
年末の音楽の話題まとめて
⚫︎第67回輝く!日本レコード大賞
ノミネートを優秀賞と呼び、全員受賞者扱いにするシステムはいい加減にやめればいいのにと思う。
レコード会社や芸能事務所、場合によってはアーティスト本人やファンから“何故、格下のアイツが受賞してこっちがダメなんだ”みたいなイチャモンがつくから、“全盛期”の日教組の“みんな一等賞”的な選出にしているといういかにも日本的な談合システムなのだろう。
また、近年の新語・流行語大賞や芥川・直木賞の選出が授賞式に出てくれる人とか、マスコミやネット民が話題にしてくる人を優先しているとしか思えない結果になっているのと同様に、候補者全員を受賞者とすれば、賞レースにシャカリキになっていないアーティストも会場に来てくれるみたいな思惑もあるのだろう。
いずれの理由にせよダサいなと思うが。
今回の“ノミネート”を一言で言えば、近年の若者に媚びた路線をさらに追求したと言った感じだろうか。
大賞候補の優秀賞10作品のうち、いかにもレコ大といったイメージの演歌・歌謡曲系は純烈と新浜レオンの2組だけだ。
あとは、言い方は悪いが若者に媚びたストリーミング(サブスク)に強いアーティストばかりだ。
CDシングルなどフィジカルが強いイメージのアーティストはBE:FIRSTくらいだ。これだって、Billboard JAPANの年間チャートで30位内に入っているからストリーミングに弱いというわけでもない。

ただ、女性アイドルの扱いに関しては疑問に感じた。カワラボ勢の人気が高いからこれは外したくない。とはいえ、10組の中にカワラボが3組もあると偏りすぎると批判される。
だから、本来なら優秀賞の中に入れてもおかしくないほどヒットした(ビルボードの年間チャートで国内女性アーティストでは本年度最高位の12位)CUTIE STREETを新人賞の方に回し、優秀賞の方はFRUITS ZIPPERとCANDY TUNEの2組に抑えたのだろう。
でも、2019年度(第61回)はAKB48と坂道シリーズ3組の合わせて4組の秋元康プロデュースグループが入ったのだから3組揃って入ってもおかしくはなかったと思う。
そして、カワラボ勢3組が優秀賞及び新人賞に入ったことで割を食ってしまったのが、同じように今年、SNSでバズった女性アイドルである=LOVEと超ときめき♡宣伝部だ。
イコラブはプロデューサーの指原莉乃に作詞賞を授与することで何とか無視していないアピールはできたが、“かわいい”アピール路線のとき宣はさすがにふるっぱーやきゅーすとかぶるということで外されてしまったようだ。
指原に関しては、アイドル時代の2013年度に一般的な感覚を持っている人なら誰もが大賞はこの曲が取るべきと思っていた“恋するフォーチュンクッキー”(AKB48)で受賞できず、かわりにEXILEが大賞に輝くというありえないことがあっただけに、やっと、その雪辱を果たせたという感じだろうか。
あと、不可解な選出と言えば、特別賞に映画「国宝」が入っていることだろうか。映画のサントラ盤とか主題歌、あるいは、劇伴を担当した作曲家でなく映画自体が対象というのは意味不明だ。レコ大って音楽賞だよね?
