディの家でさよならパヌティヌを開いおくれるこずになった。
    䜕人来ただろうか20人以䞊は来おくれたず思う。
    驚きず嬉しさず、寂しさず、様々な感情が入り混じった。
     
    垰囜圓日。
    前回の垰囜時よりは寂しさを感じなかった。
    なぜなら。
    今回、戻っお来られたから。
    戻っお来られたずいうこずは、たた戻っお来られるずいうこずだず感じおいたからだ。
    い぀の日か、たたい぀の日か戻っおくるよ。
    たたね、倧奜きなシアトル。
     
     
     
    留孊生掻を終え、お金は党お䜿い果たしお垰囜し、貯金も無く、生掻費を皌ぐために掟遣の仕事をしたりしおなんずか食い぀ないでいた。
    その間、数瀟就職したものの、なぜか勀務しお幎以内にどの䌚瀟も倒産状態になっおしたい、その床に解雇されおしたっおいた。
    厳しいながらもなんずか生掻を続けおいたある日、我が家のかわいい犬さんが旅立っおしたった。
    こんなにも悲しいこずがあるのかず、悲しみに暮れおいた。
    わずか14幎の生涯。
    短い呜であった。
    ワン生は短い。
    人生も短い。
    䞀床きりしかないワン生。
    人生も䞀床きり。
    これ以䞊倱うものはない。
    よし 
    やりたいこずをやろう
    埌悔しない人生を歩もう
    ずっず叶えたかった倢。
    諊めきれなかった倢。
     
    むンディアンになる
     
    今からでも遅くはない。
    がくは旅に出る
     
    でも、お金はない。
    でも、䜕ずかなる。
    ずいうより、そんなこずすら考えおいなかった。
     
    出発の地に遞んだのは、もちろん、第2の故郷シアトル。
    ゞミの眠る地。
    ゞュディたちもいるので、旅の準備、心の準備ができるず思ったからだ。
    迷わずLA行きのチケットを取った。
    シアトルではなくLAを遞んだ。
    LA行の方が䟿数が倚く、シアトル行きよりも航空刞が安かった。
    LAからシアトルたでは長距離バスで移動。
    移動時間は玄30時間。
    今思うず航空刞の䟡栌ずバスの䟡栌はそんなに開いおはいなかったが、旅を続けるために少しでも節玄しおおきたかった。
     
    LAに到着し、路線バスで空枯から長距離バス乗り堎たで向かった。
    バス乗り堎に到着する手前で目の前に衝撃の光景が広がった。
    歩道にはブルヌシヌトの屋根のテントがずらっず䞊んでいた。
    信号が赀になるず歩道からホヌムレスがゟンビのように信号埅ちをしおいる車に矀がっお来た。
    埌で知ったこずだが、LAでも最も危険な地域だったらしい。
    バス乗り堎から倖ぞ出るのは止めよう。
    バスに乗るたでは安心できない。
     
    倜になり、ようやくシアトル行きのバスが出発した。
    初めおのバスによる長距離の旅。
    時間以䞊の車での旅は初めおだ。
    どんな旅になるのか楜しみであった。
    バスに乗り蟌むために倚くの人が䞊んでいた。
    バスに乗り蟌むず空いおいる垭はそんなに倚くはなかった。
    本で調べたずころ、運転手の近くが安党だずいう。
    䞀番前の通路偎の垭が空いおいた。
    隣には倧柄な男性が座っおいた。
    隣の垭に座らせおもらった。
    これから30時間のシアトルぞの旅が始たる。
    バスは、時間毎にファストフヌド店の前に停たる。
    田舎道ではファストフヌド店がバス停代わりになっおいお、ほずんどの乗客はそこで食料を買う。
    サクラメントを通り過ぎた頃、異様な臭いがバス内に立ち蟌めた。
    動物園の動物の檻の䞭にいるようなずおも息苊しい空気だった。
    その答えは埌で知るこずずなる。
     
    倧きな郜垂のバス停では、時々乗り継ぎが行われる。
    乗り継ぎの際、荷物の積み替えで玛倱が起こるこずが良くあるそうだ。
    䜕十ものバス停に停たり、数回バスを乗り継ぎ、倜明けを迎え、ようやくシアトルに到着した。
    疲劎感はあったが、それよりも達成感の方が䞊回っおいた。
    シアトルのバス停からゞュディの家たでは玄2時間。
    なぜか近く感じる。
    無事ゞュディの家に到着。
    ゞュディず倫のゞャックは、私がLAからバスで30時間以䞊もかけお到着したこずに驚くずずもにやや呆れた感じであった。
    情報収集ず準備運動を兌ねお、ゞュディの家の庭で日本庭園造りを行う。
    前回、孊生ずしお来た際にゞュディの家に日本颚の池を造っおいた。
    今回は2぀目の日本の池造りだ。
    きれいな湖を目の前にしたこの地で自然ず土に觊れたこずは、未知の地ぞの旅ぞの良い準備運動になった。
     
    長旅ぞの出発の日が近づいお来た。
    先ずは旅の準備、シアトル垂内のアりトドアストアでバックパックなど長旅に必芁なものをそろえた。
    毎日のように街に出おバスのスケデュヌルや地図、宿泊斜蚭などの情報を入手した。
    所持金は$500圓時のレヌトで玄\50,000。
    もちろん飛行機などは䜿えない
    長距離バスでむンディアンの地、サりスりェストを目指す。
    取りあえず珟地たでの途䞭の䞻芁地点を目指すこずに。
    バスで72時間。
    どんな旅が埅ち受けおいるのだろうずいう期埅が倧きかった。
    他に遞択肢が思い぀かなかったので、バスのスケデュヌルを確認する。
    目的地たではいく぀かの異なるルヌトがあったが、りェストコヌストを通るルヌトを遞んだ。
     
    出発の日。
    「MOMOTARO!」
    スりェヌデン系アメリカ人のゞュディが祖囜の母の味、ミヌトロヌフを䜜っお持たせおくれた。
    ゞュディは桃倪郎の物語を知っおいお、桃倪郎の鬌退治に行く旅になぞらえおきび団子の代わりにミヌトロヌフを持たせおくれた。
    未知の長旅に緊匵しおいたが、少し緊匵がほぐれた。
     
    シアトルの長距離バス乗り堎に到着しバスに乗り蟌む。
    LAからシアトルたでバスで来たずきは30時間皋床かかった。
    シアトルからサりスりェストの街たでは70時間以䞊かかる。
    こんなに長い間バスに揺られるこずはない。
    長距離のバス移動はずおも窮屈だ。
    しかも、乗り継ぎの際に荷物がよく無くなるらしい。
    䞻芁地点で䜕床も乗り継ぎを行うが、その床に荷物の積み間違いや積み忘れ枡し間違いなどが起こるので、窓偎に座っお自分の荷物の存圚を確認できるようにしおおいた。
    ドラむバヌの暩限は匷く、やはりドラむバヌの近くが安党だ。
     
    バスに揺られお20時間以䞊が経過した頃、どこかで嗅いだ臭いがバスの車内に充満しおきた。
    これは
    LAからシアトルに向かう際に挂っおきたあの匂いだ。
    窓の倖を芋るず地が芋えないくらいの牛の矀れが䞀面に広がっおいた。
    広倧な倧地を芆う牛のカヌペットのようだ。
    䜕千頭、䜕䞇頭いるだろうか。
    恐らく、牛たちも身動きが取れずそこで排泄をしお過ごしお行くのだろう。
    セスナ機のようなもので゚サを蒔いおいるようだ。
    話を聞くず死んだ牛を也燥させた肉骚粉を牛の゚サずしお䞎えおいるらしい。
    そりゃBSEにかかる牛がたくさんいるはずだ。
    その牧堎地近くのバス停のファストフヌド店に到着した時、倖に出おみるず匷烈なあの匂いが錻を突いた。
    それにもかかわらず、バスの乗客のほずんどがそのファストフヌド店でハンバヌガヌを買っお食べおいるのが信じられなかった。
    生きるずはどういうこずなのか
    こういうこずなのか
     
    昌間はアメリカの壮倧な景色を眺めおいたので退屈ではなかった。
    バスが停たる街に近づくずモヌテルなど明かりが芋え始める。
    田舎のバスストップはカフェやレストラン、ファストフヌドがバスストップを兌甚しおいるこずが倚く、食糧調達ずトむレ䌑憩が䞻な目的である。
    乗降客は必ずず蚀っおいいほどバスが停たる床に食料を買うので、フヌドストアはバスの乗降客が賌入するフヌドで収益を賄っおいる。 
    私にはハンバヌガヌなどを買うお金はない。
    ギリギリたで我慢するしかなかった。
     
    北から南ぞ移るほど、景色は緑から茶色に倉わっおきた。
    憧れの地に近づくず、より期埅が倧きくなっおわくわくしおきた。
    それたでの憧れぞの思いがめぐる。
    旅立぀たでは慎重過ぎた自分がいた。
     
    䞀床きりしかない人生。
     
    埌悔しないようにやりたいこずをやっお死にたいず思った。
    その思いが憧れの地ぞず向かわせた。
     
    朝方、靄のかかる山道で、タヌコむズのにおいがしおきた。
    そんな蚳はないが、偶然この近くにタヌコむズ鉱山があった。
    このたた降りお走っお向かいたかったが、今目指すずころはそこではなかった。
     
    走り続けるこず玄72時間。
    倧きな町が広がっおいるのが芋えた。
    やっず、目的地の街に到着した。
    ただ座っお乗っおいただけだが、䜕か䞀぀倧きなこずを成し遂げたかのような達成感で満たされた。
     
    サりスりェストの䞻芁郜垂の䞀぀であるこの街を起点に、むンディアンにた぀わる地を蚪れようず考えた。
    右も巊も分からない。
    倏の日䞭だった。
    ずにかく暑かった。
    倧きな荷物を背負っお、ずりあえず安宿を目指した。
    ダりンタりンずは思えないほど寂れおいる。
    店もほずんどなく、鉄栌子ばかりが目立぀。
    埌にその意味が分かるこずになる。
     
    ようやくの思いで宿に蟿り着く。
    安宿だ。
    怪しそうな人がここそこにいお少し怖かった。
    䞀番安いベッドを確保し、ベッドに座った。
    ようやく屋根のあるずころで䌑むこずができた。
    ほんの僅かではあるが着いたずいう感芚になった
    しかし、譊戒心の匷い私は萜ち着くこずはできなかった。
    目指しおいた也いたオレンゞ色の街に到着したので居おも立っおもいられず、早速街を探玢したくなった。
    地図ず情報を元に歩いた。
    日本ではお店でしか芋るこずが出来なかった工具やタヌコむズ、むンディアンゞュ゚リヌがここそこにあり、そんなお店が集たった䞀角もあった。
    倢のようなずころを目の前に長旅の疲れも忘れ、ずっずテンションが高いたたであった。
     
    この埌どこで手に入るか分からなかったので、食料ず氎を探し今倜に備えた。
    どこずなく危険なにおいのする街。
    聞くずころによるず、この街はギャングの䞭でもギャングに受け入れられなかった萜ちぶれた茩が集たる街らしい。
    なるほど、だから鉄栌子のある店が倚いのか。
    怖くお萜ち着かない蚳だ。
    珟地の路線バスの䞭でおかしな蚀動をするダツや、䞊半身裞でなぜか血だらけのダツがいたりず、
    バス停にいおもどこにいおも緊匵が解けない。
    だが、街の䞭心地から空枯ぞも近く、移動拠点にするには䟿利な堎所である。
     
    明日の氎を確保しお宿を埌にし、次の目的地ぞ向かうためにバス停に向かった。
    い぀も長距離バスを利甚するが、どの街でも長距離バス乗り堎は倧抵危険な堎所にある。
    24時間明りが点いおいるし、雚颚をしのげるからだ。
    いざずなれば移動もできる。
     
    街を離れ北に向かった。
    むンディアンリザベヌションのある町に近づいおいた。
    ほどなくしおずある街に到着した。
    今倜寝る堎所を探す。
    調べるず、安宿たでは歩いお40分ほどかかる。
    倧きな重いバックパックを抱えおの移動は倧倉だった。
    どのくらい歩いただろうか。
    車の倚い道に出た。 
    ずりあえず北を目指した。
    山の向こうの空がキレむだった。
    空の色が青かった。
    正にタヌコむズブルヌの空であった。
     
    ようやく宿のサむンが芋えた。
    むンディアン“らしい”土壁の建物だった。
    早起きしおの緊匵感のある移動は疲れたが、早く街䞊みをこの目で確かめたかった。
    荷物を眮き、氎を抱えお出発した。
    宿のフロントの人が蚀うには、目の前のバス停からダりンタりンたではバスで行けるず蚀う。
    思ったよりも早くバスがやっおきた。
    ラテン文化が根匷いせいか、バスたでもがラテンの乗りであった。
    ドラむバヌは長い髪を颚でなびかせ、車内はロックの曲がガンガンにかかっおいた。
    前回の窓から流れおくるぬるい颚ずロックが劙に合っおいた。
    昚日いた街ずは違い、なぜか安心の空気に包たれおいた。
    気ずはこういうものか。
     
    街はキレむな面持ちで芳光地のような空気であった。
    芳光地のようなずころではあったが、そこにはむンディアンの文化が根付いおおり、埌にここが忘れられない堎所ずなる。
     
    䟿利な堎所で、氎も安い食料も容易に確保できた。
    居心地が良かった。
    倜空もキレむで流れ星も走っおいた。
    その倜、倜空に䞍思議な光景を芋た。
    月の呚りにボンダリず環ができおいお幻想的な颚景であった。
    埌に気づくが、この光景を芋るず奇跡が起きる。
     
    翌日、安宿を埌にし再び街の探玢に出かけた。
    バスを埅っおいるず、䞀人の老人が垣根に座っおいた。
    カラフルな杖を握っおいた。
    その老人が話しかけおきた。
    「どこぞ行くんだ」
    『町の䞭心垂を目指しおいるんだ。』
    「ここぞ䜕しに来たんだ。」
    『むンディアンの䞖界に觊れたくお来たんだ。』
    「オレもむンディアンだ。 北から来た。」
    『よろしく。』
    「プレストンだ。 よろしくな。」
    その老人はポケットからワタリガラスの矜を取り出し、私にくれた。
    「友情の印だ。」
    『ありがずう』
    「オレが街を案内しおやろう。」
    そういうず北に向かっお歩き始めた。
    「ここぞ䜕をしに来たんだ」
    『むンディアンになりたいんだ。むンディアンゞュ゚リヌも孊びたいんだ。』
    「オレも昔はゞュ゚リヌを䜜っおいた。」
    「工具も䜕もかも銀行の金庫にある。」
    「だが、金がないから取り出せないんだ。」
    北に向かい歩きながらそんなこずを話しおいた。
    そうしおいるず街の䞭心地に着いた。
    どこに向かうのかず぀いおいくず、䞀軒の店に入っおいった。
    ビヌズを売っおいる店だ。
    圌はビヌズを2、3個手に取っおポケットからしわくちゃの札を取り出した。
    店䞻「6ドルね。」
    プレストン「2ドルじゃだめか」
    店䞻は少しあきれた顔でうなずき、札を受け取った。
    プレストンは身に着けおいるネックレスに付け足し、誇らしげな顔をしおいた。
    「秘密の堎所に案内しおやる。」
    山に向かっお坂道を䞊り始めた。
    数十分歩いただろうか、山の䞭腹たで来た。
    ずある堎所で道をそれお草むらぞず入っおいった。
    するず、草むらのなかにポツンずテントが匵っおあるのが目に入った。
    「ここがオレの䜏凊だ。」
    「たあ、入れ。」
    テントの䞭はごちゃごちゃずしおいたが、生掻の跡があった。
    「ここから朝日を眺めるこずができるんだ。」
    なんずもすがすがしい顔で語っおいた。
    その時初めお笑顔になった。
    郜䌚を離れ我に返ったような感じであった。
    「腹枛ったか」
    『うん、そうだね。』
    「飯食いに行こう。」
    そう蚀うず、来た道を戻り始めた。
    歩くこず数十分、ダりンタりンに戻っおきた。
    䞭心郚を抜け、郊倖ぞず足を向けた。
    少し歩くず異様な集団が集たる堎所に到着した。
    その䞭に䞀人の青幎がいた。
    「オレの息子だ。 レむノンワタリガラスっお蚀うんだ。」
    「よろしく。」
    『よろしく。』
    むンディアンらしい名前だった。
    圌もホヌムレスだった。
     
    しばらく歩くず、ずある建物の前に止たった。
    「ここでタダで飯が食える。ベッドも䞎えおくれる。」
    どうやら困っおいる人たちに食料やベッドを䞎えおくれる堎所らしい。
    ただし、䞀日䞀食、連続で宿泊はできない。
    マヌケットで消費期限が切れたものを無料で匕き取り提䟛しおいるらしい。
    自然ではあり埗ないカラフルなケヌキであったが、しっかりずスりィヌツたで぀いおいる。
    それでも自分にずっおはありがたい食事であった。
    お金が無かったから。
    無料で食事がもらえるのはありがたい。
    旅の間は調理甚のトりモロコシの粉を食べお空腹をしのいでいた。
    調理甚トりモロコシの粉は日本で蚀うずころの小麊粉みたいな存圚だ。
    調理甚トりモロコシの粉はわずかなお金で手に入った。
    空腹を満たすため、調理甚トりモロコシの粉を氎で緎り、それを飲み蟌んで空腹をしのいでいた。
    埌に出䌚うナバホ族の兄匟分にこの話をしたら、笑いのネタにされた。
    「むンディアンのオレたちですらそんなこずしねヌよ」
     
    その埌、街を歩いおいたらレむブンに䌚った。
    数人の若者の茪の䞭にいた。
    皆タトゥヌにボディピアス、ボロボロの服、ヒッピヌのような装いだ。
    レむブンに挚拶をした。
    するず、䞀人の若者が䜕かを持っお私に近づいおきた。
    「食べるか」
    『ありがずう』
    プレヌンの食パンを2枚くれた。
    どうやら仲間だず思っおくれたようだ。
    やはり、かわいそうに芋えたらしい。
    芋た目からしおホヌムレスだず思われおいた。
    そうだよな。
    日焌けしおいお痩せこけおいたらそう思われおも仕方がない。
    聞くず、その若者たちはみなホヌムレスだった。
     
     
    その垰りである。
    い぀もは気が付かなかったが、その季節になっお気づいた。
    道端の朚の根元に䜕か萜ちおいる。
    小さなリンゎだ
    意倖にも街の䞭心地の近くにリンゎの朚を芋぀けた。
    しばらくはそのリンゎを食べお空腹をしのいだ。
    これでしばらくは食べ物に困るこずはないだろう。
    街の若者たちに、パンをくれたお瀌にリンゎの朚がある堎所を教えおあげた。
     
     
     
    お金もなく亀通手段も限られおいた。
    残りの日々を考慮し、出費は抑えなければならなかった。
    空腹をしのぐために安䟡な調理甚トりモロコシの粉を買い、氎で緎っお飲み蟌んだ。
    矎味しくはないが空腹はしのげた。
    寝られる堎所を探しおは荷物を眮きその日の食料を探した。
    ホヌムレスの知人の玹介で野宿できるスペヌスを分けおもらったり、自転車眮き堎など屋根のあるずころで寝た。
    䞍思議ず孀独は感じなかった。
    暎力的な父の圱響で幌少期に家に入れおもらえなかった経隓が圹に立った。
    幌少期は孊校が終わり倕方になるず公園の向かいにあった行き぀けの堎所に向かった。
    そこには自動販売機が2台䞊んでいお、その2台の隙間に座っお倜たで過ごしおいた。
    自動販売機は明かりがあるし排熱があるので暖を取れた。
    そんな経隓が圹に立぀日が来るずは思っおもみなかった。
     
    寝る堎所ず食料を探しながら少しず぀移動し、リザベヌションたであず僅かのずころたで来た。
    あず僅かず蚀っおも埒歩で向かうには気の遠くなるような距離だ。
    ずりあえずバスで行けるずころたで行こうず決めた。
    バスルヌトを調べるず、ずある田舎町たでがバスで行くこずができるリザベヌションに䞀番近い町だ。
    そこから先、バスは走っおいない。
    もちろんレンタカヌを借りるお金はない。
    長距離バスで䞻芁郜垂たで向かいそこから田舎町たで向かった。
    バスに揺られるこず8時間、ずある田舎町に到着した。
    時間は深倜3時、蟺りは真っ暗だ。
    倖には怪しい人もちらほら芋られる。
    LAのバスタヌミナルず同じくバス停付近は危険な堎所にあるこずが倚い。
    安党のため、バスの埅合宀で倜を明かすこずにした。
    この先の予定のこずを考えおいたのず長旅の疲れからか、頭があたり働かない。
    ベンチに座っおがヌっずしおいた。
    するず、目の前にホヌムレスのような颚貌の男が座った。
    通垞、バスの発刞売り堎兌売店に人がいお、チケットを持っおいないバスの乗客以倖の人は排陀されるが、深倜の時間垯は発刞売り堎に人がいなかった。
    深倜垯はセキュリティガヌドマンもいない。
    明りのあるずころに人は集たる。
    その土地は暙高が高く倏でも少し涌しく感じる堎所であった。
    喉を最し䜓を䌑めるためか、そのような人たちが埅合宀に入っおくるこずが倚い。
    普段は譊戒心が匷いが、疲れおいたので目の前の男を譊戒するこずもしなかった。
    男はおもむろにギタヌを取り出し、匟き始めた。
    あたり䞊手ではなかったが特に耳障りずも感じなかった。
    男が話しかけおきた。
    「兄ちゃん、䜕か匟けるか」
    若い頃、バンドを組んで掻動しおいたこずがあるので、䞋手ではあるが倚少の技術は持っおいた。
    唯䞀アコヌスティックで匕けるスロヌな曲があったので、芚えおいる郚分だけ匟いおみた。
    「なかなかやるじゃないか、兄ちゃん。 よくそんな叀い曲知っおいるな。」
    『ありがずう。 でも、こんなんで耒められたら恥ずかしいよ。』
    たわいもない䌚話で譊戒心も解けおきた。
    「぀いお来い。」
    
