
雨の日の傘は口元を隠す|拝啓文芸部
いい大人なのに。
そう自嘲しながらやめられない夏の雨の日の楽しみ。
小雨でも霧雨でも夕立でもだめ。
家の前の細い道路のあのくぼみに
水がたまるぐらいの雨じゃないと。
そろそろかな、そう思ったら
ビーサンを履いて買い物に行く。
玄関にタオルを一枚置いて。
しずしずと、足をできるだけ濡らさないように歩いて
お店に向かう。
猛暑日用に設定された冷房で足は冷える。
これは想定済み。
だから買い物は手早く終わらせる。
買い物袋を肩にかけて、傘を左手に持って、
お店を出る。
今度はしずしずなんて歩かない。
斜めになった道路の一方にたまった水も、
小さなくぼみにできた水たまりも、
今日は避けたりなんてしない。
足の裏にまで水が入ってくる。
それでも気にしない。
子どもの頃は、長靴の甲の部分に水の重みを感じながら、
みぎひだりみぎひだりと水たまりの中で足を高く上げて
足踏みしていた。
きっと、外からは濡れることに無頓着なだけの人に見えているだろう。
けれどこれは普段は真面目に生きている私のほんの少しの反抗。
小さな背徳感で緩む口元。
少し斜めにさした雨の日の傘はそんな口元をしっかりと隠してくれる。
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こちらの企画に参加させていただきました。
ありがとうございました。
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