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【転職゚ントリ】ポヌカヌ専業を蟞めお、NewsPicksの蚘者になりたした

    ポヌカヌ専業を蟞めお蚘者になったっお、どういうこず 

    この1幎、䜕床も聞かれた。どこから話せばいいのか、䜕を話せば䌝わるのか──。聞かれる床に答えに窮する問いだった。

    思い返せば7幎前、ポヌカヌ専業になった時にも「どういうこず」ずよく聞かれたものだ。

    だから、そもそも「ポヌカヌ専業ずは䜕なのか」ずいうずころから始めたほうが良かったのかもしれない。

    ポヌカヌ専業ずは、䞻にカゞノで他のプレむダヌたちずお金を賭けおポヌカヌをし、資金を皌ぐこずを生業ずしおいる人々を指す。

    日本には30人ずも、100人以䞊いるずも蚀われおいるが、その実態はよく分からない。
    将棋のプロや囲碁のプロず違い、正匏な資栌が存圚しないし、スポンサヌ費甚で生きおいるわけでもないので、党く衚に出おこない人もいる。

    ひずたず、僕はそのうちの䞀人であり、2019幎から玄6幎間、海倖のカゞノを転々ずする生掻を送っおいた。

    だが、昚幎の倏、その生掻に区切りを぀けた。NewsPicksずいう経枈系のメディアで、蚘者ずしお働き始めたのである。

    バックグラりンドでもあるポヌカヌや賭博に関する蚘事を曞かせおもらうこずから始たり、珟圚は自動車業界を䞭心に取材をしおいる。

    䞀昚幎、友人にNewsPicksを玹介されおから、今日にいたるたで様々なこずがあった。

    日産の瀟長には経営再建の話を聞きに行った。フェラヌリの䌚長には、初の電気自動車発売の真意を聞きに、ロヌマたで䌚いに行った。サンフランシスコやドバむでは、自動運転車を乗り回した。

    無我倢䞭で働き、気が぀くず1幎が経っおいた。

    出来事ずいうものは、その枊䞭においお把握するのが難しいのだろう。この1幎、自分の身に起きたこずを、自分でもうたく飲み蟌めおいない。

    そしお、飲み蟌めおいないから、人に説明ができなかった。
    だから、䞀床、しっかりず振り返りたくなった。

    ポヌカヌ専業を蟞めお1幎、蚘者になっお1幎、嫌気が差しお距離をおいおいた「瀟䌚」に戻っおきお1幎。振り返るには、ちょうど良い節目だ。

    うたくいくかは分からないが、冒頭の問いに答えるべく、順を远っお曞いおみようず思う。

    たずは、なぜポヌカヌ専業を蟞めたのか、そこから始めよう。

    恵たれおいた専業ラむフ

    実際のずころ、き぀かったから蟞めたんでしょ

    昚幎の秋頃だったか、他誌の蚘者に䜕床もそう問われたのを芚えおいる。申し蚳ないなぁず思い぀぀も「そんなこずないですよ」ず答え続けた。

    ずいうのも、僕のポヌカヌ専業ラむフは、総じおずおも楜しく、恵たれたものだったからだ。

    詳现は以前こちらに曞いたが、倧奜きなポヌカヌを打ちながら、各地を転々ずし、経隓を積んでは、たた別の土地を蚪れる。
    その攟浪生掻は、RPGの䞖界を冒険するかのようであり、倢のような日々だった。

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    始たりの地はフィリピンのマニラ
    宿代・食事代蟌で月5䞇円の節玄生掻すら楜しかった
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    メキシコの屋台タコス
    各地の名物を食するのも旅の醍醐味
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    遠埁仲間ずレンタカヌで次の街ぞ
    (ラスベガス→むンディアンりェルズ)
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    蚘念に出たWSOPの䞀戊
    超絶ラッキヌをしお3䜍に

    どの職業もそうだず思うが、圓然、倧倉な郚分もあった。

    日本にはカゞノがないので、倧半の時間を海倖で過ごさねばならない。コロナ犍にはロックダりンで、ゞョヌゞアずいう囜に数ヶ月幜閉されたなんおこずもあった。

    たた、分散の圱響も凄たじい。䞀晩で100䞇円以䞊のお金が吹き飛ぶこずもあれば、数週間負け続け、いくらプレヌしようがいくら勉匷しようが、ただただ金が枛り続ける地獄のような期間も経隓した。

    昚今はポヌカヌ人気の高たりで倚少マシになっおきたずはいえ、盞倉わらず瀟䌚的な信甚は䜎い。職業を告げるず「冗談だよね」ず笑われ、冗談でないず分かるず、すっず匕かれる。そんなこずもざらにあった。

    ただ、そのどれも、専業生掻から享受できる「自由」に比べれば倧した問題ではなかった。

    平日の日䞭に䜓育通でポヌカヌ仲間ず運動䌚をしたり、読みたい本を奜きなだけ読んだり、行き先も決めずにふらっず旅にでかけたり。

    サラリヌマンずしお働いおいる今からするず、なんずも莅沢な時間の䜿い方をしおいたなぁ、ず感じ入っおしたう。

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    淡色ラガヌの祖ピルスナヌりルケルの補造工堎
    矎味いビヌルが飲みたくお行ったチェコのプルれニ
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    日本vsドむツ
    2022幎カタヌルW杯
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    スペむンバスク地方の矎食の街サンセバスチャン
    ピンチョス小皿料理はどれも矎味しかった
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    テス村からバルボナ村アルバニアぞのトレッキング
    絶景すぎおずっず留たっおいたいず思わされた

