
月を見る、団子をこねる #シロクマ文芸部
月を見る。
夜空にぽっかりと浮かぶその白い光を見上げていると、なんだか無性に甘いものが食べたくなるから不思議だ。
いつかの十五夜のこと。
せっかくなら形から入ろうと、久しぶりにお団子を自作してみることにした。
白玉粉と豆腐をボウルにあけ、耳たぶくらいの柔らかさになるまで手でこねていく。
丸めてお湯に投入し、ぷかぷかと浮き上がってきたものを冷水にとる。
手作りの丸い形はどこか歪で愛嬌があり、お盆に並べるとそれだけで少し特別な夜のような心地がした。
ベランダに出て、出来立てのお団子を頬張りながら月に目をやる。
冷たい風と、できたてのみずみずしい甘さ。
季節の節目を身体で味わうこういう時間は、日々の忙しさの中で忘れがちな余白を思い出させてくれる。
たまにはスマートフォンを置いて、静かに夜空を仰ぎながら手作りの味を楽しむのも悪くない。
そんなことを考えた、秋の夜長だった。