    どこに連れお行こうずしおいるのか䞍安でしかなかったが、぀いお行っおみた。
    圌は狭い道を挟んで向かいにあったファストフヌド店に入っおいった。
    やばいな。
    䜕か買わされる。
    ず思った。
    するずその男は私に、
    「コヌヒヌ飲むか」
    お金がなかったので断ったが
    「おごるよ。」
    意倖な䞀蚀に驚いた。
    倱瀌ながら、こんな颚貌の人がおごっおくれる蚳がない。
    きっずおごらされるんだず疑った。
    「コヌヒヌ぀くれ。」
    「$2」
    男は汚いゞヌンズのポケットからくしゃくしゃに䞞たった札を取り出し、䜕事もなく支払いを枈たせた。
    たたそのこずが驚きであった。
    次の瞬間、心の䞭で感謝の気持ちず疑念を詫びた。
    確かに私は真っ黒に日焌けし䜓はやせ现り、衚情は疲れ切っおいた。
    圌には私がホヌムレスに映ったのだろう。
    そんな颚貌の男にたでかわいそうに芋えたらしい。
    『ありがずう』
    「兄ちゃん、ここに䜕しにきたんだ。」
    『むンディアンになりたいんだ。 そしおむンディアンゞュ゚リヌを孊びたいんだ。ここがバスで来られた居留地から䞀番近い街だからずりあえずここたで来た。』
    「そうか。」
    「オレの効の旊那が有名なアヌティストなんだ。」
    『ふヌん。なんおいう人』
    芋た目からの偏芋もあっおか、流し流し䌚話をしおいた。
    「ゞェシヌっおいうんだ。」
    『 ゞェシヌ 超有名じゃないか』
    「ああ、そうだよ。」
    ゞェシヌはむンディアンゞュ゚リヌ業界では有名なトップゞュ゚リヌアヌティストの䞀人ず蚀われおいる。
    以前もこのような男ずこのような䌚話をしたこずがあったので、党く信じおはいなかった。
    『本圓に』
    「ああ、本圓さ」
    「ここにかけおみろ。」
    ず電話番号を曞いおくれた。
    完党に疑ったたた、ただそれを受け取った。
     
    倜が明けお、公衆電話のある堎所に向かった。
    旅の疲れもあったが、むンディアンリザベヌションに䞀歩近づくこずができ、垌望が湧いおいた。
    男からもらった番号に電話をかけおみた。
    ケリヌずいう女性が電話に出た。
     
    『はい。䜕かご甚でしょうか』
    「今朝、あなたの兄からこの電話番号をいただいおお電話をしいおたす。」
    「ああ 。 分かりたした。圌、たたフラフラしおいるんですね。」
    『むンディアンになりたくお日本から旅をしおここたでやっおきたした。』
    『あなたのご䞻人に䌚っおお話を䌺いたいのですがお䌚いするこずはできたすでしょうか。』
    「生憎、䞻人は亀通事故で嚘を亡くしたばかりで萜ち蟌んでいお、今人に䌚う気分ではないの。」
    「せっかく遠いずころから来たのにごめんなさいね。」
    『そうですか 』
    「ずころで、あなた今どこにいるの」
    『フラッグです。』
    「フラッグ。あヌ、そこにいるならリックずいう腕利きのアヌティストがいるわ。」
    「圌の連絡先を教えおあげるからコンタクトをずっおみなさいよ。」
    『ご芪切にありがずうございたす。』
    『嚘さんを亡くされお残念です。』
     
    ディネ族珟ナバホ族のリックずいうアヌティストの連絡先をもらった。
    早速電話をしおみた。
    どこか聞きなじみのある声の男が電話に出た。
    「ハロヌ。」
    『こんにちは。ゞェシヌの奥さんのケリヌずいう方からあなたの連絡先をいただきたした。』
    『あなたがむンディアンゞュ゚リヌのトップアヌティストだず䌺いたした。是非お䌚いしたいのですが。』
    「いいよ。」
    『ありがずうございたす。堎所はどちらですか』
    「むヌストアロヌヘッドだ。」
    『ダりンタりンにいるのですが、どのくらいかかりたすか。車はありたせん。䜏所を教えおもらえたすか。』
    「むヌストアロヌヘッド&1/2だ。」
    『ありがずうございたす。堎所を調べお明日䌺いたす。』
    「車で迎えに行っおやるよ。」
    『倧䞈倫です。』
    「わかり難い堎所だし、乗せおいくくらいわけないぞ。」
    『倧䞈倫です。ありがずうございたす。』
    遠慮もあったが、どうしおも自分の脚で最埌たで蟿り着きたかった。
     
    安宿には有料で䜿甚できるPCが台あったので、堎所を調べた。
    本数は少ないが路線バスも走っおいる。
     
    翌朝、寝床にしおいたバスタヌミナルを埌にし、教えおもらった䜏所の堎所に向かった。
    倧きなバックパックを抱え、小さなバスに乗り目的の堎所で䞋車した。
    手曞きの地図を片手に䜏所の堎所を探した。
    むヌストアロヌヘッド&1/2 
    &1/2っお䜕だ
    ずおもわかり難い堎所であった。
    電話で案内しおもらったそれらしき通路を芋぀けた。
    通路の先の高台の䞭腹に叀い小屋が芋えた。
    砂利道を䞊るず、右の斜面の金網の向こうで匷そうな倧きな黒い犬が私に向かっお吠える。
    正面に芋える高台の小屋の䞭に長い髪を埌ろで結んだ䞀人の䜓栌の良い男が腕を組んでこっちを芋お座っおいた。
     
    『こんにちは。昚日お電話したした。初めたしお。』
    「リックだ。」
     
    その男に笑顔はなかった。
    力匷い握手が印象的であった。
    圌が座っおいたデスクの䞊を芋るず、デザむンを圢に起こしおいる最䞭であった。
    『今は䜕をしおいるのですか。』
    「トゥヌファを圫刻しおいるずころさ。」
    トゥヌファキャスト
    ディネ族䌝統の技法で叀くから䌝わっおいる。
    味わい深いのだが、量産ができないためこの技法を䜿うアヌティストは幎々枛っおきおいた。
    だが、私が孊びたかった技法だったのでかなりテンションが䞊がっおいた。
    「お前、ここに䜕しに来たんだ」
    『むンディアンゞュ゚リヌずむンディアンの文化を孊びたくお日本からやっお来たした。』
    『私にむンディアンゞュ゚リヌを教えおいただけたせんでしょうか。』
    リックは胞の高い䜍眮で腕を組んだ。
    「うん 。」
    「お前は俺に䜕ができる」
    『無償で働きたす。倚少ゞュ゚リヌは䜜れたす。』
    「よし、いいだろう。」
    「今はどこに滞圚しおるんだ」
    『バスタヌミナルの䞭です。』
    「そうか。」
    「良かったらこの小屋に寝るくらいのスペヌスがあるから䜿っおいいぞ。」
    『本圓ですか ありがずうございたす』
    初察面にも関わらず寝床を䞎えおくれた。
    だが、そこから家族になるたでの道のりが長く険しいずは、その時点では予想だにしなかった 。
     
    バスタヌミナルに戻り、荷物をたずめる。
    たずめおいるず、旅の日蚘のように様々なものを曞き蚘したノヌトが出おきた。
    リンゎの朚を芋぀けたあの街では倧きなむンディアンアヌトのマヌケットが開かれおいた。
    䞀床行っおみたいず思っおいたマヌケットだ。
    そのマヌケットでむンディアンゞュ゚リヌの垂堎調査をし、腕の良い䜜家のリストを自分なりに䜜成しおいたこずを思い出した。
    資料を確認するず、自分で䜜った調査リストに圌の名前がリストにあった。
    圌には技術の高いアヌティストずいう印が぀けられおいた。
    もしかしお 、ず倧きな期埅が膚らんだ。
    良く調べるず、圌はトゥヌファキャスト技法の䜿い手で、その道の第䞀人者であった。
    トゥヌファキャストは私が最も孊びたかった技法だった。
    こんな奇跡があるのか
    この奇跡的な出䌚いに、神様はいるず信じた。
     
    翌朝、早速荷物をたずめた。
    頭の䞊たではみ出たバックパックを背負い、リックの工房に向かった。
    時間に、本しか走らないバスを埅ち、目的の堎所で䞋車した。
    倢に䞀歩前進したこずで、かなりテンションが䞊がっおいた。
    思わず、叫ぶように胞の前で䞡手の握りこぶしを䜜った。
    『やったヌ』
     
    スタゞオに到着し、車庫の小郚屋のロフトに荷物を䞋ろした。
    早速ゞュ゚リヌに觊れるず思ったずころだったが、そうは行かなかった。
    「テュバシティの歯医者のずころに行くんだけど、行くか」
    『行く』
    埌で思ったこずだが、私を䞀人にしおおくず䜕か盗たれるずでも思ったのだろう。
    でも、初めおリザベヌション内に足を螏み入れるこずができるず思っただけで嬉しかった。
    車に乗り蟌み、期埅を膚らたせおリザベヌションに向かった。
    盞方は色の濃いサングラスをかけ、終始無蚀であった。
    私のこずを少し譊戒しおいるようだった。
    しばらく走るず目に前には壮倧な景色が広がっおいた。
    東京のど真ん䞭で生たれ育った私には倢のような䞖界だった。
    リザベヌションが近づいおくるず、黙っおいたリックが口を開いた
    「フラむブレッヌド」
    ナバホ族が奜んで食べる揚げパンが食べられるずころがあるらしい。
    ずある駐車堎に入っお行った。
    車が数台䞊んでいた。
    車の前にはテントずテヌブルが蚭眮されおいた。
    テントの前にはメニュヌらしきものが曞かれおいた。
    「マトンステュヌずフラむブレッド、お前は」
    『じゃあ、同じものを。』ず残り少ない残金から$5を支払った。
    玙の皿に倧きなフラむブレッドず倧きな肉片が入ったステュヌが出おきた。
    「うん」
    これが食べたかったんだずいうようなリアクションだった。
    ステュヌには塩気がなかった。
    アメリカの料理はあたり味付けをしない。
    テヌブルに塩ず胡怒が乗っおいお、食べる人が自分の奜みで味付けをするのがアメリカ匏だず認識しおいたから問題はなかった。
    うヌん あたり矎味しいずは感じなかった。
    印象に残ったのはマトンの臭みだけだ。
    それでも食事ができるのはありがたかった。
     
    たたしばらく走るず、リザベヌション内にあるテュバシティに到着した。 
    普通の街だが、自分がリザベヌション内にいるずいうだけでテンションが䞊がっおいた。
    以前、マヌケットで出䌚ったホピ族のアヌティストが蚀っおいたこずを思い出した。
    『テュバシティに行っおみたいんだ。』
    「テュバシティなぁヌんにもねえよ」
    確かに䜕もないように芋えたがトレヌディングポストや、むンディアン“らしい”建物がちらほらあり、気分は高揚しおいた。
     
    歯科医院に向かった。
    どうやら混んでいるようだ。
    しばらくしおリックが戻っおきた。
    「混んでたな。」
    「オレらはリザベヌション内では医療費がタダなんだ。」
    そうなんだ
    アメリカ政府の揎助もあるのだろうず察した。
    以前、ホピの知人が蚀っおいたのを思い出した。
    「癜人はオレたちのために、っお土地をくれたけど、芋おみろよ。なぁヌんにもねえんだぜ。」
    「土地を甚意しおあげたっお蚀っおるけどよ、ここから出るなっお蚀っおるようなもんだぜ。」
    たた他の知人も䞍満を挏らしおいた。
    「癜人はオレたちを䜕にも無いずころに远いやったけど、䜕にも無いのがいいんだ。」
    「でもな、」
    「远いやっお囲った堎所からりランが出たんだ。」
    「でも、癜人はオレたちの土地から出たりランを掘るために、オレたちを安い劎働力で働かせお掘らせやがった。」 
    「呜がけの危険な䜜業にもかかわらずな。」 
    「本来ならばオレたちからりランを買うべきだろが。」
    「おかしいだろ。」
     
    ナバホの土地に倧きな斜蚭ずパむプが通っおいるのに気付いた。
    「これはな、我々の土地から倚量の氎を汲み䞊げおるんだ。」 
    「ラスベガスを通っおカリフォルニアたで続いおる。」 
    「倚量の氎だけでなく、この氎を䜿っお郜垂郚の電力を䟛絊したりしおるんだ。」 
    「おかしくねヌか」
    そう他のむンディアンの知人は蚀っおいた。
     
    テュバシティからの垰り。
    リックは垰りも終始無蚀であった。
    蟺りは真っ暗になり、星空がキレむであった。
     
    無事工房に到着し、眠りに぀く準備をしおいた。
    そこぞ酔っぱらったリックが入っおきた。
    「お前はここぞ䜕しに来た。」
    『むンディアンゞュ゚リヌを孊びに来たのず、むンディアンの文化に觊れたかったから来たんだ。』
    「本圓は䜕しに来た」
    『だから、今蚀ったこずだよ。』
    「䜕を持ち垰る぀もりだ。」
    『ここで、この地で孊んだこず、䜓隓したこず、そしおあなたから孊んだこずだ。』
    「本圓のこずを蚀え。」
    『 。』
    酔っぱらっおいたのもあっおか、数時間、延々ずこのやり取りが続いた。
    ものすごく面倒だったが、この堎にいるからには避けおは通れなかった。
    同じ質問を繰り返されたので、私も同じこずを熱心に答えた。
    それが真実だから。
    疲れたのか、䌝わったのか、
    「分かった。 お前を信じる。」ず蚀っお母屋に戻っお行った。
     
     
     
    寝床を䞎えられおいたのはスタゞオの脇にある小郚屋のロフトであった。
    スタゞオは100幎以䞊前に建おられた叀いガレヌゞをスタゞオずしお䜿っおいた。
    扉を開けるず眺めが良く、朝はスタゞオの前に眮いおあるベンチに座っお景色を眺めるのが奜きだった。
     
    今日から最高峰の技術が孊べるず思うずワクワクが止たらなかった。
    䜿甚しおいる工具、機械、そこのあるものすべおが新鮮に映った。
    無造䜜にたくさんのリボンが眮いおあった。
    よく芋るず䜕かの賞を取った印で莈られたリボンだった。
    だが、倧切そうにはされおいなかった。
    『これらは䜕』
    「賞をもらった時にもらったリボンだ。」
    『すごい数だね。』
    「そんなのもらったっお金にもならねえ」
    たくさんのリボンはこの業界で高い評䟡をされおいるずいうこずが分かる蚌でもあった。
    技術力は高い。
    だが人間力は砎倩荒。
    埌にそれが分かるこずずなる。
     
    毎週末飲んだくれおはし぀こく絡たれた。
    「おたえ、本圓は䜕をしに来た。」
    『この前も蚀った通り、むンディアンになりたくお来た。』
    『むンディアンゞュ゚リヌを孊びたくお来た。』
    『それだけだ。』
    このやり取りが氞遠に続いた。
    これも修行だ。
    耐えた。
    ただ信甚はされおいないのを肌で感じおいた。
     
    PCで友人にメヌルを送りたかったが、Wifiに぀なぐ手段がない。
    PCからりェブのメヌルアドレス経由でメヌルを送る必芁があった。
    『PCを貞しおくれないか』
    「䜕をするんだ」
    『友人にメヌルを送りたいんだけどPCを貞しおくれないか。』
    「いいよ。」
    しぶしぶPCを貞しおくれた。
    りェブメヌルに぀ないだが、このキヌボヌドの蚭定が英語の蚭定になっおいたため日本語が打おなかった。
    ロヌマ字打ちでメヌルを打っおいた。
    「䜕をやっおいるんだ」
    ず私の行動が気になり背䞭から疑いの目をそらさなかった。
    『このキヌボヌドでは日本語のキャラクタヌが打おないから英語のキャラクタヌで日本語を打っおいるんだ。』
    こい぀は䜕か情報を挏らしおどこかに報告しおいるのだろうずいう疑念を感じおいた。
     
    過去の経隓からか、遠いアゞアから来た男を信甚するのは難しかったのであろう。
    酒を飲んでは「お前は本圓は䜕をしに来たか」ずいう問いを氞遠に続けた。
    逆の立堎だったら仕方のないこずであろう。
    この男私に䜕かを盗たれるかもしれないずいう疑念は続いた。
    私䞀人スタゞオに眮くず䜕をするかわからないからか、どこに行くにも連れ出される。
    自分から離れたずころに私を眮くず䜕か盗たれるず思っおいたのであろう。
    突然、遠いずころからどこの誰だかわからない人間がやっお来たのだから無理はない。
    䜏むずころも無く、無䞀文になった経隓があるず聞いおいた。
    やっずの思いで築き䞊げたものを倱いたくはなかったのであろう。
    疑われるのは気持ちよくはなかったが、仕方のないこずだず理解しおいた。
    その疑いが向けられる出来事が起こるたでは長くはなかった。
     
    ある日、レむずいうリックの友人が蚪ねおきた。
    この地のカレッゞでゞュ゚リヌを教えおいるずいう。
    職堎を去るこずが決たり、䜿甚しおいた工具などを持っおきおくれたずいう。
    その䞭にはタヌコむズの付いたむンディアンゞュ゚リヌも混ざっおいた。
    リックは叀いブレスレットを手にした。
    そのブレスレットには日本では高䟡で入手困難なタヌコむズが3぀぀いおいた。
    「その石はRだ」
    レむはその石が垌少䟡倀の高いタヌコむズであるこずを我々に䌝えた。
    「しょがいブレスレットからこのタヌコむズを倖しおオレの䜜品に乗せる。」
    リックはそのブレスレットレむからを買い取った。
    早速、そのブレスレットからタヌコむズを倖し、リングのデザむンを始めた。
    どんな䜜品が出来䞊がるか楜しみであった。
     
    翌日、怪蚝そうな顔をしたリックが尋ねおきた。
    「昚日ここにあったあのタヌコむズ、知らねえか」
    『知らないよ。』
    「ねえんだよ。」
    『觊っおいないから知らないよ。』
    明らかに疑われおいるのを感じた。
    
    私は勘づいた。
    『昚日はいおいた短パンのポケットの䞭を探しおみたらどうだ』
    圌は母屋に戻っおいった。
    しばらくするずスタゞオにもどっお来た。
    「あった。」
    『どこにあった』
    「ポケットの䞭。」
    『ほら蚀ったじゃないか』
    「完党にお前が盗ったず思っおいた。」
    『がくはあなたに感謝をしおいる。恩のある人のものを盗むこずはしない。』
    『そんなに信甚できないのなら、がくはここから出おいく。』
    「それをする必芁はない。」
    『がくは、これたでも、これからも、他人のものは盗んだこずが無い。』
    「お前を信じおいる。」
    『がくを疑ったじゃないか。』
    「オレはお前を信じた。だからお前をここに眮いおやろうず決めたんだ。」
    『解った。』
    匷気に出たものの他に行くずころもなく、ただただ孊びたいこずがたくさんあったから、受け入れるしかなかった。
     
    圌の友人にはナニヌクな人たちが倚い。
    むンディアンドラムのプレむダヌや歌い手など、普通の人があたり出䌚うこずがないであろう人たちず出䌚うこずができた。
    時にはブルヌスギタヌ挔奏。
    時には䌝統的な歌ずドラムの挔奏。
    「こい぀はナバホで䞀番のドラム奏者、こい぀はナバホで䞀番の歌い手だ。」
    䌝統的なメロディヌの流れず迫力に圧倒された。
     
    聞いたのは心地良い音楜だけではなかった。
    リックは毎週末飲んだくれおはグダグダず話し出す。
    バヌに行っおは飲んだくれ、友だちを䜜っおはスタゞオに招いおダンスダンスダンス。
    スタゞオの脇にある小郚屋にはドアはあるが意味がない。
    真倜䞭に最倧ボリュヌムで音楜をかけ螊りたくる。
    私が寝おいた小郚屋のロフト。
    薄い壁を挟んでスピヌカヌのちょうど真裏に私の頭がある。
    䜕か爆発でもあったのかず飛び起きる。
    勘匁しおほしい。
    仕方ない。
    これも修行か。
     
     
     
    酒にた぀わるトラブルは続く。
    幎に2日間、党米最倧のむンディアンアヌトのマヌケットが開催される。
    開催前日ず開催日目の倜は倚くの人が飲みに繰り出す。
    酒飲みのリックが街に飲みに出お行かないはずがない。
    人の倚い街䞭のバヌに入る。
    リックは酒が進むず悪い癖が出る。
    リックはプレヌリヌの郚族らしい顔立ちの䜓栌の良い男に絡み始めた。
    面倒なこずにならなければ良いが、そうはいかなかった。
    次の瞬間人は぀かみ合い、人ずもそのたたフロアに倒れた。
    止めに入ったが、䜓栌の良い男たちを匕き分けるのは私䞀人ではどうにもできなかった。
    隒ぎに気付いた客の人が人の間に䜓を分け入れ止めに入っおくれた。
    マヌケットに出店する䜜家のナバヌサだった。
    「譊察を呌べ」
    その蚀葉を聞いたリックは
    「いくぞ」
    逃げるように店を出た。
    「ホテルに戻るぞ。」
    車に乗り蟌み急発進させた。
    宿泊しおいたホテルは近かったが、リックは酒が入っおいるせいか、
    「こっちだ。」
    「いや、あっちだ。」
    「ここを曲がれ。」
    ホテルの呚りをぐるぐるず回らされ、なかなかホテルにはたどり着けなかった。
    耐えられなくなった私は぀いにリックの指瀺を無芖しホテルたで車を走らせた。
     
    翌日のマヌケット初日の朝。
    「オレ、奎を殎ろうずしたか」
    『いや、぀かみ合っおフロアに倒れこんだだけだ。』
    『こっちだ、いや、あっちだ、っお、ホテルがある堎所ずは党然違う方向に行かされたから、なかなかホテルに着かなかったんだぜ。勘匁しおくれよ。』
    私は止めに入っおくれたナバヌサ、そしお぀かみ合った盞手の顔を芚えおいた。
    リックに昚倜の状況を䌝えるず、圌は人の元ぞ向かった。
    「昚日はすたなかった。」
    人は握手を亀わし、䜕もなかったように和解した。
    たったく、勘匁しおくれよ。
     
     
     
    むンディアンゞュ゚リヌの䌝統技法であるトゥヌファキャスト技法でゞュ゚リヌを制䜜するためにはトゥヌファずいう石が必芁だ。
    工房の離れにある倉庫には倚量のトゥヌファがあった。
    盞方は欲匵りなせいか、ただ満足しおいなかった。
    「よし、トゥヌファを掘りに行くぞ。」
    初めおの䜓隓だったのでわくわくしおいた。
     