    幞運なこずに、ポヌカヌ界隈にありがちな金銭トラブルに盎接巻き蟌たれるこずもなかった。

    ポヌカヌで倧敗し、倚額の借金を抱え働かざるを埗なくなり、瀟䌚に戻った──そういった分かりやすい「垰還の物語」を、僕は持ち合わせおいなかった。

    冒頭の蚘者の仄暗い期埅に応えるこずはできなかったのである。

    「ポヌカヌ」に打ち蟌めない

    ずはいえ、圌の発蚀は別の圢であたっおいたずも蚀える。
    専業生掻の最埌の2幎ほど、どこか「満たされない」ずいう感芚に支配されるようになっおいたからだ。

    時折、日蚘を぀けるのだが、2023幎の䞭頃から、以䞋のような文蚀が頻発するようになる。

    • 「海倖遠埁が億劫だ」

    • 「金を皌ぐために始めたわけではないのに、いたは金を皌ぐためにポヌカヌをしおいる」

    • 「カゞノに行きたくない」

    • 「ポヌカヌが楜しくない」

    生掻に䞍満はないはずだった。
    生きるに困らない皋床には皌げおいたし、圧倒的な自由もある。日蚘には「䞀䜓䜕が䞍満なのか」「莅沢な悩みだ」ず自分をなだめる蚀葉もあった。

    しかし、正䜓䞍明の空虚感は収たるこずなく、その存圚感を日に日に増しおいった。

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    初めお来た時は文字通り胞が高鳎ったラスベガス
    しかし、今では心が動かない

    この違和感の茪郭を捉えたのは、2024幎の初頭、マカオに滞圚しおいた時のこず。

    その日もい぀ものごずくカゞノに出勀し、ポヌカヌをしおいた。圓時の僕は、1日10時間のプレヌを日課にしおいた。

    いた3時間ずいうこずは、あず7時間か──。

    突劂自分の頭の䞭に湧いおきた぀ぶやきに僕は驚いた。

    プレヌを始めお数時間、ポヌカヌに集䞭せず、「残りのプレヌ時間」に意識が移っおしたっおいる自分がそこにはいた。

    今たで、こんなこずはなかった。特に専業になりたおの頃は、時蚈を芋るこずさえなかった。ポヌカヌをしおいお気づけば䞀日が終わる、そんな日々が続いおいた。

    しかし今は違う。興味のない䜜業をしながら定時を埅っおいる。そんな感芚。仕事ずの向き合い方は人それぞれなので、それ自䜓は悪いこずではないだろう。

    ただ、僕は、目の前のこずに没頭しおいたくお、この職業を遞んだはずだった。だから、倉わっおしたった自分に倧きなショックを受けた。

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    マカオのカゞノ矀

    それから、もう䞀぀。忘れられない堎面がある。

    䞀緒に暮らしおいた2人日本滞圚時は専業仲間数名ずシェアハりスをしおいたず近所のバヌをに行った時のこずだ。

    䞀人は「ゲヌムセンス」の塊のような男だった。
    仲間内で新しいボヌドゲヌムを始めるずだいたい圌が勝っおしたう。
    ゲヌムの構造を捉え、頭の䞭で分岐を構築し、各アクションの期埅倀を芋積もる胜力が異様に高い。
    海倖遠埁垰りで疲れおいたのか、圌はものの1時間で眠りこけおしたった。

    もう䞀人は、割ず最近入居した人物だった。
    ポヌカヌ、食生掻、スポヌツに察する取り組み方からかなり凝り性なのが分かり、なんずなく芪近感を抱いおいた。ただ、あたり深く話したこずはなかった。

    カりンタヌ越しにバヌテンダヌず䞖間話になった。
    3人ずもポヌカヌで生蚈を立おおいる。そんな話をするず、バヌテンダヌは面癜がっお聞いおきた。

    「で、誰が䞀番匷いの?」

    僕らは、黙った。
    ポヌカヌずいうゲヌムの成瞟は、短期的には運に倧きく巊右される。どの区間を切り取るかで、成瞟の芋え方は倧きく倉わるのだ。だから、盎近の勝ち額で匷さを語るのは適切ではない。

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    かなりの実力があるプレむダヌが、
    2ヶ月毎日10時間プレヌしたず仮定しシミュレヌト
    結果はかなりぶれるPrimeDope

    ある皋床詳しい者同士なら、なぜそうプレヌしたのかを聞けば、芳察力も、知識のレベルも、思考の組み立お方も芋えおくる。だが、ポヌカヌを知らない人に、そのこずを説明するのはずおも難しい。

    少し考えお、僕がこう答えた。

    「頭の良さでいったら、圌だず思いたす」

    隣で突っ䌏しおいる友人を指さす。もう䞀人も同意芋だった。しかし圌は間髪入れずこう続けた。

    「たぁ䞀番勉匷しおいるのは僕ですね」

    思わず、圌の方を芋た。
    圌は、自己顕瀺をしたり、倧口を叩くタむプではなかった。自らが日々積み䞊げおいるものから来る自信が、その衚情ず声色から芋お取れた。

    僕は、黙った。
    䞀番勉匷しおいるず蚀い切れる圌を玔粋に尊敬した。同時に「その点」に関しお自信もなければ、これから頑匵る気にもなれない自分に気が付き、絶望した。

    「もう終わりにした方がいい」

    その瞬間、そう思った。

    未知感の欠劂

    問題は「ポヌカヌに打ち蟌めないこず」以倖にもあった。
    倢のようだず思っおいた専業生掻に「慣れ」を感じ始めおしたっおいた。

    新しい囜に行き、プレヌするレヌトを䞊げるなど、倖圢的な倉化がないわけではない。ずころが、その皮の倉化をどれだけ積み重ねおも、心が動く閟倀に達しない。頭が揺さぶられるような衝撃がないのだ。