⚫︎第76回NHK紅白歌合戦
相変わらず、一度に全ての出場者を決めずに小出しにして発表したり、正式な出場者扱いされない特別枠の出場者がいるのは意味不明だ。
最初の発表から放送当日まで話題を提供し続けないと忘れ去られてしまうという気持ちは分からないでもないが、だったら、アイドルフェスみたいに第⚪︎弾出演者発表といった感じで毎週4〜5組ずつ発表していけばいいのにと思う。
最初に8割くらい発表して、後は小出しでポツポツってやり方は印象が良くないと思う。
まぁ、それだと最初のラインナップに名前が出てこない紅白常連のベテラン歌手、特に演歌系が落選した=落ち目の歌手扱いされるから嫌がるのだろうが。
特別枠に関しては、単発の企画ユニットとか、このステージ限定で再結成されたグループ、このステージのために組まれた限定コラボといったのを除けば、特別枠にする必要はないと思う。
そして、出場歌手(バンドも出るし、過去には器楽奏者が出たこともあるのに歌手と呼ぶのはどうかと思う。これは、いまだに女性を“紅”、男性を“白”とわけていることよりも違和感がある)の選出の不透明さは相変わらずだ。
レコ大と同じく、カワラボ勢を含むSNSでバズった女性アイドルの扱いに関してはどうなんだろうかと思う。
確かにネット民は毎年のように、旧ジャニーズが多いとか、K-POPが多いとか、演歌が多いとか文句を言う。
カワラボ勢の3組(ふるっぱー、きゃんちゅー、きゅーすと)、とき宣、イコラブ、さらに、「ラブライブ!」シリーズから生まれたユニットAiScReamの6組全てを出したら偏りすぎると文句を言われるのは間違いないだろう。
追加発表ではOG参加曲が話題になったAKB48も出場することになったが、最初の発表では秋元康系アイドルの出場は乃木坂46だけだった。
K-POPのILLITやaespa、K-POPの影響下にあることは否定できないHANA、今はアイドル扱いされないが解散したアイドルグループBiSHのメンバーだったアイナ・ジ・エンドもいる。
さすがにバズった系全部を出すわけにはいかなかったのだろう。かといって、メドレーにして6組まとめて1組扱いにして、それぞれワンコーラスだけ歌わせるというやり方にしたら、それぞれのファンからの苦情が殺到する。
そして、最初の発表では隠していたが、AKBも出るから、残された国内女性アイドル枠は限られている。その結果、上記6組のうち、ふるっぱーときゃんちゅーの2組だけを選んだということなのだろう。
カワラボ勢3組で今年最大のヒットを放ったのは年間チャート上ではきゅーすとだ。
でも、“かわいい”をテーマにした楽曲という点ではふるっぱーとかぶる。そして、ふるっぱーは本来ならば、去年、出てもおかしくなかったくらいだった。だから、その罪滅ぼしの意味も込めて、カワラボ勢の中で一番先輩のふるっぱーを優先しなくてはならない。きゃんちゅーは今年を代表する大ヒット曲“倍倍FIGHT!”のテーマはふるっぱーやきゅーすとは若干異なるし、同曲はTBSが音楽特番や関連イベントでやったように他の出演者を観客を巻き込んだ演出もできるから外せない。そうなると、きゅーすとを外すしかなかったということなのだろう。
とき宣に関しては、“かわいい”テーマが丸かぶりということで外された。
イコラブはプロデューサーの指原がAKBのOG参加曲のメンバーでもあるから、指原関連は1組あればいいだろうという判断なのだろう。
内定報道があったAiScReamは結局、紅白の裏で行われるももいろクローバーZ主催の「ももいろ歌合戦」に出場するとのこと。どちらへの出演が先に決まったのかは知らないが、個人的にはこの6組の中では最も落選して当たり前と思っていたので驚きはないが。
⚫︎Billboard JAPAN 2025年年間チャート
本国アメリカのビルボードもそうだが、ストリーミング時代になってヒットチャートの活性化は停滞するようになった。
①特定のアーティストによる占拠
②長期チャートイン楽曲の増加
③リリースされてから時間が経ってヒットする楽曲の増加
④リバイバルヒットの増加
①についてはテイラー・スウィフトがオリジナルアルバム3作連続で全米シングルチャートのトップ10を収録曲で占拠した例が分かりやすいだろう。
④については毎年、年末になると大量のクリスマスソングがリエントリーし、マライア・キャリーの“恋人たちのクリスマス”が首位に立っているのを見て、こんなのヒットチャートではないと思っている音楽ファンも多いことだろう。
