
「医者は稼げなくなる」説を信じる前に知っておきたいこと
「お医者さんになれば一生安心」って、本当?
「お医者さんになれば一生安心」——このフレーズ、聞いたことありますよね。昭和の香りがするというか、親戚のおばさんが言いそうなセリフというか。でも最近、ちょっと風向きが変わってきているんです。「これから医者は稼げなくなるかもしれない」という声が、あちこちから聞こえてくる。えっ、本当に? 医者が? 数字を見てみましょう。現在、病院で働く勤務医の平均年収は約1,400万円。開業医ともなると、その倍近い約2,600万円。30代で年収1,000万円を超えて、50代でピーク。やっぱり、どう見ても高収入ですよね。私は医師ではないので、白衣を着て診察する世界のリアルは知りません。でも、子どもが医学部に進んだこともあって、この問題、他人事じゃないんです。だから、ちょっと真面目に考えてみました。
「稼げなくなる」の本当の意味
「稼げなくなる」と囁かれる理由。それは日本の高齢化です。医療費が膨れ上がる一方で、国は診療報酬を少しずつ削る方向に舵を切っている。なるほど、これは確かに厳しい。でも、地方に目を向けると、むしろ医師不足が深刻なんです。地域枠制度が設けられているのも、地域医療への関心が高まっているのも、そのせいです。つまり、「医師が不要になるから稼げなくなる」という話では、まったくない。ここで気づくべきことがあります。医師が「稼げなくなる」という言葉の裏には、「今までよりは」「今までと同じやり方では」「都市部では」という前提が隠れているんです。職業そのものの価値や需要が消えるわけじゃない。
Amazonの衝撃——本当の「稼げなくなる」とは
対照的な話をしましょう。最近、米Amazonが最大3万人の人員削減を計画しているというニュースがありました。人事、会計、デバイス、クラウド、広告部門。ホワイトカラーのエリートたちです。理由はもちろん、AIや自動化に取って代わられたから。これが本当の意味での「稼げなくなる」です。どんなに優秀な学校を出ていても関係ない。その職やポジションに、もはや人が行う価値と需要がないと判断されたということ。企業規模もホワイトカラーもブルーカラーも関係ない。大切なのは、需要と価値の有無、ただそれだけ。
医師という職業の「変わらない本質」
でも、医師は違います。人の命と健康を守る仕事。その本質的な価値は、どんな時代が来ても絶対に変わらない。だから需要もある。価値と需要があれば、方法はともかく稼ぐことはできる。もちろん、ここでは医師としての崇高な志とか、そういう話は別にしています。純粋に「稼ぐ」という観点で考えたとき、医師の「稼げない」は、サラリーマンの「稼げない」とは意味が違うんです。
私には「自分で稼いで食える子どもになってほしい」という願いがあります。そういう意味では、医師という選択は、そう心配するような話じゃないと思っています。むしろ問題は、「今までと同じやり方」に固執することかもしれません。時代は変わる。でも、本質的な価値を持つ職業は、形を変えながらも生き残る。医師という職業は、まさにそういうものだと、私は信じています。