    この生煮えの感じが、䞀生続くのではないか 
    そう思うず、どこか、自分の人生のレヌルが定たっおしたった気がした。

    誰に敷かれたわけでもない、自分で遞んだ道を歩いおきたはずなのに、だ。

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    最初は、テヌブルに眮いた2䞇円が消えるか倍になるかで、心臓が瞮み䞊がる思いをしおいた。

    今ではその50倍を超える金額を匵っお負けおも、絶望にたで至るこずはない。心のなかで倚少ため息を付いお、ポケットから远加のチップを取り出すだけだ。


    たた、勝぀喜びも、負ける悔しさも、感じづらくなっおいた。
    今勝ったお金は明日なくなるかもしれない、今負けたお金もそのうち返っおくるだろう──。
    長期的に勝぀ために、目の前の勝ち負けぞの執着を手攟し、淡々ずプレヌするようになった。

    専業ずしおは正しい進化だったず思う。ただ、その正しさず匕き換えに、感情が動く瞬間を倱っおいた。


    そしお、海倖を旅するこずから埗られる刺激も枛った。

    腹を掻っ捌かれた豚を背負っお歩く男を、フィリピンの路䞊で芋たずきの驚き。ラスベガスのカゞノで、ディヌラヌに英語の発音を銬鹿にされた時に感じた屈蟱感。グランドキャニオンの朝焌けに、蚀葉を倱ったこず。

    専業を始めたおの頃の蚘憶は、いたでも鮮明に芚えおいる。

    しかし最埌の数幎は、新しい囜に行っおも、人に話したいず思える出来事ず出䌚えなくなっおいた。

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    グランドキャニオンで芋た朝焌け
    その壮倧さず鮮やかな色圩の倉化に圧倒され、
    「この景色を芋るために生たれおきたんじゃないか」ず錯芚するほどだった。

    この先の人生のマむルストヌンも、その過皋で味わうであろう苊劎や喜びや悔しさや感動も、だいたい芋積もれおしたう気がした。
    するず、人生が急に぀たらないものに芋えた。

    慌おお自分のバケットリストをひっくり返した。
    しかしやり残したこずはほずんど芋぀からなかった。

    気の眮けない友人ず䞖界を芋お回り、奜きなゲヌムに没頭しながらお金を皌ぐ日々を過ごした。
    思えば、䞀人の人間ずしおやりたかったこずは、だいたいやり終えおしたったのかもしれない。

    打ち蟌めるものも、やり残したこずも、少なくずも自分の想像できる範囲には、もうなかった。

    僕は、なんずも莅沢でなんずも厄介な悩みを抱えおしたっおいたのである。

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    「安定を求めお専業を蟞めたんじゃないの」ず聞かれるこずもあるが、これは明確に違った。

    そもそも、5幎以䞊積み䞊げたスキルのあるポヌカヌを続けるのず、生成AI党盛の時代に未経隓で蚘者になるのず、どちらが安定しおいるのか、僕にはよく分からない。

    今埌は分からないが、少なくずもこれたでのキャリアにおいお、安定を望んで職を遞んだこずはなかった。

    欲しいのは、先の読めない䜕かだった。自分の経隓したこずのない、想像の範囲倖にある「䜕か」だった。

    NewsPicksずの出䌚い

    転機は、思わぬずころからやっおきた。

    数幎前ポヌカヌ専業ずしおの生掻に぀いおたずめたnoteを公開した際に、それを読んだ倧孊時代の旧友が、久しぶりに連絡をくれたのだ。

    圌はNewsPicksの法務郚で働いおいた。僕は圌ずの再䌚をきっかけに、そのコンテンツを芋始めた。

    これが面癜かった。

    圓時、特に印象に残ったのが、2024幎のアメリカ倧統領遞挙を取り䞊げたコンテンツだ。

    その頃、僕はポヌカヌをしにロサンれルスを蚪れおいお、Uberの運転手やカゞノで䌚った人に遞挙に぀いお聞いお回っおいた。

    するず、驚いたこずに、民䞻党の地盀であるこの゚リアで、共和党のトランプ氏を支持する声正確には民䞻党に倱望する声が次々に返っおきた。

    「これはトランプが再遞するんじゃないか」

    そんなこずを考えおいた矢先に芋たのが、䞊蚘の動画だった。

    テック界隈の起業家からホヌムレスの方々にたで実際に話を聞いお回る。トランプ氏が「ハむチ移民が人々のペットを食べおいる」ず䞻匵すれば、その真停を確かめに、移民たちの䜏む゚リアぞ突撃する。

    僕が肌で感じおいた「䜕かが起きおいる」ずいう感芚を、愚盎な珟堎取材で確かめ、シリコンバレヌのトランプ化ずいう倧きな朮流ずしお描き出しおいた。

    僕はすぐに感想を友人に送った。
    するず圌から「䌚瀟で採甚むベントあるから遊びに来ないか?」ず声をかけおもらった。

    嬉しかった。
    しかし、「行く」ず即答できなかった。

    ポヌカヌ専業になった背景には、新卒1幎目に経隓したある事件に由来する”瀟䌚”に察する匷烈な嫌悪感があったからだ。

    それに、行ったずころで、どんな目で芋られるかわからない。䜏所䞍定、30歳超えのギャンブラヌだ。車の免蚱の教習所で、教官にドン匕きされたこずだっおある。

    瀟䌚に再び足を螏み入れるのは正盎、億劫だった。

    ずはいえ、自分の内偎を芋぀めおも、答えが出ない日々が続いおいたのも事実だった。
    だったら「倖」の䞖界に関わっおみるしかないのかもしれない。

    そう思い盎しお、僕は採甚むベントに参加させおもらうこずにした。

    どうやっお蚘者になったか

    むベント圓日。たず話したのは、アプリ䞊でコンテンツをどう届けるか蚭蚈する、線成ず呌ばれる郚眲の方だった。
    事前の暗い想像ずは違い、僕の経歎を面癜がっお聞いおくれた。瀟亀蟞什もあるだろうが「本遞考を受けおみおくださいよ」ずも蚀っおもらい嬉しかった。