    飲んだくれおいたリックの友人であるショニヌを連れおトゥヌファ鉱山ぞず向かった。
    ひたすらたっすぐの䞀本道を進む。
    蟺りは岩しかない。
    延々ず進む䞭、ずあるポむントで速床を緩め巊ぞずハンドルを切った。
    道なき道をゆっくりず進んだ。
    昔ながらのむンディアンの家がポツンずあった。
    おばあさんが家の前で怅子に座り線み物をしおいた。
    よく本で芋た光景そのたただった。
     
    しばらく進むず350床䞀面地平線の倧絶景の岩の䞊にいた。
    倕日が呚りの岩を照らし、神秘的な光景であった。
    呚りをよく芋枡すず、350床䞀面地局の䞊局郚に癜いラむンが芋える。
    䜕十幎䜕癟幎も前に癜い䜕かが堆積したかのようだった。
    目の前には癜いくがみがあった。
    よくみるず巚倧なトゥヌファの倧地に立っおいた。
    今立っおいるこの倧地の䞊局郚がトゥヌファだった。
    リックはシャベルず぀るはしをトラックから䞋ろし、力匷く地面を厩し始めた。
    友人のショニヌはビデオを回しおいた。
    しばらく掘っおいるず、
    「お前の番だ。」
    ぀るはしを枡された。
    ぀るはしを倧地に突き刺した。
    やわらかいず思っおいたが、倧地には雚がしみ蟌んで湿気を含み、固くなっおいた。
    どんな困難にも耐え、ここたで決しお諊めなかったこずを思い出し、倧和魂をみせおやろうず䞊半身裞になっお気合を入れた。
    するず盞方は、
    「お前、戊争捕虜みたいだな」
    ずショニヌず人で倧笑いされた。
    ビデオを芳るず、痩せおいお筋肉質の䜓で汗たみれになっおロヌドワヌクをしおいる姿は、たるで戊争捕虜のようだった。
    これは埌に氞遠ず笑いのネタにされるこずは知る由もなかった。
     
    トゥヌファだけではない。
    16トンもの砂利を運んで撒いたこずだっおある。
    「庭に砂利を蒔きたい。」
    その䞀蚀で玄7tもの砂利を3回も埀埩しお買いった。
    「おれ、腰が痛いからお前できるか」
    『はぁ』
    『これ党郚』
    できないず思われるのが悔しくお、すくっおは蒔きすくっおは蒔きを繰り返し、7tすべおを庭に蒔いた。
    いや、蒔いおやった。
    『終わったか。』
    それだけか 。
    䜕の感謝もされなかったが、自ら匕き受けお成し遂げた倧圹に自己満足床は䞊がった。
     
     

    春になるず、鹿や゚ルク狩りの季節になる。
    鹿や゚ルクは貯蔵し冬の食糧にする。
    皮や角、骚は衣や小物入れなどに䜿甚する。
    䜙った身䜓の郚䜍は山に垰す。
     
    矢をトラックに積み、迷圩服に着替え、愛犬のバッキスを連れ山ぞ向かった。
    高い朚の生い茂る山に入るず、匵り詰めたような䞍思議な気配を感じる。
    䜕かの存圚を感じた。
    目の良いリックがスピヌドを萜ずし、助手垭の方向の遠くを指さした。
    「あそこに女鹿がいるぞ。」
    『え どこ』
    「あそこだ。」
    良く目を凝らすず、100メヌトルくらい遠くの方に茶色い点が芋えた。
    『あヌ あれか』
    あんなに遠くにいる鹿が芋えるなんお倧したものだな、これがむンディアンの目なのかず感心した。
    たたしばらく走らせるず、リックは遠くの方を指さした。
    『雄の゚ルクだ。』
    『あれは狩の察象じゃないから仕留めない。』
    季節によっお狩りをしお良い察象が決たっおいるらしい。
    その時期は牡鹿のみが狩の察象ずなっおいた。
    ゚ルクや女鹿は数等芋぀けたが、牡鹿だけはなかなか芋぀けられなかった。
    たるで、今が牡鹿の狩の季節だず知っおいるかのようだ。
    トラックを降りお歩いお牡鹿を探す。
    「糞があるな。 でも、也いおいるからもうこの蟺にはいねえな。」
    しばらく歩くず、リックが私の足を制止し遠くを指さした。
    指先の方向をよく芋るず、茶色い点が芋えた。
    牡鹿だ。
    数十メヌトル先でじっず止たったたたこっちを芋おいる。
    リックはゆっくりず近づいお行った。
    私も埌を远った。
    するず突然、牡鹿がゆっくりず走り、遠くぞず去っお行った。
    リックが振り返り、
    「バカ野郎 お前の足音のせいで逃げたじゃないか」
    『そっず歩いおいたから足音なんおたおおないよ。』
    「奎らは音に敏感なんだ。 小枝が折れる音だっお聞こえるんだ。 気を付けろ」
    どんなこずをしおいおも、䞊手くいかないずきはケチを぀けられる。
    その日は獲物を捕らえるこずはできなかった。
     
    簡易テントを立お、牡鹿が通るのを芋匵るように倜を明かした。
    早朝、散歩がおらに蟺りを散策する。
    昚日ずは違うルヌトで山を巡る。
    するず、目の前に倧きな雄の゚ルクが珟れた。
    撃たれないずわかっおいたのか、かなり接近しおいたのに逃げる様子が無い。
    朝食を取っおいたのだろうか、雌の鹿もその近くで芋かけた。
    「早朝のこの蟺りはいそうだな。」
    早速、テントに戻っお矢を甚意した。
    呚囲を芋お回る。
    「いたぞ 動くな。」
    早朝はお腹を空かせた鹿たちが珟れる時間垯らしい。
    矢の届く距離に牡鹿がこっちを譊戒しお止たっおいる。
    リックが距離を詰めお矢を攟぀。
    矢は倖れた。
    牡鹿が走り始めた。
    「撃お」
    匓を匕き矢を攟ずうずしたが、匓を匕くには盞圓の力がいり、思ったように匕くこずができない。
    力を入れた腕に震え、矢は牡鹿に届かず十数メヌトル先で倱速しお萜ちた。
    それに気付いた牡鹿は走っお逃げお去っお行った。
    「この蟺りにはただいるぞ。」
    譊戒されないように歩いお芋回る。
    「芋ろ あそこだ。」
    数十メヌトル先に、倧きくはないが立掟な角をもった牡鹿が譊戒しおこっちを芋おいる。
    「動くな」
    今床逃がすず䜕を蚀われるかわからないので、その堎でじっず動かず息を殺した。
    埐々に距離を詰めおは止たるを繰り返し、牡鹿が油断するのを埅った。
    牡鹿が頭を䞋げた瞬間を狙っお矢を攟った。
    脇の郚分に呜䞭し、走っお逃げた。
    「バッキスを攟お」
    走っおトラックに戻り、バッキスを連れお牡鹿の元ぞ攟った。
    『Get him Buckiss!』
    バッキスは走っお牡鹿に远い぀き、牡鹿の銖元に嚙み぀いた。
    牡鹿は倒れ、浅く早い呌吞を繰り返しおいた。
    リックは玠早く牡鹿の手足を瞛り、血抜きをし、トラックの荷台ぞ牡鹿を積んだ。
    「今倜はステヌキだな。」
    リックは仕留めた牡鹿を目の前に満足そうに埮笑んだ。
     
    テントに戻り、焚火を焚いた。
    リックが手慣れた様子で牡鹿を捌き、焚火の䞊で焌き始めた。
    「食え。」
    初めお仕留めた鹿の肉を目の前に感動を芚えた。
    味は、癖が無く高タンパク質䜎脂肪の新鮮さの䌝わる食感であった。
    食べ進めるず、これたでの旅の経緯が走銬灯のように浮かび、なぜか涙があふれおしたった。
    そういえば、ここに来るたではトりモロコシの粉を緎っお飲み蟌んで空腹をしのいでいたから、
    たずもな食料ずしおお腹に溜たるものを口にしおいなかったのもあっおか、泣きながら食べた。
    「倧䞈倫か」
    リックは私に䜕かあったのかず心配そうに私の顔を芗いた。
    『今たでろくに食べおいなかったから、ただ嬉だけだよ。』
    「そうか。 幞せの涙か。」
    牡鹿は自分の呜を犠牲にしお我々の呜になっおくれた。
    呜をいただいた感謝の涙だ。
     
    捌いた皮はなめし業者に枡し、同じ重さの鞣された革ず亀換した。
    肉は冬に備えおシチュヌを䜜り冷凍し、革はゞャケットずメディスンバッグに仕立おた。
    䜿いきれずに䜙った郚䜍は感謝を蟌めお山に垰した。
     
    数日埌、狩の話を聞いたリックの友人、デむノずアヌプがスタゞオにやっお来た。
    デむノはリックの血瞁でナバホ族ずホピ族の血を受け継ぐカチヌナの䜜家。
    アヌプはホピ族でグランドキャニオンで䜜業員をしおいる。
    鹿狩りを楜しみにしおいたようだ。
    皆迷圩服に着替え、アヌプのトラックに乗り蟌み、山ぞず向かった。
    トラックの荷台にはなぜかビヌルのケヌスが山積みになっおいた。
    䜕か嫌な予感がした。
    その予感は圓たるこずずなる。
     
    山には昌過ぎに到着し、牡鹿を探しお森を巡ったが、そう簡単には芋぀からない。
    倕方近くになるず曎に芋぀け難くなる。
    なかなか芋぀からない鹿狩りに飜きおしたった3人はく぀ろぎ始め、ビヌルを開けだした。
    そうなるず、もう止たらないのはわかっおいた。
    3人は飲み続けお酔っ払い、悪い遊びをし始めた。
    リックずデむノはアヌプを朚に瞛り぀け、離れた䜍眮からナむフを投げ始めた。
    「殺す気かヌ」
    2人はアヌプが焊っおもがく姿を芋お倧笑いしおナむフを投げた。
     
    酒に酔った3人を扱うのは面倒くさい。
    鹿狩を諊め、山を離れようずトラックに乗り蟌み、ハンドルを握ったアヌプが叫びながらアクセルをふかし始めた。
    「くそヌヌ」
    本気なのか酔っぱらっおいるのかわからないが、猛スピヌドで山道を走り始めた。
    たくさんの朚が生い茂り、アップダりンも激しく、ぬかるんだ山道を猛スピヌドで走るのは自殺行為だ。
    運転垭の隣のシヌトに座っおいた私は危険を感じ、迷わずブレヌキを螏み、アヌプを運転垭から降ろした。
    『代われ』
    アヌプからハンドルを奪い、無事スタゞオたで戻った。
     
    3人はその埌も飲み続け、その宎は翌日たで続いた。
    翌日の倕方、3人は、
    「いやヌ、楜しかったな」
    楜しくなんかねヌよ
     
     

    「お前、むンディアンになりたいんだろ」
    『うん。』
    「むンディアンになるには儀匏を受けなければならないんだ。」
    『うん。 聞いたこずあるよ。』
    『是非その儀匏を受けたいんだ。』
    「受けさせおやるよ。」
    『本圓に』
    雑誌などで儀匏の話を読んでいたので、むンディアンの地に来たら䜓隓しおみたいこずの䞀぀であったので、儀匏が受けられるず聞いお倧喜びした。

    儀匏の圓日。
    フラッグの森に行くずいうので準備を終えるず、そこにやっお来たのはあの、デむノずアヌプだった。
    嫌な予感しかしなった。
    「さあ、行くか。」
    楜しみ半分で車に乗り、フラッグの森に向かった。
    山に入り、やや朚が少なく開けた堎所に着いた。
    「ここにするか。」
    ここで儀匏が行われるのかず思うずワクワクしおきた。
    「よし、シャツ脱げ。」
    蚀われた通り、来おいたシャツを脱いだ。
    「我慢しろよ。」
    『䜕をするんだ』
    「むヌグルの爪だ。」
    「これをお前の胞に刺すんだ。」
    これか。
    なんずなく話には聞いおいたので、倧きな驚きはなかったが、実物を目の前にするずさすがに少し匕いた。
    「お前は軜いから片方だけでいいな。」
    「いいか 突き刺すぞ。 がたんしろよ。」
    『わかった。』
    平手で私の胞を力匷くたたき、持っおきた酒を胞にかけ、獣の健を裂いたような繊維の玐状のものに巻き付けけられたむヌグルの爪を䞀気に右胞に突き刺した。
    味わったこずのないものすごい痛みが胞に走った。
    日本人は匱いず思われるのが嫌で、ずにかく痛みに耐えた。
    血は芋たくなかったが、胞の蟺りが熱くなっおいたのを感じた。
    「よし、ここに立っお俺に寄りかかれ。」
    朚の目の前に立たされ寄りかかるず、激しい痛みが走った。
    ずにかく痛い。
    ずにかく耐えた。
    儀匏の内容が刀らないのが䞍安だった。
    むメヌゞではドラムを叩き、歌を歌い、朚の呚りを回る感じの儀匏かず思ったが、そうではなかった。
    ただ痛いだけ。
    『これ、い぀たで耐えるの。』
    「胞の肉がちぎれるたでだ。」
    『たじか 』
    でも、これが儀匏だから耐えるしかない。
    これに耐えたらむンディアンの䞀員ずしお認められるんだ。
    そう自分に蚀い聞かせ、苊行に耐えた。

    そしお、悪い予感が圓たった。
    「プシュッ」
    飜きおしたった3人はビヌルを飲み始めた。
    音で刀った。
    どうやら、私が『痛いから止めおくれ』ず蚀うのを埅っおいたらしいが、なかなかギブアップしないので飜きおしたったらしい。
    3人はビヌルを飲み続け、陜が傟き始め、眠くなっおきたのか、
    「どうだ 耐えられるか」
    『倧䞈倫。』
    「よし、もういいだろう。」
    『え ただちぎれおないよ。』
    「ここでの儀匏は終わりだ。」
    朚に瞛っおあった玐が解かれた。
    「いくぞ。 乗れ。」
    どこに連れおいかれるのか䞍安に思うのず同時に、胞の痛みでどうでもよくなっおいた。

    感芚ではそう長くもないうちに街らしき景色が芋え、広い土地にある小屋に到着した。
    牧堎らしきその堎所には数頭の銬がいた。
    そこはリックの姉倫婊の家で、数頭の銬を飌育しおいた。
    「぀いお来い。」
    蚀われるがたたに぀いお行くず、策を越え銬の元ぞず足を螏み入れた。
    デむノずアヌプがむヌグルの爪が結ばれた玐を銬の鞍に結んだ。
    「ここに寝ろ。」
    蚀われるがたたに寝そべった。
    するず、リックが銬に鞭を振るった。
    「パチン」
    驚いた銬は急に走り出し、結ばれおいた玐が匕っ匵られ、激しい痛みずずもに䞀瞬䜓が浮いた。
    次の瞬間、むヌグルの爪が胞から倖れ、激しい痛みず熱が走った。
    「千切れたな。」
    3人の誰かはわからなかったが、痛みにもがいおいる私のずころにやっおきお、口に酒を含んで私の胞の傷口に吹きかけた。
    ものすごい痛みずものすごい熱が胞に走った。
    匷烈な痛みだ。
    だが、それよりも銬に玐で匕っ匵ら埗た時、背䞭に小石が圓たっお痛かったのず、誰だか刀らないおじさんの唟液を含んだ酒が傷口に入ったのが気になっお、儀匏どころではなかった。
    「よく耐えたな。 お前は途䞭でギブアップするず思っおたよ。 さすがに埌のこずは考えおなかったから銬に匕っ匵らせた。 無事に千切れお良かった。」
    『はぁ 考えおなかったっおなんだよ そういう儀匏じゃねぇのかよ』
    「俺たちにずっおは正匏な儀匏だ。 俺たちが認めおるんだから間違いねぇ。」
    「ギャングだっおダクザだっお独自の儀匏があるだろう それず同じだ。」
    「“俺”はお前をディネの人間ずしお認めおやる。」
    『 。』
    ドッキリが壮倧過ぎおわけがわからなかった。
    そこたで自信を持っおフェむク儀匏を正匏な儀匏ず蚀い匵るリックをもはや恚むこずができなかった。
    逆にコむツすごいなずすら思っおしたった。

    スタゞオに戻るず、
    「ファミリヌになった印に、これをお前にやるよ。」
    アヌプが持っおいたボりガヌドだった。
    昔ながらのスタンプワヌクで䜜られた立掟なボりガヌドだった。
    「アヌプが金が無いっお蚀うから、俺ずデむノで買っおやったんだ。」
    「お前にやるよ。」
    少し、嬉しかった。

    呜が無事だったからよしずするしかない。
    ものは考えようだ。
    正匏な儀匏でなくずも圌らのファミリヌの䞀員になれたこずは確かだ
    これも経隓、か。
     
     
     
    リックは、少しでも䜙裕があるず、毎日のように飲んだくれおいた。
    その日も酒ず女性を求めお小さな町に出かけおいた。
     
    圌はここ数日、スタゞオの呚蟺で違和感を抱いおいた。
    ここ䞀垯はいわゆるいわく付きの人たちが倚く䜏むずころであった。
    隣人は刑務所䞊がり、アルコヌル䞭毒者、麻薬の売人、麻薬垞習者など、匷者ばかりだ。
     
    倜䞭になるず足音が聞こえる。
    途䞭で止たり。
    たた聞こえる。
    どうやら隣の家に出入りしおいるようだ。
    麻薬の垞習者らしい。
    盞方ず私は譊戒を匷めた。
     
    工房は叀い車庫を利甚しおいる。
    板で区切られおいる小さな小郚屋がある。
    私が寝泊たりしおいるスペヌスだ。
    工房は高台にあり、い぀もは颚通し良く遠くの山が芋えるように倧きなドアはオヌプンにしおいる。
     
    数日埌、゚アコンプレッサヌが無くなっおいるのに気づく。
    リックは思った。
    「きっず隣のや぀に違いない。」
    刑務所䞊がりの隣人に目を付けた。
     
    数日埌、ゞュ゚リヌを䜜っおいたずき、リックの目が鋭く光った。
    遠くの䞀点を芋぀めたたた動かさない。
     
    その翌日。
    その日は䜜業開始から遠くに目線を定めたたた動かさない。
    県光鋭く、手には銃を持っおいる。
    あえお芋せおいるかのようにあごの䞋で薬莢のホルダヌをくるくるず回しおいる。
    ずおも物隒に感じた。
    するずリックは口を開いた。
    「オレは向こうの窓に目が2぀芋える。」
    『どこ』
    「あの窓だ」
    『どこよ』
    「向かいのアパヌトの3階の小さな小窓だ。バスルヌムか䜕かだろう。」
    『ん芋えないよ。どこよく芋えるな。』
    「この間からずっずこっちを芋おいる。おそらく麻薬垞習者だ。パラノむドっおいう症状だ。」
    『パラノむド』
    「オレも経隓があるから分かるんだ。垞に誰かに芋られおいるず錯芚する症状だ。」
    「怯えおこっちを芋おいる。」
    50mくらいは離れおいただろうか。小さな点すら芋えない。
    リックは老県が進んで遠芖になったのもあるかもしれないが、普段ハンティングで森にいる鹿を远っおいるだけあっおかかなりの粟床がある。
     
    するず、どこからずもなく若者が工房の前に珟れた。
    〈オレに銃を向けるのは止めおくれないか。〉
    「オレはお前がオレたちに危害を加えない限り攻撃をしない。」
    〈分かった。〉
    「平和に行こうぜ。」
    握手を亀わし若者は去っおいった。
     
    あの2぀の目は間違いなかった。
    物隒な空気から緊匵が解けた。
    盞方も少し安心したようだった。
     
    時間が経぀間もなく、刑務所䞊がりの隣人が車で工房を暪切った。
    リックは圌に向かっお叫んだ。
    「オレのコンプレッサヌを返せよな」
    その時点で誰に盗たれたのかは分かっおはおらず、圌が盗んだずいう確蚌はなかった。
     
    その倜、リックは極床のストレスを開攟しにい぀ものように町に飲みに出かけた。
    私は面倒な圌の䞖話を嫌い、䞀緒に行動はせずスタゞオに留たった。
    お酒を飲たない私にずっお酒癖の悪い圌ずの酒の付き合いは非垞に面倒だった。
     
    倜も曎けお蟺りが静たり返った頃、車庫の小さなドアが開く音がした。
    い぀も䜕かを譊戒しおいた敏感な私はそれにすぐに気付いた。
    リックは酔っぱらうずい぀も私のずころにやっおきおは玍埗がいくたで氞遠ず話を続ける。
    私はそれが倧倉苊痛であった。
     
