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『失恋履歴書』 #ショートショートnote杯

    小学校時代から使う机。
    鍵のある一番上の抽斗ひきだしには、幸子の秘密が入っている。
    履歴書。
    小学6年の時に、大人ぶって購入した普通のもの。
    写真にプリクラを貼って名前・連絡先を書き入れたところで筆が止まった。
    次に書く学歴がない。もちろん職歴も。
    幸子は思いついて、ある人の名を書いた。
    顔が真っ赤になり、そのまま抽斗に入れ鍵をかけた。

    二ヶ月後、幸子は履歴書の存在を思いだし再び取り出した。
    名前の横に「卒業」と文字を添えた。
    幸子は面白くなって破らずに保管した。それがはじまり。

    以来、始まりと同時に履歴書に名前を書き、終わると「卒業」した。
    現在、社会人八年目。
    履歴書には六人の名が記され、その全てに「卒業」の文字が付いた。

    ただ最後の一人には「再入社」の文字が。
    幸子は今それを眺めながら、次に記す相応しい文字がないか思案していた。
    はっと思い立ち、「永久就職」と書き入れ、また抽斗に仕舞った。


     
     
    6歳息子のパパ ■毎朝、日記or小説(400文字)と 俳句(十七音)を。 ■時々、妻が朗読 [ツマヨム]します。 ■ショートショート note杯入賞 ■2017年 指定難病「皮膚筋炎」18年「間質性肺炎」罹患。現在、在宅酸素にて執筆活動を再開。 ■「笑って免疫力をあげる!」

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