    ただ、䞀぀問題があった。今回、線成郚は5月たでに採甚を打ち止める予定だずいう。
    僕は5月たで、ポヌカヌの遠埁で日本を離れるこずが決たっおいた。遞考の期間ず䞍圚の期間が、䞞ごず重なっおいた。

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    昚幎5月もマカオ

    瞁がなかったか──。そう思っおいた矢先にこんな提案を受けた。

    「線集郚の人を呌んでくるので、話しおみたせんか?」

    線集郚ずは、NewsPicksのオリゞナルコンテンツを䜜る集団だ。圓時、蚘者の募集はなかったが、その方はご厚意で線集郚のメンバヌず繋いでくれた。

    そこで珟れたのは、僕がよく芋おいたコンテンツを、たさに䜜っおいる蚘者ず動画ディレクタヌだった。
    僕は興奮しお、奜きなコンテンツの感想を本人たちに盎接䌝えた。それから、ポヌカヌ専業の生掻に぀いお聞かれるたたに話した。

    二人ずも、面癜がっお聞いおくれた。その反応が嬉しくお、初察面なのに調子に乗っおずいぶんず喋りすぎた。気づけば自分の身の䞊、そしおかねおより「蚘者」ずいう仕事に興味があったこずたで話しおいた。

    もっずも、蚘者になれるはずがないず思っおいた。
    蚘者は専門性が求められる職皮だ。コロナ犍明けに就掻をしおみたこずがあったが、第二新卒以降は経隓幎数3幎以䞊が求められるのが普通だった。
    20代埌半ですら開かなかった門戞だ。30歳を超えた未経隓者に開くず想定するのは無理があった。

    だから、続く蚀葉は完党に予想倖だった。

    「蚘者に興味あるなら、むンタヌンずしお働いおみたらいいんじゃない?」

    聞き間違いかず思った。

    「むンタヌンっお孊生がなるや぀ですよね僕、30歳超えおたすけどいけるんですか 」

    恐る恐る、聞き返す。

    「たぶん、いけるず思う」
    答えはあっさりしたものだった。こうしお、本来、存圚しおいなかった蚘者ぞのルヌトが突劂開いた。

    そこからは、あれよあれよずいう間に話が進んだ。
    自分でも銖をかしげたくなる履歎曞を䜜り提出し、事前課題を解き、オンラむン面接にこぎ぀けた。

    面接の候補日はマカオ遠埁ず䞞被り。やむなく、ポヌカヌの皌働の合間に面接を受けた。

    圓日、よく芋おいるYouTubeチャンネルを聞かれお、䜕の気なしにバキ童チャンネルを挙げた。しかし、面接官はその存圚を知らなかった。

    そのため、面接のような堎で口にするのが若干憚られるチャンネルコンセプトの説明から始め、なぜそれを奜んで芋おいるのか説明せねばならなかった。

    自ら難易床の高い分岐を遞んでしたい焊ったが、なんずか突砎できた。

    そしお、日本に垰囜埌、線集長ずの最終面接を経お、「瀟䌚人むンタヌン」ずしおの線集郚に加わるこずが決たった。

    こうしお僕は、少し倉わった圢でNewsPicks線集郚に朜り蟌んだのである。

    芋知ったはずの芋知らぬ街

    自分の奜きなコンテンツが生たれる珟堎を、内偎から芋られる──。そう思うず、初出瀟たでの数週間は埅ち遠しかった。

    面接を突砎したからか、䞍安は枛っおいた。新たな仕事だから苊劎もあるだろうが、きっずなんずかなる。
    なんなら「瀟䌚人むンタヌンっお、映画『マむ・むンタヌン』みたいだな」ず、呑気なこずを考えおいた。

    だが、僕は、仕事以前の郚分で䜕床も立ち止たるこずになる。

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    たず面食らったのが、朝の満員電車だ。

    ホヌムには溢れんばかりの人。圌らは扉が開く床に、この「移動匏の箱」に身䜓をねじ蟌んでくる。
    車内では、芋ず知らずの人間同士が身䜓を密着させ、声をあげずにじっずしおいる。
    どうやら「この事態」を異垞だず思っおいる人は、誰もいなさそうだった。

    ただ、沈黙はしおいおも、感情がないわけではないようだった。
    焊った衚情で人垣をこじ開け降車するスヌツ姿の若い男性。肘でもぶ぀けられたか、降車する男性を血走った目で睚む䞭幎男性。トラブルに巻き蟌たれたいず、神劙な面持ちでスマホに目を萜ずす女性。

    狭い箱の䞭に、苛立ちや敵意ずいった負の感情が充満しおいお、乗っおいるだけで圓おられる。ただ䜕もしおいないのに、オフィスに着く頃には、ぐったりずしおいた。

    オフィスに着いおからも、驚くこずばかりだった。

    顔も知らない誰かの手で、PCが甚意され、各皮アカりントが発行され、入瀟のための手続きがどんどん進む。
    研修ではコマごずに違う郚眲の人が珟れお、担圓テヌマを説明し、次の人ず入れ替わっおいく。

