
ウェディングソング
朝ドラ『ばけばけ』の主題歌、”笑ったり転んだり”
主役のふたりが歌っているんじゃないかと思うくらい映像やドラマの雰囲気とピッタリで、誰が歌っているのかと世間がざわついた。
ハンバートハンバート
お姿は存じ上げなかったが、その名前には憶えがあった。何年か前にウェディングで一度、使ったことがある。なんていう曲だっけ?とPCの中を探ると、確かに1曲だけあった。
『長いこと待っていたんだ』という曲だった。
ずっと夢に見てたことが いま目の前で始まる
ぼくは夢を見ているのか そうここは舞台の上
ウェディングにぴったりの曲である。
この曲でお色直し入場したあと、ハンバートハンバートのふたりのように、新郎がギターを弾いて新婦が歌を歌った。かすみそうのブーケを持っていた。
音楽好きの新郎新婦が使う曲というのは、新しい出会いや発見があって楽しみの一つだし、個性的な選曲をするとこのように後々、曲と共にふたりの顔やその時の情景が目に浮かぶことがある。
懐かしくなって進行表を引っ張り出してみたら、端っこに走り書きがあった。
きっとふたりの好きな曲をたくさん聴かせてもらって歌詞をメモったんだろう。これがふたりの間に流れる雰囲気、ウェディングテーマだ。
ウェディングにピッタリ
私が持っている曲はウェディングに適したハッピーな曲ばかりだ。PCの中にも、CDやMDにも、失恋ソングや別れの曲など一つもない。定番の曲は一通り揃え、TVや街なかで流れてくる最新曲を聴くといつも、「これは入場に使えそうだな」とか「花束贈呈に合いそう」とか「ウェディングで流行りそう」とかアタリをつけていた。
音楽にはあまり興味が無いというふたりに
「例えばどんな曲がありますか?」
と聞かれた時には、お通しの枝豆みたいにサッと出す。
「曲は全部お任せで」
という時には、定番の中からその場に合いそうな曲を選ぶ。焼き鳥で言ったらモモのタレ。お任せで最初っから砂肝とかレバーは出すまい。クセ強で好みが分かれるものは避けたい。
でも終始面白みがなさ過ぎてもいかんだろう。せめてネギマ的な…うーん迷う。
「できれば何かヒントを!」
傾向と対策だ。好きなものは無くてもせめて嫌いなものだけでも教えてください。例えばディズニーって定番中の定番だけど意外と使いたくないって人多いのよねー。
それか「ビールに合うもの」といったザックリした希望でもいいので。
そうすれば玄人はウェディングにもビールにも合うディズニー以外の曲を見繕います…
ふたりにピッタリ
しかし、音楽好きの素人(新郎新婦)というのは最強だ。
こういうものだと凝り固まっていない。あまり雰囲気に合わなそうな曲も自由に選び、「これ使いたいんですけど、どこでかけたらいいですかね?」と斜め上の曲を提示したりする。しかも「ふたりの思い出の曲なんです♡」というラブなエピソード付きだったりする。
ある時は縦ノリのハードロックだったり、またある時にはイカついラップや脱力レゲエ、はたまた昭和の名曲だったりする。
チャペルの人前式でしょっぱな三木道山とか、お父さん歩きにくそうなんだけど!!笑
挙式だからって結婚行進曲をかけるほど野暮じゃないし、あたしゃ確かに言ったよ、「人前式は自由です」って。ふたりも緊張しないように和やかな雰囲気を希望した。
だから今、まじめに楽しく「一生一緒にいてくれや♪」って裏ハク入場してる。
お父さんっていうのは歩きにくそうに歩いてなんぼ。リハーサルにリハーサルを重ねて上手に歩かせるなんて事はそれこそ野暮ってなもんだ。
…なんか…泣けてきたんだけど。三木道山の裏ハクで娘の手を新郎に差し出したお父さんのぎこちない挙動がツボるとは。
*
洒落たパーティー会場でお待ちかね、MCの「新郎新婦ご入場です」に期待がマックスになったところで『瀬戸の花嫁』がタリラ~♪と響く。
全員ズコッとなりそうなところをこらえてざわつく。でもふたりがご満悦な表情で入場してくると「あいつららしいや」となったりする。その光景を肌で感じた私も心の底から納得する。そう、不思議としっくりくるのだ。もうこの曲以外ありえない!という程に。
*
さらに、セトリも奔放だったりする。
BTSからの吉田拓郎、からのガガ様からの秦基博&AKBとか。こりゃブッフェに行って最初にスイーツ食べてからの寿司、からのカレー&チャーハン♪うわ、ここにきてオムレツもあるわ!からのカニ!明らかにチャーハン余計だったよね…お腹いっぱい…的な。順番!そして組合せ!
なるほどですね、全部いい曲ですよね、少しお茶飲みましょか、一旦ご歓談を挟んで…と。
しかし、そんなめんどくさいことを考えるのはプランナーの独りよがりなのである。
「俺はいいけどYAZAWAはなんて言うかな…なーんて嘘、いいのいいの、I Love You,OK!やっちゃえオッサン!」
とYAZAWAは言うだろうし私も言う。
現場にいる人だけがわかる不思議な合致の正体、それは、その場に合う曲ではなくふたりに合う曲だからなのだ。よって、選曲に悩んだからといって『ウェディングにぴったりの曲を集めましたbyゼクシィ』的な企画もののCDを買う必要はない。
思い出になる
そんな、個性的な選曲からの不思議な合致をみせた曲は、私の好きな一曲になる。ハンバートハンバートさんにも素敵な曲はたくさんあるけれど、その中のたった一曲が『〇〇さんのウェディング』と紐づいている。
あのふたり、元気かな?
今ごろ『ばけばけ』を観ながら「お!ハンバートハンバートだ!」と、ウェディングのこと思い出してるかもしれないな。
思い出とはそういうものだ。
現場からは以上です。
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