    その日も、たたか、ず思いドアが開いた瞬間憂鬱になった。
    面倒に感じたので寝たふりをしおいたら。
    「ヘむ。」
    『 』
    「起きおるか」
    『なに 。』
    「聞いおくれ。」
    『』
    い぀もずテンションが違っおいた。
    い぀もなら無理やりおこされお長話ず説教に付き合わされるずころだが、い぀もより静かだ。
    『』
    リックがすすり泣く様子が䌝わっおきた。
    今床は泣くのか 。 
    飲むずいろいろな性栌になるんだなず、酒癖を疑った。
    「今日は酔っおない。」
    「頌みがある。」
    「助けおくれ。」
    い぀もずは違う様態に黙っお聞いた。
    「もう家族を守れない。」
    家族 別れおもういないはずだが 。 ボクのこずじゃないよな 
    完党に酔っぱらっおいるず思った。
    飲んではいるが、い぀もずは明らかに様子が違った。
    「蟛いんだ。」
    「家族を守らなければならないプレッシャヌがのしかかっお重いんだ。」
    深刻な状況ず察した私は起き䞊がっお話を聞いた。
    『分かった。どうすればいい』
    「今から神聖なる山に連れお行っおほしい。」
    「今日ゞェシヌに電話しお盞談したんだ。」
    「メディスンマンを玹介しおくれた。」 
    「メディスンマンに聞いたら、神聖なる山、サンフランシスコピヌクスに行き、倜明けずずもに東の空に祈りをささげろず。」 
    「そうすれば党おが解決するず。」
    『分かった。』
    ただ単に酔っぱらっおいるわけではなく、圌の本気床が䌝わったので心が動いた。
    その瞬間、䜕かが䜓の䞭に入っおきたように勇気が湧き䜕も恐れるものがなかった。
    『泣いおんじゃねえよ』
    『オレはお前よりもずっず䜓が小さいけど、オレの粟神はお前のよりもずっず倧きい。』
    『よし 連れお行っおやる。 ぀いお来い。』
    初めお盞方より䞊手に出た瞬間だった。
    「分かった。 甚意しおくる。」
    母屋に䜕かを取りに行った。
    しばらくしお戻っおくるず、䜕かを手に持っおいた。
    パホず呌ばれるむヌグルの矜根ず鳥の片翌だった。
    盞方は鳥の片翌を私に差し出した。
    「これはレッドテむルホヌクの翌だ。」
    「ずおもパワヌがある。」 
    「祈りの際にこれを䜿え。」
    盞方はパホを握りしめおいた。
    『よし、行くぞ。』
    盞方は珍しく黙っおいた。
    車を走らせ、神聖なる山に向かう。
    山の䞭は真っ暗だ。
    い぀獣が珟れおもおかしくはない。
    『どこたで行くの』
    「もっず山奥だ。」
    『ただか』
    「もっず奥だ。サむンが珟れるからそこで祈りを捧げよう。」
    『サむン』
    長い事走るず、がんやりず月明かりが地面を照らしおいた神秘的な開けた堎所に出た。
    月明かりが足元を照らしおくれる。
    道なりに進もうずしたずころ。
    「ここを右に曲がれ。」
    「サむンが来る。」
    「サむンが来たら止たれ。」
    「ここには邪悪な者たちがいる。」
    「これ以䞊行っおはいけないこずを教えおくれるサむンが来る。」
    あたりそういうこずは信じおいなかったが、蚀われるたたに道なき道を進んだ。
    「スピヌドを萜ずせ。」
    「ゆっくりだ。」
    月明かりに照らされた草が目の前に広がっおいるだけであった。
    ずおもサむンず思われるようなものは芋圓たらなかった。
    「もっずスピヌドを萜ずせ。」
    しばらく進んだその瞬間、
    ドン
    『ん』
    䜕かにぶ぀かった衝撃を感じブレヌキを螏んだ。
    「よし、これがサむンだ。 ここで降りよう。」
    䜕に圓たったのか、なぜ止たったのか分からなかったが、ずりあえず確認するために倖に出た。
    するず、車の目の前に車䜓の1/3くらいの高さはあろうかずいうぐらいの倧きな岩が立ちはだかっおいた。 
    月明かりではあるが、私は芖力も良くあれだけ芋通しが良かったのに、こんな倧きな岩が芋えなかったこずに驚いた。 
    確かに目の前にはこんな倧きな岩は無かったし、あれば気づいおいたはずだ。
    「よしこの蟺りだ。」
    すぐ暪には朚があった。
    暗い倜空に月明かりで雲が暗く映り、奇劙に流れおいた。
    ホラヌ映画のオヌプニングのような奇劙な光景であった。
    「もうすぐ倜明けだ。ここで祈りを捧げよう。」
    盞方はメディスンバッグからハヌブのようなものを取り出した。
    「自然のタバコだ。タバコずずもに祈りを捧げるんだ。」
    ハヌブのタバコを玙で巻き、火を぀けた。
    颚が吹いおきた。
    なかなか火が぀かなかったが、颚に乗っおようやく火が぀いた。
    タバコの煙を倩に向かっお吹き、レッドテむルホヌクの翌で扇いだ。
    盞方はディネの蚀葉で䜕かを唱えおいた。
    私は倢や垌望はたくさんあったが、挠然ずした思いを祈った。
    祈ったその時、人生で初めおの流れ星を芋た。
    これが流れ星か ず感動した。
     
    少し時間が過ぎた。
    リックが唱えを終えた。
    「タバコをこの朚に結ぶんだ。」
    「よし、これ以䞊ここにいるのは危険だ、行こう。」
    蚳が分からなかったが、蚀われるがたた小走りで車に戻った。
    「邪悪な者は知っおいる。」
    「圌らは、我々は圌らがいるこずを知っおいる、こずを知っおいる」
    「早くここを出よう。」
    車を走らせ、家に向かった。
    氷が溶けるように、山を䞋るほど䜓が枩かくなった。
    「オレは芋守っおくれおいる祖父さんに祈りを捧げた。」 
    「祖父さんからのサむンを感じた。お前は䜕か感じたか」
    『流れ星を芋たよ。』
    『生たれお初めお芋た。』
    「良いサむンだ。」
    「オレは䞀瞬空気がピタッず止たったのを感じた。」
    「サむンだ。」
    二人ずも䞍思議な䜙韻に浞ったたた車を走らせた。
     
    無事家に蟿り着いた。
    工房に入り、ドアを閉めた。
    「本圓にありがずう。」
    リックから聞いた初めおの心のこもったありがずうだった。
    するず、おもむろにレッドテむルホヌクの片翌から矜根を抜いた。
    「お前にこの矜根をやろう。」
    「芋ろ。」 
    「倧きな矜根ず小さな矜根が䞀぀に぀ながっおいるだろう」 
    「倧きい矜根はオレ、ビッグフェザヌだ。」 
    「小さな矜根はお前、リトルフェザヌだ」。 
    「今日から俺たちは真の兄匟だ。」
    その矜根の束は、倧きな矜根ず小さな矜根が偶然にも䞀぀に぀ながっおいた。
     
    男同士の厚く固い握手ずハグを亀わした。
     
     
     
    リックの友人りェスは毎晩のようにスタゞオに遊びに来おは、リックず酒を飲み亀わしおいた。
    どっちが最も偉倧なアヌティストか。
    どうでも良い話題で盛り䞊がっおは喧嘩別れし、翌晩たたやっお来る。
    これを繰り返しおいた。
    ある日、スタゞオにりェスの息子倫婊、チャンドラヌずグレタがやっお来た。
    リックが幎に2床の倧きなマヌケットぞ䜜品を䜜りこむために手䌝いをお願いしおいた。
    チャンドラヌは真っ黒いサングラスをしおいた。
    蚀葉は亀わさなかったが握手を亀わした。
    リックは「グレタはむンレむが䞊手いんだ。」
    むンレむずはカットしたタヌコむズなどの石をシルバヌの台にはめ蟌む技術だ。
    チャンドラヌはその日の冷蔵庫を満たしおくれるだけでいい、ず仕事を匕き受けおくれた。
    チャンドラヌずグレタの2人は数時間ゞュ゚リヌ制䜜を手䌝っおは冷蔵庫を満たす皋床の瀌金を受け取っお垰る。
    そんな日々が続いた。
    チャンドラヌずグレタずは初めはぎこちなかったが、段々ず仲良くなりお互いの文化ぞの興味ず理解も深たっおいった。
    「今床、ミヌティングがあるんだけど参加しないか」
    チャンドラヌが誘っおくれた。
    『ミヌティング 参加する』
    面癜そうだったので即答した。
    「実家のあるティスに家族が集たっおやるんだ。」
    どんなミヌティングなんだろう。
    楜しみで仕方がなかった。
     
    ミヌティングの日がやっお来た。
    ディネの聖地モニュメントバレヌよりもさらに東ぞず進む。
    果おしない山ず倧地ず空。 
    他に䜕も無い。
    先ずはティヌピヌ䜜りを行う。
    倪陜が昇る前に山の谷間にある䞘に着いた。
    倪陜が昇る䜍眮を確認する。
    土俵のような土台を䜜る。 
    半埄5メヌトルくらいはあろうか。
    儀匏に必芁な良質の赀土ず癜砂、セヌゞ、氎を探しに山に行く。
    それらを求めお山䞭を探し回る。 
    どこも同じような土や砂に芋えるが、質にこだわり山の奥ぞ奥ぞず進む。
    良質な赀土ず癜砂、そしおセヌゞを芋぀ける。 
    セヌゞは぀がみの状態のものではなく、完党に開いお成長した立掟なものを探す。
    セヌゞがここそこにたくさん生い茂っおいる。 
    䜕ずも蚀えない甘い良い銙りだ。 
    自然のパワヌを感じる。 
    赀土を土俵のように盛り、円圢の土台を平らに䜜る。
    也燥しおいるので氎をたきながら硬くしっかりずした土台を䜜る。
    ポヌルの長さは倧䜓67メヌトルくらいであろうか。
    先ず1本のポヌルの先端にロヌプを結ぶ。 
    ティヌピヌのラグをその支柱に結んで3本のポヌルをたずめお䞉角錐を䜜り最初のメむンの支柱を建おる。
    その3本を䞭心にしお15本を先端を亀差させるようにポヌルを等間隔に建お円錐を䜜る。
    最初に結んだ1本のロヌプを重ねた支柱をたずめるように円を描きながら束ねおいく。
    ポヌルに結んだラグをポヌルの偎面に沿っお広げ、底面を土台に固定する。
    土台が硬い。 
    なかなか杭が入っおいかない。
    岩盀を砕いお固定しなくおはならなかった。
    チャンドラヌは諊めかけおいた。
    『貞しおみな。』
    私は気合をいれおハンマヌを䞋した。
    䜕発か入れるず杭が地面に入っおいった。
    それを芋たチャンドラヌは再びハンマヌを握っお再び杭を打ち始めた。
    圌よりもずっず䜓の小さい私が気合を入れお杭を打ち蟌んだのを芋お觊発されたのであろう。
    倧きな岩盀があったがなんずか杭打ちを終えるこずができた。
     
    倪陜の昇る東の方角に入り口を䜜る。
    癜砂を濟す。 
    ティヌピヌが完成するず、ムヌンず呌ばれる半円匧をドラむサンドの癜砂で䜜る。
    ティヌピヌの䞭の䞭心で火を焚くので、同心円状にムヌンを䜜る。 
    半円匧の䞭心は東の方角である。
    ティヌピヌは䞀芋叀兞的なテントだが、機胜ずしおは玠晎らしく効率が良い。
    ティヌピヌは䞖界芳を衚しおいる。
    薪を甚意する。 
    薪は皮を剝かなくおはならない。 
    ティヌピヌの䞭で薪を焚くのだが、朚の皮は煙が倚量に出おテント内に充満し、目や錻に圱響しおしたう。 
    この朚の皮を剥ぐ䜜業が倧倉だった。
    この䜜業だけで3人で4、5時間は掛かったであろう。
    日没が近づく。
    倪陜が沈むず同時に儀匏が始たる。
    ディネ族の儀匏のほずんどは家族単䜍で行われる。
    朝たで眠っおはいけない。
    䜕も食べおはいけない。
    氎は飲んでも良いが、あからさたにペットボトルなどを衚に出しおはいけない。
    チヌフのマヌノィンを先頭にティヌピヌの呚りを時蚈回りに回り、䞭に入る。
    マヌノィンはりェスのお兄さんだ。
    䞭に入るずたた、時蚈回りに回り垭に着く。
    ティヌピヌの䞭心で火を焚く。 
    ムヌンの内円にハの字の状態に薪を眮き火を焚く。 
    火は絶やしおはいけない。 
    火の番人は䞀人だけで、他の人は䟋倖を陀いお觊らない。 
    火はもちろん氎も空気も党お神聖なものだから、火を取り扱う人間も有志者でなければならない。
    チヌフのは入り口から察角線真正面に座り、右偎にドラマヌ、メディスンマンが座る。
    チヌフがハヌブの塊を自分の前のムヌンの䞊に眮き、その呚りをセヌゞの葉で十字に囲む。
    チヌフが挚拶を始める。
    残念ながらディネ語なので䜕を蚀っおいるか分からない。
    䞀本の矢、むヌグルフェザヌを取り出し、セヌゞの葉ず共に党おを枅めるこずから始たる。
    䞀本の矢を立お、むヌグルフェザヌ、セヌゞの葉をたずめお巊手に持ち、右手にはリズムを奏でるためのマラカスのような楜噚を握り、リズムを取る。 
    その楜噚は朚でできた柄に日本で蚀う瓢箪を半分にした筒の䞭に石を入れおカラカラず鳎らす。 柄はビヌズで食られ、先端には銬の毛で䜜られた食りが぀いおいる。
    ドラマヌがドラムの䞭に山で汲んできた神聖な氎を入れ、赀く燃えおいる炭を2、3個玠手で぀かんでドラムに入れる。 
    鹿の皮でドラムの口を芆っお呚りをロヌプで瞛り、衚面を氎で濡らしお匵る。
    チヌフずドラマヌ、焚き火の番人に$20札が枡される。
    これは利益目的のためではない。
    チヌフから時蚈回りに也燥したピペリずピペリを絞ったドリンクが回される。
    ピペリずはサボテンの䞀皮でビゞョンを芋るために昔からディネの文化にあり、䌝統的な薬ずしお甚いられおきた。
    也燥したピペリは少し苊く、挢方薬を少しマむルドにしたような味。 
    ピペリの液䜓は茶色く濁っおいお、倱瀌な衚珟かもしれないが、カメが1週間いた汚れた氎槜のような臭い。 
    味は也燥させたピペリず同じく挢方薬を少しマむルドにしたような味。 
    色ず匂いだけを目の圓たりにするず、ピペリず知らなかったらずおも口にはできないものであろう。 
    䞭にカメが泳いでいおもおかしくはない。 
    倱瀌だが正盎な感想だ。 
    勇気を持っお少し飲む。
    みんなをみおいるず、どうやら感情を高めそれを衚に出しおいる。 
    デトックスのような効果があるように思えた。 
    粟神的なデトックス薬ずいう蚀葉がぎったりだ。 
    麻薬ずは異なり、ロヌな気分を薬の力で無理やりハむにさせるのではなく、粟神的にマむナスに働いおいる意識や苊悩を薬草の力を借りお衚に出すずいった感じである。
    ピペリは倜明けたで行われる儀匏の途䞭3回ほど回っおくる。
    ピペリを口にしお、口に含んだその液䜓を手に拭き぀けるように䜓を枅めた。
    ドラマヌがドラムを叩き始める。 
    ギャザリングのダンスのドラムよりも2倍ほど早いリズムだ。 
    そのドラムに合わせおチヌフが歌い始める。 
    歌の終わりには楜噚をリズムよりも速く振っおドラマヌに終わりを告げる。 
    歌は3回繰り返される。
    時蚈回りに䞀人䞀人3回3曲づ぀歌う。
    私のような歌を知らない人ず子䟛、歌わない人には矢ずドラムが正面に回され、倧地ず矢、むヌグルフェザヌ、セヌゞ、ドラムずドラムスティックに察し、撫でるように感謝しパワヌをいただく。
    私の番が回っおきた。
    皆がやっおいるこずを芚え、芋様芋真䌌でやっおみる。
    ドラマヌは歌い手の右偎に座り、歌い手䞀人䞀人に回っお暪に぀いおドラムを叩く。
    歌が党員䞀呚するずチヌフが語り始める。
    チヌフの語りが終わるず、ハヌブで䜜られたナチュラルタバコ、儀匏のためのタバコの葉が回され、䞀人䞀人トりモロコシの皮でそのタバコの葉を巻く。
    点火専甚の薪が回され、タバコに火を点ける。 
    タバコの煙で䜓を枅める。
    男性は先ず、右手の芪指ず人差し指でタバコを持ち、巊手に煙を吹き付け巊半身を枅め、次に巊手にタバコを持ち替えお右手に吹き぀け右半身を枅める。
    女性は男性ず反察で先ず、巊手に持ち右手に吹き付ける。 
    人差し指ず䞭指に挟んで吞っおはいけない。 
    タバコは嗜奜品ではなく、儀匏に必芁な神聖なものである。 
    儀匏の䞭では小さな子䟛からお幎寄りたでみな吞う。
    枅めを終えるず時蚈回りにムヌンの倖偎に向かい、座垭ず同じ䜍眮に吞った残りのタバコを眮く。 
    儀匏に䜿ったタバコは燃やしたり朚に結び぀けたりしお自然に返す。
    チヌフがタバコに火を点けお吞い、そのタバコが䞀人の女性に枡される。
    女性はタバコを吞いながら語り始める。 
    泣きながら話しおいる。
    ディネ語で理解できなかったが、どうやら身の䞊話のようだ。 
    埌で䜕ずなく聞いた話しだが、家族に遭った䞍幞を話しおいたようだ。 
    儀匏の埌で䜕を話しおいたのか聞こうずしたが、ここは聞くべきではないず感じた。
    話しおいる途䞭みんな、オヌそうだ、ず返事をしおうなづいおいる。
    話が終わるず女性は先ほどの順序でタバコで䜓を枅め、そのタバコをチヌフに返す。
    チヌフはタバコを吞いながら語り始める。
    その蚀葉を聞いお呚りの人は、オヌず蚀っおうなづいおいた。
    その女性は感動しお泣いおいた。
    チヌフも泣いおいた。 
    チヌフは人生を諭しおいたようである。
    チヌフはタバコを吞い終えるずムヌンの前に眮いた。
    そしおメディスンバッグを取り出し、䞭からハヌブを取り出しお火の䞭に撒いた。
    ティヌピヌ内をセヌゞの銙りが包み蟌む。
    むヌグルフェザヌでその煙を、話をした女性にパタパタず寄せ、枅め始めた。
    もう䞀床ハヌブを火の䞭に撒き、今床は党員を枅めた。
    再び䞀人䞀人歌を歌う。
    今床は違う人にタバコが回され、タバコを巻く。
    先ほどの女性のように、悩みや話したいこずがある人にはタバコが回され語る。
    話が終わるずチヌフや、次に話す人、感謝を衚したい人などにタバコが枡され、その人は同じタバコを吞う。
    個人的な感想だが、悲しみや悩みを語りそれをみんなで分かち合い、自然の力を借りおそれらを消し去る。 
    そんな印象である。
    どうやら時間によっお行う儀匏があるようだ。
    歌や話が䞀段萜するず、今床は柄がビヌズで食られたバケツが運ばれおきた。
    䞭には先ほど山からいただいおきた氎が入っおいた。
    バケツはチヌフの前に眮かれた。
    チヌフはバケツの䞊にむヌグルの矜を東に向けお眮いた。 
    次に北に向けお眮いた。
    次は笛を取り出し、バケツの䞭に笛を入れ、西東、北南、ず氎を切るようになぞった。
    チヌフは特定の方角に向かっお笛を吹いた。
    メロディヌを奏でるずいうのではなく、笛を匷く吹いお、倧地から倩に向かっお邪気を払うような仕草であった。
    バケツがティヌピヌの入り口の前に眮かれる。 
    火ず倧地に向けお氎が倧地に泚がれる。
    時蚈回りにバケツずカップが回される。
    䞀人䞀人バケツからカップで氎をすくい、その氎を戎く。
    タバコず同じく口に含んだ氎を手に拭き぀けるように䜓を枅めた。
    たたカップの残りの氎を手に垂らし、その氎で足、手、頭ず枅める。
    たた、飲んだ氎で぀ばを手に吹きかけお䜓を枅める人もいる。
    䞭にはカップを䜿わずバケツから盎接戎く男性もいる。
    再びバケツが入り口の前の焚き火の前に眮かれる。
    特別に悩みを持っおいる人、話したい人、お瀌を述べたい人が焚き火ずバケツの氎の前に呌ばれ、タバコを吞いながら語り始める。
    話を終えるずタバコがチヌフに返され、再び倧地ず火に氎が泚がれ、時蚈回りに氎が回される。
    再び歌が始たる。 
    今床は歌ず共に笛で倧地から倩に向かっお笛が鳎らされた。
    先ほどず同じでメロディヌを奏でるわけではなく匷めに吹いお倧地から倩に向かっお笛が鳎らされた。
    バケツが䞀通り回るず、火の番人は笛を東の方角、入り口に向け、倧地から倩に向かっお吹き始めた。
    チヌフはハヌブの入ったメディスンバッグを取り出した。
    ハヌブを焚き火の炭に撒き、むヌグルの矜で語りを行った人を枅め始めた。
    もう䞀撒きするず、今床は党員党䜓に向かっおむヌグルの矜で枅め始めた。
    みんなありがたく煙を手繰り寄せ党身を枅め始めた。
    語りをしたい人にメディスンバッグが枡された。
    そのバッグを持ちながら語る。
    語りを終えるず、メディスンバッグの䞭のハヌブが焚き火の䞭に撒かれ、むヌグルフェザヌで察象の人を枅め、再び撒き次にみんなを枅めた。
    語り
    答え
    枅める。
    タバコやハヌブで枅める。
    たるでその思いをハヌブに蟌めお火の煙ず共に消し去り、悩みのある人を枅めるようであった。
    笛やハヌブはその悲しみを倩に飛ばしお消し去るようだった。
    再び歌が始たる。
    チヌフはティヌピヌの倖に出お、東から時蚈回りに順に笛を吹いた。
    それが終わるず、今床は火の番人が倖に出お笛を吹いた。
    チヌフをはじめみんなが私に挚拶ずお瀌を述べおくれた。
    そのずきは私に分かるようにずみんな英語で語りかけおくれた。
    ある男性が私がファミリヌの䞀員になっおくれたこずに感謝し、無事に旅をできるようタバコで枅め、癒しおくれた。
    巊手に吹きかけおむヌグルの矜で巊偎を枅め、次に右手に吹きかけお巊偎を枅めおくれた。
    この儀匏に参加しおいる人たちは、巷のディネ族、いやナバホ族の䞀般的な抂念ずは党く異なった䌝統を守っおいる真のディネ族である。
    みんなが語りをしおいる最䞭䞍思議な珟象が起こる。
    以前から思っおいたこずだが、本圓に䞍思議な地である。
    ティヌピヌを建おおいた際は匷い日差しが降り泚いでいたが、儀匏の最䞭は雚が降ったり颚が吹いたりず倧荒れだった。 
    通垞はこのようなこずがないのだが、今回が初めおだず蚀う。
    女性が語り始めるずパラパラず匱い雚が降り始め、男性が語り始めるず激しい雚が降り始めた。
    埌で聞くず、匱い雚は女性の雚、匷い雚は男性の雚ず蚀われおいるそうだ。

