
第七回:世の中の「なんか変」を投資家目線で考えるーーお金持ちなのに高級品を買わない? 富裕層の消費に起きている変化
こんにちは!個人投資家で元ホテルマンのTAKA Chanです。
株式市場を見ていると、少し不思議に感じることがあります。
株価が上がれば、株式を多く保有する富裕層の資産も増える。
資産が増えれば、高級ブランドや高級ホテル、高級レストランなどの消費も増える。
普通はそう考えますよね。
ところが、最近のアメリカでは少し違う動きが出ています。
お金を持っている人たちが、以前ほど高級品を買わなくなっているのです。
調べてみました。
富裕層の消費が減っている?
2026年10月6日のロイター報道によると、シティが集計したクレジットカードデータでは、米国の高級ブランド向け支出が9月まで3カ月連続で前年同月を下回りました。
9月の支出額は前年同月比6%減少。
7月と8月もそれぞれ4%減少。
もちろん、これは特定のカードデータに基づくものであり、米国の富裕層全体の消費を表しているわけではありません。
それでも興味深い数字です。
AI関連株などの上昇で大きな資産を築いた人もいる一方、高級ブランド市場では消費に慎重な動きが見られる。
お金があることと、お金を使いたいことは別なのかもしれません。
高いものなら売れる時代ではない?
私は20年ほどホテル業界にいました。
その経験からも、確かに富裕層だからといって、何でも高いものを選ぶわけではないと感じています。
お金にシビアな人はとても多かったです。
価格に見合う価値があるのか。
他では得られない体験ができるのか。
そして、そのお金を使う必要が本当にあるのか?
これは高級ホテルでも、高級ブランドでも同じでしょう。
近年の高級ブランドは値上げを続けてきました。
しかし、値段を上げればブランド価値も上がるというほど、消費者は単純ではありません。
高いから欲しい。
ではなく、高くても欲しい理由があるのか。
この違いが、以前より重要になっているのかもしれません。
投資家として気になること
今回のニュースで私が注目したいのは、富裕層の消費が必ずしも資産価格と同じ方向に動かないことです。
株式や不動産の価格が上昇すると、資産が増えた安心感から消費が活発になることがあります。
経済学ではいわゆる「資産効果」と呼ばれる現象です。
しかし、将来への不安が強ければ、資産が増えても消費を控えることがあります。
そして企業側にも問題があります。
値上げによって売上高が増えても、販売数量が減っていれば、必ずしも事業が強くなっているとは言えません。
投資家としては、売上高だけではなく、販売数量、利益率、既存店売上高なども確認する必要があります。
高級ブランドの強さは、値上げできることだけではありません。
値上げしても、お客様が買い続けてくれること。
そこに本当の競争力があると思います。
最後に
世の中には、お金があれば何でも買う人もいるでしょう。
でも、お金があるからこそ、買わないという選択をする人もいる。
これは決して不思議なことではありません。
ただ、これまで富裕層の消費は底堅いと考えられがちだっただけに、最近の変化には注目しています。
高級ブランドだから売れる。
富裕層だから買ってくれる。
株価が上がれば消費も増える。
そんな単純な話ではなくなっているのかもしれません。
企業のブランド価値と、消費者が感じる価値は、必ずしも同じではない。
この「なんか変」。
私は今後の高級ブランド企業だけでなく、ホテルや旅行、外食産業を見るうえでも、興味深い変化だと思っています。
出典・参考資料
Reuters(2026年10月6日)
US luxury spending slows ahead of midterms, credit card data shows
米国の高級ブランド消費に関するシティのクレジットカードデータを報じた記事。