
【嘘日記】セルフレジ
けっこうカゴに一杯になってきた。
あぁ、カートも持ってくればよかった……
今からカート取りに行けばいいんだけど、カートは入り口付近にあるからカゴ持ったまま行くと万引きと間違えられちゃう。
一瞬カゴを床に置いてササっとカート取りに行ってもいいけど、カゴを床に置き去りってちょっと気が咎める。店員さんに言えばいいんだけど、皆さん忙しそうで声かけずらい。
たかだかスーパーでの買い物で何で私はこんなにいちいち気を遣うんだろう。
性格だからしょうがない。私はそのままカゴを持って買い物を続ける。
牛乳2本が重い。最後に牛乳入れればよかった。でも特売の牛乳は残り6本だった。私が2本とって残り4本。これもちょっと気が咎めるけど、うちは牛乳消費量が半端ではない。特売日に買わないと。家計のためだ。
ピコピコ。
LINEの音が鳴る。
がぁっ!
重いカゴを右手に持ち替えて左手でジーンズの後ろポケットに入ったスマホを出しLINE画面を開ける。
まだ買い物中?間に合えはチューハイ2本お願い!
ぐっ……
なんでこの人はこんなにいつもタイミングが悪いのか……
自分でコンビニにでも行け!と言いたくなるけど堪えてOKスタンプを送る。
チューハイ500缶2本をカゴに追加。
重っ!
はぁ、何でたかだかスーパーでの買い物でちょっと泣きそうになるんだ……
気を取り直してレジに向かう。
カゴにたくさんだから有人レジにしようと思ったら大行列。うわっ!こんな重いの持って待つのきついなぁ。
「セルフレジ、すぐにご案内できま~す!」
店員さんの声が声高らかに。
はぁ、セルフレジにするか。セルフレジ、ちょっと苦手なんだよな……
ふぅっ!と気合いを入れてセルフレジに向かう。
あ、エコバックひとつしか持ってきてないや。むー、レジ袋1枚買うか。
大小どっちにしよかな。カゴの中を見る。小でもいけそうだけど、入り切らなかったらやだな。
大にするか。6円かぁ、まあしかたない。
私はレジ前の袋置き場から大きなサイズの方のレジ袋を取る。
うわっ!2枚とっちゃった。
後ろの人を気にしながら1枚するっと戻す。はぁ、ちょっと疲れる。
レジに向かう。
向かって右がカゴ置き場、私の正面が 難敵セルフレジ、向かって左がスキャン終えたモノ置き場。
私は左のテーブルにエコバックとレジ袋をスタンバイさせ、ひとつひとつスキャンし始める。もー、バーコードの場所分かりずらいー。
前後左右からピッピピッピと音がして焦る。
チューハイをスキャン。
「同じ商品がスキャンされました」レジが突然喋る。
びくっっ!
ちょっとー、焦らせないでよー。
半泣きになる。
続いて卵。
おーい、バーコードどこだよー。
と思ったら背後から若い店員さんが来て、「卵のバーコードはココなんですー」とパックの側面を指さす。
「あ、ありがとうございます!」
ピッ。
続いて豚肉。
ピッ。
ビニール袋をガラガラ―っと取り出し、切り込みのところで剥がす。
豚肉パックを入れようとするも微妙に入らない。
メガパックだと入らないー。無理に入れようとしたらにビニール袋が破れた。あーーっ!
諦めてそのままエコバックに突っ込む。
額から汗が流れ始める。
続いてキウイ。
私は冷静に「バーコードのない商品」ボタンを押す。
果物→キウイ→3個
順調にこなす。
あと少しだ。油揚げを手に持つ。これは簡単だ。
と思ったら、お隣レジのおばあちゃんに声をかけられる。
「このカードどこにやるんかね」
「え、あ、あ、そこに縦にしてスライドさせてください」
おばあちゃんスライド。
ビー―ーー。
「あ、向きが違います!」
と教えている間に自分のレジがピッ、ピッと鳴る。
うわっ、油揚げ2回スキャンしちゃった。
「あんがとー」と言って隣のおばあちゃんは去っていく。
「す、すみませーーん」店員さんを呼ぶ。
ササっと店員さんが来る。
「に、2回スキャンしちゃいました、すみません!」
「あー、大丈夫ですー」
若い店員さんはピピピとレジを処理して、「もう一度お願いしまーす」と言って、また別のお客さんに呼ばれていった。
仕事デキるなぁ。私ダメなヤツみたい。
ようやく最後のスライスチーズをスキャン。
はぁぁぁぁ。終わった。ドッと疲れてしまった。もう気力がない。
私は重い荷物を肩にかけ、出口に向かう。
出口近くのコージーコーナー、
「クリスマスケーキのご予約はいかがですかー!」
店員さんの声が声高らかに。
思わずショーケースを見る。
ケーキ……美味しそうだな。食べたいな。でも高いよな。
旦那はチューハイ呑むんだから、私だってケーキ食べてもいいのでは?と思う。
でも私の分だけ買って帰ったら旦那も子どももブーイングだよな。
諦めよう……。
と思ったら、モンブランが目に入る。
3日間限定半額 248円。
半額!
248円✕4つ=992円。
いいかな?たまには。いいよな。
私は迷う。ケーキ屋さんのショーケースの前で何分も佇む私は周りからどう見られているんだろう。
旦那に聞いてみよかな。
スマホを取り出し、LINEを開き、
モンブラン買って帰ってもいいかな? と打つ。
送信しようと思って、何かちょっと違うな、と思った。
しばしスマホの画面とにらめっこして、
モンブラン買って帰るね と打ち直す。
すぐに夫から、バンザイスタンプが来る。
私はそこでようやく一息ついた。
帰ったらコーヒーを淹れてモンブランを食べるんだ。
そう思ったらセルフレジの疲れもさらさらと飛んでいった。
セルフレジがんばったもん。モンブラン食べてもいいよね。
私は声高らかにコージーコーナーの店員さんに言った。
「モンブランを4つください!」
(終)
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本田すのう さんの下書き再生工場に勢いで参加しましたー
楽しかったー!
元ネタ提供は、亜麻布みゆ さん「【嘘日記】セルフレジ」です。(そのままタイトルにしています)