メインコンテンツへスキップ

「不器用」、「不格好」、「下手っぴ」だって問題ないのさ

    何か新しいことを始める時。
    あるいは、昔から気になっていたことに挑戦しようと思った時。

    私たちはつい、最初からうまくやろうとしてしまいます。

    料理なら、美味しく作りたい。
    裁縫なら、綺麗に縫いたい。
    家庭菜園なら、立派な野菜を育てたい。
    ペン習字なら、美しい字を書きたい。
    絵を描くなら、上手に描きたい。
    運動をするなら、格好良く動きたい。
    資格の勉強をするなら、一発で合格したい。

    もちろん、その気持ちはよく分かります。
    誰だって不器用な自分より、最初から上手な自分でいたいものです。

    ですが、残念ながら、現実はなかなかそうはいきません。
    むしろ、多くの場合は理想とは程遠い結果になります。

    やってみたら全然できない。
    思ったより難しい。
    恥ずかしい。
    情けない。

    そして気が付けば、「自分には才能がない」という結論を出してしまいます。

    私もそうでした。

    何かを始めては、うまくいかずにやめる。
    結果が出ないからやめる。
    恥をかきたくないからやめる。

    思い返してみると、そんなことの繰り返しだったように思います。

    でも最近は、こう思うのです。
    その段階でやめてしまうのは、少しもったいないのではないか、と。

    なぜなら、その時点ではまだ何も分かっていないからです。

    今は下手でも、半年後は分からない。
    一年後はもっと分からない。
    五年後、十年後には、自分でも驚くような景色が見えているかもしれません。

    始めたばかりの頃の実力だけを見て、自分の可能性まで決めてしまうのは早すぎる気がするのです。

    私は語学を学ぶことが好きです。
    特にブラジルポルトガル語は長く続けています。
    ですが、始めたばかりの頃は本当にひどいものでした。

    相手の言っていることが全く分からない。
    自分が話そうとしても言葉が出てこない。
    頭の中では文章を作っているのに、口から出てくるのは単語ばかり。
    会話をするたびに、しどろもどろになっていました。
    今思い返しても、ずいぶん恥ずかしい姿だったと思います。

    当時は日系ブラジル人の方々と接する機会も多かったのですが、「ポルトガル語を話す日本人がいるぞ」という感じで、少しからかわれることもありました。
    人前で使ってはNGな表現なんかも教えてもらったりして。。
    もちろん彼らに悪意があったわけではありません。

    ですが、当時の私は恥ずかしくて仕方がありませんでした。

    それでも続けました。
    上手だから続けたのではありません。
    好きだったから続けたのです。
    気になったから続けたのです。
    面白かったから続けたのです。

    すると不思議なもので、少しずつ変わっていきました。
    最初は聞き取れなかった言葉が聞こえるようになる。
    言えなかった表現が口から出るようになる。
    会話の流れについていけるようになる。

    気が付けば、「全然できなかった自分」が遠い昔のように感じられるようになりました。

    もし、あの頃の私が「才能がないからやめよう」と言っていたら、今の景色は見られなかったでしょう。

    だから私は思うのです。
    最初は不器用でもいい。
    不格好でもいい。
    下手っぴでもいい。
    むしろ、それが普通なのだと思います。

    誰だって最初は初心者です。
    最初から上手な人ばかりだったら、「練習」や「経験」という言葉は存在しないはずです。

    そして、不器用だった頃。
    不格好だった頃。
    下手っぴだった頃。
    振り返ってみると、その時間こそが案外面白かったりします。

    できなかったことができるようになる喜び。
    昨日の自分より少しだけ前に進めた嬉しさ。
    そういう小さな積み重ねは、上達した後ではなかなか味わえません。

    だから、もし今、何かを始めようとしている人がいるなら。
    あるいは始めたばかりで、自分の下手さにがっかりしている人がいるなら。

    私はこう言いたいのです。
    焦らなくて大丈夫!
    不器用でも、不格好でも、下手っぴでも問題ありません。

    少しずつでいい。
    ゆっくりでいい。
    続けてみませんか。

    もしかしたら、その先には今の自分が想像もしていない景色が待っているかもしれません。

    そして何よりー。

    下手っぴな日々を慈しみながら歩く人生も、そんなに悪いものではないと、私は思うのです。

    田町 崎(たまち さき)

    画像
    田町 崎(たまち さき)
    翻訳者。南山大学経済学部経済学科卒業後、人材派遣会社で日系ブラジル人たちとともに働く。これがきっかけとなりブラジルポルトガル語の勉強を始め、のち、市役所/警察/病院などで翻訳と通訳を経験。その後、京都外国語大学でブラジルポルトガル語を専攻し同大学院修士課程を修了。院生時には外務省留学プログラムに参加し、メキシコシティにあるメキシコ国立自治大学(UNAM)でスペイン語を約1年学ぶ。海外メディア報道を通じて主には中米/南米の情勢を研究している。TOEIC910点。
     
     
    翻訳者、通訳者。専門はブラジルポルトガル語(ブラポル語)。現在、メディア報道を通して、中米/南米/カリブ諸国を研究中です。 ブラポル語とスペイン語の語学勉強のために、同エリアの学習をスタートしましたが、いつのまにか同地域の成り立ちや情勢に夢中になってしまっています。

    あなたへのおすすめ