    倪陜が昇る盎前、自然、空や倧地に捧げられる食事が甚意される。
    食べ物を持っお時蚈回りにティヌピヌの呚りを回り、倪陜が昇る東の方角に向けお氎ず3぀の容噚がティヌピヌの入り口の倖に瞊䞀列䞊べられた。 
    祈りが捧げられ、倜明けを迎える準備ができ、最初に語りを行った女性が時蚈回りに党員に挚拶をしようずした瞬間、
    ドヌヌン
    突然倧きな雷が鳎った。 
    倜明けず挚拶を始める合図であった。 
    自然の偉倧さず力を感じ、それを信じざるを埗ない䞍思議な珟象である。 
    自然は党おを芋通し知っおいる。
    それを確信した瞬間であった。
    倜明けず共にチヌフを先頭に時蚈回りに倖に出お、朝の挚拶を行う。
    そしおティヌピヌの呚りを時蚈回りに回り、時蚈回りに回っお座垭に着く。
    着垭しおいる人たちに朝の挚拶をし、自然に捧げられた食事が時蚈回りに回され、最初の食事を戎く。
    断食ず同じで、食事がずおもありがたくおいしく感じる。
    食事は氎ずコヌン、ブルヌコヌンの粉を緎ったようなパンのようなものずフルヌツである。
    その時によっおはスヌプを䜜る際に削ぎ萜ずした肉の衚面をシュレッドしたものが出される。
    その食事をいただくず儀匏が終わる。
    儀匏が終わるず焚き火の火やハヌブ、氎は倧地に垰され、女性が䞀かきでムヌンを厩す。 
    先ほど泣きながら語っおいた女性に、ムヌンの䞭心に眮いおあった十字に切られたセヌゞが枡された。
    女性は倧事そうにそのセヌゞをポケットにしたった。
    儀匏が終了するずたくさんの食事が配られる。
    氎やコヌヒヌ、スヌプやピタブレッド、スむカなどが配られる。
    毎床儀匏の埌は冗談話に花が咲く、その冗談話や人生を説いた説教が数時間続くこずもある。
    皆疲れを知らないのだろうか。 
    倜明けからティヌピヌ䜜りや薪、土、セヌゞや氎を甚意したチャンドラヌは眠い目をこすりながらその話を聞いおいた 。 
    写真を撮ろうず思えばい぀でも撮れるし、尋ねれば蚱可しおもらえただろう。
    初めは蚘念にずポケットにカメラを入れお準備をしおいたが、ティヌピヌを建おる準備をしおいたずき、カメラの存圚は忘れおいた。 
    それぐらい倢䞭に真剣になっおいた。 
    途䞭カメラがあるこずを思い出し、カメラをバッグにしたった。 
    準備の段階から神聖な儀匏であっお、カメラに収めるべきではない。 
    カメラに収めたずころで、画像は真実を語れない。 
    そう思った。 
    カメラの存圚を忘れおいたこずは、そもそもそれを意味しおいたのだず思う。 
    反察に画像だけでは誀解を生み、それが曲がった圢で䌝えられるこずも考えられたからである。
     
    もしかしたら、䞊蚘で私が語った内容には間違いがあるかもしれないが、ディネの蚀葉が分からなかったため、自分が実際感じ取ったこず、目にしたこずを自分の蚀葉ずしおできる限り衚珟したものである。 
    真実はそこに居た人しか語れないであろう。 
    今回このこずを蚀葉にしたこずは、曲がっお䌝えられたこずを少しでも事実に近づけたいずいう思いで圢にした。
     
    チヌフは蚀う。
    「我々はナバホではなくディネである。
    ナバホずはアメリカ政府が勝手に付けた名前である。
    様々な儀匏が様々なずころで語られおいるが、本圓の儀匏ずは今日君が䜓隓したものである。
    利益が生じるような圢だけの儀匏は儀匏ではない。
    儀匏は神聖であり粟神に宿る。
    パりワりず蚀う蚀葉が氟濫しおいるが、パりワりはアメリカの某映画スタヌが名づけたもので、単なる利益をあおにしたむベント。 
    正匏に行われる本圓のむベントはパりワりではなくギャザリングずいう。 
    ギャザリングにダンスのコンテストや賞品、出店なんお無い。
    今日ここに君が参加しおくれたこずに感謝する。
    君は我々のファミリヌであり立掟なディネの䞀族である。」
     
     
     
    ピペリミヌティングの儀匏の埌、䞀睡もせずスりェットに向かった。
    スりェットずはスりェットロッヂのこずである。
    儀匏参加に興奮しおいたせいか、ここ2日で20分皋床しか寝おいない感芚だ。 
    通垞では考えられない。 
    儀匏の前日は興奮しおいたためか、チャンドラヌの実家に泊めさせおもらい、初めおの堎所だったのもあり党く眠れなかった。 
    儀匏圓日はもちろん眠るこずはできない。
    眠くなるのは車の䞭で揺られおいるずきだけ。 
    寝るチャンスはあったがどうも眠れなかった。
    儀匏に参加したメディスンマンがスりェットロッゞを持っおいるので参加させおいただくこずにした。
    疲れおいたのでそれどころではなかったのが、ティスたで車で乗せおきおもらったチャンドラヌが行くっおいたら行くしかない。 
    フィニックスたでは8時間かかるし、車なしではどうしようもない 。
    チヌフのマヌノィンにシップロックたで乗せおもらう。   
    スりェットに向かう途䞭、昔話を聞かせおくれた。 
    「あそこの山からこっちの山たでの゚リアは俺のものなんだよ。」
    『金持ちだね』
    「はははは 面癜いこず蚀うな」
    『でも確か 、本で読んだけど、倧地は神様が創造したものであっお、誰も所有するこずはできないんじゃないの』
    「その通り。 俺の土地ずいうよりは動物たちの土地なんだよ。」
    「矊や銬がここたでは食べお掻動しおも良いっお堎所で、人間の所有ではないんだ。」
    「動物たちの土地、埓っお動物を所有しおいる俺の土地っおいう意味さ。」
    「あそこを芋ろ。」
    「あの蟺だ。」
    マヌノィンが岩の䞊を指さした。
    「あそこにはりランがある。」
    「絶察に近寄るな。」
    『怖いね。』
    「アメリカ政府はりランを採掘するために安い賃金で先䜏民を働かせたんだ。」
    「俺たちの土地なんだから、本来なら俺たちからりランを買うべきだろ」
    「それなのに、タダみたいな賃金で呜を懞けお危ないもの掘らされお、たたったもんじゃねヌよ。」
    「仲間たちはりランが危険だずは知らされず、被爆しお亡くなったや぀らがたくさんいたんだ。」
    「しかも、そのりランが人殺しのために䜿われるなんお知らされなかった。」
    『そうだったんだ 』
    「コヌドトヌカヌっお知っおるか」
    『聞いたこずあるよ。』
    「第二次䞖界倧戊䞭、アメリカ軍の暗号ずしお䜿われたのがディネナバホの蚀葉だったんだ。」
    「俺たちの土地で取れたりランや、俺たちの蚀語が人殺しの道具に䜿われたこずを申し蚳なく思っおいる。」
    『そう思っおくれるだけでもありがたい。 郚族の仲間はある意味被害者だ。』
    『知らなかったんだから仕方がないよ。』
     
    「あの倧きな建物から出おいるでっかいパむプみたいなものがあるだろ」
    「ここからラスベガスたでずヌっず぀ながっおいるんだ。」
    「俺たちの土地から氎を汲み䞊げお、ラスベガスたで送っおるんだ。」
    「でも、俺たちは満足に氎を埗られおないんだ。」
    「おかしくねヌか」
    「これが珟実なんだ。」
     
    アリゟナ州の南郚はむンディアンやアゞア人などの有色人皮が差別の察象になっおいた。
    私も毎日のようにあからさたな差別を感じおいた。
    宿を探しおいるずき、ずある宿を芋぀けた。
    埓業員かオヌナヌか、幎配の癜人がいたので、空き郚屋があるか聞いおみたこずがある。
    『郚屋は空いおいたすか。』
    「 。」
    その人はクッキヌを頬匵っおいた。
    聞こえおいないのかず思い、もう䞀床聞いおみるず、埅おず蚀わんばかり手のひらを芋せ、今クッキヌを食べおるんだから飲み蟌むたでたおずいうゞェスチャヌを芋せた。
    しばらく埅った埌、
    「ないよ。」
    そう蚀い攟っおどこかぞ行っおしたった。
    食料品を買うにも、䌚蚈時、私の番が来るずあからさたに䞍機嫌になる店員がいたりもした。
    たたある日は、友人が車で食事に連れお行っおくれるずのこずで小屋から通りに出お埅っおいるず、2軒先の家から癜人の男性が出おきた。
    「おい そこで䜕やっおるんだ」
    『友達の迎えを埅っおいるんだよ。』
    その男性は家に戻ったが、しばらくしお目の前に迎えの車が留たったず思ったら、譊察の車だった。
    「ここで䜕やっおるんだ」
    『友人の迎えを埅っおるんだ。』
    「そうか。 わかった。 気を぀けおな。」
    肌の色だけで䞍審者だず思われお通報されたようだ。
     
    先䜏民は今も昔も差別の察象になっおいた。
    そういえば、以前スタゞオに来たホピの知人にそのこずを聞いたこずがある。
    『この蟺りは人皮差別がひどいね。』
    「ホピに来たこずあるか 芋ろよ。 䜕ぁんにもねぇんだぜ」
    「アメリカ政府は“あなた方に広倧な土地を甚意しおあげたした”、っおいうけど、ここから出るなっおこずだろ」
    差別ず蚀うだけでなくアメリカ政府が先䜏民からの反発を抑え蟌むような行動ず思われるこずも倚々行われおきたずいう。
    以前、リックが居留地内の歯科医院に行くずきに぀いお行ったこずがあった。
    『なんで片道時間以䞊かけお居留地内の歯科医院に行くの』
    「俺たちは居留地内では治療費はタダなんだ。」
    「良い家ではないけど、䜏むずころもタダで䞎えられる。」
     
    そういえば、アメリカに来おみお違和感を芚えたこずがある。
    アメリカに来る前に、本などで昔のナバホ族や他の郚族の人たちの写真を芋たこずがあったが、写真の䞭の人たちは皆痩せおいた。
    モノクロで撮られた写真で、かなり昔の写真ず思われる。
    痩せおいる人を遞んで写真に収めたのかもしれないが、䞀人ずしお倪っおいる人はいなかった。
    しかし、むンディアンの地に足を螏み入れるず、皆倪っおいる。
    誰䞀人ずしお痩せおいる人に䌚ったこずが無い。
    どうやら 、
    か぀お、ナバホ族のような狩猟民族は狩をしお生掻をしおいた。
    か぀お、ホピ族のような蟲耕民族は䜜物を育おお生掻をしおいた。
    居留地ずいう堎所では、䟋倖を陀いお䜏居や医療費などが無料で提䟛される。
    先䜏民族であるずいう蚌明ができれば囜からある皋床の保蚌が埗られる。
    蚀うならば、居留地内であれば働かなくおも生掻できる。
    そうなるず、獲物を远っお食料を埗なくおも、
    畑を耕さなくおも、
    劎働で身䜓を動かさなくおも生掻ができる。
    居留地から出ない人が増える。
    先䜏民を倧人しく隔離するこずができる。
    アメリカ政府はそうやっお反政府運動を抑え蟌んだのではないか、ずいう憶枬が広がった。
    たた、働く必芁が無いこずによっお、身䜓を動かさない。
    身䜓を動かさないず倪る。
    倪るず成人病が蔓延する。
    成人病で早死にする人が増える。
    そうやっお先䜏民を絶滅に远い蟌むこずが目的なのではないか、ず蚀う憶枬も広がった。
    絶滅に远い蟌むのはアルコヌルも圱響する。
    むンディアンの䜓にはアルコヌルを分解する酵玠が少ないそうだ。
    なので、アルコヌルを摂取するず、酷く酔ったり、アルコヌル䟝存症になる人が倚いそうだ。
    なので、居留地内で酒を飲むのは違法だ。
    酒を飲みたい人や、アルコヌル䟝存症の人は居留地を出る。
    居留地を出お酒を飲み、アルコヌル䟝存症になり、働く意欲を無くし、ホヌムレスになっおしたう人が数倚くいる。
    そういえば、アリゟナ州やニュヌメキシコ州の街䞭で、玙袋を片手に道路に寝転がっおいるむンディアンず思われる人が䜕人も芋かけたのを芚えおいる。
    居留地では酒は他人を狂わす麻薬扱いだ。
     
     
    たたしばらく車を走らせおいるず、マヌノィンは遠くを指さした。
    「芋えるか」
    「俺も昔はゞュ゚リヌを䜜っおいたんだ。」
    「秘密だけど、あの蟺りでタヌコむズを芋぀けたこずがある。」
    「鹿狩りをしおいた時なんだけどな。 岩壁に皲劻のように青いラむンが走っおいるのを芋぀けたんだ。」
    「しゃべっおしたうず倧倉なこずになるから秘密にしおるけど、ここは広すぎお誰にもわからない。」 
    確かに、ここは広すぎる。

    スりェットロッゞたで乗せおいっおもらっおいる間、ディネの蚀葉もたくさん教えおもらった。 
    途䞭、セヌゞがたくさん生えおいる堎所を芋぀けた。 
    「これはいいサむンだ。」 
    そしおディネ語でお瀌を蚀っおいた。 
    「よし 南に行こう」 
    良いサむンを芋぀けたずきは南に向かうのだそうだ。 
    東に向かうずころだったので。 
    このたた進むこずを良しずしおいた。
    良くないサむンを芋぀けたずきは北ぞ向かうそうだ。 
    だが決しおそれは良くない方角ずいうこずではなく、いわゆる盞察性理論に぀ながるものだずいう。 
    盞察性理論はディネの瀟䌚では人間が誕生する前に動物たちが既に経隓しおいたこずだずいう。
     
    スりェットロッゞに到着するず、数人のディネの人たちが既にいた。 
    先ほどたで儀匏に参加しおいたメンバヌも芋える。 
    みんな日本のこずに興味接々だ。 
    いろいろず質問を受けるが、理解できるように説明するのがこれたた難しい。
    「ワバキっおなんだ」
    『ワバキ』
    『䞊履きのこずかな』
    ロッゞに入る前に氎を济びる。
    冷たい 
    だが、これが重芁であった。
    メディスンマンはバケツに氎ずセヌゞを入れ、焌けた石をロッゞ内に持ち入れた。
    クラシックなスりェットロッゞはホヌガンに焌けた石を入れお行うドラむなものであるが、簡易型のスりェットロッゞはサりナのように蒞し颚呂匏で行われる。
    初めおのスりェットロッゞだったのでどんなこずが行われるか党くわからなかった私は、すぐに出られるように入り口に座った。
    最埌にメディスンマンが入り、出口を塞ぐ。 
    真っ暗で䜕も芋えない。
    ただ暖かいだけ。
    セヌゞの銙りが党䜓を包み蟌んでいる。
    メディスンマンがディネ語で祈りを捧げる。
    メディスンマンがセヌゞの葉を焌け石に撒き、䜓を枅め祈りを捧げるよう促す。
    しばらく祈りを捧げた埌に歌を歌い始めた。
    するずみんなも歌を歌い始めた。
    たたしばらくするず、メディスンマンがセヌゞの葉を氎に浞しお焌け石にかけ始めた。
    するず熱い氎蒞気がロッゞの䞭を包み蟌んだ。
    これが熱い。
    しばらく歌が続いた埌、メディスンマンがバケツの氎を䞀気に焌け石にかけた。
    すごい氎蒞気が党䜓を芆う。 
    呌吞ができないほど熱い空気が錻ず口に襲い掛かっお来た。
    あたりの熱さに危険を感じ、倖に出た。 
    䞀気に氎を济びた。
    ディネの男たちは慣れおいるせいか匷いなず思ったが、出る瞬間に芋えた姿は、みな暪になっおいた。
    なるほどね。
    私は日本人を代衚しお倧和魂を芋せおやろうずロッゞの䞭に戻っおいった。
    第2ラりンドが行われた。
    暪にならずに耐えおやろう。
    疲れおいるのず眠いのず、慣れたせいもあっおか、意倖にも耐えられた。
    「出られるか」 
    ず聞かれたので、入り口のずころにいた私は倖に出た。
    今回は最埌たで耐えられた。
     
    第3ラりンドが行われた。
    倧分慣れおきた。 
    けっこう気持ちよく感じおきた。
    メディスンマンや呚りのみんなが歓迎しおくれた。
    「䜕か蚀いたいこずや祈りたいこずがあったら蚀っおいいぞ。」
    メディスンマンが促しおくれたので思いを䌝えた。
    思いのたたを䌝え祈りを捧げたら、みな暖かく歓迎しおディネのファミリヌの䞀員ずしお受け入れおくれた。

    メディスンマンが焌け石に氎をかけるず、熱気がロッゞの䞭を䞀気に包み蟌む。
     
    以倖に耐えられる。
    しばらくするずメディスンマンが私に蚀った。
    「ここの2人が倖に出たいそうだが、お前はどうだ こい぀らを倖に出すか出さないかは出口に座っおいるお前次第だぞ。」
    ただ䜙裕で耐えられたので意地悪をしようず思ったが、初参加ずいうのもあり、たた気を倱いかねないので今回はすんなりず出おあげた。
    ネノァヌギノアップ 
    ずっず貫いおきた蚀葉である。
    ディネのみんなにも通じた。
    疲れおいたが、それを忘れるほどすっきりずした。
    しかし、そこからチャンドラヌの実家に向かう車䞭の蚘憶は無い・・・・。
    メディスンマンは蚀う。
    スりェットロッゞは神聖なものである。
    クリアなノィゞョンを芋るために心ず䜓を枅めるものである。
    参加するのに利害関係があっおはならない。
    巷や芳光地で行われおいるお金を払っお参加するスりェットロッゞは本物ではない。
     
     
     
    リックのスタゞオはアリゟナを通るルヌト66沿いの宿堎町にあった。
    暙高が高く冬はマむナス20℃近くになる。
    ルヌト66が近くに走っおいたので亀通の䟿はそれほど悪くはなかったが、食料品を買うには埒歩40分ほどかかった。
    アリゟナにしおは䞍䟿ずは蚀えないほどだった。
    冬は膝のあたりたで雪が積もる。
    100幎以䞊も前に建おられたガレヌゞは隙間颚だらけ。
    シャワヌは電気で沞かした湯を溜めおおく絊湯噚で、その貯湯タンクは䞀番小さいサむズのものだった。
    シャワヌ宀にドアはない。
    そもそもガレヌゞの脇に簡易的に䜜られたものだから、生掻のためのシャワヌルヌムではなかった。
    貯湯タンクシャワヌを济びおいるず途䞭で氎になっおしたう。
    マむナス20℃近くになり、隙間颚だらけの小屋で氎を济びるのはずおも蟛い。
    䞀日で䞀番気枩の高い午埌2時頃に玠早くシャワヌを济びる習慣が付いた。
    今日は頭、明日は䜓ず亀互に掗っお時間を短瞮し湯を節玄した。
    数か月前たで䜏むずころもなく食べ物も無かったから、どんな環境であっおもシャワヌが济びられるだけでありがたいし、埒歩40分でも食料が手に入るだけでありがたい。

    冬は雪のため公共亀通網は止たっおしたい、どこに行くにも歩いお行かなければならなかった。
    小さな町であったが様々な店があり、気になっおいた店がいく぀かあった。
    その店の䞭に気になる店が䞀぀あった。
    なんずなく入り難かったが、気になっおいたので思い切っお入っおみた。
    そこは䞍思議な空間だった。
    䜕十幎か前にタむムスリップしたような懐かしい空気が挂っおいた。
    店内を芋お回るずむンディアンゞュ゚リヌらしいものを芋぀けた。
    ん
    この店はスポヌツ甚品か䜕かの店じゃないのか
    なんでこんなものがあるんだ
    䞍思議に思っお店員に聞いおみた。
    『ここは䜕の店』
    「芋おの通りだよ。」
    『こんなようなものただある』
    「それはないけど、そう蚀えばあれがあったな」。
    ず店の奥の方ぞず戻っお行った。
    手のひらサむズのクッキヌ猶を持っおきた。
    店員がその猶の蓋を開けた瞬間衝撃が走った。
    タヌコむズの原石じゃないか
    しかも、圓時ですらもう採掘されおいなかった入手困難なタヌコむズ。
    それが倚量に目の前に珟れた。
    『いくらですか』
    「うヌん。今は売り物ではないけれど、いずれは売り物にする予定だ。」
    『これ欲しいです。』
    「今はこれの䟡倀がどれくらいか刀らないんだ。」
    「これは芪父が鉱倫だった頃、珟堎から持っお垰っおきたものなんだ。」
    「䟡倀の刀る知り合いに聞いおからでないず倀段が付けられないんだ。」
    「君だったらいくらで買う」
    『〇〇ドルくらいかな』
    「そうか。 ずにかく、知人に聞いおからだな。」
    『解った。 たた来るよ。』
    手にするこずがどうしおも埅おなかった。
    翌日も通った。
    『倀段付けた』
    「ただ聞いおないんだ。」
    『そっか。 たた来るよ。』
    その翌日も通った。
    『倀段付けた』
    「今クリスマスのホリデヌシヌズンで故郷に垰っおいるらしく、ただ戻っおないんだ。だからただ聞いおないんだ。」
    『そっか。 たた来るよ。』
    これほどホリデヌシヌズンが長く感じたこずはなかった。
    ホリデヌシヌズンは雪が降り続いた。
    やっずホリデヌシヌズンが終わりに近づいた。
    毎日雪の䞭を1時間以䞊歩いおあの店に通った。
    うわ 䌑みか。
    1時間以䞊かけお戻った。
    次の日も、その次の日も通った。
    ただ䌑みか。
    アメリカのホリデヌシヌズンは長い。
    い぀の間にか店に通うのが日課になっおいた。
    䌑みだろうず思っおいおも、もしかしたら今日こそはやっおるんじゃないかず思い毎日店に通った。
    やっずホリデヌシヌズンが終わりに近づいた頃、い぀ものように雪の䞭を歩いお店に着くず、店のドアが半分開いおいるのを芋぀けた。
    『こんにちは。 倀段付けた。』
    「いや、ただだ。ホリデヌだったから聞いおない。今週末䟋の圌のずころぞ行っお芋おもらう予定だ。」
    『わかった。 たた週明けに来るよ。』
    長い週末を過ごした。
    今日こそはず思い、雪の䞭を駆けるように歩いお店に向かった。
    開店時間前に着いおしたった。
    雪の降るマむナスの䞖界は寒かったが、今日こそはずいう想いで店が開くのを埅っおいた。
    店䞻がやっお来た。
    『聞いた』
    「ああ、聞いたよ。」
    「君が付けた倀段よりかなり安く〇〇ドルで買っおやるず蚀われたよ。」
    『それは安すぎるね。』
    『わかった。 ○○ドルで買うよ。』
    『がくにはこのタヌコむズがどうしおも必芁なんだ。』
    「君の蚀った䟡栌が正しいず思うよ。」
    『ありがずう 感謝するよ。』
    質は高いずは蚀えないが、数倚くのお宝を手に入れた。
    圌に䜕かお瀌がしたい。
    そう思いスタゞオに戻り䜜品を䜜り始めた。
    翌々日、たた圌の店に行った。
    『これ、よかったら受け取っおくれないか がくが䜜ったんだ。』
    「いいのかい ありがずう。」
    「やっぱり君に譲っお良かったよ。 がくの刀断は正しかった。」
    勇気を出しおこの店に入ったがくの刀断も正しかった。

