
西のせんべいと東のせんべい
せんべいが好きなので常備している。せんべいを、好きだとは自覚していたけど、特別、味にこだわりはないと思っていた。ところが高松市に移住し最寄りのスーパーでせんべいコーナーを物色していたところ、純粋な醤油味のせいんべいや塩せんべい的なものがほぼなく仰天した。「うそでしょう!?」。しつこく探してみると、ほんの2、3、見つかったものの申し訳程度のもので購入を見合わせた。
関東出身の人なら、「スーパーで塩や醤油のせんべいがないなら一体どんなせんべいがあるんだよ?」と思うのではないか。どんなせんべいが並んでいるのかというと、いわゆる“甘じょっぱい”系の米菓や小麦粉を使ったせんべいである。45年間神奈川県育ちの私はシンプルな醤油味のせんべい(もちろん小麦粉ではなく米で作られたもの)が好きというか、好きと自覚していないくらい、せんべい=醤油味の米菓と思い込んでいたので困った。
悩んだ末に消去法で選んだのが三幸製菓の「丸大豆せんべい ほんのり甘い 旨口醤油味」。同商品の塩味が好きでよく食べていたので。塩味はなかったが「好きなせんべいだし一応醤油味だし……」ということで、購入。しかし、食べてみると想像以上に甘かった。
後日、品揃えが良く大きいスーパーに行ったら、無事に塩味や甘くない醤油せんべいがあり、安心した。結局「丸大豆せんべい」の塩味(正確には枝豆香る塩味)を買ったのだけど、「ほんのり甘い 旨口醤油味」が目立つところに並べられており、塩味より人気であることが伺えた。
というわけで、せんべいといえば醤油や塩味が当たり前だと思っていたが、その当たり前が四国では違ったのだった。そんな出来事があり、移住前によく食べていたあるせんべいが恋しくなってしまった。それはシンプルな醤油味とごま味のせんべいがミックスされた割れせん的なもの。私の中で「せんべいの王道といえばこうゆうやつ」というせんべいで、バリバリッと食べられる歯ごたえと、お米と香ばしい醤油やごまの風味をシンプルに楽しめる味わいが気に入っていた。
名前も製造元もまったく不明だったが、この度好みのせんべいについて考えたついでにそのせんべいをインターネットで探してみた。買っていたのはよく利用していたスーパーに併設されていた「こだわりや」という店(無添加や素材にこだわった食品を扱っており、首都圏で展開している)。「こだわりや」をネットで検索してみたら、オンラインショップがある!そして見つけたのだった。商品名は「無選別 ミックスせんべい(醤油味、ごま味)」とシンプル。製造元は岩手県盛岡市の味泉という会社だった。この「無選別ミックスせんべい」は売り切れだったが、無選別ではない(割れたりしていない)ほうのせんべいは、醤油味、ごま味共に「みちのくせんべい」という名で確認できた。ちなみにAmazonにもあり。
特段こだわりがないと思っていたせんべいを“お取り寄せ”する可能性が出くるとは……。
関東では品揃えに限りのあるスーパ−でも、せんべいコーナーで甘口せんべいがほとんどを占めているという光景はあり得ない。日本列島は静岡くらいを境に、西に行くにつれて甘い味付けが好まれるようになっていくが、せんべいにまで及んでいたとは。西と東の食文化の違いを感じたのだった。