最近ではクリスマスだけでなくハロウィーンでも同じような現象が起きていて、今年はマイケル・ジャクソンの“スリラー”がシングルカットされた1984年以来41年ぶりに全米シングルチャートのトップ10内に返り咲いたくらいだ。
中でも問題なのは①と②だろう。だから、日本でも米国でも今年、チャートの集計方式が変更となった。
日本ではMrs.GREEN APPLEのチャート占拠、しかも、長期にわたる複数の楽曲のチャートインが問題視されている。Billboard JAPANが集計方式を変えると発表した初夏の頃なんて、100位内に18曲も入っていた。およそ5曲に1曲がミセスなんてヒットチャートとして機能していない証拠だ。
米国でも多少、システムは違うが集計方式が変更された。その結果、長期エントリーしていたケンドリック・ラマーとシザのコラボ曲が圏外送りとなり、1990年以来初めてトップ40内にラップ曲がない週というのが誕生した。
ただ、日本も米国も集計方式を変えたのは年度の途中なので、今年度の年間チャートではまだ改善はされていないようだ(米国の年間チャートについては発表は来週なので予想だが)。
日本の年間チャートを見てみよう。
年間1位は問題視されたミセスの“ライラック”だ。前年度の年間チャートで5位に入っていた曲が翌年の年間チャートで1位となったのだから、活性化されたチャートとは言えないだろう。また、年間トップ10内にミセスの楽曲が5曲も入っているのでミュージックシーン全体も停滞していると言わざるを得ない。
あいみょんの“マリーゴールド”は今年も年間チャート入りしている。2018年度以来8年連続だ。リスナーが新しい音楽を聞こうとしていないということだ。
さらに今年は異常事態となっている。
ポルノグラフィティ“サウダージ”(2000)
スピッツ“チェリー”(1996)
スキマスイッチ“奏”(2004)
モンゴル800“小さな恋のうた”(2001)
サザンオールスターズ“TSUNAMI”(2000)
といった20年以上前の楽曲が年間チャートの100位内に入っている。“チェリー”なんて29年前だ。
こんなのヒットチャートじゃないだろって言いたい。
洋楽についても見てみよう。
K-POPを除くと、年間チャートに入った洋楽は2022年度が1曲、23年度と24年度はゼロだった。
今年はK-POPにプラスして、ロゼとブルース・マーズのコラボ曲“APT.”と配信アニメーション映画「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」からの“Golden”も広義のK-POPと定義すれば、やはり、洋楽で年間チャートの100位内に入った楽曲はゼロとなる。
高市早苗や参政党など排外主義を全面に出した極右ポピュリズム政治が日本人に支持されているが、その思想は音楽などエンタメの世界でも展開されているということなのだろう。映画の観客動員数ランキングでトップ10内に洋画が1本もないという状況も珍しいものでなくなったし…。
年間アルバムチャートも見てみよう。
K-POPを除くと年間の100位内に入った洋楽作品は22年度と23年度は1、24年度はゼロだった。
今年はK-POPとシングルの方でも言及した「KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ」のサントラ盤を除くと2作品が入っている。ここ何年かではかなり“好成績”と言っていいのだろう。
ただ、その2作品だが、一つはサブリナ・カーペンターの『ショート・アンド・スウィート』だ。リアルタイムで世界的な人気を集めているアーティストの作品ではあるが、最新作ではなく去年出た一つ前のアルバムというのはちょっと気になるところだ。
そして、こちらはかなり問題だと言いたくなるのがエド・シーランの『÷』だ。今年、最新オリジナルアルバム『プレイ』をリリースしたのにもかかわらず、スタジオアルバムとしては5作前の2017年の作品がランクインしているのだから呆れてしまう。最新作が入った上で旧作もつられてランクインとか、先述したサブリナのように集計期間の都合で前作の方が上位に来たというのなら分かるが、エドの場合はどちらのケースでもないからね。というか、この『÷』というアルバムはエド最大のヒット曲で、日本でも長期にわたってランクインした“シェイプ・オブ・ユー”が収録されている。
要は年間シングルチャートの方で“マリーゴールド”が何年もランクインしているのと同じようなものだ。
本当、新しい音楽を聞こうとしない人が増えたなと思う。