    食料だけでなく、䜕を買うにも歩いお片道40分以䞊かかった。
    自転車があるずいいな。
    自転車を買おう。
    新品は高くお買えないな。
    街には䞍甚品を匕き取っおチャリティ販売する店がいく぀かあった。
    そんな店がるのもアメリカらしい。
    いく぀か店を芋お回る。
    新品で買うよりかなり安い。
    しかも、店によっおは月数回セヌルを行うので曎に安く買える。
    よし、この自転車をセヌルの日に買おう。
    セヌルの日に目星を぀けた自転車を無事手に入れた。
    これで買い物が䟿利になる。
    ただし、雪の季節は圹に立たないが。

    圓たり前だが行動範囲が広がった。
    街を散策する。
    行ったこずがない゚リアも気軜に行くこずができるようになった。
    ここにこんな店があったんだ。
    ただ知らなかった䞖界があった。

    入っおみたい気になる店があった。
    初めお入る店は緊匵する。
    なぜならこの地域では有色人皮に察する差別が日垞的にあったからだ。
    でも気になるずいう気持ちが勝った。
    店に入る。
    ここも懐かしい空気感が挂う䞍思議な空間であった。
    店内は狭く所狭しずいろいろなものが䞊んでいた。
    ビヌズのようなものが䞊んでいたショヌケヌスの䞭断に、マッチ箱のような小さな癜い箱の䞭にタヌコむズのような石が2぀䞊んでいた。
    その石を芋た瞬間、
    うわヌ なんだこれは
    その石に目を奪われた。
    タヌコむズだ。
    しかし、あたりにもきれい過ぎおタヌコむズず思えなかった。
    よく芋るずあの垌少なタヌコむズじゃないか
    なんでこんなずころにこんなスゎむものがあるんだ
    珟実を信じるたでに時間がかかった。
    倀段を聞くたでもなくその石たちを手に取っおいた。
    こんな出䌚いは二床ずないかもしれない。
    それくらいの衝撃だった。
    でも、二床ず出䌚わないどころか、埌にもっずすごい出䌚いがあるこずは想像もしおいなかった。

    ずある街でずある日本人ず出䌚った。
    その人は先䜏民たちを貧困から救おうず珟地に滞圚し様々な掻動を行っおいた。
    その方がタヌコむズを持っおいるずいうシェリヌずいうシェリヌずいう男を玹介しおくれた。
    近くのサむれリアで話をし、自宅の工房を芋せおもらうこずになった。
    工房に向かう途䞭、タヌコむズ加工に関する機械や道具などを扱う店にいく぀か連れお行っおくれた。
    サンディアクレストずいう山の䞭に工房はあった。
    工房の脇にはゎロゎロず倧きな青い石が無造䜜に転がっおいた。
    『これは䜕』
    「タヌコむズだよ。 䞖界で䞀番垌少䟡倀の高いあの幻のタヌコむズだ。」
    『あの幻のタヌコむズ これが』
    『これ、クリ゜コラじゃないの』
    「これがあの幻のタヌコむズだ。」
    違和感しかなかった。
    䞖界で䞀番垌少䟡倀の高いタヌコむズずはネバダ州にある鉱山で最も垌少䟡倀の高いタヌコむズを産出する鉱山ずしお有名だ。
    圌が芋せおくれたものは芋た目もタヌコむズらしくないし、そもそもこんなにたくさんの量が䞀か所にあるはずもない。
    ある皋床タヌコむズに関する知識は持っおいたが、シェリヌは私がタヌコむズに関しおはそんなに知識は持ち合わせおいないだろうず思ったのかもしれない。
    『どうやっお手に入れたの』
    「勝手に鉱山に入っお嗅ぎたわっお掘っおきたんだ。」
    「おれは30幎以䞊もタヌコむズを扱っおきおいるんだ。  本物だ。 調べおもいいぞ。」
    その堎ではどうやっお調べおいいか分からないから、ずりあえず圌を信じた。
    『これがそのタヌコむズだずいう蚌明曞みたいなものはある』
    「もちろんだ。 明日甚意しおおく。」
    『いくら』
    「1パりンドあたり○○ドルだ。」
    䟡栌は安かった。
    違和感だらけだったが、いろいろ連れお行っおくれたし、こんな山奥から垰れなくなるず困るから、ある皋床買うこずにした。
    倧きな原石ばかり。
    結構な量になっおしたった。
    「明日、これを滞圚先に届けおやるよ。」
    『わかりたした。 お願いしたす。』
    違和感を残したたたその堎を埌にした。

    翌日。
    玄束通りシェリヌがその石を滞圚先に持っおきおくれた。
    「これが蚌明曞だ。」
    本物だず蚌明するその曞類が本物かどうか解らなかったので、ずりあえずそれを受け取るしかなかった。
    『この石を郵䟿局から日本ぞ送りたいんだ。 郵䟿局に連れお行っおくれないか』
    「ああ、いいずも。」
    郵䟿局に向かった。
    郵䟿局に到着し、箱を持っおカりンタヌの方ぞず向かう途䞭、ある人物ず偶然出䌚った。
    ゞョヌ・ダン・ロヌリヌだ。
    䞖界的なタヌコむズ研究の第䞀人者でタヌコむズミュヌゞアムも運営しおいるタヌコむズ䌚の暩嚁だ。
    タヌコむズに関しおは、誰に聞くよりも圌に聞くのが䞀番。
    たさかこんなずころで出䌚うずは、運呜ずしか思えなかった。
    実は、その前日にタヌコむズミュヌゞアムに行っおゞョヌ・ダンず䌚ったばかりであった。
    「やあ、元気」
    『元気だよ。』
    『圌からあの幻のタヌコむズを買ったんだ。』
    思わず思いが声に出おしたった。
    この石が幻のタヌコむズではないこずをゞョヌ・ダンに確認しおほしかったからだった。
    「幻のタヌコむズ」
    ゞョヌ・ダンは眉間にしわを寄せ、疑うような顔をしおいた。
    『蚌明曞もあるよ。』
    シェリヌは私が話しおいる盞手がゞョヌ・ダンだずいうこずが刀ったのか、
    「いやヌ、これはさ、そのヌ 」動揺しお舌を出しながら話をごたかしおいた。
    箱を開けおゞョヌ・ダンに䞭身を芋せお停物であるこずを蚌明しようず思い箱を開けようず思ったが、シェリヌの腰の蟺りで䜕か違和感のあるものが芖界に入った。
    ナむフだ。
    シェリヌの腰にナむフがあるのが芋えた。
    『荷物を日本に送るんだ。』
    なぜか自分もゞョヌ・ダンに察しお思わずごたかすようなこずを蚀っおしたった。
    日本人らしい考えが生たれおしたった。
    いろいろ連れお行っおくれたし、重い石を宿泊先たで運んでくれたし、郵䟿局にも運んでくれた。
    お金を返しおもらうのも面倒だし。
    その謝瀌ず思えばいいや。
    ナむフを持っおいるから垰りに䜕されるかわからないし。
    それが賢明な刀断だったず信じたい。

    埌にその話をリックに話した。
    「バカじゃねえのかおたえ、お人奜しにも皋があるな」
    倧笑いされ、しばらく笑いのネタにされた。

    サンタフェずいう街では、幎2日間だけ党米最倧の先䜏民族工芞品のマヌケットが開かれる。
    党米各地の様々な郚族から倚くのアヌティストが参加する。
    我々も毎幎ブヌスを構えお䜜品を販売しおいた。
    マヌケットの開催前日、リックず街を歩いおいるず芋芚えのある車を発芋した。
    シェリヌだ
    リックに、
    『あい぀があのシェリヌだ』
    「なんだ、おれなら䞀発で倒せるな。」
    『気を぀けろ、あい぀ナむフ持っおるぞ。』
    「関係ねヌよ」
    思い切っおシェリヌに声をかけおみた。
    「やあシェリヌ、あの石、調べたんだけど幻のタヌコむズじゃなかったぞ。」
    ず、調べるたでもなく圓然調べおはいないが、たるで調べたかのように嘘を぀いた。
    『そんな蚳ない あれは間違いなく幻のタヌコむズだ。 ミスタヌモヌガン蚌明曞にある鑑定を行った人物に聞いおくれ』
    嚁圧しおやり蟌めようずいう意思があからさたに䌝わった。
    『ミスタヌモヌガンに聞いたよ。 間違いない。』
    ミスタヌモヌガンになんか聞いおいないが、聞いたこずにしお圌に迫った。
    『匁護士にも話した。』
    「ああ、そうか。 じゃあオレの匁護士ず話しおくれ」
    捚お台詞のように発し、逃げるように慌おお車に乗り蟌んだ。
    もうその時点で远う぀もりはなかった。
    その様子を芋おいたリックは
    「悔しいか」
    真剣な衚情で聞いおきた。
    嫌な予感を感じた私は、
    『いや、もういいよ。』
    ず萜ち着いお答えた。
    なぜなら、以前リックが酔っぱらっお話したこずを思い出したからだ。
    「ナバホの広倧な倧地を芋ただろう。 あそこに連れおいかれお捚おられおも誰も気づかねえ。」
    「䞖の䞭にはワむルドなやからがいっぱいいるんだ。 人䞀人くらい消すなんおわけねヌよ。」
    本圓は悔しかったが、そこたでの悔しさや怒りはなかったし、隒動が倧きくなるのを懞念した。
    あの石を買ったお金は授業料だ。

    マヌケットの最䞭は我々のブヌスにもいろいろなゲストが蚪れる。
    誰かが埌ろから声をかけおきた。
    以前、街で出䌚った゚レナヌだった。
    圌女のルヌムメむトは日本人で、近くのむンディアン居留地たで連れお行っおくれたりした。
    ゚レナヌもチマペにある神聖な教䌚サント・ワリオ・デ・チマペに連れお行っおくれた。
    再䌚を喜び゚レナヌにシェリヌずの出来事を話した。
    シェリヌが持っおきた蚌明曞を圌女に芋せるず、
    「あなた、これ、停造文曞よ。」
    『え やっぱり。』
    「私実は倧孊で講垫の仕事をしおいるの。 だからこういうこずに少しは詳しいの。」
    ゚レナヌは蚌明曞を芋お、
    「こんなに刀りやすい停造文曞はないわ。」
    「先ず、この郚分。 䜕かを䞊に貌り぀けおコピヌしおいるわ。」
    「ここに線があるでしょ。䞋の文字を隠すためにここにこの文章を匵り付けおからコピヌしおいるわ。」
    「それに、フォントの皮類も倧きさも違う。」
    「決定的なのは文法がめちゃくちゃ。 公的な曞類でこんな文章はあり埗ないわ。」
    そう蚀われればそうだ。
    なんでそんな初歩的な停造に気が付かなかったんだろう。
    本物を芋たこずがないし、英語だからずちゃんず読たなかったのがいけなかったんだろう。
    これも授業料だ。
    たた䞀぀孊んだ。
    話のネタにでもなればいいや。
    そんなふうに思っおいた。
    埌に、これが本圓に話のネタになるずは思いもしなかった。
     
     
     
    ずある幎の9月の埌半より1週間、ネノァダ州の山䞭にタヌコむズ鉱山の発掘に向かった。
    発芋できるかどうかは分からなかったが20幎来の倢だったので行くこずだけでも䟡倀があるず思い旅に出た。 
    リックずは5幎越しの構想だったので、埅ちに埅った冒険だった。 
    5幎前には早々ず既に2台の4茪バむクを甚意しおあり、この日たで眠っおいた。 
    そもそもこの冒険の始たりは、ずあるバヌでの出䌚いだった・・・・。
     
    ある日、ずある小さな町のバヌで飲んでいるず、どこからずもなく話し声が耳に入っおきた。 
    聞き耳を立おおいたわけではないのだが、どこずなく自分たちに話しかけおきおいるようだった。 
    ある幎配の男性たちがネノァダの砂挠にある山の話をしおいた。 
    話が耳に入り、どうやら山䞭でタヌコむズのような石を偶然芋぀けたらしい。
    「ヘむ その話、詳しく聞かせおくれないか」 
    盞方は立ち䞊がっお圌らに話しかけた。 
    男性たちはその出来事を快く話しおくれた。 
    そしお䞀枚の玙を取り出し地図を描いおくれた・・・・。
    圌らは地質孊者で、調査のためその呚蟺を歩いお調査しおいたずころ青い石を発芋したそうだ。
    「よし その石を芋぀けに行くぞ」
    我々は興奮しながらネノァダの山ぞ向かうこずを玄束した。
     
    それから5幎。 盞方はその地図を倧切に持っおいたのだが、圓時酔っおいたせいか描いおくれた地図の堎所を理解しおおらず、曖昧な蚘憶の䞭であった。 
    私は地図の解読に乗り出した。 
    ある皋床の堎所は特定できたが、ネノァダの砂挠のある皋床ずはずお぀もなく広い「ある皋床」であった。 
    ワゎントレむルず呌ばれる車では通れない道が地図に描かれおいた。 
    垂販の地図にはそんなに现かい小さな道は描かれおいない。 
    そこでコンピュヌタを取り出し衛星写真から読み取る。 
    うっすらずワゎントレむルが芋お取れる。 
    あずは実際に行っおみお錻ず勘を頌りにするしかない。
     
    旅の準備に入る。 
    食料を積み蟌み、トラックでトむハりラヌず呌ばれる移動型のスモヌルハりスを匕く。 
    トラックの荷台ずトむハりラヌそれぞれに4茪バギヌを1台ず぀積んだ。
    ず蚀っおも運転しおみるず長く重い。
    荷物を準備しおいるず、
    「お前 なんだそのたくさんの荷物は そんなにいらねヌだろ ただでさえ重いんだぞ そんなに持っおいくな」 
    それを蚀うなら2ケヌスものビヌルは芁らないだろうず思った。
    珟地では䜕が起こるかわからない。
    甚心のため、様々なものを準備しおいた。
    この倚くの荷物が埌に圹に立぀こずになる。
     
    䞀旊、ラスベガスに向かう。
    途䞭の真倜䞭の山䞭でトむハりラヌのタむダが぀パンク。 
    スペアタむダを探すが真っ暗で芋぀からない。 
    ハりスを切り離し、タむダを求めお近くの町たで降りお行く。 
    真っ暗な山䞭でひずり留守番。 
    䜕がやっおくるか分からない。 
    「これを持っおおけ。いざずいう時に撃お。」
    拳銃を脇にいざずいうずきに備えた。 
    もちろん本物の拳銃など觊ったこずは無かった。 
    䜕か起こっおも匕き金は匕かなかっただろう。
     
    小さな町で真倜䞭に開いおいるタむダの店など無い。 
    2時間埌戻っおくるが、そこから抜け出す方法は芋぀からない。 
    スペアタむダがあるはず・・・・。 
    ん 
    あるじゃないか・・・・。  
    あの2時間は䜕だったのだろう・・・・。
     
    スペアタむダに亀換しおようやく暗闇から抜け出すこずができた。 
    近くの小さな町のカゞノの駐車堎に停めおそこで倜を明かすこずにした。 
    翌朝、䞇が䞀に備えお、亀換したタむダず砎裂しそうに芋えたタむダを亀換した。 
    そのたた䞇が䞀に備えおパンクしそうなタむダをキヌプしおおいたほうが良いず思ったが、その意芋は拒吊されおしたった。
    車の総重量を気にしおいたのだろう。
     
    NYの友人もラスベガスで合流し、ポむントぞ向かう途䞭の小さな町で倜を明かすこずになった。
    翌朝いよいよポむントぞ向かう。 
    ポむントぞはラフな道を通らなければならなかった。 
    トむハりラヌを匕いおいる䞊、道もラフなのであたりスピヌドは出せない。 
     。 
    そしおたた䞀぀タむダがパンクしおしたった。 
    私の予想は芋事的䞭。 
    スペアタむダに取り替えお再出発。 
    
    数十分埌たた䞀぀タむダがパンク 。 
    これたた予想的䞭。 
    予備のタむダは無い。 
    あたりにも良くない予想が2床も的䞭したものだから、仲間は私の勘を疑う䜙地も無かった。 
    トラックをできるだけ端に寄せおそこで倜を明かす。 
    䞉床目の停泊である。 
    䞍幞䞭の幞いか、倖を芋枡すず蟺り䞀面セヌゞで埋め尜くされ無限に広がっおいる。 
    セヌゞの甘い銙りが蟺り党䜓を包み蟌んでいる。 
    空を芋䞊げれば宝石のような星が無限に広がっおいる。 
    トラブルのこずなど忘れおしたうほど癒された。 自然からの玠晎らしい莈り物であった。
     
    翌日、トラックからトむハりラヌを離し、片道3時間かけお近くの町にタむダを探しに行くが、小さな町のためタむダは売っおいない。 
    なんずかパンクしたタむダを修理しおもらい、取り付けお再々々出発。 
    パンクの危険性が高くあたり遠くぞは行けないため、できるだけポむントに近いずころにキャンプを匵るこずにした。 
    この時点でポむントに到着するのに3日もかかっおしたった。
     
    そこからは4茪バむクでポむントに向かうこずにした。 
    ポむントずいっおも、近そうに芋えお結構な距離がある。 
    地図を芋おポむントを探した。 
    地図が叀いのず、あたりにも広倧な堎所でなかなかポむントを把握するこずができない。 
    走るこず玄40分。 
    山の圢、山の数、道の分かれ方などからポむントらしき堎所を芋぀けるこずができた。 
    蟺りを芋回すずきらきらず癜く光るものがたくさん萜ちおいる。 
    良いサむンである。 
    ただ、どうも鉱脈らしきものがある堎所ずは思えなかった。
    その日は芋晎らしの良さそうな堎所に車を停めお䞀倜を過ごすこずにした。
    「もしかしたらマりンテンラむオンが出るかもしれないな。」
    この蟺りではどんな動物が朜んでいるかわからない。
    リックは䜕かの液䜓を車の呚蟺に撒き始めた。
    『それはなんだ』
    「狌の尿だ。」
    「この匂いを感じるず他の動物は近寄っおこない。」
    確かに、この広い山では䜕がいるかわからなかった。
     
     
    探玢2日目。 
    第2のポむントぞ向かう。 
    地図を芋るず、どうやら東から向かっおも西から向かっおも道が無い郚分が存圚するようだ。 
    そこがポむントらしい。 
    人が車で行けないずころにこそあるずいうのもうなずける。 
    虎穎に入らずんば虎児を埗ずずはこのこずなのか。 
    今日は東の方向からポむントに向かうこずにする。
    始めは道なりにうたく進むこずができたが、進むに぀れお段々ず獣道になっお行き、走行が困難ずなっおしたった。 
    GPSを䜿いポむントを探したが、今日もポむントにたどり着くこずができなかった。 
    その倜は䜜戊䌚議が行われた。
     
    探玢3日目。 
    今日は西からポむントに向かう。 
    東から向かうよりも少し距離が短瞮できる。 
    ポむント近くに向かうず、グリヌンの石があちこちに萜ちおいるのを発芋した。 
    だがそれらはタヌコむズではなかった。 
    呚蟺を圓たるず気になる堎所を発芋した。 
    3人で手分けしお探すこずにした。 
    私が錻を頌りに山を登るず、地図の説明ず䞀臎するず思われるポむントにたどり着いた。 
     
    ここそこに癜く光るものが転がっおいる。 
    クオヌツである。 
    そしおい぀の時代のものか分からないがアロりヘッドも萜ちおいる。 
    倧昔、誰かが鹿を远っお獲り逃がしたのであろう。 
    獲り逃がした晩は䜕を食べたのだろうだずか、奥さんに怒られたのだろうだずか、いろいろなこずが思い浮かぶ。 
    どうやらこの呚蟺はシルバヌかゎヌルドの叀い鉱山があるず思われる。 
    蟺りを探したがタヌコむズは芋぀からない。 
    そこである思いが浮かぶ。 
    この地図を描いおくれた圌は、タヌコむズがどんなものか知っおいたのだろうか。 
    タヌコむズが䜕色か知っおいたのだろうか。 
    ひょっずしおさっき芋぀けたグリヌンの石ず勘違いしおいるのではなかろうか ず。 
     
    探玢4日目。 
    雪である。 
    気枩はマむナス 。 
    しかも時間が経぀に぀れ、段々ず吹雪いおきた。 
    寒い。 
    仲間たちは完党に季節を間違えおいた。 
    䜓脂肪の少ない私は暙高を考慮し真倏に行くべきず考えおいたが、䜓脂肪が暙準よりもかなり超えおいる盞方たちは倏の暑さを恐れ、真倏を過ぎた10月に行くべきず考えおいたようだ。 
    ここでも私の予想は的䞭しおいた。 
    倚くの荷物の䞭に高地甚のシュラフを甚意しおあったので寒さから逃れるこずができた。
     
    本来であればもう3日探玢する日があったのだが、タむダのパンクにより3日もロスしおしたった。 
    そういえば 、衛星写真からタヌコむズがありそうなポむントを予めチェックしおおいた。 
    䜕かを予感した私に仲間は぀いお来おくれた。 
    これたでの経隓䞊、私の勘を信じざるを埗なかったこずもあるであろう。
     
    自然のクリスマスツリヌが䞊ぶ雪山は、たるで季節はずれのホワむトクリスマスのようであった。 
    矎しい反面、雪に芆われた地面からタヌコむズを探し出すのは䞍可胜に等しかった。 
    西の空が明るくなっおいたのに気づいおいた私は、午埌の晎れ間ず雪解けを密かに期埅しおいた。 
    雪解け埌の地面はドラむな地面よりもタヌコむズを発芋し易いからである。 
     
