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ほころびタンシチュー#毎ショ

    「このお店、前から来たかったんですよ。斉藤さんがタンシチューがお好きだと聞いて良かった」

    加藤は笑いながら話した。

    「ほころびタンシチューでしたかな。いやあ食べてみたいです。楽しみにしておりました。

    加藤は、接待の場所に「ほころびタンシチューの店を選んだ。
    口コミでは聞いていたが頬がこぼれるほど美味いという。

    と、中から食べ終えた人が出て来た。
    4人組のグループらしいが、皆、マスクをかけていた。

    『まだコロナが流行っているのか』と加藤は気にも留めず店に入った。

    店の中は薄暗くテーブルごとにランプが置かれ雰囲気の良い店だ。
    ウェイターに席に案内されると、
    すかさず「ほころびタンシチューを2つ」と加藤は注文した。

    「柔らかく煮込むため少しお時間をいただきますがよろしいでしょうか」

    とウェイターが言うと、

    「もちろん、構いません」

    その間に加藤は斉藤に商談の話を持ちかけようと思っていたのだ。

    30分ほど経って、

    「お待たせ致しました。ほころびタンシチューでございます」

    と運ばれてきたタンシチューは、熱々でシチューの味も最高だった。
    タンは、箸でほぐれるほど柔らかく美味い。

    「いやあ、待った甲斐がありましたな、美味いです」

    斉藤は大満足だった。
    加藤も同じだ。

    「斉藤さん、頬がほころびますな!」
    と言った斉藤の頬が下に落ちていた。

    「加藤さん、頬が落ちています。どうなっているんだ」

    ふたりは互いの顔を見て驚いていた。
    頬がげっそり落ちて😱いるのだ、

    ウェイターを呼んで話を聞くと、

    「ほころびタンシチューは、頬が落ちるほど美味しいのです。
    なのでお帰りの際はマスクを提供させて頂いております。頬のズレ落ちは明日には元どおりになりますから、ご心配は無用です」

    という話だった。

    「それにしても、顔が崩れるほどのタンシチュー、恐るべしですな」

    食べ終えた斉藤がマスクをしてずり落ちた部分をマスクで隠す。

    加藤も同様だ。

    「こんな体験は初めてです。
    まさか、こんな料理があるとは」

    加藤が会計を済ませ、ふたりはマスクの中にしっかりと落ちた部分を隠して店を出た。



     
     

    てみ

     
     
    書くことが好きです。映画感想文、読書感想文、短歌、小説、体験談、エッセイなど書いています。宮沢賢治、新美南吉の童話好きです。柳田國男の「遠野物語」は大好きです。初noteは、20240222です。

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