
吐く・下すは悪いこと?|30年薬剤師が「出す力」を東洋医学で、わかりやすく解説(#160)
あなたの身体は、あなたより賢いのかもしれません。
漢方相談の店頭でのお客様の以下の声。
「漢方を飲んですごく汗をかいたんですが、
大丈夫でしょうか?」
「少しお腹がゆるくなりました。」
そんな経験に不安を感じたことがある方へ。
今日は、東洋医学が昔から大切にしてきた
「出す力」についてお話しします。
結論から言うと、
汗をかくこと、吐くこと、下すことは、
必ずしも悪いことではありません。
もちろん、
症状が強い時や長く続く場合は治療が必要です。
しかし東洋医学では、
身体が不要なものを外へ出そうとする反応も、
大切な働きの一つとして考えてきました。
旅行先で、こんな経験ありませんか?
例えば、
海外旅行で食べ慣れない料理を食べたあと、
急に吐いてしまったり、
下痢になった経験はありませんか?
旅行中だと、
「せっかく来たのに…」と
とてもつらい出来事ですよね。
でも、
少し考えてみてください。
もし身体が吐かず、
下痢もせず、
身体が受け入れられなかったものを
そのまま体内に溜め込んでいたら、
どうなるでしょうか?
もっともっと
大きな体調不良になっていたかもしれません。
つまり、
吐くことや下すことは、身体が自分を守ろうと
している反応でもあるのです。
では、ここで一つ質問です。
それは、「副作用」なのでしょうか?
東洋医学の「出す」治療法
東洋医学では、昔から身体には「出す力」
があると考えてきました。
汗。
吐く。
便。
時には血液。
身体は 不要なものを外へ出しながら
自分を守ろうとします。
そして
その考えを利用した治療法もありました。
参考までに
汗法(かんほう)
吐法(とほう)
下法(げほう)
瀉血(しゃけつ)
と呼ばれています。

現代ではあまり行われない治療法もありますが、
当時は
「身体が持つ力を利用して回復を助ける」
という考え方が大切にされていました。
つまり東洋医学は、
「足りないものを補う医学」であると同時に、
「不要なものを出す医学」でもあったのです。
身体の声を聴く
もちろん、
汗や吐き気、下痢が起きたら、
すべて良い反応というわけではありません。
感染症や脱水症状など、
早めの治療が必要な場合もあります。
皆さんは
どちらだと思いますか?
止めるべき下痢。
止めない方がいい下痢。
実は
両方あります。
物事には、
「良い」「悪い」の片方の一面だけではなく、
両面からの見方があります。
大切なのは、
「汗が出た」「吐いた」「下した」という
結果だけを見るのではなく、
なぜ身体がその反応を起こしたのか?
を考えること。
東洋医学は、
そんな視点を教えてくれる医学でもあるのです。
その症状は悪いことか?そうでないのか?
原因である身体の声に耳を傾けてみてください。
身体は、あなたより賢くサインを送ってくれて
いるかもしれません。
📚 このシリーズは、マガジン
「30年薬剤師がやさしく解説|東洋医学入門」
で順番にお読みいただけます。
「スキ」や「フォロー」、感想やご質問など、
コメントもお気軽にお寄せください😊
次回も、難しい東洋医学を暮らしの言葉に翻訳してお届けします。
【この投稿について】
この記事は、東洋医学や漢方の考え方を一般の方向けにわかりやすく紹介したものです。
個別の診断や治療を目的としたものではありません。
症状がある方や服薬中の方は、自己判断せず
医師・薬剤師などの専門家へご相談ください。
【出典・参照】
・『黄帝内経』
・厚生労働省「医薬品・医療機器等安全性情報」
・PMDA(医薬品医療機器総合機構)