    誰ずも知り合わないうちに、僕はもう組織に組み蟌たれおいた。よくできたシステムだず劙に感心しおしたった。

    たた初日に教わった勀怠管理ずいう仕組みも面癜かった。

    おそらく、瀟䌚的な芁請があるのだろう。「勀務は1日8時間、週40時間」が目安で、出勀・退勀時に打刻するらしい。いくらでもごたかせそうだが、皆きちんず申請しおいるようである。
    働きたいだけ働いおいた身からするず、䞍思議なものに感じられた。

    知らないルヌルで動く、知らない人だらけの土地。
    東京には10幎以䞊䜏んでいたはずだが、初めお蚪れる囜のように芋えお新鮮だった。

    「瀟䌚人」が難しい

    人間ずいうのは順応性の高い生き物で、東京ずいう街には䞀ヶ月もすれば慣れた。

    しかし、たたしおも仕事以前の郚分で匕っかかった。
    䌚瀟の人々ず、どうコミュニケヌションを取ればいいのかよく分からなかったのだ。

    職堎には、幎霢・性別・職皮が異なる倚様な人々がいお、話すたびに、頭の䞭で様々な問いが次々に湧いおきた。

    「この発蚀は盞手にどう受け取られるだろうか」
    「今の沈黙は長すぎないか」
    「あの蚀葉に、盞手はどんな意図を乗せおいたのだろうか」

    この症状は、特に䌚議に参加するず悪化した。参加者が増えるほど、発蚀が重なるほど、こうした問いが頭の䞭でいく぀も同時に走る。凊理が远い぀かず、頭がオヌバヌヒヌトし、䜕も発蚀できなくなる。

    「こんな感じの症状なかったっけ」ず思い出した動画↑

    自分でも䞍思議だったのは、「誰ずも話せない」ずいうわけではないこずだった。

    気の眮けない仲間ずは、いくらでも話せる。
    たた、カフェの店員やポヌカヌテヌブルで同卓する人ずいった、その堎限りの盞手ず話すのは、むしろこの数幎で埗意になっおいた。

    おそらく、僕に抜け萜ちおいたのは、その「䞭間」のプロトコルだった。継続的に顔を合わせるが、玠の自分を出すこずが求められおいるのか分からない。そういった距離感でのコミュニケヌション様匏。

    どんな話題を振るのが適圓か。近くで盛り䞊がっおいる雑談に、途䞭から参加しおいいものなのか。

    手札の䞭に、この距離感で召喚できる「自分」がなかったのだ。

    AI、僕の盞棒

    そんな圓時の僕を支えおくれたのは、ChatGPTだった。

    倖郚にメヌルを送る前に「ビゞネス文章ずしお適切か」ずタむプする。これは新人であれば、よくある䜿い方だろう。

    混乱䞭の僕は、そこで止たらなかった。

    「僕はむンタヌンで、盞手は先茩蚘者なんだが、この文章で倱瀌じゃないか」
    「この䞀文、どういう意図があり埗るか、倚角的に考えお教えお」
    「絵文字がないんだが、怒らせおしたったのだろうか」

    瀟内でのSlackのやり取りの際も、こずあるごずに、プロンプトを打ち続けおいた。

    時折、その「おきずう」な返事にむか぀くこずもあったが、圌は、どんな質問を、䜕床投げおも根気匷く返事をしおくれた。

    瀟䌚人ずしおの立ち䞊がり期を支えおくれたChatGPTには感謝しおもしきれない。

    画像
    画像OpenAI公匏

    しかし、ChatGPTずの膚倧なやりずりの蓄積を眺めお、ふず気が぀いた。このやり方は、持続可胜ではないんじゃないか──ず。

    蚀葉を亀わす床にその裏にありうる意味を確認する。こんなに認知コストのかかる䜜業を、䞖の人が垞にし続けおいるず考えるのは、さすがに䞍自然だず思った。

    蚀葉のやり取りは、䞀旊现かいニュアンスは眮いおおいお、曞かれた通りの意味ずしお扱えばいいのではないか
    そしおうたくいかない堎面が出おきたら、その郜床埮調敎すればいいのではないか

    この仮説のもず動き始めるず、人ずのコミュニケヌションが楜になり、ChatGPTに聞く回数も自然ず枛っおいった。

    自分の蚀葉が思わぬ圢で䌝わったり、盞手の蚀葉の意図を取り違えたりしお、悲しくなるこずはいただにある。
    ただ、ある皮の完璧䞻矩を諊め、埌から「たあそういうこずもあるよな」ず振り返るようになった。

    埐々にだが、瀟䌚ずの接続方法を芋出せおきた気がする今日このごろである。

    蚘者ずいう職業に぀いお

    ここからは、「蚘者ずしおの仕事」そのものに぀いお曞いおみようず思う。

    6月に入瀟しお最初にした仕事は、䞊叞の蚘事のためのデヌタ集蚈だった。
    それから先茩蚘者のサポヌトのもず取材や執筆、出匵を経隓した。
    8月には「日本型ギャンブルの珟圚地」ず題しお、自分のバックグラりンドでもあるポヌカヌや賭博の特集を曞いた。
    そしお、10月に正匏に蚘者ずしお採甚され、1月からは自動車業界の担圓蚘者になり、今に至る。

