就労移行で、障害者雇用の就職活動をして感じたこと。

今回は、私が実際に、障害者雇用で就職活動をしたときに感じたことをまとめてみたいと思います。
私はADHDの診断を受けた後、就労移行支援事業所を利用しながら、就職活動を進めました。
実際には、障害者雇用だけでなく一般雇用での就職活動も同時並行で進めていました。
就職活動を経験してみると、求人の少なさや障害をオープンにするかどうかの悩み、自分自身の特性との向き合い方など、想像していた以上に考えることがたくさんありました。
これから障害者雇用での就職を考えている方や、障害者雇用に関わる方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
1. 最初の壁は、自分のマイナス面と向き合うことだった
障害者雇用のエージェントに登録し、初めて面談をしたときのことです。
休職前後の様子や、仕事でつまずいたこと、苦手なことなどを、かなり詳しく聞かれました。
面談時間は60分ほどだったと思いますが、自分のマイナス面を中心に深掘りされる経験は、それまであまりありませんでした。
もちろん、企業に自分の特性や必要な配慮を伝えるためには、こうした情報を整理することが必要です。
ただ、当時の私は、慣れない質問に戸惑い、自分のできないことばかりを突きつけられたような気持ちになってしまいました。
結果として、少しの間、就職活動をストップするほど落ち込んでしまいました。
今振り返ると、当時はまだ障害受容が十分にできていなかったのだと思います。
自分の特性を理解することと、自分の特性を受け入れることは、似ているようで少し違います。
頭では理解しようとしていても、実際に自分の苦手なことを言葉にして説明するのは、想像以上にしんどいことでした。
2. 多くの人が悩む「障害オープン・クローズ問題」
障害者雇用で就職活動をする際に、多くの人が悩むのが、障害を開示して働く「オープン就労」にするのか、開示せずに働く「クローズ就労」にするのかという問題です。
これは、私の周囲でも多くの人が悩んでいたテーマでした。
周りを見ていると、自己理解を深めていく中で、自分なりに納得できる答えを出していく人が多かった印象です。
一方で、焦って就職先を決めてしまったり、十分な準備ができていなかったりして、結果的に就職活動の方向性を変える人もいました。
いわゆる「出戻り」です。
障害を開示するかどうかに、誰にとっても正しい答えがあるわけではありません。
仕事内容や職場環境、自分の特性、必要な配慮など、さまざまな要素を考えたうえで決める必要があります。
だからこそ、焦って結論を出すのではなく、自分がどんな環境で働きたいのか、何を大切にしたいのかを整理することが大切だと感じました。
ちなみに、私が利用していた就労移行支援事業所では、周囲の人のうち6〜7割程度が障害者雇用で就職していた印象です。
ただし、これはあくまで私が利用していた事業所や、その周囲での経験に基づく感覚です。
3. 求人の少なさと、職種の偏り
実際に求人を探してみて感じたのは、一般雇用と比べて障害者雇用の求人が圧倒的に少ないということです。
また、職種についても事務系の求人が多い印象でした。
私自身、一般雇用での就職活動も同時に進めていたため、障害者雇用の求人と比較する機会がありました。
事務系の求人が多かったこともあり、割と早い段階で障害者雇用での就職活動は諦めることにしました。
そのため、実際に障害者雇用の企業面接を受けた経験はありません。
ただ、求人を探す中で、選択肢の少なさや職種の偏りは強く感じました。
事務職が合っている人もいますし、事務職そのものが悪いわけではありません。
ただ、求人の選択肢が限られていると、自分の興味や得意分野を活かせる仕事に出会う機会も限られてしまいます。
「自分はどんな仕事がしたいのか」だけでなく、「そもそも選べる仕事がどれくらいあるのか」という問題も、障害者雇用で就職活動をするうえで感じた課題でした。
4. 就労移行支援では、どんなサポートを受けられたのか
私が利用していた就労移行支援事業所では、就職活動に向けてさまざまなサポートを受けることができました。
主な内容を整理すると、次のようになります。
