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立冬の信越、源泉と美食を味わう④【新潟へ 愛しのB級グルメ】

    <前回はこちら>

     角間温泉を発ち、長野方面へ出て国道117号線に入る。
    本旅2日目となるこの日。目指したのは新潟県十日町「松之山温泉」。草津温泉、有馬温泉と並ぶ「日本三大薬湯」の一つだ。

     寒くなればなるほど恋しくなる激湯。この温泉地で、どうしても泊まりたい湯治宿があったのだ。

     少々不案内な公式サイト、ネット予約はできず予約は電話のみ。
    土曜ではあるのの空があるとのことで、宿願叶い投宿が決まった。一泊3千円台、おそらくこちらもWi-Fiはないだろう。
     仕事が休みの日に一度宿泊し、通信環境を確認する意図もあった。良宿であれば、長期滞在の候補地にもなり得る可能性があるからだ。

     
     魚沼へと繋がる国道は、土曜とありなかなかの交通量。この時期、ファイヤーセールの如くリンゴ園が路肩に並ぶ。まだ往路のため立ち寄りは我慢。

     
     野沢温泉は復路に寄るためやり過ごし、長野県は栄村へ入る。
    新潟県津南町との県境に「道の駅さかえ」はある。日本一の大河「千曲川」が「信濃川」へと名称を変えるこのポイントだ。

     地産の青果物や穀物類が並び、観光シーズンともなると大変な賑わいとなる。

     
     この道の駅において、必食のB級グルメ「キノコ汁(200円)」がある。
    界隈を湯巡りしている方からも評判で、野沢菜と梅干の乗った地元コシヒカリ(150円)をセット。350円で上等な昼食となる。私はこのキノコ汁が好きで、ダブルで注文したこともあったほどだ。


     だが近年は日によって露店が出ていないことも多い。
    時期や曜日限定の営業なのかも知れない(ネットで調べても良く分からない)。

     期待と不安半々。休日ということもあり、駐車場が入庫待ちになるほどの混雑だった。やはり以前あった露店は閉められていた。だが「そば・うどん」とのぼり旗が掲げられた本館の片隅に、目当てのキノコ汁が販売されていた。

     
     たまたまなのか、コシヒカリの白飯はなくなっていた。
    11月限定で、常磐牛蒡と地元産みゆきポークの炊き込みご飯が出ていた。キノコ汁とセットで700円。迷うことなく注文。

     
     変わらず美味いキノコ汁。田舎の道の駅や直売所で見かけると必ずテイスティングするが、やはりここがナンバーワン。炊き込みご飯も出汁が効いており秀逸だった。以前ほどのB級感は鳴りを潜めてしまったが、満足度の高い昼食と言えるだろう。


     腹を満たし、右手が千曲川、左手が信濃川となる宮野川橋を超えると新潟県へ。松之山温泉にチェックインするには時間が早いため、一湯立ち寄り。

     
     向かった先は秋山郷にある「逆巻(さかさまき)温泉 川津屋」。
    断崖絶壁にポツンと立つ一件宿だ。そこに向かうまでの隘路は、ハンドル操作を誤れば谷底に滑落してしまうほど。


     ここにも、線は細いが良質な自噴泉がある。名物「洞窟風呂」は、またも文豪吉川英治氏が愛した湯で、長逗留にて「新平家物語」を着想したのだとか。

     5部屋しかない小さい宿で、日帰り入浴も完全貸切だ。事前に確認をしないと入浴できないので注意。前日に荷電をすると、12時~であればOKとのことだった。
     
     崖縁の隘路を抜け向かう本地。運転には自信があるが、それでも時々肝を冷やす。よくもまあ、こんな奥地に旅館を建てられたものだ。

     山奥とありボロ宿も想念されるが、こちらは新築のように綺麗な館内だ。
    爽やかな受付のお兄さん、お若い。家族経営というので若旦那だろうか。
     貸切風呂もアメニティ類が綺麗に並べられており、ここだけ見れば高級旅館のようだ。

     だが脱衣所から浴室へ入ると、一気に異郷空間へ。


     窓から陽は入るものの、その名の通り洞窟をくり抜いて造られた浴槽。湯の成分なのか、岩壁は青色に変色している。自噴する源泉は42度、日本人が最も気持ち良いと感じる温度だ。
     出典元は失念してしまったが、国内に3万本近くある源泉の中で、42度台は数十本しかないという。

     「私如きが、、この貴重な源泉を独占してよいものか」


     浴感は40度程度。嚙み締めるように1時間ほど滞在した。
    極寒期のみ加温するようだが、この時期最も入りやすい温度だったかもしれない。
     
     源泉を堪能した後、Iターンし北上。

     松之山温泉の北方には、風光明媚なブナ林として有名な「美人林」がある。そこからほど近い県道沿いに「庚清水(こしみず)」という湧水処があったので寄ってみた。新潟県を代表する名水としても知られ、近隣住民の生活水として利用されているそうだ。


     私の愛車にはコック付きのポリタンクや空ペットボトルが積載されていて、湯治に出る際などは飲用として近くの湧水を汲水する。下処理されていない天然水はやはり美味しい。

     豪雪地帯十日町の「庚清水」も良く冷えていた。これから超濃厚源泉で大量の汗をかく。4リットル分の給水を完了。これで準備は整った。

     いよいよ三大薬湯「松之山温泉」に入る。


                              令和3年11月22日
                   

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    埼玉県出身36歳。温泉ソムリエマスター。 これまでに源泉かけ流しを中心に全国500カ所の温泉地を巡る。 10代の頃より原因不明の体調不良と激痛に悩まされ、2021年1月に「線維筋痛症」と判明。 平癒を願い「闘病・湯治記録」を綴ります。

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