
今週の越境EC・訪日インバウンド業界関連ニュースまとめ 2026/9/5 #86
関東は大雨がすごいことになっていますね。今年の夏は涼しかったですが、昨年が暑すぎた気も。とはいえ、もう秋はすぐそこに迫っています。の東風4ヶ月。走り抜けましょう。
先週は、越境ECの「買えない理由」と「買える仕組み」の両方を裏付けるデータが並びました。BEENOSの意識調査では、海外ユーザーの68.6%が日本のオンラインショップでの直接購入を断念した経験を持ち、最大の理由は国際配送料。一方でメルカリは決済インフラをStripeに刷新したことで越境取引事業を数年で15倍に伸ばし、GMVの約9%・1,000億円規模にまで育てています。「買えない」を「買える」に変える裏側のインフラ投資こそが越境ECの伸びしろだと感じさせる一週間でした。今週気になったニュースをまとめました。
海外ユーザーの68.6%が「直接購入を断念」—最大の障壁は国際配送料
日本のオンラインショップから直接購入しようとして断念した経験がある人は68.6%、その理由として「海外配送に対応していなかったから」が69.9%を占めた。
BEENOSが50以上の国・地域の838名を対象に2026年7月に実施した調査で、日本の通販サイトから直接買おうとして諦めた経験がある人が68.6%にのぼることが分かりました。断念理由の最多は「海外配送非対応」(69.9%)、購入をためらわせる最大のコストは「国際配送料」(42.6%)でした。
一方で「複数ショップの商品をまとめて梱包できる利便性」を62.1%が評価し、配送料が下がれば66.2%が購入を増やすと回答しています。まとめ買いの利便性と配送料の負担軽減—まさに越境EC代行サービスが解決してきた課題そのものが、あらためて数字で裏付けられた形です。
「海外配送に対応していないから諦める」という68.6%の存在は、裏を返せば日本のECサイトにとって手つかずの需要がそれだけ眠っているということでもあります。WorldShopping BIZのような越境EC支援の存在意義を、利用者側の生の声として示すデータと言えそうです。
決済インフラ刷新でメルカリ越境事業が15倍成長—GMVの9%・1,000億円規模に
越境取引はメルカリの年間流通総額(GMV)約1.2兆円超のうち約9%、1,000億円規模を占め、この数年で15倍に伸長した。
メルカリが決済インフラをStripeに切り替えたことをきっかけに、越境取引事業がここ数年で15倍に伸長し、GMV全体の約9%・1,000億円規模にまで成長しました。決済成功率は二桁%改善し、UI最適化によるコンバージョン率の変動幅まで定量的に把握しているといいます。
「データという根拠があるからこそ、過度に慎重になることなく新しい国へも自信を持って参入できる」という担当者のコメントは示唆的です。越境ECの成長を支えるのは商品力だけでなく、決済・配送インフラの磨き込みであることを、国内最大級のフリマアプリの実例が裏付けています。
前段のBEENOS調査で「国際配送料」「海外配送非対応」が購入断念の主因として挙がっていたことを踏まえると、メルカリが取り組んでいるのはまさにその裏側の解消であり、WorldShopping BIZが担っている決済・配送の体験設計と地続きのテーマだと言えそうです。
Buyee×トイズキング、店舗体験を帰国後の越境EC購入へつなぐOMO施策
訪日外国人の観光目的として「アニメ・漫画関連商品購入」が27.9%(前年比6.3ポイント増)、「アニメ関係イベント参加」が9.9%(前年比3.5ポイント増)と、いずれも前年から伸びている。
BEENOSの「Buyee」がホビー専門店トイズキングと連携し、名古屋・有楽町・仙台の実店舗でオリジナルシールを配布してオンラインページへ誘導、帰国後も継続購入してもらうOMO施策を始めました。
訪日中の購入を「その場限り」で終わらせず、店舗側から帰国後の越境ECへの導線を仕掛けている点がポイントです。アニメ・漫画関連消費が前年から伸びているというデータも、訪日目的の多様化を裏付けています。
訪日インバウンドと越境ECを別々の施策として捉えるのではなく、一つの購買体験として連続的に設計するという発想は、今後さらに広がっていきそうです。
紀伊國屋書店、バングラデシュ初出店—「航空便か船便か」に悩む物流の現場
船便への切り替えで40〜45日程度を要するものの、物流コストを削減できる。
紀伊國屋書店がバングラデシュ・ダッカにフランチャイズ方式で初出店し、初月から予想を上回る反響があったといいます。売上高では漫画が最大シェアを占める一方、販売冊数では英文学フィクションが首位という、現地ならではの消費傾向も見えてきました。
一方で明かされたのが、航空便と船便のコスト対効果に悩んでいるという物流面の生々しい実情です。スピードを取るかコストを取るか。この葛藤は、日本から海外への越境EC配送が長年向き合ってきた課題そのものです。
店舗展開でも通販でも、海外に販路を広げる際には同じ物流の壁にぶつかります。今週見てきたメルカリやBEENOSの取り組みが「輸入側」(海外から日本の商品を買う側)の課題解決だとすれば、紀伊國屋書店の事例は「輸出側」でも同じ壁が存在することを示しており、越境ECが積み重ねてきた解決策の広さを裏返しの形で確認できる事例と言えそうです。
タイガーエア台湾、九州便の航空券代の一部を熊本県に寄付—訪日誘致と復興支援を両立
航空券1枚当たり50台湾元(約250円)を熊本県に寄付。9月1日から10月31日までに販売する九州便が対象。
台湾の格安航空会社タイガーエア台湾が、九州便の航空券代の一部を熊本県に寄付する取り組みを始めます。訪日誘致と地域復興支援を組み合わせた施策です。
台湾からの訪日客にとって、九州が身近な選択肢であり続けていることがうかがえます。地方への訪日誘導が進むほど、地方発の越境ECへの需要拡大にもつながっていく可能性がありそうです。
中国玩具メーカーが「東京おもちゃショー」に出展—おもちゃカテゴリーの双方向化
東京で30日まで開催された日本最大規模の玩具の展示会「東京おもちゃショー」で、中国の玩具メーカーが存在感を示している。
日本最大の玩具展示会「東京おもちゃショー」に、中国の玩具メーカーが相次いで出展し、存在感を示しました。
#85で紹介したBEENOSのデータ(日本発の越境ECで「おもちゃ・ホビー・グッズ」が伸長率91.4%で首位)と合わせて読むと、同じ「おもちゃ」というカテゴリーを軸に、日本発の越境EC輸出と中国メーカーの日本市場参入という双方向の動きが同時に進んでいる構図が見えてきます。
日本発のホビー・コレクター文化が海外で強い一方、日本市場自体も海外メーカーにとって攻略対象になりつつある、カテゴリーの強さが国境を越えて双方向に働いている点は、今後の競争環境を考える上で興味深い切り口になりそうです。
越境EC・ウェブインバウンド白書2026
https://www.worldshopping.biz/whitepaper/crossborder_ec_webinbound2026
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