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Photo bysubaruphoto2002

藤長庚『遠江古蹟図会』011「能満寺之蘇鉄」

    1.日本三大ソテツ

    (1)能満寺の蘇鉄(静岡県榛原郡吉田町片岡)


     平安時代、陰陽師・安倍晴明が、死んで大井川を流れて来た大蛇を見つけ、塚を築いて埋め、中国から運んできた蘇鉄を植えた。すると、蘇鉄は、大蛇の精を吸って大きく育ち、大蛇のようにうねったという。安倍晴明は、人々に害を与えないように、大蛇の精を封じたという。(「遠州七不思議」)

     能満寺は、慶雲4年(707年)、大井川の河口に行基が建てた寺で、七堂伽藍の巨大寺であったが、永正14年(1517年)の大井川の大氾濫により全てが消失して砂地となった。武田信玄が元亀元年(1570年)に再建し、翌元亀2年(1571年)に小山城を築いた(『武田三代記』巻16)。(能満寺の裏山・能満寺山は牧之原の最南端で、2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』で、徳川家康と信康の親子が攻めた武田方の城・小山城があった。)

     駿府城にいた徳川家康が、ある時、能満寺を訪れ、蘇鉄の見事さにほれ、住職(側室・茶阿局の弟)に頼んで譲り受け、住吉浜まで運び、船に乗せ清水の港に陸上げし、駿府城に移植した。すると蘇鉄は、毎夜、「いのー、いのー」と泣き出した。学者に聞いてみると、「『いのー』は、『行こう』『帰りたい』という意味ではないか」と答えたので、能満寺に戻したという。


     
     
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