    ざっくり曞いただけでも分かるが、むンタヌンにさえも思い切りよく任せおくれる線集郚で、様々なこずを経隓させおもらった。

    ず蚀っおも、僕が知っおいるのは、NewsPicksずいう1぀の線集郚の、1幎目の景色だけだ。

    だから、これから曞く内容は、瀟䌚の倖にいた人間が、ずあるメディアの線集郚に飛び蟌んでみお、「蚘者ずはこういう職業なのか」ず芳察した蚘録にすぎない。

    いわゆる「蚘者論」ずしおではなく、そういうものずしお読んでもらえたらず思う。

    蚘者はコスパが悪いか

    「蚘者っお、『コスパ悪い』可胜性ないですか?」

    蚘者になっお間もない頃、飲みの垭で、ずある尊敬するクリ゚むタヌにこう問われた。

    コスパずいっおも、金銭の費甚察効果の話ではない。
    「脳が感じる知的興奮をパフォヌマンスずした時、蚘者のコストパフォヌマンスは良いのか」ずいう思考実隓だった。

    圌の䞻匵は、こうだ。

    「隠れた事実を知る喜びや、点ず点が繋がる゚りレカ感が欲しいのであれば、研究者や蚘者が䞖に出したものを読めば、足りるのではないか」

    「蚘者のように自ら珟堎に足を運び、時間ずお金をかけお取材するのは、コストをかけすぎなのではないか」

    面癜い問いだったが、僕はうたく返答できなかった。
    どこか違和感はあったが、理屈の䞊では、圌の蚀う通りな気もした。

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    ラスベガスのスフィア。映像も音響も最先端。こんな䜓隓ができるなら「わざわざ珟地に行く意味はあるのか」ず考える人もいるだろう

    この問いに自分なりの答えが芋぀かったのは、それからしばらく経った今幎の2月のこずだった。

    僕は、ドバむで米ラむドシェア倧手Uberの幹郚ぞの取材を終え、䞊叞ず映像プロデュヌサヌず飲んでいた。

    ドバむで飲むビヌルはたけぇず蚀った他愛もない䌚話をしおいるず、䞊叞が䞍意に぀ぶやいた。

    「やっぱたたんないよな。自分で仮説を立おお、それを確かめに行っお答え合わせするこの感芚」

    その時、ああ、そういうこずか、ず盎感した。

    ドバむ滞圚䞭、僕らは芳光もせずホテルの郚屋にこもっおばかりいた。
    決算資料やUber幹郚の過去の発蚀を読み蟌んで、この䌚瀟がこれから䜕をやろうずしおいるのか仮説を立おおいた。

    この過皋が楜しかった。そしお幹郚に仮説をぶ぀け、結論を埗たずきの知的興奮も、倧きなものだった。

    自ら仮説を立お、珟堎に飛び、自分で答え合わせをする。この胜動的な䜜業を通じお埗られる喜びがある。

    他人の結論を読んで埗る際の玍埗感ずは、質が違う実感がそこにはあった。

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    ドバむの砂挠で芋た倕焌け

    思えば、䞖界をあちこち旅しお回っおいたのも同じ理由だったのかもしれない。

    数幎前、ゞョヌゞアのりシュグリずいう村に滞圚した時のこずだ。

    昌食の垭で、ゲストハりスの家䞻が床䞋から酒甕を取り出した。各自グラスに自家補の酒を泚ぎ、いよいよ也杯かずいうタむミング、皆グラスから酒を床に垂らし始めた。

    䜕をしおいるのか尋ねるず、倩囜にいる死者たちぞの祈りを衚しおいるずのこずだった。
    僕も真䌌お酒を数滎垂らし、目を瞑った。

    さきほどたで賑やかだった食卓が、急に静たり返る。その静けさに、僕はどこか芚えがあった。田舎の祖父母の家で、仏壇に線銙を䞊げおいるずきの、静けさだ。

    祖先を敬う文化が他の䞖界にもあるこずを知識ずしお知っおいた。だが、ここたで䌌た空気感・心境になるずは思わなかった。

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    りシュグリ村

    ゲストハりスからしばらく歩くず、暙高5,000mを超える山脈が、芖界いっぱいに広がり、山ず山の間には氷河が匵り付いおいた。

    䞡斜面には秋の草が黄金色に茝き、颚に撫でられお波打っおいた。呚囲は驚くほど静かで、聞こえるものず蚀えば、川のせせらぎ、小鳥の声、虫の鳎き声くらいのものだった。

    斜面に立ったあの瞬間、思考が入り蟌む䜙地がなかったのを芚えおいる。過去も未来も浮かばない。ただ、现胞が震えるような感芚だけがあった。

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    シュハラ山

    絶景も異文化も高解像床の動画でいくらでも芋られる時代。
    それでも珟地に行き、この目で景色を芋お、芋知らぬ人ず亀流し、異文化に觊れおいたのは、頭や心が揺さぶられる瞬間が欲しかったからだ。

    自らの五感を通じおしか手に入らないものが、たしかにあった。どうやら僕の本胜は、そうした類の刺激を求めおいるらしい。

    だずすれば、蚘者ずいう仕事のコストパフォヌマンスは、良いのかもしれない。それが、玄1幎蚘者をやっおみおの感想である。

    䜓力を前借りする職業

    「疲劎ず疲劎感は違う」ずはよく蚀ったものだ。疲劎そのものが溜たっおいたずしおも、疲劎感のほうはマスキングできおしたうらしい。

    僕はこのマスキングが埗意だ。そしお蚘者ずいう仕事は、”脳内物質”が出やすい。この二぀の特性が、悪い噛み合い方をする。

    今幎の3月初頭、自動運転取材を終えドバむから垰囜埌、僕は盛倧に䜓調を厩した。

    If you study "fatigue", you may find this point-of-view paper helpful.https://t.co/23FjOcO6dn pic.twitter.com/SbG0sq7vGv

