
「どうする家康」第37回「さらば三河家臣団」 家族の絆を作ってきた家康の安定と家族を失っていく秀吉の不安定
はじめに
第37回は、秀吉の冷遇策に追い詰められた家康と家臣団が胸襟を開き、互いを思いやり励まし合う姿と絆が印象的とも言える回となりました。女性たちの生き方が重なりあった第36回に対して、今度は家臣団という男性陣の物語です。つまり、第36回と第37回は対比的であると同時に、二つの回で徳川家中のあり方を示そうとする試みであることが見えてきます。
特徴的なのは、三河家臣団が領地から引きはがされ、大名になることで家康から独立させられるというある種の離散を描く物語でありながら、全体は爽やかで、中盤まで家康だけは苦悩していますが、最終的には悲壮感はなく、いずれまた共に戦おうと誓い合う希望のある内容になっていることです。追い詰められたにもかかわらず、しなやかな強さを持つに至った家康と家臣団の安定感は抜群です。
逆に不安定さを露呈するのが、秀吉たち豊臣家です。序盤は、秀吉に待望の嫡男が産まれ、小田原征伐も思いのまま、そして遂に天下一統が完成します。つまり、我が世の春というのが、今回の豊臣家です。しかし、終盤は秀長の死、鶴松の死が重なり、秀吉は虚ろな顔で笑った挙句にその空虚を埋めるために「唐入り」という無謀な海外出兵に突き進もうとしています。この秀吉の不安定さは、次回の不穏な空気を相まって、豊臣家の崩壊をイメージさせています。
そこで今回は、家康と家臣団の安定感の理由と秀吉の不安定さの理由を追いながら、前回も踏まえて徳川家の強みとは何かを考えてみましょう。