
地元で愛されてた雑貨屋さんが急に閉店した理由に目ん玉とびでた話
高校生の頃、地元に70歳くらいの老夫婦が営む、小さな雑貨屋さんがありました。
何を売っていたかはぼかしますが、日常の必需品をリーズナブルな値段で売っていて、地元民に愛されていたお店です。
たった数百円の買い物でも、恵比寿様のような笑顔で「お買い上げありがとうございましたあ」と深々と頭を下げてくれるおじいさんとおばあさんに、僕も好意と親しみ、そして敬意を抱いていました。
小さなフリーペーパーのようなものでおじいさんのインタビューも読みましたが、「生活は楽じゃないですけど、日々、皆様とのコミニュケーションが楽しいし、生き甲斐です」みたいな、客として嬉しくなる温かい言葉も書いてありました。
ところがそのお店が、急に閉店してしまいます。
僕は2ヶ月に1度は必ず利用していたのですが、それでも閉店することに気づけなかったほど、急速な閉店でした。最後の挨拶や、ねぎらいの言葉をかけることもできずに、おじいさんやおばあさんと会うことができなくなってしまったのです。
おじいさんおばあさんのどちらかが、大きな病気にかかってしまったのかもしれない。僕はそんな憶測を母親と話しながら、閉店の寂しさを追悼するのでした……。
そんなある日の休日、地元をフラフラしていたら中学の頃の友達にばったり会います。
公園のベンチに座って、近況報告なんかで盛り上がりながら、例の雑貨屋さんが急に閉店しちゃって悲しかった、という話もしました。
「あー、俺は閉まった理由を知ってるけどなあ……」
どうやら、雑貨屋さんのおじいさんとおばあさんのお孫さんと、この中学の頃の友達の、現在ハタチのお姉ちゃんが、高校時代の同級生だったそうで、閉店してしまった真相を掴んでいるらしいのです。
一体全体、なんで閉店してしまったというのか。
「孫がドバイの大金持ちと結婚したんだって!!!!!!」
え!??????????????????????????????
「それでドバイの大金持ちが愛する女のじいさんとばあさんに月々の生活費と新しい住居をプレゼントしたらしい!!!!! じいさんとばあさんは『ヨッシャア!!!!』と音速で店を畳んだらしい!!!!!!!」
えええ!??????????????????????????????
「いまは都心でタワマン生活だって!!! 家事してくれるお手伝いさんや車の運転手もついてるって!!!!!!!」
情緒爆発!!!!!!!!!!!!!
『生活は楽じゃないですけど、日々、皆様とのコミニュケーションが楽しいし、生き甲斐です』インタビューでそういった内容を語っていた、雑貨屋さんのお仕事に誇りを持っていたおじいさんたちが、棚ぼたで大金を手にした途端に速攻で店を畳んでスタコラサッサしたことに僕は大きなショックを受けました。
しかし受けながらも、
まあ人間ってそういうもんだろうなあ……と笑って悟りを開くのでした。
おい僕の姪っ子!!!!!!キミも将来ドバイの大金持ちと結婚してくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! ジジイになった独り身の僕を助けてくれ!!!!!!!!!!!!!!
嘘、大金持ちでも貧乏でもどんな人でもいいから、姪っ子が愛し愛された人と、穏やかに結ばれますように。
保身
おしまい