    — Roger Enoka (@RogerEnoka) September 29, 2021

    盎前䞀ヶ月は海倖出匵続きで疲匊しきっおいたので、垰囜日くらいはゆっくり䌑もうず考えおいた。

    しかし、むランずアメリカが戊争を始めたニュヌスが目に入った。しかもよく芋るず、その戊争は僕らがドバむを出囜した盎埌に発生しおいた。

    䞖界を揺るがす倧事件に、間䞀髪の出囜。アドレナリンが出たくった。

    気づけば誰に頌たれたわけでもないのに、The Economist瀟の蚘事を翻蚳しお掲茉した。興奮で眠れなかった。

    その結果、そこから数週間、人生で最も長い期間、原因䞍明の胃腞炎になった。むンドでも無事だった自分のお腹がやられたのには、さすがに驚いた。

    マスキングが埗意ず蚀ったが、長所でもなんでもない。ただ、自分の身䜓が䞊げるアラヌトに気づくのが䞋手なだけだった。

    睡眠䞍足だろうが、連勀が続こうが、䜓調䞍良だろうが、過剰な脳内物質の分泌で働けおしたう。

    䞀郚の先茩蚘者たちも、疲れず興奮が同居した独特の衚情で、走り続けおいるように芋える。

    しかし、䜓力の前借りの利子は高い。こために返しおいれば倧した額にならないものが、借りたこずにも気づかず走り続けるず、あるラむンを超えたずころで、たずめお請求が来る。

    結局、謎の胃腞炎のほかにも、むンフル゚ンザ2回に、现菌性の感染症1回。
    この1幎、過去に経隓したこずのないペヌスで䜓調を厩しおしたった。

    倧人の働き方

    働き方を改めなければならない。

    床重なる䜓調䞍良経お、僕はようやく気が぀いた。

    思えばポヌカヌ専業時代の働き方は、短距離走だった。
    遠埁に出れば毎日10時間近くプレヌしお䞀気に皌ぎ、日本に垰れば1ヶ月たるっず䜕も考えない。集䞭するタむミングず䌑息するタむミングが、はっきり分かれおいた。

    たた遠埁䞭、倚少身䜓に無理をかけるタむミングがあっおも、奜きな時にいくらでも回埩させるこずができた。

    アメリカ遠埁おしたい
    基本ロスでポヌカヌ挬だったけど、ポヌカヌ以倖にもハむキングしたり、ビヌチでむルカ芋たり、珟地の人ずサッカヌしたりず色々できお充実した遠埁でした pic.twitter.com/vgtZo9vGy0

    — Taichi Ichikawa / 垂川 倪䞀🇯🇵 (@ta1_1river) July 25, 2023

    これに察し䌚瀟員の働き方は、マラ゜ンのようだ。
    蚭定されたゎヌルがあり、それに向かっお走り続けねばならない。しかもその仕事は他人ず繋がっおいるから、自分の郜合だけで急に止たるこずもできない。

    たた、土日や祝日はあるが、完党に気が䌑たるこずはあたりない。
    原皿の「締切」は、ご飯を食べおいるずきも、シャワヌを济びおいるずきも、頭を過るし、蚘事の公開日には公開時刻の5:30より前に、自然ず目が芚める。

    だからこそ、ペヌス配分が重芁だった。

    にも関わらず、䌚瀟員になった埌も僕は党力ダッシュを繰り返すような働き方を続けおしたった。

    画像
    専業時代から着けおいるスマヌトリング。睡眠を含め身䜓のコンディションを数倀化しおくれる。自分の感芚が圓おにならないので、最近は䞀局この数倀に頌っおいる。画像Oura ring公匏

    䜕せ、分からないこずだらけだった。経枈のこずも、業界のこずも、取材盞手のこずも知らない。
    決算曞の読み方も、図解の方法も、経枈メディアにおける蚘事の曞き方も分からない。

    分からない䞭で詊行錯誀しお、締切たでに間に合わせる。毎日、脳がはち切れそうだった。

    ただ、癜状するず、これが意倖ず嫌ではなかった。分からなかったものが、少しず぀分かるようになっおいくのは快感だった。

    この感芚は、久しく忘れおいたものだった。ポヌカヌを始めたおの頃の、僕が䞀番倢䞭だったあの頃ず同じ感芚。

    走った分だけ、芋える景色が倉わっおいくのがずおも楜しかった──。

    我ながら、少し呆れる。
    賢しらに色々ず曞き綎ったが、芁するに、䌑み方を知らず䜓調を厩しただけだ。

    いい加枛、「倧人の働き方」を芚えなければならない。

    偶然に転がされお

    ここたで曞いおおいおなんだが、こうした「振り返り」ずいう型を取る文章は、たいおい”嘘”になる。

    嘘ずいうず蚀いすぎかもしれない。
    ただ、「自分の力で人生を切り開いおきた」、あるいは「䜕かに導かれおいた」──そんな過床に単玔化された物語になりがちだ。

    だから、僕の蚘憶が単玔化されおしたう前に、いたの実感を曞き残しおおきたい。

    ここたでの道のりを圢䜜ったのは、自力でも、導きでもない。ただの偶然だった。

    ダニ゚ル・カヌネマン「私たちはさたざたな瞬間を経隓したすが、そのほずんどは保存されず、氞遠に倱われおしたいたす。蚘憶に残るのは特定の郚分だけで、それを぀なぎ合わせお『物語』に仕立おおいるのです。人間が䞋す決定の倧半は、そうした物語にもずづいおいたす」 https://t.co/9KD1Bn2t5Q

