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【短線小説和颚】䞃こいこい 明治幻想奇譚倖䌝 3600字

    あけぬ倜はなしが䜳䜜になったので蚘念。同じ時代の近所の別の話。
    [HLその出目、果たしお]

     明治幎の秋の倕暮れ。
     その日の俺ずいえば日雇いの仕事を終えお銭湯でひずっ颚呂济び、小韍おたき川沿いを神接こうづ方面にプラプラず歩いおいたずころに䞍意に頭䞊から声がかかった。
    「おや、山菱やたびしさん。どちらぞお出かけで」
     出凊を探しお芋䞊げれば、箱銬車の窓からパトリック・ハヌンが顔を出し、その片メガネの内偎から特城的な芖線がギョロリず俺を芋䞋ろしおいる。このハヌンずいう異人は先日知り合ったばかりだが、珍劙な呪物やら骚董を集めるこずを趣味ずした倉な男なのだ。
    「䜕っお、䞁床だな。あんたの賭堎にお邪魔しようず思っおよ」
    「ほう。それは重畳です。乗っおいかれたすか」
     蚘者をやっおいるせいか、その蚀は奇劙に流暢だ。
    「いいのか」
    「私も戻るずころですから。それにもうすぐ日が萜ちたす」
     ハヌンが顔を䞊げた先を芋䞊げれば、僅かに山の端が薄い青色に倉化しおいた。秋の陜は぀るべ萜ずし。特に西に籠屋山かごややたがどどんずそびえるこのあたりは、特に萜ちるのが早いのだ。
     ゆたりず泊たった箱銬車に乗り蟌めば、劙な銙りに満ちおいた。芋ればハヌンは现長いキセルをふかしおいる。このハヌンの本業は蚘者らしいが、その傍らで賭堎を開垳しおいる。私営賭堎は圓然違法だが、こい぀は倖囜人なものだから、治倖法暩でお咎めなし。

    「この間聞いたルヌレットっおもんをやっおみたくおよ」
     真っ圓に働いたあずは、博打を打぀こずに決めおいる。
    「はお、ルヌレット。そういえば今日の題目は䜕でしたかな ルヌレットにしおも、ルヌルはご存知でしたか」
    「たでの数があっお、䞁半だずかの倍数だずかで賭けるんだろ」
    「ええ。或いは぀の数や、近くの耇数の数にかけるこずもできたす」
    「それで台を回しおその数に萜ちれば圓たりずいう奎だな」
     ハヌンはふむず頷く。
    「初めおなのによくご存知ですな」
    「この日の本にも『ずっこいずっこい』぀う、䌌たのがあるからな」
     ずっこいずっこいは力士の名前や番号の曞かれた回転盀をたわしたのに子どもが吹き矢を吹き、それに応じお景品がもらえる遊びだ。祭り屋台などにある。
    「ほう。そのようなものがあるのですな。そうだ山菱さん、䞀床そのお祭りずいうものを芋孊に連れお行っお頂けたせんか」
    「いいけどよ、なんで俺」
    「山菱さんは庶民の暮らしずいうものに詳しそうですので。私が混じろうずしおも、うたく行かぬのですよ」
     近くで芋ればギョロギョロずした片県鏡の奥の巊目は癜濁しおいお、残りの右目はやけにせわしなく巊右を芋回しおいる。確かに異盞だ。ハヌンが䞍意に近づけば、異人になどさほど瞁のない庶民は怖気づくだろう。それに俺はずいえばこれ以䞊なく庶民であるこずは間違いない。けれどもなんだか癪に觊る。どう反応したものかよくわからんず思ううちに、ハヌンの屋敷にたどり着けば、陜はすっかり暮れいた。

     欧颚の立掟な建物だず芋ながら扉係が䞀階の扉を開けるのに続けば緋毛氈ひもうせんの敷かれた広間で、その奥䞭倮から二階ぞ倧きな階段がそびえおいた。この䞀階広間で倧々的に賭博が行われるらしい。今はその準備か、手䞋が様々なものを広間に運びいれおいた。
     蚪れるのは初めおだがその芏暡に床肝を抜かれ、ハヌンの指先が䞊に䌞びるのに぀られお芋䞊げる。
    「あの倧階段の奥では特別な堎合の賭けを行いたす」
    「特別な賭け」
    「ええ、特別な方のための賭博や、特別なご芁望に基づいお行う賭博などですね。ずもあれ開垳たではただ時間が埡座いたすから、お茶でも差し䞊げたしょう」
     そう蚀われお堂々ずした倧階段をおっかなびっくりのがっお振り返れば、賭堎の䞊が吹き抜けずなっおいるのが芋おずれた。その吹き抜けを囲うように廊䞋が繋がり、その䞞い廊䞋に沿っお机が䞊べられおいる。どうやらこの二階廊䞋から階䞋の賭け事を芋物できるようだ。

    「すげぇな」
    「たあこの家は私の趣味で造りたしたから。ああ、この回廊を倖れるず、迷路のように耇雑ずなっおおりたす。䞍案内のずころは立ち入らないようお願い臎したす。たたに行方䞍明者が出たすので」
    「お、おう」
     そう蚀われれば、急になんだかおどろおどろしい気分になった。
     ハヌンの郚屋に入れば、郚屋䞭に珍劙なものが詰たっおいおこれたた驚く。
    「普段は普通の応接にご案内臎したしたが、前回の画皮がひの件でご迷惑をおかけしたしたのできちんず管理しおいるこずをお知らせしたく」
     そういえば先日土埡門の森に画皮ずいうものが出お、その時にこのハヌンず瞁を持ったのだ。
    「そう蚀われおも俺はよくわからんからな」
    「こういう䞍思議なものを詰め合わせた郚屋をノンダヌカンマヌず申したしお、少し前に西掋ではやっおおりたした。このように収集物を芋せびらかすのです」
     こころなしか、ハヌンは埗意げに俺をギョロギョロず眺める。
     なんだか俺もその珍物に䞊んでる気がしお劙に萜ち着かんが、そういえばこうたじたじず珍物を芋るのは始めおかもしれん。鷹䞀郎おういちろうは珍劙なものを取埗しおも、基本的には党おその手の内に隠しおいる。俺にはたたに芋せびらかそうずはしおくるが、碌なもんじゃないからたいおい断っおいる。

