メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo bynoouchi

日常を少しだけ旅にしてくれるバスに揺られて

    カットしたケーキのような鋭角で路線を曲がるバスの窓辺よ(未発表歌)


    先日、イベントへ行った帰り会場を出ると目の前にバス停があった。駅周辺のあの人混みの中を駅まで歩くよりバスに乗っちゃってどこか別の駅に出たほうがよさそう。そう思って時刻表を見ると割と本数は多く出ているようであと2、3分で来るので乗ることにした。終点以外はどこを通ってどこで止まるのかまったく分からないミステリーツアーのような気持ちで乗り込んだ。まあ、東京23区ならJRも地下鉄も網の目のように張り巡らされているので、なんとなく行きたい方向の東西南北さえ間違えなければどこかに着くはずだ。

    電車移動の時は本を読んだりスマホを見たりすることが多いが、知らない道の風景が新鮮でずっと窓の外を見ていた。バスというのは駅から離れたところに住んでいる人の移動手段でもあるわけで、普通の住宅街も進んでいく。まるで私の地元と変わらないような昭和な家々の中にニョキッとインテリジェンスなマンションが建っていたりして、不思議な光景だった。家の中こそ見えないがそこで暮らす人々のなりわいを想像してみたりする。後付けの手すりからここはお年寄りがいる世帯かなとか、置き配の箱があるので忙しい人が住んでるのかななどと架空の脳内物語にしばし浸っていた。

    やがてクネクネと走りながらバスはまた幹線道路に出る。見知った道だ。この先に確か地下鉄の駅があったはず。バスを降り地下鉄へと乗り換えて帰路に着いた。

    いつも最寄り駅から自宅へ帰るバスには不便だ、不便だとぼやいていたが、知らない道を走るバスはささやかな日常の中で小さな旅のような新鮮さを与えてくれたようで時間はかかったけど楽しかった。

    今度は一日乗車券を買って気の向くままにバスを乗り継いで都内でも知らなかった場所を回ってみたいと思った。

    この記事が参加している募集

    あなたへのおすすめ