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保証付き融資とプロパー融資の違い|銀行取引の教科書 #03

    こんにちは!
    株式会社T&Aフィナンシャルマネジメント代表の齋藤高広です。

    連載「中小企業のための銀行取引の教科書」の第3回をお届けします。

    前回は、メガバンク・地方銀行・信用金庫・政府系金融機関それぞれの性格と使い分けについてお話ししました。
    自社の規模や成長段階に合った相手を選ぶこと、そして1行に依存せず複数の金融機関と関係を持っておくこと。
    これが銀行取引の土台になる、という内容でした。

    今回は、その一歩先に進みます。
    テーマは「保証付き融資とプロパー融資の違い」です。

    同じ「銀行からの借入」でも、この2つは中身がまったく異なります。
    そして、ここからが今回いちばんお伝えしたいことなのですが、この2つは、会社の成長に合わせて段階的にステップアップしていくものです。

    創業したばかりの会社がいきなりプロパー融資を受けられることは、まずありません。
    まずは保証付き融資から始まり、実績を積み、財務が良くなるにつれて、少しずつプロパーの比率が上がっていく。
    この階段を意識しているかどうかで、数年後の資金調達力は大きく変わります。

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    まずは、自社の借入明細を見てください

    具体的な話に入る前に、ひとつ確認していただきたいことがあります。

    決算書に添付されている借入金の明細、あるいは銀行からの返済予定表をご覧ください。
    そこに「信用保証協会」という文字はありますか。

    この文字があるものが「保証付き融資」、通称「マル保(まるほ)」です。
    ないものが「プロパー融資」です。

    「自社の借入のうち、どれがマル保でどれがプロパーか、正確には把握していない」という経営者の方は、決して珍しくありません。
    しかしこの区別は、銀行が自社をどう評価しているかを映す鏡でもあります。
    まずはここから確認してみてください。

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    保証付き融資(マル保)とは

    信用保証協会が「保証人」になる仕組み

    信用保証協会は、各都道府県などに設置されている公的機関です。
    中小企業が銀行から融資を受ける際に、公的な保証人になってくれます。

    万が一、会社が返済できなくなった場合、信用保証協会が会社に代わって銀行に返済します。
    これを「代位弁済」といいます。

    つまり銀行から見ると、保証付き融資は回収できないリスクが大幅に下がる融資です。
    だからこそ、審査のハードルも下がります。
    実績の乏しい創業期の会社や、決算の内容が万全とは言えない会社でも、保証付きであれば融資を受けられる可能性が十分にあります。

    経営者が負担するもの

    このありがたい仕組みには、当然コストがかかります。
    それが「信用保証料」です。銀行に支払う利息とは別に、信用保証協会に支払います。

    保証料率は、会社の財務内容などに応じて区分されます。
    財務が良い会社ほど低く、そうでない会社ほど高くなる仕組みです。

    ここで押さえておきたいのは、実質的な資金調達コストは「金利+保証料」であるという点です。
    「金利が低いから有利」と考えていても、保証料を含めて計算すると、見え方が変わることがあります。
    銀行と条件を比較する際は、必ずこの合計で考えてください。

    代位弁済されても、返済義務は消えない

    ここは誤解の多いところなので、はっきりお伝えします。

    信用保証協会が代位弁済をしても、会社の返済義務がなくなるわけではありません。
    返済先が銀行から信用保証協会に変わるだけで、会社は引き続き信用保証協会に返済していくことになります。

    「保証付きだから、いざとなっても大丈夫」というものではありません。
    あくまで、銀行が融資しやすくするための仕組みだとご理解ください。

    プロパー融資とは

    プロパー融資は、信用保証協会の保証を使わず、銀行が自らのリスクで実行する融資です。

    貸したお金が返ってこなければ、その損失は銀行が全額負担します。
    だからこそ審査は厳しく、銀行は本当に返済できる会社かどうかを慎重に見極めます。

    裏を返せば、プロパーで借りられているということは、その銀行が自社を「自分のリスクで支える価値がある会社だ」と評価している証です。
    これは数字には表れない、非常に重要なシグナルです。

    プロパー融資には、次のような利点もあります。

    • 信用保証料がかからない

    • 金額の上限が、保証制度の枠に縛られない

    • 返済期間や資金使途について、銀行と柔軟に相談できる

    • 当座貸越など、機動的な資金調達の手段につながりやすい

    保証付きは「枠」である、という発想

    もうひとつ、ぜひ知っておいていただきたい実務的な論点があります。

    信用保証協会の保証には、利用できる限度額(枠)があります。
    無制限に使えるものではありません。

    つまり、平時にどんどん保証付き融資を利用していると、その枠を使い切ってしまいます。
    そして、本当に厳しい局面が訪れたとき——業績が悪化したときや、災害・経済環境の急変が起きたとき——最も保証を必要とするタイミングで、枠が残っていないという事態になりかねません。

    ですから、理想的にはこう考えます。

    平時はできるだけプロパーで調達し、保証枠は「いざというとき」のために温存しておく。

    これは、多くの経営者が意識していない視点です。
    保証枠は、会社にとっての予備の体力のようなものだとお考えください。

    成長段階に応じた3つのステップ

    ここからが今回の本題です。
    保証付きとプロパーは「どちらを選ぶか」という二者択一ではなく、会社の成長に伴って進んでいく階段です。
    実務では、おおむね次の3段階をたどります。

    第1段階:マル保から始まる(創業期〜)

