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左の耳がふにゃふにゃ

    左の耳がふにゃふにゃである。はっきり言ってヘタレ耳だ。

    どのくらいヘタレかというと、マスクのゴムの強度にも耐えられず、だんだん餃子のように折り畳まれ、ちょっと下を向けば左のゴムだけ外れるからしょっちゅうかけ直している。このままだと、うちの犬の耳みたいに自らの重みに耐えきれず垂れてきてしまうのではないかと思うほどのヘタレ具合である。

    インカムは、

    耳に引っ掛けるものといえば、インカムがある。
    広い場所でスタッフ間の連絡やタイミングを計る道具。イベントやレストラン等でも使用されるし、ウェディングの現場でも支給され強制される、あの厄介なもの。

    私は本当にインカムが苦手だ。ガヤガヤしている会場では大変聞こえにくい。自分が仕切る場合には、ほぼ使わない。そのほうが無課金おじさんみたいでかっこいい。(勘違い)
    すぐに耳からポロっと外れてしまうのは苦手意識からなのか。いや単に左耳がヘタレだからだ。だったら右耳にすればよいのに、わざわざヘタレのほうにする。昭和の習性、利き耳なのだろう。よく聞こえるような気がする。

    インカムは便利には違いない。円滑な運営に一役買っていると思う。先日行った式場ではキッチンからホールから演出陣からひっきりなしに声が飛び交い、「次の料理出してー」とか「新婦がトイレに行ってます」とか「スクリーン下ろしまーす」とか「イントロ30秒でドアオープンです」とか「ドリップソースが固くて垂れません!」とか「Aテーブルにジントニックを1つ」とか、、

    それはそれはもう、自分には要らない情報も全て共有される。なんなら普段の会議もインカムでやったほうが報連相(ホウレンソウ)が徹底されるのではないかとさえ思う。司会者はインカムをしながらよくしゃべれるなーと感心し、私はヘタレ耳のせいにしてインカムをそっと外す。外したところで業務に支障はない。


    電話は、

    昭和の習性とは電話だ。「受話器を左手で持ち右手でメモを取るのだ」とその昔教えられた。この世の中は右手が利き手だという前提で全てが作られている。固定電話や公衆電話は、受話器と本体をつなぐグルグルのコードが左側にある。もしかして私の利き耳が左耳になったのも、そしてヘタレになったのも、長年にわたり受話器をペタッとつけていたせいなのでは?(いや違う)

    スマホは左利きの人にも優しいユニバーサルデザインだ。男女平等、左右も平等。コードレスはボーダーレス。決めつけず、偏見をなくし、男も女も左右の耳も、役割分担から協働へと大きく舵を切ったのである。

    スマホは左耳縛りがなくどっちの耳でも自由だが、利き手は空けておいた方が何かとよい。私は右利きなので、相変わらずスマホを左手に持ち、左耳を寄せる。
    昭和の習性をひきずり、何も考えずに画面に左耳を寄せ「もしもし」などと言っている。「よく聞こえないなー」とくっつけすぎて耳で電話を切ってしまう。

    ふん、ヘタレの癖に!

    スマホはいったいどういう持ち方を想定し作られているのか?どこから音が聞こえてくるのだろう?なんて言っているうちにワイヤレスイヤホンが登場してうやむやになった。

    片耳イヤホンは、

    インカム同様、イヤホンに縛られたくない。
    耳を占領され、支配されるのは苦痛だ。例えるなら「口を開けて、はい、あ~ん」と強制的に食べ物を放り込まれるような感じだ。

    しかしコロナ禍以来、オンラインの会議やセミナー、接客が多くなり、私はワイヤレスの片耳イヤホンマイクを購入した。

    さて、これはどっちの耳にしようか。耳掛けフックを見ると、右耳に沿う形になっている。

    ははーん、右耳にするのか。

    ハンズフリーだから右利きでも右耳で良いのだな。昭和の古い常識とはこれでオサラバだ。メモでもキーボードでも問題ない。

    何も考えずにイヤホンを右耳にしていたら、ある時気づいた。
    耳掛けフックはどちらの耳にも対応するよう、取り外し可能ではないか!!どっちでもいい……右でも左でもどっちでもいいのだ。

    左右平等に加えて、我々は自由だ。

    ……利き耳の左で音楽を聴いてみようかな。
    本当のところ音楽は両耳で聴く方がよいのだが、両耳イヤホンで憂き世の全てをシャットアウトできない現実が、私を利き耳イヤホン欲へと突き動かす。

    「あぁ神様…せめて、せめて利き耳で聴かせてください…」

    イヤホンを左耳に装着すると、心なしか音楽がすんなりと入って来る。カフェの空間に流れるBGMのように、心地よく聞き流しながらこのように無駄な文章を書くこともできる…ような気がしないでもない。利き耳だからしっくりくる…と言えなくもない。

    「右から左へ受け流す~♪」なんていうが逆なのではないか。左がインプットで右がアウトプットだ。(仮説)

    ただ、やっぱりイヤホンもポロっと落ちる。左耳は今日もヘタレだった。


    どちらでもお好きな方で


    自由って素晴らしいし大変ありがたいんだけど、イヤホンをしようとするたびに、右or左と選択・決断を迫られるのはめんどくさい。

    正直どっちでもいいものに対して「どっちがいい?」と聞かれるほど答えに窮する事はない。(※ここでどっちでもいい例を出したいが、長くなるので割愛する)

    私はめんどうなので予め決めておこうと思った。法則があるのならそれに従おうと、いっそ自由を放棄する。

    早速ググれば、左耳は右脳に、右耳は左脳に繋がっているとかいないとか。難しいことはさて置き、要するに

    音楽を聴くときは左耳で、オンライン会議は右耳で聴くがよい、とのお告げ。

    はい、そうします。
    私は今後そうします。


    つまり、ふにゃふにゃしてるような奴に大事な仕事を任せてはいけないよ、ってことなのだ。

    インカムを右耳にしたら、もう少しうまくできたのにと思う。


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    本当にどうでもいい、毒にも薬にもならない話です。
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    結婚式を中から見た四方山話ほか日常茶飯事をエッセイに綴ります。(2000字) 嫌いな食べ物はあんこ。他SNSとは連携していません。@福島県

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