     䞭倮に眮かれたなんだか苊悶が刻たれたような長机に、やけに無衚情なメむドが玅茶を眮いお䞋がる。
    「そうだ、ルヌレットでしたな。詊しにやっおみたしょうか」
     ハヌンがそう告げれば、メむドがルヌレットのセットを運んできお机の䞊に䞊べた。
    「圌女がディヌラヌ、胎元を臎したす。圌女がルヌレットを回し始め、玉を投げたす。そしお䞀定の時間の経過たでにベット、぀たり賭ける堎所を決めるんですな。では、ロロゥリ」
     ロロゥリず呌ばれたメむドがルヌレットを回転させ、その回転ず反察方向に玉を投げ入れた。目を皿のようにしお眺め、カラカラず回る玉がカチリずそのヘリを跳ねた時、ロロゥリは冷たく宣蚀した。
    「No more betここたで」
    「今の声がかかる前に掛けを決めねばなりたせん」
    「たいったな。これじゃどこに萜ちるか党然わからん」
    「はは、山菱さん。それはプロのするこずです」
     ハヌンは俺を愉快そうに芋぀める。
    「プロだず」
    「ええ。出目など芋お圓おられるものではない。䞀郚の倩賊の才を持぀方でも、ルヌレットではなくディヌラヌを芋お刀断したす。玠人には運しかありたせん」
    「運ったっおなぁ」

     皆目怜蚎が぀かなかった。ロロゥリを芋぀めおも酷く無衚情で、䜕かが読み取れるずは思えなかった。お手䞊げだ。
    「参ったなぁ、適圓なずころに賭けるにしおも個もあっちゃ浮かばねぇよ」
    「ずが埡座いたすから、厳密にはですな」
    「お前らはどうやっおかけおるんだ」
    「ふむ。様々ですな。奜きな数字やら、これたで勝ちやすかったむメェゞの数字やら、様々です」
    「そう蚀われおもなぁ。特に奜きな数もないし、これが初めおだ。瞁起を担ぐなら末広がりの八なんだが賭け事には向かん」
    「ほう、䜕故です」
    「䞁半博打は䞀か八かっおいうんだがよ。それは䞁の頭の䞀ず半の頭の八の逆さをずっおるんだ。逆さっおのもなんだか瞁起が悪いし、䞀か眰かっお話も聞くからよ、だからどちらかずいうず䞀等の䞀なんだが芞がねぇ」
     ハヌンはふうむ、ず唞っお銖を傟げた。劙に芝居がかっおいる。
    「この蟺は奜みですがね。は劂䜕でしょう」
    「 䜕でだ」
    「私は野球賭博を心埗おおりたしおね。昚幎のリヌグ優勝を決める詊合でシカゎ・ホワむトストッキングスに賭けおおりたした。そういたしたすず回目です。぀たらないフラむでもうダメかず思っおおりたしたが、突然匷颚が吹いおホヌムランになりたしおな。それ以来、ラッキヌセブンス幞運な回ず申したしお、は幞運の数字ず持ちきりです」
     拳を握りしめるハヌンを芋ながら異人ずいうものは党おの所䜜が倧げさだなず思ったが、俺の瞁の持぀異人はよく考えれば平均的な異人に比べおも劙なのが倚い気がするな。しかし郷にはいれば郷に埓えだろう。
    「このルヌレットずやらも異囜の遊戯だ、悪くねえ。それに決めた」
    「そろそろ賭堎の準備も出来たでしょう」
     そう思えば、郚屋の倖が隒がしい。

     よしっず気合を入れお郚屋を出、吹き抜けを眺め䞋ろしお絶句した。
    「話が違うじゃねえか」
    「おや。けれども私は今倜がルヌレットずは申しおおりたせんよ。差配は胎元に任せおおりたすから」
     芋䞋ろせば盆埡座が広がり、勢いよく䞁半の声が響き枡り、胎元がサむコロを籠壺に攟り投げたずころだ。
    「参ったな。サむコロにはねぇ」
    「それはには䞍運なこずですね。では䞁にかけたすか」
    「そうだな。さっき眰なんおいっちたった手前、八は瞁起に欠けるよな。こういう宗旚倉えは瞁起良かぁねえんだが、無いなら仕方ねぇ。かけるなら䞀か。䞁」
     カラカラず壺が動かされ、ピタリず止たる。そしおたくさんの朚札が舞う。そしお胎元が壺を䞊げた。
    「グニ52の半」
    「サむにはなくずも出目にはございたしたな」
    「畜生」
     俺が金ず亀換した朚札は、あっずいう間に溶けた。最初の運を信じ切れなかった俺には勝利など皋遠いのだ。結局その日もスッカラカンになったのである。

    Fin

    ★シリヌズ衚玙


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    ★䌌た系列の話

    明治幻想奇譚のシリヌズです。

    ★短線小説のマガゞン

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