
「どうする家康」第18回「真・三方ヶ原合戦」 天運を引き寄せる家臣の力~徳川家臣団が決めた天下の行く末~
はじめに
第18回は一に夏目広次、二に夏目吉信、三に本多忠真と三方ヶ原合戦で散り逝く者たちにフォーカスした涙無くしては語れないものでした。
特に夏目広次が本作開始当初からずっと(劇中の時間で言えば約四半世紀に渡り)抱えてきた苦悩と後悔…そして、それが遂に報われる瞬間は強い印象に残りました。描かれたのは彼らの死にざまではなく、生きざま。彼らは自らの人生を生ききったのです。
三方ヶ原の戦いは、多くの戦死者を出したことで知られています。その中には、殿(しんがり)の軍で奮戦した鳥居元忠の弟、忠吉、その忠吉と三方ヶ原の戦い前夜に喧嘩し、合戦では家康本陣を守った成瀬正義(二人の喧嘩は後に講談「湯水の行水」となりました)など家康の近臣とも言える若き武将たちも含まれています。しかし、「どうする家康」でフォーカスされた戦死者は、広忠の代からの古参の家臣である本多忠真と夏目広次の二人でした。
何故、特別に彼らに焦点が当てられたのでしょうか
また、このところ成長著しかったはずの家康も、この三方ヶ原の戦いの中では何も出来ませんでした。例えば、通説では浜松城の空城の計は家康の指示であり、彼の非凡さと教養の高さとして描かれるのですが、これも忠次と数正の発案に差し換えられています。今回、家康はとことん無能に描かれます。
言い換えれば、無能になりさがった主君を夏目広次は何故、命がけで守ったのでしょうか。しかも、三河一向一揆にて裏切ろうとした主君を、です。彼の忠義はどこから湧いてくるのか。そこに第18回のテーマが秘められているように思われます。
そこで今回は、古参の家臣たちの決死の行動から家臣団の絆と第18回のテーマについて考えてみようと思います。