    創業したばかりの会社、あるいは設立から数年の会社が、いきなりプロパー融資を受けられることはほぼありません。

    理由は明確です。
    銀行には判断材料がないからです。
    決算書は1期か2期分しかなく、事業が続く保証もない。
    この状態で自らリスクを取るのは、銀行にとって現実的な選択ではありません。

    ですからこの段階では、信用保証協会の保証を活用して借りるのが基本です。
    日本政策金融公庫の創業融資とあわせて利用するケースも多く見られます。

    ここで大切なのは、「マル保でしか借りられない」と引け目に感じる必要はまったくない、ということです。
    この段階のマル保は、次のステップに進むための実績づくりです。
    約束どおりに返済を重ねること自体が、銀行に対する何よりの説明材料になります。

    第2段階:マル保とプロパーの「同額実行」(成長期)

    事業規模が大きくなり、財務内容も改善してくると、次の段階が訪れます。

    ここで実務上よく行われるのが、「同額実行」と呼ばれる形です。
    たとえば5,000万円を調達する際に、保証付き融資で2,500万円、プロパー融資で2,500万円というように、両方を組み合わせて実行するやり方です。

    なぜこうするのでしょうか。

    銀行の側から見ると、全額をプロパーで出すにはまだ一歩踏み切れない。
    しかし、この会社は伸びている実感があり、支えたい。
    そこで、半分は保証で守りつつ、半分は自らリスクを取るという形で、関係を一段深めるわけです。

    これは銀行にとって、貴社への評価を一段引き上げる意思表示でもあります。
    「同額実行を提案された」ということは、プロパー単体への道が見えてきたサインだとお考えください。

    経営者の側からも、この形を意識して打診する価値があります。
    「今回は一部をプロパーでご検討いただけませんか」と相談してみる。
    断られたとしても、「では、どうなればプロパーを検討できますか」と聞くことで、銀行が何を見ているのかを具体的に知ることができます。
    この質問こそ、次の段階への最短ルートです。

    第3段階:プロパー単体で借りられる(安定・拡大期)

    財務内容が安定し、返済実績も十分に積み上がると、プロパー融資だけで必要な資金を調達できるようになります。

    この段階に来ると、資金調達の自由度が大きく変わります。
    保証料の負担がなくなり、金額の制約も緩み、当座貸越のような機動的な手段も使えるようになります。
    そして何より、温存しておいた保証枠が、有事のための備えとしてそのまま残っている状態になります。

    ここまで来て初めて、「銀行取引が経営の武器になっている」と言えるのだと思います。

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    ステップアップのために、今からできること

    では、この階段を上っていくために何をすればよいのか。ポイントは4つです。

    1.約束どおりに返済を重ねる
    当たり前のようですが、これが最も効きます。
    延滞や条件変更の履歴は長く記録に残ります。

    2.決算書の内容を整える
    銀行は決算書のどこを見ているのか。
    これは第2部で詳しく扱いますが、利益と自己資本を着実に積み上げることが基本です。

    3.試算表と資金繰り表を定期的に提出する
    決算のときだけ顔を出す会社と、毎月または四半期ごとに状況を報告してくれる会社。
    銀行がリスクを取りやすいのは、間違いなく後者です。判断材料が継続的にある会社は、担当者が稟議書を書きやすくなります。

    4.小さな金額から打診してみる
    いきなり大きな金額のプロパーを求めるのではなく、少額から相談するほうが現実的です。
    1件の実績ができれば、次につながります。

    この4つは、いずれも銀行員が社内で稟議書を書きやすい状態をつくるための行動です。
    連載を通じてお伝えしている本質は、ここでも変わりません。

    よくある3つの誤解

    「マル保は格下だ」
    そんなことはありません。成長段階に応じた適切な選択であり、創業期にマル保を活用するのは正しい判断です。
    問題なのは、規模が大きくなってもマル保だけに頼り続け、枠を使い切ってしまうことです。

    「プロパーになれば、もう戻らない」
    業績が悪化すれば、銀行がプロパーから保証付きへ切り替えを求めてくることはあります。
    プロパーは、維持するものでもあります。

    「保証付きなら必ず借りられる」
    信用保証協会にも独自の審査があります。
    銀行が了承しても、保証が下りないケースはあります。

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    まとめ

    保証付き融資とプロパー融資は、優劣の関係ではなく、会社の成長に合わせて進んでいく段階です。

    マル保から始まり、マル保とプロパーの同額実行を経て、プロパー単体へ。
    この階段のどこに自社がいるのかを把握し、次の段階に進むために何が必要かを銀行に尋ねてみる。
    それだけでも、銀行との対話の質は変わります。

    次回は「資金使途:融資は「何に使うか」から始まる」をテーマにお届けします。
    保証付きかプロパーかを検討する前に、そもそも何に使う資金なのか。
    銀行はまずそこを見ています。ぜひ続けてお読みください。

    お問い合わせ・ご相談について

    「銀行との交渉にいつも不安がある」「自社の財務戦略や資金繰りの体制をプロの視点で見直したい」とお考えの経営者様へ。

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    私たちは、中堅・中小企業の経営者様のいちばん近くで、同じ目線に立って考えるパートナーでありたいと考えています。
    「こんなことを聞いてもいいのだろうか」という小さな疑問で構いません。資金繰りや銀行取引、財務戦略に関するご相談がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。ご連絡を心よりお待ちしております。


     
     
    社長の「右腕」になる社外CFO。メガバンク出身。プライム上場企業執行役員経験。中堅中小企業には銀行との付き合い方を、ベンチャー企業には資金調達と成長の財務戦略を。銀行・コンサル・上場企業の現場で見てきた「お金の勝ち筋」をnoteで発信中。

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