① 自己理解を深めるサポート
自分の得意なことや苦手なこと、働くうえで必要な配慮などを整理していきます。
その一環として、自分の特性や必要な配慮をまとめた「取り扱い説明書」のようなものを作成しました。
自分では当たり前だと思っていたことも、言葉にして整理することで、少しずつ自分自身への理解が深まっていきました。
② 企業説明会や実習の案内
企業説明会や職場実習など、実際の企業と接点を持つ機会を案内してもらえました。
求人票だけでは分からない職場の雰囲気や仕事内容を知るうえで、こうした機会は貴重だったと思います。
③ 求人の紹介
求人については、主にハローワークの求人を紹介してもらっていました。
自分だけで求人を探すのではなく、支援員の方に相談しながら応募先を検討できるのは心強かったです。
④ 応募書類の添削
履歴書や職務経歴書の添削もサポートしてもらいました。
これまでの職歴や経験をどう伝えるか、応募先に対してどのように自分を説明するかなど、一人で考えると難しい部分を一緒に整理してもらえました。
⑤ 面接練習や、自分の障害について話す練習
面接に向けた準備の一環として、疾患や特性の説明、仕事上の苦手なこと、必要な配慮事項などを話す練習がありました。
私が特に積極的に参加していたのは、他の利用者もいる中で、自分の障害について話す練習をするプログラムです。
最初は、自分の障害を人前でオープンにすることに抵抗がありました。
自分のことをどう思われるだろうか、どんな反応をされるだろうか。そんなことも気になっていたと思います。
しかし、何度も練習を重ねるうちに、少しずつ抵抗が薄れていきました。
最終的には、以前ほど気にならなくなり、自分の障害について話すことへの心理的なハードルがかなり下がりました。
今振り返ると、この練習も障害受容が大きく進んだ一因だったと思います。
最初はあれほど抵抗があったのに、繰り返し話しているうちに、良い意味で「割とどうでもよくなった」のです。
自分の障害を隠さなければいけない、恥ずかしいと思う気持ちが、少しずつ薄れていったのかもしれません。
このプログラムに積極的に参加して、本当に良かったと思っています。就労移行支援のスタッフの方々には感謝しています。
なお、私は障害者雇用での企業面接を受けていないため、ここで紹介しているのは、実際の面接経験ではなく、面接に向けた準備や練習についての経験です。
⑥ 面接や説明会への支援員の同行
企業説明会や面接に、支援員の方が同行してくれることもありました。
ただし、ここは企業によって対応が異なります。
支援員の同行を歓迎する企業もあれば、同行を嫌がる企業もありました。
就労移行支援を利用しているからといって、必ずしも支援員と一緒に企業とのやり取りができるわけではない、という点は印象に残っています。
5. 実際に就職活動をして感じたこと
障害者雇用での就職活動を振り返ると、求人を探して応募するだけではなく、自分自身の特性や働き方について、何度も考える機会だったと思います。
私自身は、求人の少なさや職種の偏りもあり、障害者雇用での就職活動を早い段階で諦めました。
そのため、実際に障害者雇用で就職したわけでも、企業面接を経験したわけでもありません。
それでも、就労移行支援での自己理解や、他の利用者の前で自分の障害について話す練習を通じて、障害受容が大きく進んだことは、今でも良かったと思っています。
特に、自分の障害について人前で話すことへの抵抗が薄れた経験は、私にとって大きな変化でした。
また、今回の経験を通じて、障害者雇用には、本人の自己理解や必要な配慮を整理するだけでなく、働く選択肢そのものを広げていくことも必要なのではないかと感じるようになりました。
安心して働き続けるための配慮や環境づくりは欠かせません。
そのうえで、一人ひとりが持っている強みや興味を活かせる仕事や役割が増えていけば、障害者雇用の選択肢も広がっていくのではないでしょうか。
私自身、障害者雇用での就職活動を経験したからこそ、今度は企業側の課題と、働く人の強みを結びつけることに挑戦したいと考えています。
「どんな仕事ならできるか」だけではなく、「どんな仕事なら、その人の力が活きるのか」。
そんな視点から、新しい障害者雇用の形をつくっていきたいです。