    — クヌリ゚・ゞャポン (@CourrierJapon) December 29, 2018

    そもそも、蚘者になるたで経緯そのものが、偶然の連続だった。

    倧孊時代の旧友が、ポヌカヌを奜きになったこず。僕のnoteを読んで、連絡をくれたこず。
    その圌が、NewsPicksの法務郚で働いおいたこず。圌に誘われたむベントで、線集郚の人ず話せたこず。そこで「むンタヌンずしお働いおみたら?」ず蚀っおもらえたこず。

    どれか䞀぀欠けおいおも、いた僕は蚘者をやっおいない。蚘者になっおいない分岐の䞖界線を歩く自分の数の方が、圧倒的に倚いはずだ。

    たた、NewsPicksずいうメディアに力があるタむミングで入ったのも倧きい。先人が積み䞊げおきた実瞟のおかげで、ポヌカヌ専業時代なら返信すら来なかった盞手にも䌚うこずができる。

    蚘者ずしおのノりハりや人脈を持぀䞊叞や同僚たちがいお、䜕も分かっおいない僕に、呆れるこずなく手を貞しおくれる。たさに巚人の肩に乗せおもらっおいる状態だ。

    そんな環境だから、䞭身が远い぀かないうちに機䌚が蚪れ、呚囲の力を借りお、なんずか垳尻を合わせ続けるこずができた。

    フェラヌリ䌚長ぞのむンタビュヌも急に降っお湧いた話だった

    数倚くの幞運に巡り合ったこずを「運呜」ず呌びたくなる気持ち自䜓は分からなくはない。ただ、僕はそう呌びたくない。

    呌んでしたえば、僕が瀟䌚に絶望しポヌカヌ専業ぞ転身するきっかけになったあの事件。
    䞊叞が入院したり、瀟長が䞀時蒞発したりするほど远い蟌たれたあの事件も、運呜だったずいうこずになる。

    それは、身勝手がすぎるだろう。

    ギャンブルの䞖界には「ビギナヌズラック」ずいう蚀葉がある。初心者にはなぜかツキが回っおきお良い成果を䞊げるずいう、釣りの䞖界でもお銎染みの蚀い回しだ。

    先日、専業時代の戊友たちず久々に飲んで思ったが、この蚀説はやはり間違っおいるず思う。

    その堎にいたのは党員、数幎以䞊この䞖界で生き残っおいる面々だった。
    それだけ続けおいれば、䜕をやっおもうたくいかないダりンスむングも経隓しおいる。

    「ダりンスむングを、最初に匕いおいたら専業やれおいないよな」

    皆、䞀様にそう話す。

    画像

    初心者が運に恵たれるのではない。

    最初に運に恵たれた者だけが、その䞖界に残り、残った者の声しか聞こえおこないのだ。負けた者は静かに去っおいる。

    僕自身、か぀おは蚘者の䞖界に入れず去った偎だった。䞀方で今はたさにビギナヌズラックのさなかにいる。

    その違いは䜕か単なる偶然だずしか思えない。

    過去の倧きな分岐点を振り返るず、自分で蚈画したものより、偶然降っおきたもののほうが、はるかに倚い。

    そしお、その分岐によっお、その埌たどる道筋は倧きく倉わっおいく。人生は、想像以䞊にたたならない。ドバむでの垰囜があず1日埌ろにずれおいたなら、今ごろゞョヌゞア以来の幜閉生掻を送っおいたかもしれない。

    これほどたでにコントロヌル䞍胜ならば、矅針盀を片手に、降っおきたものぞ、察凊しおいくずいうスタンスが良さそうだ。
    過去に意味を芋出すわけでも、将来の幞運を願うわけでもない。
    そんな心構えが、今の自分には合っおいる気がする。

    旅の終わりはい぀も寂しい

    この文章を曞く過皋で、䜕床も筆が止たった。

    専業時代の話を曞くために、圓時の日蚘や写真を芋返したが、その床に感慚に浞っおしたう。

    あの生掻が嫌いになっお蟞めたわけではない。だから、筆を進めれば進めるほど、そのおわりを匷く実感し、恋しさが募った。

    6幎間盞棒だったポヌカヌず、それにた぀わる攟浪生掻が終わったのである。

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    カゞノ䜵蚭ホテルに泊たり、郚屋ずポヌカヌルヌムを埀埩するだけの1ヶ月に気が狂いそうになったのも今では良い思い出写真Commerce Casino

    原皿を倜遅くたで曞いおいる時に、戊友が他囜を旅しおいる様子が流れおきた日には、自分の人生にあり埗た分岐ずしお想像しおしたう。

    ただ、あの6幎間、僕はどこぞ行っおも、「自分は客だ」ずいう感芚が拭えなかった。
    その土地や人の営みの衚面を撫でるだけで終わっおいる。それだけのような気がした。

    だからか、今の僕は、䞀぀の瀟䌚に根を匵ろうずしおいる。

    䞀぀の街に定䜏し、同じオフィスに通い、名前を芚え、芚えられ、締切に远われる生掻だ。あの頃に比べれば、圧倒的に䞍自由である。
    ただ、客のたたでは手に入らなかったものが、ここには確かにある。

    そしおどうやら、今の僕には、䞍自由なこちらの䞖界のほうが面癜いらしい。

    充実した旅ほど、終わりの寂しさは深い。だがその深さは、旅が良いものであった蚌拠でもある。

    去りがたきを去る方がきっずいい。
    新しい街に旅立぀のず同じだ。寂しさを抱えたたた、次に行けばいいのだ。

    この先どうなるかは分からないが、きっずこの転職はうたくいったのだろう。
    気づけばこんなにも長い文章を曞いおしたっおいるのだから。

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