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初めて早川漁港に行って半生アジフライを食べた日曜日の話

    神奈川県の西部に移り住んで、約20年。小田原はとても身近な街なのに、なぜか今まで一度も訪れたことのなかった早川漁港。
    国道135号線で熱海や伊豆に向かう時、高架の上からただ何となく見下ろすだけの港だった。

    友人と、昼飯でも食べにいこう、という話になり、その友人が今回リクエストしたのが漁港だった。
    わざわざ東海道本線に1時間近く揺られてやって来るという。

    調べてみると、店によっては混雑し長い列ができるらしい。そんな人気だとは全く知らなかった。遠くから来る友人を、暑い中並ばせるわけにもいかない。整理券システムの店を選び、事前に発券するために9時30分、早川漁港入りした。

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    まだ人もまばらだ

    日曜日だということもあるのだろう。漁港の駐車場はすでに半分ほど埋まっていた。
    9月に入ったというのに、今日も猛暑の予報。日陰にいても汗が吹き出す暑さ。
    車を停めて徒歩2分、今回お目当ての店「さじるし食堂」に到着。

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    11時開店の店の前にはまだ誰もいない

    入口右の受付機で発券する。

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    3番をゲット

    僕より前に、すでに2組発券されている。どうやら人気店だというのは本当らしい。
    開店まで約80分ある。少し港周りを歩いてみることにする。

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    どの店の前にも海鮮丼の写真が並ぶ

    漁港めし、とか、漁師めし、とかそんな単語が並ぶ。
    潮の匂いが高温多湿で倍増する。高い防波堤で囲まれているせいか、風は全く吹かない。

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    漁港市場内

    日曜は漁も競りも休みだということで閑散としている。その見学も兼ねるのであれば、日曜の来訪はお勧めしない。

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    鮮魚も売られている

    市場内の2階、10時開店の魚市場食堂にはすでに長蛇の列ができている。魚市場特有の匂いに満ちている。

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    停泊中の漁船

    漁港から早川駅までは、徒歩7分程度。135号線を見上げる。いつもと見る景色が反転していて、新鮮。

    10時50分、友人が早川駅着。
    先ほどのさじるし食堂に戻ると、すでにかなりの人が並んでいた。発券機を見ると待ちは30組以上。

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    半生アジフライって?

    11時の開店と同時に、発券番号順に呼ばれる。
    今回のお目当ては、半生アジフライ。数量限定のため、早くに売り切れてしまうことも多いらしい。

    小田原、と聞いて鯵を連想される人も多いと思う。目の前に広がる相模湾は良質な漁場として知られている。主な理由として、水深が深いこと、また丹沢山、箱根山から流れ込む川によってプランクトンが豊富であることが挙げられる。
    本来回遊するはずの鯵が、小田原の岩礁地帯に居着き、豊富な餌を食べて丸々と太るのだとか。これを「根つき鯵」といい、脂の乗りが良いだけでなく、伝統の定置網漁で身を傷つけることなく水揚げされるため、鮮度を保ちながら各地に出荷される。その良質な鯵が評判を呼び、小田原=鯵のイメージが完成された。小田原では市の魚として鯵を認定。そのためか、市内いたるところで美味しい鯵料理を楽しむことができる。

    でも。

    半生アジフライは初体験だ。

    運ばれてきたアジフライは、見た目からして、今まで僕の人生に一度も登場したことのない出で立ちで登場した。

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    半生アジフライ定食¥2200
    窯出汁玉子焼き¥550

    周りには衣がついてしっかりとアジフライなのに、切り分けられた身は、レアだと一目でわかるほど赤みを帯びている。
    さらにアジフライといえば、ソースやタルタルが主流だと思う。しかしさじるし食堂の半生アジフライはポン酢だれ、味噌だれで楽しむ。薬味は生姜、大場、万能ねぎ。

    さっそく食べてみる。

    よく「想像以上」「想像を超える」などの表現が誉め言葉として使用される。

    でも、このアジフライは、最上級の誉め言葉として「想像通り」なのだ。見た目を全く裏切らない、そう言い換えることもできる。
    普通のアジフライで、よく表現として使われるのが「サクサクの衣、身はふっくらしてフワフワ」が王道。
    半生アジフライは、最初の歯ごたえは確かにサクッだが、噛めば刺身に通じるしっかりとした鯵本来の味やにおいを感じることができる。

    だからと言って生臭いわけではなく、鯵の持つポテンシャル(旨味)を最大に引き出している。それを可能にさせているのは、やはり絶妙の火加減だろう。きっとこれよりほんの少しでも長く揚げたら、身は生の部分を失い真っ白くなってしまうはずだし、逆に揚げ時間が短すぎたら、サクッとしたファーストバイトは損なわれてしまうだろう。刺身と違って生身の温度が上がり、不必要に生臭くなってしまう恐れもある。
    それを、よくもここまで。きっと多くの試作を繰り返し辿り着いた境地。
    僕はこれを、アジフライのカテゴリーに分類する必要などないとさえ感じた。もはや、発明に近い。

    玉子焼きは、出汁の風味が玉子本来の甘味と溶け合う。
    冷たい状態で出されるのもあってか、上質なケーキのようにすら感じる。窯で焼き上げたとあって、玉子焼き下部に焦げ部分があり、それがまたカステラの焼き目を連想させる。これもまた、今まで食べたことのない玉子焼きだ。

    美味しい。
    料理はアイデア次第で、まだまだ可能性が詰まっているのだと驚かされた。

    漁港を見学しながら、半生アジフライと窯出汁玉子焼き、あなたもぜひ召し上がってみてください!

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    この日、海はとても蒼かった

    きらきらと輝く相模湾を見るだけで、きっと元気になれるはずです。
    僕も翌日月曜日、普段と違ってなんだかとても気分が良かったのは、きっと海を見たからだと思いました。

    友人の食べていた海鮮丼も、問答無用に美味しそうだったなあ。
    次回は電車で来て、昼から刺身と冷や酒、もいいな。

     
     
    note毎日更新中! サウナ、カクテル、フジロック 自分が書きたいものを書く「物書き」 人生のハーフタイムを終えて これからは「やりたい事」を選ぶ側へ 書くことで、誰かの何かをそっと応援できたら 本業は某企業の研究所に勤めるサラリーマン 残る文章を、書きにいく

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