
「どうする家康」第39回「太閤、くたばる」 家康に天下人を覚悟させた二人の遺言
はじめに
今回は二人の男の最期が対照的に描かれました。前半は家康の長年の宿老、酒井左衛門尉忠次の穏やかな死…そして、後半は栄華を極め尽くしたはずの太閤豊臣秀吉の壮絶死でした。
とはいえ、この両者、交渉など政治的なつながりはあるものの、対比されるような人間性や共通点はありません。そもそも、作中で二人だけの関係を匂わせる描写はありませんでした。
つまり、没した時期が比較的近いだけの二人の死を、一話に封じ込めるのはいささか唐突なのです。にもかかわらず、二人の死は家康という人間を通して、静かに響きあっており、その構成が秀逸と言えるのが第39回の特徴です。
二人の死が響きあう理由、それは天下の趨勢と残りの人生をどう全うするか、その二つの問題が家康に突きつけられ、それが彼の静かで確かな決断を生むからです。言わば、家康が真の意味で天下人への道を開いた瞬間が描かれたのです。
そこで今回は、左衛門尉と秀吉の死が家康に何をもたらすのか、また彼らが家康に何を託すのかを見ながら、家康の天下人としての資質について考えてみましょう。