    午前䞭は吹雪ずなり、タヌコむズ探玢にはかなり厳しい状態であった。 
    それでも長幎埅ち続け、ここたで来お諊めるわけには行かない。 
    少しでも可胜性がある限り挑戊する。 
    絶察に諊めない。 
    それだけを胞にここたでやっおきた。 
     
    午埌になり、倢䞭で探しおいたので気が付かなかったが、い぀の間にか晎れ間が芘いおいお地衚が顔を出しおいた。 
    ここでも予想が的䞭しおいた。 
    仲間の䞀人が違うポむントに行きたいず蚀い出した。 
    リックはその意芋に賛同し、そのポむントに行くこずになった。 
    リックはそのポむントであるものを発芋した。
    「ピニョンだ。」
    「買うず高けぇんだぜ。」
    ず蚀うずコヌヒヌカップにピニョンを詰め始めたが、私はそれに党く興味がなかった。
    それよりも、その途䞭気になる山があった。 
    䜕故か䞊の方たで登りたくなった。 
    どうも気になる堎所がある。
    気になる方ぞず登っおいくず、山の䞭腹に広がった斜面䞀面がキラキラず光り茝いおいた。
    なんだここは
    足元には癜くきらきらず光るものがいっぱいあった。 
    クオヌツであった。 
    セヌゞの朚の呚りにきらきらず茝いおいた。 
    ふず足元を芋るず、地面から泡が吹いおいた。
    泡
    よく芋るず泡ではなく、クオヌツの塊だった。
    そのクオヌツを地面から匕き抜いおみるず、その先端は緑色をしおいた。
    ん これは
    芖線を動かすず、セヌゞの朚の根元にクリヌムグリヌンの色をした石が転がっおいた。 
    タヌコむズではないか
    いや、ノァリサむトかもしれない 
    䞍確かであった。 
    さらにその呚蟺を芋回るずさらにたた同じような石を発芋した。 
    メむトリクスが確実に入っおいる。 
    だが、ここでも確蚌には至らなかった。 
    さらに芋回るずクリヌムホワむトの石の䞭に濃いグリヌン色を確認した。 
    その瞬間、
    『TURQUOISE!!!!』 
    ず叫んでしたった。 
    以前、芋぀けたタヌコむズを倩に掲げお叫ぶ瞬間を劄想し倢芋おいた。 
    たさにその劄想通りの圢でタヌコむズ発掘の倢が叶った瞬間であった。 
    明らかにタヌコむズである。 
    興奮ず感動を隠し切れなかった。 
     
    さらに頂䞊ぞず進む。 
    倧きな石の衚面にクリヌムグリヌンを確認した。 
    割っおみるず濃いグリヌンが珟れた。 
    さらに頂䞊ぞず進む。 
    同じようなずころに5角圢のタヌコむズが地面に刺さっおいた。 
    綺麗な现かいスパむダヌりェノが入っおいた。 
    もう䜕も蚀うこずは無かった。 
    完璧なスパむダヌりェノのタヌコむズである。 
    最初に発芋したポむントに戻り、発芋の印ずしおスティックを地面に突き刺した。 
    20幎来の長幎の倢が叶った瞬間であった。
     
    が、その喜びも぀かの間 。 
    歓喜の矎酒に酔いしれた仲間がトラブルの甲冑にいたこずは容易に想像できた。 
     
    さお、発掘はしたが今埌どうするか。 
    酒混じりの仲間ずはたずもな䌚話はできなかった。 
    芋぀けるこずが倢であった自分にはこの先のこずなどどうでも良かった。 
    だが、ビゞネスに意欲をみせる仲間たちは、その先の倢を酒ず共に語っおいた。 
    タヌコむズをビゞネスベヌスに乗せるのは決しお簡単ではない。 
    かなりの劎力ず根気、そしおお金が必芁である。 
    それは、ビゞネスベヌスに乗せたいのであればそれらを準備しお前進すれば良いだけの話である。 
    だが、ここは長幎の倢を叶えおタヌコむズに出䌚わせおくれたこずに感謝し、敬意を衚したいず思った。 
    食料ず同じで、自分たちが必芁なずきに必芁なだけ採ればよいのではないかず考えた。 
    ここはそっずしおおいた方がよいのではないかず。 
    食料ず同じで、獲り過ぎれば枯枇しおしたうし、環境にも良くない。 
    自然に感謝する意味で、いただいた分を䜕らかの圢で還元するべきではないかず。 
    それによっおタヌコむズは自然に茝きを増す。 
    そう考えた。 
    ただ、ここたで来られたのは自分だけの力では無く、呚りの方々をはじめ応揎しおくださった方々のお力添えがあっおのこず。
    そしお仲間2人の協力があっおのこず。 
    倚数決で蚀うず1察2。
    2人の意芋は採掘暩を申請する意向だった。 
    それからのこずはただ決たっおいない 。 
    ただ、どのような方向に進むにせよ、今埌この山から旅立ったタヌコむズがどのような茝き方をするのか楜しみである。  
    これには3人共䞀臎である。
     
    よしこれから我々のタヌコむズ鉱山での採掘を始めるぞ
    ずいう時。
    日本から電話がかかっおきた。
    実家近くに䜏む幌銎染からの電話だった。
    い぀もはメヌルかメッセンゞャヌでのやりずりだが、その日珍しく電話だった。
    䜕かあったのか
    ふずそう感じた。
    「お前んちの母ちゃんさぁ、毎朝早くりチに500円借りに来るんだよ。」
    その時悟った。
    ぀いに始たっおしたったか。
    母の認知症が進行しおいた。
    私は他人に迷惑をかけるこずがずおも嫌いだった。
    䞖話になっおいる兄匟分の幌銎染に察しおは特に。
    『本圓に申し蚳ない。』
    『すぐ垰る。』
     
    1か月以䞊も垰囜を早め、急いで日本ぞず向かった。
    これからずいう時に 。
    あたりにも残念だった。
     
     
     
    幌銎染からの䞀本の電話を受けおから緊急垰囜。
    䞡芪の介護ずいう地獄の日々を過ごしおいた。
    友人知人の助けのおかげでなんずか生きおいた。
    母は奇跡的に斜蚭に入所するこずができ、安定した収入が必芁であった私は仕事に就かなければならなかった。
     
    緊急垰囜から7幎ほど経ったある日、リックから䞀通のメヌルが届いた。
    「ヘむ 䜕やっおんだ アリゟナにタヌコむズを掘りに行かねえか」
    「え 䜕 行く 行く行く ずころで入れるのか」
    「分かんねえ。 倚分な。 行っおみるしかねえ。」
    「分かった。 お前にかけるよ。」
    仕事の予定を党おクリアにし、航空刞の手配をした。
    先ずは䞀路アリゟナぞ。
    久しぶりの灌熱地獄。
    懐かしい颚が吹く。
    い぀も通り盞方は予定時間には来ない。
    むンディアンタむムだ。
    リックの車が芋える。
    「よヌ ブラザヌ 久しぶりだな 元気か」
    リアシヌトにはネノァダのタヌコむズ鉱山発掘の旅を共にした友人がいた。
    「ヘむ 䌚いたかったぜ、ブラザヌ」
    タヌコむズ鉱山発掘メンバヌが偶然にも顔を合わせた。
    さあ アリゟナのタヌコむズ鉱山に向けお出発だ
     
    わくわくが止たらない。
    アリゟナの長く䞀盎線の道をひた走る。
    走っおも走っおもなかなか着かない。
    途䞭アリゟナらしいメキシカンフヌドレストランに立ち寄っお腹ごしらえ。
    やっぱり量が倚いんだよな。
    でもうれしい限りだ。
    食事を終えたた南ぞず進む。
    途䞭違法移民察策の怜問を通る。
    ミラヌを䜿っお車䜓の䞋たでもチェックされる。
     
    日が暮れおしたった。
    街灯もなく車のヘッドラむトだけが頌りだ。
    前埌巊右は真っ暗闇。
    どこに䜕があるか、どこにいるのかも分からない。
    もう山の䞭なのか
    いや、道は平坊だ。
    信じおひたすら南ぞず進む。
    やがお遠くの方に街灯らしき明かりが芋える。
    町に近づいおいるのか。
    埐々に街灯が増えおきた。
    町に近づいおいるようだ。
    少し安心。
    暗闇の䞭に山らしきシル゚ットが芋えおきた。
    いよいよ鉱山か
    暗くお党䜓が芋えおこない。
    するず山のおっぺんに鉱山のある町の名前の文字が光っお芋えた。
    鉱山の名前の文字を芋るだけで気分が高たっおくる。
    いよいよか
    早くも戊闘態勢ぞの意気が高たる。
    埐々に街灯が増え始めた。
    いよいよ鉱山の町ぞ入る。
    町に入り宿泊先を探す。
    小さな田舎町だ。
    町の䞭心地らしき堎所に着く。
    叀そうだがきれいな倖芳の建物が目の前に立぀。
    ここが今日の宿泊先か。
    䞭に入るず映画の䞖界かず思うほどクラシックなアヌリヌアメリカンの䞖界が広がる。
    アメリカの叀い田舎町にありそうな、たたそのむメヌゞを超えるようなホテルだ。
    螺旋階段に鉄栌子付きの゚レベヌタヌ。
    ゚レベヌタヌは珟圹だ。
    鉄栌子を開け゚レベヌタヌの䞭に入る。
    扉からボタンたでクラシックだ。
    Made in USAの良さが光る。
    3階に到着。
    チヌン
    クラシックなベルの音が鳎る。
    目の前に広がるカヌペット、これも期埅を裏切らないクラシックな文様。
    郚屋の前に到着。
    右隣の郚屋を芋るず䜕か曞いおある。
    Ghost


    幜霊
    なんだ
    気にはなったが、よく読たずにずりあえず䞭に入る。
    もちろん郚屋の䞭もクラシック。
    ずこずん期埅を裏切らない。
    ポタン ポタン 。
    氎が垂れる音だろうか。
    バスルヌムの方から聞こえおくる。
    そういえばさっき、Ghost  ずかあったな。
    いやだなぁず思いながら想像を膚らたせおバスルヌムを芗く。
    氎挏れではないようだが 。
     
    1階のバヌで人ず埅ち合わせおいたな。
    荷物を眮いお郚屋を出る。
     
    明日どうなるかな。
    た、明日の颚に任せるか。
    い぀になく早々に切り䞊げた。
     
    期埅しおいなかったけど、危惧しおいた盞方のいびきで眠れない。
    䜓力を考慮し無理にでも眠りに぀こうずした。
     
    期埅しおいなかった鳥のさえずりで目が芚める
    朝らしい朝だ。
    ホテルの通内を散策する。
    2階の螊り堎にテヌブルがあり、マフィンずオレンゞ、コヌヒヌなどが䞊んでいた。
    倧䜓ホテルの朝食にはマフィンが぀きものだ。
    オレンゞずコヌヒヌを手に取り倖の景色が芋える方ぞず向かう。
    倖壁䞀面のテラスが広がる。
    昚倜は芋えなかった景色が目の前に広がる。
    目の前には図曞通のようなクラシックなレンガ造りの建物ず小さな山が芋える。
    5月だからか暑くもなく寒くもなく、湿床も䜎く快適な朝だ。
    朝早かったが、リックも珍しく起きおいた。
    準備しお朝食を取りにレストランに向かうず蚀う。
     
    車を走らせレストランぞず向かう。
    暗闇で芋えなかったこの街の景色が広がる。
    たるで叀い映画の䞭にいるようだ。
    小さな野球堎、ベヌブ・ルヌスでも出おきそうなクラシックなフィヌルドだ。
    街の䞭心地から倖れたずころに小さな店が立ち䞊ぶ。
    これたた映画のセットの䞭にいるようなクラシックな店が䞊ぶ。
    Indian motor cycleやHerley Davidson、クラシックなバむクを店先のショヌりィンドりに展瀺しおいる店もある。
    ガ゜リンスタンド䞀぀取っおもおしゃれに芋える。
     
    これたた映画の䞭に出おきそうなダむニングカフェに到着。
    朝なのに 朝だからか 田舎町だからか
    小さい街だからレストランが少ないからか、ここがうたいからか。
    店内は混雑しおいた。
    アメリカ南郚で䞀般的なメキシカンなアメリカンミヌルを遞ぶ。
    味はたずたず。
    量は満足。
    䌚蚈のずころで売っおいたTシャツが気に入り数枚賌入。
    小さなグロサリヌストアで氎を買い、いよいよ鉱山ぞず向かう。
    しばらく車を走らせるず、その姿は意倖にもすぐに珟れた。
    写真で䜕回も芋た鉱山だ。
    実際に芋るずその倧きさがわかる。
    ブルドヌザヌが小さく芋える。
    採掘された跡地は也燥した赀茶色だ。
    こんなにも深く倧きな穎だずは想像はしおいたけれども実物を芋ないずわからない䞖界芳だ。
    車で半呚するにも数分間かかる。
    半呚したずころで道を倖れ鉱山の入り口らしきずころに到着した。
    意倖にも街から近くに鉱山の入り口があった。
    ネバダのタヌコむズ鉱山ぞ向かうには、近くの街から数日かかったのでそのむメヌゞを持っおいたからか。
    鉱山で働く鉱倫のためにできた街だからか。
    恐らく、鉱山での掻動が盛んになり、街は埌からできたのであろう。
    鉱山が街の近くにあるのは歓迎だ。
     
    だだっ広い敷地の䞭にポツンずある建物の小さな扉を開く。
    無駄に広すぎるトむレ。
    アメリカあるあるだ。
    違う扉の向こうに珟堎の責任者らしき人がいる。
    盞方ず友人が話を進めおいる。
    これにサむンをしおくれず。
    入山にあたっおの誓玄曞のサむンだ。
    事なきを埗おいよいよ鉱山の内郚ぞ。
    想像ず異なる鉱山の内郚。
    ポむントに着くたで数分車を走らせる。
    広倧な敷地だ。
    いく぀もの山がある䞭で、ずある敎備されたずころぞ案内された。
    ご぀ご぀ずした岩がごろごろずある。
    地平線が芋えるようなだだっ広い土地。
    ここがいく぀かある䞭の䞀぀の鉱山だ。
    この䞭から青い䞀粒を芋぀けるのか。途方に暮れるよりもワクワクの方が勝る。
    入山が蚱可されたのは2日間。
    準備をしお採掘、ず蚀うより採集䜜業に入る。
    どこから手を付けおよいかわからないが手あたり次第掘る。
    掘る。
    掘る。
    どこを掘っおもどんなに掘っおも青い石は出おこない。
    どこに埋たっおいるんだ。
    目印はない。
    運ず勘だけが頌りだ。
    東京湟にいるたった1匹の鰯を釣るような感芚で、途方もない䜜業だ。
    でも、それが心地良い。
    釣りを楜しむ方なら共感できるであろう。
     
    あたりにもタヌコむズが出おこないので倩を仰ぐ。
    い぀しか絶望感に苛たれたずき、目線の先に青く光るものが芋えた。
    間違いない
    タヌコむズだ
    䞀気に興奮ず幞犏感に包たれる。
    小さいがこの鉱山のタヌコむズらしい淡くも深いブルヌを発しおいる。
    絶望感から䞀転、䞀気にやる気が戻っおきた。
    しばらくするずたた違う方向の目線の先に青く光る物䜓がある。
    タヌコむズだ
    この調子で行けば
     
    ず思ったのも぀かの間、それ以降芋぀からずその日を終えた。
     
    腹ごしらえをしにレストランぞ向かう。
    䜜戊䌚議をするが、䜜戊も䜕もあったもんじゃない。
    完党に運ず勘の勝負。
    食事を終え飲みに行こうず盞方が垭を立぀。
    たたバヌか。
    十数幎前の嫌な思い出が頭をよぎる。
    地元の人たちで集っおいそうなバヌに到着し、ビリダヌド台をテヌブル代わりにしおいた。
    地元の人ず思われる客に話を聞いおみる。
    「タヌコむズを探しに来たんだけず䜕か知らない」
    「あヌ、いろいろ聞いたこずがあるが、興味ねヌな。」
    「酒なら興味あるけど。」
    地元の人たちはタヌコむズに関しおは興味がないようだ。
    あたりの情報局の薄さに飜きおしたった。
    やはり運ず勘の勝負なんだず改めお認識する。
    その倜、リックたちは珍しく早々ずホテルに戻り明日の䜜業に備えた。
     
    2日目。
    昚日ず同じく同じ堎所で朝食を取り鉱山ぞず向かった。
    今日こそは ず意気蟌んでタヌコむズ探しを始めた。
    出ない。
    出おこない。
    党く出おこない。
    本圓に埋たっおいるのかず疑うように䜕も出おこない。
    午前が過ぎあたりにも䜕も出おこないので半ば投げやりになり、足元の岩をピッケルでたたいた。
    するず、岩が欠け青い衚情が芋えた。
    タヌコむズか
    かけらを舐めおみる。
    クリ゜コラだ。
    その埌、どこをどれだけ掘っおも䜕も出おこなかった。
    今回入山を蚱されたのは2日間だけ。
    時間が迫りあきらめざるを埗なかった。
    『たた戻っおくるからな。 埅っおろよ』
    ずいう思いを残しお鉱山を去った。
     
     
    翌幎。
    その思いが珟実ずなる。
    たたリックからのメヌルが届く。
    「おい たた鉱山に入れるぞ 行くか」
    『返事なんかいらねヌだろ 圓たり前だ』
    二぀返事で航空刞を賌入しホテルも予玄した。
    もちろん今回は別々の郚屋で。
    前回のルヌトで鉱山の街に到着。
    前回より少し早く着いたので街䞭を散策しおみた。
    クラシックな銀行やアンティヌクショップ。
    ハヌブショップや雑貚店など小さな町でもいろいろある。
    その䞭でタヌコむズずゞュ゚リヌを扱うショップが1件あり䞭を芗いおみる。
    うん。
    た、こんなもんだね。
    倧した品揃えではなかった。
    そのショップを埌にし、倕食を枈たせ明日に備えた。
     
    再戊の日1日目。
    前回の反省点を螏たえお必芁なツヌルを携え、完璧ずも思えるような装備で出陣した。
    たるで初めお来たかのようなフレッシュな感動を芚える。
    ある意味ここは倧自然。
    い぀来おも良いものである。
    倧きな期埅を胞に掘り始める。
    掘る。
    掘る。
    ひたすら掘る。
    出ない。
    出ない。
    出おこない。
    䜕も出おこない。
    党く䜕も出おこない。
    そもそも地平線が芋えるようなこの広倧な土地のどこに青い石が眠っおいるのか。
    簡単に芋぀かるのは嬉しいしそれに越したこずはないのだが、なかなか芋぀からないからこそ芋぀けた時の喜びも倧きいし、それがいかに貎重なものかずいうこずを身をもっお䌝えられる。
    なんお前向きに取らえおはいたが、本圓に䜕も出おこない。
    そもそも、よく考えおみれば完党装備をしおいれば芋぀かるずいうわけではない。
    装備品は芋぀けた埌に圹に立぀ものである。
    今曎にそれに気付く。
    これたでのむメヌゞや鉱山䞻の知人の話を聞いおいるこずず異なり、あたりの出おこなさに呆然ずする。
    小さな䞀粒でも芋぀かれば䞀気にやる気ず元気がみなぎっおくるのだが、疲劎ず絶望感からか䜕床も倩を仰ぐばかり。
    結局䞀粒も芋぀からないたた日目を終えようずしおいた。
    䞀粒も芋぀からなかったが、入りたいず思っおも普通ではなかなか入れない堎所に入れお、掘りたくおも普通ではなかなか掘れない䜜業ができるこずに感謝ず喜びであふれ、い぀の間にか疲れず絶望感は忘れおいた。
    党おに感謝し、党力で楜しもう
    そう胞に刻み、タヌコむズ探しを楜しんだ。
     
    䜜業に没頭し、気が付くず匷い颚が吹いおいた。
    やがお暗雲が広がり蟺りは薄暗くなっおきた。
    䜜業をするにはちょうど良い気枩だが、颚で土埃が舞い目も明けおいられないほどになっおきた。
    前かがみになっお掘り進めおいたので腰に疲劎感を芚え、盎立姿勢になったその瞬間、突颚が吹き被っおいたキャップが倩高くぞず飛ばされおしたった。
    あっ
    ず思っお行方を远ったが時すでに遅し、倩高く舞ったキャップはそこから10mほど高いずころにある厖のわずかに平らになっおいるずころに着地しおしたった。
    高いずころからだず芋えるが、䜎地からでは芋えない。
    キャップは無くおもいいか、ず思ったが、高地ずはいえここはアリゟナ。
    キャップなしでは頭を守れず熱䞭症にもなりかねない。
    い぀もなら新しいキャップを買えばよいずいう発想が生たれるが、その時はなぜか新しいキャップを買おうずいう発想はなかった。
    限りある時間の䞭、キャップを取りに行くのは無駄な時間であるが、その思いずは逆にもうキャップのある方向に足が向いおいた。
    キャップのある堎所の䜎地たで䞋りお行き、芋䞊げる。
    キャップは芋えない。
    登れない角床ではないので厖に足を螏み入れるず、现かい岩が簡単に厩れお登り難い。
    ふず芖界にオレンゞ色のものが入った。
    安党を管理しおいる譊備員の蛍光ベストだ。
    そこで蚘憶の時間を戻し、䞀通の玙を思い出す。
    確か、サむンをした誓玄曞には、決められた管理倖の堎所に立ち入ったり、厖に登ったり危険行為ず思われる行動をしおはいけない、ずいうような内容の文蚀があったこずを思い出した。
    出入り犁止になっおは元も子もないので、仲良くなった譊備員が近くにいたので声をかけた。
    『颚でキャップが飛ばされおあの蟺りに萜ちたんだけど取りに行っおいいかな。』
    「うヌん。 ほんずはだめだけどな。 すぐ降りおくるならいいよ。」
    『わかった。 ありがずう。』
    身軜なので公園の砂堎の山を登るように、足元がすべりながらもひょいひょいず厖を登っおいった。
    䞋からは芋えなかったが予枬しおいたキャップがあるであろうずころの割皋床のずころたで登るず飛ばされたキャップが芋えた。
    ほが予枬した通りの䜍眮であった。
    1mもないくらいのわずかな平らな足堎があり、そこにキャップが着地しおいた。
    キャップを拟い䞊げた瞬間、衝撃の光景が広がった。
    岩に走る青い皲劻だ。
    うわ
    声には出さなかったが衝撃が走った。
    こんなにも倧きくお真っ青な皲劻が走っおいる岩が目の前にある。
    たるで神様がここだよず教えおくれたかのように颚に飛ばされたキャップの䞋に青い皲劻が走っおいた。
    思わず岩を持ち䞊げようずしたが埮動だにしない。
    呚りにある现かい岩を掻き分けお動かそうずしたがビクずもしない。
    銅の成分を含んだ赀茶色い岩は芋た目以䞊に重い
    䞀心䞍乱に倢䞭になっおいるず、フィヌずいう音が䞋から聞こえた。
    聞こえた瞬間それが䜕であるか解った。
    䞋を芋るず譊備員がゞェスチャヌで䞋りおこいの合図を送っおいる。
    それもそうだ。
    すぐ降りおくるなら良いず蚀われおいたからだ。
    無念にもその堎を離れお急いで降りる。
    興奮冷めやらぬ䞭、譊備員に。
    『あそこでタヌコむズを芋぀けたんだ でも倧きいんだ 道具を持っおくるから取っおきおいいかな』
    「うヌん。 倚分だめだな。」
    『そこをなんずか頌むよ。』
    「うヌん。 こればかりは決たりだからな。」
    『わかった。 ちょっず埅っおくれ。』
    しばらくするずリックが䜕かを察しおこっちに歩み寄っおきた。
    『こんなにでっかいタヌコむズをあそこで芋぀けたんだ 倧きくお重くお動かそうず思っおもビクずもしねえんだ。』
    『倚分、テコの原理かなにかでシャベルずか䜿えば動きそうな気がするんだけど。』
    そこでリックが譊備員に亀枉に出た。
    「頌むよ。 なんずかなんねヌか」
    「たた䜕か䜜っおやるからよ。」
    仲良くなったその譊備員はたたたたむンディアンゞュ゚リヌが奜きなや぀だった。
    先日、圌が我々を圌の自宅にガレヌゞ案内しおくれお、圌のコレクションを芋せおくれた。
    その時、リックがバックルを䜜っおあげる玄束をしおいたのだ。
    それもあっお、仲良くなっおいたので盞談し易かった。
    「わかった。」
    「今はダメだが明日の朝早くだったらいいぞ。」
    「さすがだ、ブラザヌ ありがずう。」
    その時、すでに明日に照準を合わせおいた。
    この匷颚だず䜜業は無理だな。
    今日はここたでずするか。
    興奮の䞭、珟堎を埌にする。
     
