
【文フリ東京43】右脳はやさしい夢を見る(試読用)
文学フリマ東京43にて、残酷で美しい物語を集めたアンソロジー「夜の底から見上げる星は」が頒布されます!
イベント詳細
🕙11/8(日) 12:00〜17:00開催
📍東京ビッグサイト
南1・2ホール【M27/28】
✒️イベント詳細→https://bunfree.net/event/tokyo43/
アンソロジーの詳細
🌌夜の底から見上げる星は
🌠主催:斑鳩睡蓮(敬称略)
📘B6判 二段組 654ページ
🌟47名の豪華執筆陣!
💴2,000円
🌙公式サイト
→https://yorunosoko.com/anthology
超超ステキな鈍器本です!
わたしの寄稿作は、ちょっと変わったディストピアSFのお話です。
その名も……
右脳はやさしい夢をみる
※各サンプルは趣旨を損なわない形で、文章構成の一部を変更しています。
【横書きサンプル】
そんなに遠くもない未来。
世界は、二度目の冷戦を迎えた。
緊張が高まるにつれ、各国は技術力を誇示し始めた。すべては他国を牽制するために。
トギラが住まう行政特区――メーコーンも、その典型だった。
自己表現を通じ、世界平和を訴える。
それがメーコーンの存在意義であり、知的階級(サウスポー)の仕事でもあった。
例に漏れずトギラも、画業に勤しんでいる。すべては年に一度開かれる、左掌祭(さじょうさい)に新作を出すために。
「――お嬢様、お嬢様」
ゴンドラの下から、モルフィンという名の侍女が呼びかける。
トギラは我に返って、カンバスをしげしげと眺めた。
厚く盛られた純白は、自然に生まれた影と美しく調和している。記念すべき、九九九枚目の羽毛だ。
「パーティーの支度をなさいませんと、間に合いませんよ!」
「今、降りますから」
ウルトラマリンの瞳で一瞥を放ち、トギラはボタンを押す。
彼女を乗せた――三日月を模したゴンドラが、ゆっくりと下降を始めた。
なおもトギラは、黒いカンバスを見つめる。
実際の星空がどんなに美しいものか、トギラは知らない。
だが絶滅した生物――白鳥を描くほうが、彼女にとって一番の難題だった。
細長い首は、どこまで曲げられるのか。
なぜくちばしは、黄色と黒色なのか。
死の間際、美しく歌うという噂は本当なのか。
白鳥に化けたゼウスは、どうやって王妃レダを愛したのか。
必死に資料をかき集めても、トギラの好奇心は満たされない。
「さぁさぁ、湯浴みをいたしましょう。そんな形(なり)では、来賓も驚いてしまいますから」
モルフィンに手招かれ、待機していた少女たちが衣服を脱がしていく。
無垢と豊満をあわせ持った体を披露しながら、トギラは言う。
「ねぇ、フリヒトを見かけなかった?」
頬が赤らみ、胸が高鳴る一方で、少女たちは無言を貫いている。
もっぱら彼女たちの関心は、トギラの髪や素肌に向けられていた。
「フリヒト、とは?」
「イヤだわ、モルフィンったら! 運送屋さんの、彼よ」
トギラが笑うと、モルフィンの右頬がわずかに持ちあがる。
皮肉を表す、彼女なりの仕草だった。
「男の労働階級(ドリーマー)とお会いすることは、まずありませんからね」
「あら、そうでもないわ。彼のことは、毎朝見ているのよ」
「それは、ミールキットの納品でございましょう」
正論を浴びせられても、トギラはお構いなしだった。
「いつも働いているのよ、とても頑張ってる。どうにかして、彼を左掌祭に招待したいの」
「崇高な平和式典ですよ?」
モルフィンの小言は、彼女に届かない。トギラの身は、温かな水流に委ねられていた。
「お父様に相談してもいいかしら」
それは、相談ではなく決定事項だった。
☆ ☆ ☆
フリヒトが物流拠点に戻ると、上司であるルハビが駆け寄ってきた。
「ちょうどよかった、お前を探していたんだ」
ルハビはわずかに、上ずった声で続ける。
「あのネクリタ家から、『指名』が入った」
ネクリタ家――。メーコーンきっての名家だ。
屋敷の改築が一部完了した、という噂は拠点でも広まっている。
人手を欲するのも、自然な成り行きだ。
当然名誉なことで、『指名』を断る理由なんてない。
だがフリヒトは、信じられない気持ちでいっぱいだった。
――フリヒトが配達を始めてから、もう十五年になる。
だが配達先で出会うのは、『屋敷お抱えのドリーマー』ばかり。
サウスポーとは、一度も話したことがない。
【縦書きサンプル】




ご興味が湧いた方は、ぜひぜひ南1・2ホール【M27/28】へお立ち寄りください☺️✨
お取り置きについて
主催されている斑鳩さんより、お取り置き予約を受け付けているそうです。
ぜひご利用ください✨
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdSus-ly26-ujeNuGXL7BGlfATwCHpNVjG-zHSlAPWE6vIKEA/viewform?usp=publish-editor
(20261102,お取り置きURL追加)