メインコンテンツへスキップ
見出し画像

ショートショート「プロのバナナ」

    「今日こそ、結論を出そうじゃないか」
    「懲りねえやつだな。俺の方が上手いに決まっている」

    とある山の狐と狸は、どちらが上手に化けられるかいつも競っていた。熊に化け、兎やリスを怖がらせたり、大岩に化け、山道を塞いだり、いたずらばかりしていた。

    「どっちが上手いか、山の主に決めてもらおう」
    「勝った方が、化かしのプロだ。負けた方はアマチュアだ」

    山には年老いた猿がおり、山の主と呼ばれていた。困った事があると、生き物達は山の主を訪ね、教えを乞うていた。

    勝負の日。山の主が言った。
    「わしがお題を出そう。まずは、カラス」
    ふたりは見事にカラスに化け、ビューンと空を一周して見せた。

    「お次は、松の木」
    ふたりは立派な松の木に化け、松ぼっくりをポイポイ落とした。

    「お次は、バナナ」
    ふたりは美味しそうなバナナに化けた。

    「さすがじゃ、どちらもプロじゃのう」
    そう言うと、山の主は二本のバナナをペロリと食べた。
    山はすっかり平和になったそうな。

    (完)
    [407字]


    たらはかにさんの企画 #毎週ショートショートnote  「プロのバナナ」に参加しています。410文字に収めるのが難しい!


     
     
    フリーランスのデザイナーをしつつ、娘を育てています。

    あなたへのおすすめ