    興奮冷めやらぬ䞭、䜜戊䌚議を兌ねお倕食を取る。
    「どのくらいでかいんだ」
    『このぐらいはあったな。 でもタヌコむズが走っおいるのはこのくらいだ。』
    「たじか」
    『でも、いくらやっおもビクずもしねえんだ。』
    『倚分、スコップずかでおこの原理か䜕かを䜿っお掘り起こすしかないかな。』
    『でかくお重いから掘り起こしお䞋たで転がすか。』
    「そうだな。」
    た、ずりあえずやれるこずはなんでもやっおみよう。
    䜜戊䌚議は2分で終わった。
    ずりあえずやるしかない。
    それに尜きる。
    食事を枈たせレストランから倖に出た。
    
    その景色に䜕か違和感を芚えた。
    『おい』
    『雚だ』
    『雚だぞ』
    「おヌ」
    「やったな」
    「今日は早めに戻っお早めに寝お明日に備えるか」
    酒奜きのリックが珍しく飲みに行くこずをしなかった。
    雚は倧歓迎だ。
    青が光っお芋える。
    神様が味方しおくれたんだ。
    そう信じた。
    明日が埅ちきれない。
    今日は早めに寝よう。
     
    興奮のうちに眠りに぀き朝を迎えた。
    再戊2日目
    晎れた。
    晎れでも雚でも良かった。
    準備を敎えい぀もの劂くい぀ものレストランで早々ず朝食を枈たせ埅ち合わせ堎所に向かう。
    埅ちきれず、かなり早く到着しおしたった。
    よし 決戊の時だ
    珟堎に向かう。
    暑くもなく寒くもなく雚䞊がりの絶奜の陜気だ。
    こんな日はなかなかない。
    タヌコむズを芋぀けたポむントに向かう。
    おおよその堎所はわかっおいるが、念のため䜎地に印を぀けおおいた。
    あの譊備員から泚意が䞎えられた。
    「いいか。 他の譊備員も芋おるから、俺が合図したら行け。 たた合図したらすぐに降りおこい。」
    『わかった。』
    譊備員はあたりを芋枡し、
    「よし 行っおいいぞ」
    道具を携えお厖を登る。
    リックも膝ず腰に爆匟を抱えたたた巚䜓を揺らしお厖を登る。
    気のせいかい぀もより軜快に芋える。
    ポむントに到着した。
    『これだ。』
    蚀葉を発しなったが目を芋開いたリックの笑みがこがれる。
    無蚀でお互いにグヌタッチを亀わす。
    先ずは動かしおみるが、やはり埮動だにしない。
    力のあるリックも動かしおみるが、わずかに揺れる皋床だ。
    呚りを囲んでいる现かい岩を取り陀き、スコップを差し蟌みおこの原理で動かしおみる。
    動いた
    少し浮いたずころに぀るはしを差し蟌み持ち䞊げるず党貌が芋えた。
    倧きな岩だ
    これは䞀人では動かせない。
    そんな倧きさの岩だ。
    浮かせた岩を持ち䞊げるずその䞋にたた岩があった。
    曎に目を芋開いたリックず自然ず目を合わせた。
    その岩にも青い皲劻が走っおいた。
    思わずグヌタッチ
    䞋にあった岩は取り難かったが䞊に乗っおいた岩よりは小さかったので容易に取れた。
    心配そうに芋おいた譊備員に泚意を促し、先ずはスコップを䜿っお倧きな岩を䜎地に転がした。
    次に小さい方の岩を䜎地ぞず転がした。
    時間も経っおいるし呚りの譊備員の目が気になっおいたので、滑るように䜎地ぞず降りた。
    リックが降りおこない。
    よく芋るず䜕かを拟っおポットに入れおいる。
    降りおきおから聞いおみるず。
    「芋぀けたぞ。」
    ず小さな数個の青い石を芋せた。
    倧きい岩ばかりしか気にしおいなかったので呚りが芋えなかった。
    改めお萜ずした岩を芋る。
    土埃をはらうように掗い流す。
    鮮やかな青い皲劻がきれいに走っおいた。
    䞀か所ではなく、青いスポットがいく぀か点圚しおいた。
    もう䞀か所はロむダルブルヌず呌ばれるであろう鮮やかな明るいブルヌスポットが茝いおいた。
    にやけたお互いが芋合わせお無蚀のグヌタッチを亀わす。
    喜びず興奮も぀かの間、ある問に気付く。
    蚀葉は亀わさなかったが、恐らくリックも同じこずを考えおいたに違いない。
    これ誰のものだ
    発芋した私のものか。
    この話を持っおきたリックのものか。
    山分けか。
    恐らく、お互い山分けを考えおいたであろう。
    そんなこずを考えおいるうちに目先の問題があった。
    「これ、でかくお重いから、割るか。」
    『そうだな。 タヌコむズが芋えおいないずころをそぎ萜ずしおみよう。』
    割っおみるず青い皲劻が走っおいる郚分は思ったより、思った通り、そんなにはなかった。
    母岩の郚分をそぎ萜ずし、皲劻の走っおいるずころを車の荷台に乗せた。
    採掘蚱可された時間はただあったが、すでに達成感ず幞犏感に包たれおいた。
    でも、せっかくここに足を螏み入れるこずができたのだから、ぎりぎりたで掘った。
    だが、出ないもんだな。
    タヌコむズはそう簡単には顔を出しおくれない。
    それなのにあんなに倧きな皲劻が顔を出しおくれるなんお奇跡に近い。
    いや、奇跡だ
    その埌のこずはよく芚えおいないくらい興奮状態で採掘をしおいた。
    時間が迫る。
    リックはもう終わったかの様子だ。
    私もなんずなく満足しおいた。
    時間になり䜜業を終えた。
    仲間の譊備員ず再䌚を玄束し珟堎を埌にした。
    ホテルに戻り䞀息぀く。
    倢芋心地でお互い蚀葉は発しなかったが笑顔で溢れおいた。
    たるで倢かリアルな映画を芋おいたかのようであった。
    早々ずホテルのチェックアりトを枈たせ、興奮冷めやらぬ䞭、鉱山ず街を埌にした。
    たたな
    そのたた空枯のある街に向かった。
    垰りの車の䞭で頭の片隅にあった䟋の問題を解決しなければならなかった。
    これ誰のもの問題、である。
    早々ずリックが口火を切った。
    「あの岩、タヌコむズあたり入っおねヌな。」
    その時私は悟った。
    これは牜制だな。
    でも、私の䞭ではもう心は決たっおいた。
    『それ、お前のだよ。』
    「䜕」
    『だから、党郚お前のだよ。』
    『お前が話を持っおこなかったら、がくはここには来られおないし、採掘もできなかった。』
    『この青い皲劻を芋぀けるこずもできなかった。』
    『遡れば、ボクはむンディアンになるこずもできなかった。』
    『だから、あれは党郚お前のだ。』
    心残りはあったが感謝の気持ちで溢れおいた。
    十分倢叶えたし、倢を楜しんだ。
    その幞犏感ず達成感で溢れおいた。
    リックの心の䞭での嬉しさずYES!のポヌズが私には䞞芋えだったが、それを必死に隠し、眉間にしわを寄せながら目を合わせるこずなくたっすぐ前を芋えたたたこぶしを私の方に向けグヌタッチを求めた。
    それがなぜか面癜かった。
    今たではリックの手䞋扱いだったが、その時はリックの䞊に立った気分だった。
    䞀泊する予定の空枯に到着。
    垰り際にリックがポケットから䞀粒の小さなタヌコむズを差し出した。
    「これをお前にやる。」
    「最高のや぀だ。」
    最高のや぀、ではなかったが気持ちは䌝わった。
     
    垰囜埌。
    蚘念に少しでも持っおおけばよかったず埌悔の念が走り、やっぱりあの倧きな岩の䞀郚をくれず盞方にお願いしおみた。
    断られるか蚀葉を濁すかなず思ったが、あっさりOKだった。
    この郚分が欲しいず堎所を指定しおお願いしたが、垌望ずは異なる堎所を瀺しおきた。
    いやいや、ここだよ。 ここ
    いやらしくもわかりやすくマヌク画像付きで芁求した。
     
    数日埌。
    箱にいかにも、な手曞きで「amazon」ず曞かれた箱が届いた。
    箱を開けるず、マヌクした通りの堎所のロむダルブルヌが入っおいた。
     
    粋なこずしおくれるぜamazon。
     
     
     
    アリゟナのタヌコむズ鉱山での奇跡の発芋から9幎。
    リックが初めお日本に来るこずになった。
    久しぶりの再䌚だ。
     
    䌚えば必ず圓時の話になる。
    ネバダのタヌコむズ鉱山を発芋した時の話。
    アリゟナの鉱山で奇跡の発芋をした時の話。
    飲んだくれおは暎れおいた時の話。
    話せばきりがない。
    聞いおいなかった話が出おきた。
    初めお䌚った時の話だ。
    出䌚ったその瞬間でもお互いの芖点で異なる印象であったこずを知った。
    奇跡の発芋をしたずきもお互いの芖点で印象が異なっおいた。
    私の芖点は厖の䞊から。
    リックの芖点は厖の䞋から。
    圓たり前だがその時の自分の様盞は自分で芋るこずはできない。
    厖の䞋で埅ち受けおいたリックからの私の印象を聞けたのは興味深かった。
    「お前、目をたたんたるくしお厖から駆け䞋りおきたんだぞ。」
    そんなに興奮しおいたんだ
    そりゃそうだよな。
    あれだけのものを発芋したんだから。
     
    そしお、初めお䌚ったずきのこず。
    リックのスタゞオは斜面の䞊に建っおいた。
    私は斜面を登っおスタゞオに向かった。
    私の芖点は厖の䞋から。
    リックは腕を組んでワヌクベンチに座っお埅っおいた。
    リックの芖点は厖の䞊から。
    「お前、自分の背䞈の倍以䞊誇匵しおあるバックパックを背負っおこっちに向かっおきたんだ。」
    「おれがバス停たで向かいに行っおやるっお蚀ったのに、お前は倧䞈倫行けるっお䜕床聞いおも断ったんだ。」
    そうだったっけ
    それを蚀ったのは芚えおいない。
    でも、自分でもそう蚀いそうだなず思った。
    遠慮もあったし、自分の脚でそこたでたどり着きたいずいう想いがあった。
    背䞈の倍以䞊か
    面癜いこず蚀うじゃないか、兄匟。
    初めお䌚ったずきは怪しい者ず疑われおなかなか信甚しおもらえなかったが、今ではこうしお圓時のこずを笑っお話せるようになっおいる。
    こんな日が来るずは思っおいなかった。
    お互いの印象の話をしたのが意倖にもこれが初めおであった。
    数十幎経っお初めお知った事実がいく぀もあった。
     
     
    これたでも私の冒険の話に興味を持っおくださる方がたくさんいた。
    振り返れば30数幎前たで遡る。
     
    圓時、ずあるむンディアンゞュ゚リヌショップで販売員をしおいた。
    数か月に回、私の話を聞きに来おは商品を買っお垰る女性がいた。
    い぀ものように売り堎に来たその女性が、
    「あなたの話、面癜いわ。」
    「あなたの話を聞くのをい぀も楜しみにしおいるの。」
    「あなた、本を曞きなさいよ。」
    『がく 、実は 、字の読み曞きが苊手なんですよ 。』 
    『囜語が苊手で、成瞟はい぀も1か2。 本のペヌゞを読むのに数時間。 400時詰め原皿甚玙の䜜文を曞くのに日かかるんです。』
    「倧䞈倫よ ゎヌストラむタヌなんおいくらでもいるんだから。」
    「私がなんずかするから。」
    「私、こういうこずやっおいるの。」
    ず、名刺を差し出した。
    「䞭倮公論ずいうずころで線集の仕事をしおいるの。」
    「こういうの埗意だから任せお。」
    『䞭倮公論お、あの、小さい字がいっぱい曞いおある、絵も写真もないこれくらいの倧きさの本ですよね。』
    「笑 そうそう。」
    「ラむタヌにい぀も話しおいるこずをそのたた話せばいいから。」
    『わかりたした。 それならできそうです。』
    『時間はかかるず思いたすが、話す内容をたずめたす。』
    読み曞きは苊手ながら、時間を芋぀けおは箇条曞きのように曞いた。
     
    数か月経ち、ある皋床たずたったので、い぀ものようにその女性が来るのを埅った。
    ずころが、い぀も、か月に回は来店するはずがなかなかお芋えにならない。
    さらに数か月が経っおしたったある日、所属しおいた䌚瀟の瀟長が、
    「あのお客様、先日起きたフィリピンの地震で接波にのたれお亡くなったらしいのよ。」
    『えっ 。』
    たさかの出来事に蚀葉を倱った。
    本になったのを芋せおあげたかった。
    このきっかけをくださったのも、あのお客様のお陰だ。
    よし 曞き続けよう。
    そう心に決め、苊手な文章曞きをコツコツず続けた。
     
    10幎以䞊経過したある日、䞀通のメヌルが届いた。
    「関西テレビの○○ずいう番組を担圓しおいる○○ず申したす。」
    「○○が叞䌚の〇〇ず蚀う番組であなたの掻動を番組で玹介したいのですが、是非ナバホ居留地に同行させおいただけたせんでしょうか。」
    ずいった内容のメヌルだった。
    掻動を玹介しおくださるなんおありがたい。
    少しでも掻動が広たっおくれればいいな、なんお思い快諟した。
    「ナバホ居留地の撮圱班ずは別に日本でも撮圱をさせおいただきたいのです。」
    「日本から単身で離れ、遠くで掻躍しおいる方ぞ日本にいる家族から手玙が届き、芖聎者を感動させるずいう趣旚の番組なんです。」
    「ご䞡芪、たたは埡父母どちら様かでも結構なのですが、ナバホ居留地にいる貎殿に手玙を曞いおいただき、その様子を撮圱させおいただきたいのですが。」
    『可胜は可胜なのですが 』
    『実は父ずは瞁を切っおおり、母は認知症でたずもに察応はできないず思いたす。』
    「そうですか 。」
    『叔父ではだめですか』
    「昚今、コンプラむアンスが叫ばれおいるので、ダラセはできないんですよ。」
    『そうですか 。 それですず難しいですね 。』
    その時は母の認知症の症状が進み、䌚話も難しい状況だった。
    残念だったがこの話は断る他なかった。
     
    それからたた10数幎埌のこずである。
    少しず぀少しず぀曞き溜めた文章をそろそろ䜕かの圢にしたいず思っおいた。
    せっかくコツコツず曞き溜めおいた文章が無くなっおしたうず困るず思い、新しいHDDを賌入し、コピヌを保管するこずにした。
    HDD泚文し、届くのを埅った。
    HDDが配達される予定の30分前、䜿甚しおいたPCのHDDが突然反応しなくなっおしたった。
    壊れおしたった。
    たくさんの居留地での思い出の写真や、コツコツず曞き溜めた文章が䞀瞬にしお消えおしたった。
    『うそだろ 。』
    HDDの修理専門業者に修理しおもらおうず業者を蚪れたが、埩掻する可胜性は䜎いず蚺断された。
    せっかく曞き溜めた物語が消えおしたった。
    これは詊されおいるかもしれない。
    そう思い、読み曞きが苊手な私であったが、䞋曞きの䞀郚を探しお぀なぎ合わせ、蚘憶を元に新たに曞き始めた。
     
    それからさらに10幎ほど経った。
    むベントなどで䜓隓を話す機䌚が倚々あった。
    その床に私の話に興味を持っおくださる方々が珟れた。
     
    物語を文章にしお発衚しようずするず、その話がなくなったり、文章が消えおしたったり、発衚の予定がキャンセルになったりず、発衚するこずが長幎叶わなかった。
    今振り返るず、発衚できなかったのは、
    この物語にはただただ続きがあり、発衚するのはただ早い、
    ずいうこずだったのかもしれない。
    もし、この物語が皆さたの目に留たったのであれば、無事発衚できおいるずいうこずだろう。
    ずいうこずは、物語はこれで終わりなのか
    いや
    物語はただただ続く
    冒険はただ始たったばかり。
     
     

    人生の旅はただただ続く。
    ホヌムレスのむンディアンの家族はMOMOTAROのきび団子のように、人生の旅を続ける私にたくさんの倧切な気付きを持たせおくれた。

    ホヌムレスから寝る堎所を䞎えおもらい。
    ホヌムレスからパンをもらい。
    ホヌムレスから食べ物がもらえる堎所を教えおもらい。
    ホヌムレスに枩かいコヌヒヌをごちそうしおもらい。
    ホヌムレスがリックぞの瞁を繋げおくれた。
    街䞭でリンゎの朚を芋぀け、
    ホヌムレスの仲間にその堎所を教えた。
    ただ分かち合うだけで、お金は枛っおいない。
    それどころか、
    仲間が増え、
    感謝が増え、
    経隓が増え、
    瞁が぀ながった。
    それなのに、お金はかかっおいない。
    それを考えるず、
    500ドル“しか”持っおいなかったのではなく。
    500ドル“も”持っおいたのだ。
    満たされおいるず思うか、足りないず思うか。
    物事、出来事は誰の目にも同じだが、それをどう捉えるかは自分次第だ。

    むンディアンのホヌムレスずは、家が無い人たちではなく。
    家が芁らない人たちのこずだ。
    地球が家だから。

    知識や経隓を分かち合い、
    食料や氎を分かち合う。
    誰もが皆家族だから。

    人皮や性別、芋た目や囜籍も関係ない。
    困っおいる人や動物を芋かけたら助ける。
    ただそれだけだ。
    家族だから。

    倚くの人たちは、
    氎や食料、
    資源や財産、
    それらを倱うのではないか、
    手に入らなくなるのではないか、
    ずいう芋えない䞍安ずいう盞手ず戊っおいる。
    自らの想像で創造した盞手だ。
    家族であれば分け合うだろう。
    争わないだろう。
    䞎えあうだろう。
    圌らはそれを自然に行っおいる。
    皆地球ずいう家に䜏む家族だから。
    人ず人、
    動物ず人、
    それらの間に線を匕く必芁はない。
    独占するよりより分け合い、
    奪い合うより䞎え合えば、
    党おが回る。
    地球のものは、
    皆のものだから。

    ホヌムレスのむンディアンは家も金も持たず、今あるもので気たたに過ごす。
    倱うものがないから、
    倱うのではないかず蚀う䞍安も生じない。
    倱っおも生きおこられた。
    圌らは生き抜く術を知っおいる。
    倱ったずしおもたた立ち䞊がれるこずを知り、経隓しおいる
    芋えない䞍安ずいう敵を創らず、平和に生きおいる。

    この物語ができたのは、埌悔しないように、やりたい、なりたい、挑戊したいず思ったこずをやっおきたからであろう。
    振り返るず、わくわくするこずに向かっおひたすら走っおいた。
    たっすぐ芋お走っおいるず呚りが芋えなかった。
    そのために消費した犠牲も倚かった。
    でも、埌悔はしおいない。
    自分に嘘を぀かず、心の声を聞き、自分が遞んだ道を進んだこずに埌悔はない。

    飜くなき探求心ず情熱。
    これらが、叶えられた倢を䜓隓する原動力になっおいるのかもしれない。
    わんこが旅立ち、䞀番倧切なものを倱った。
    これ以䞊倱うものは無い、
    䜕を倱っおも良いずいう思いが自分を解き攟ち、
    魂の欲求に埓った行動に出た結果、倢を䜓隓するこずができたのであろう。

    私は䜓隓した。
    必ず䜕ずかなる。
    必ず助けられる。
    い぀からでも遅くない。
    倧䞈倫。
    だから、
    魂の震える旅をしよう

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    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

     
     
    囜語の成瞟はい぀もか。 400癟字詰め原皿甚玙行曞くのに時間。 本ペヌゞ読むのに日。 読み曞きが苊手ですが、ある方の遺蚀を胞に困難を乗り越えお20幎以䞊かけお䜓隓談を完成させたした。 党くの玠人で囜語が苊手な人間が曞いた文章ですが、興味を持っおくだされば嬉しいです。

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