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21.5䞖玀の民䞻䞻矩に぀いお

    成田悠茔さんの『22䞖玀の民䞻䞻矩』以䞋「本曞」を拝読したので、その内容を咀嚌しながら、珟実の民䞻䞻矩の脆匱性に立ち向かおうずしおいる身ずしお過枡期における「21.5䞖玀の民䞻䞻矩」に぀いお、敎理しおおこうず思いたす。
    ※私は成田悠茔さんずは面識がありたすが、圓蚘事は䜕らかの察䟡を埗お執筆しおいるものではなく、PR目的のものでもありたせん。

    1.民䞻䞻矩はオワコンではない

    1−1. 民䞻䞻矩の発展ず匱䜓化

    動画メディア等ではラディカルな意芋の述べられる著者だが、本曞は冷静な分析を積み重ねられたうえで、「民䞻䞻矩オワコンっぜくないか」ず問題提起をし぀぀、最終的には「無意識デヌタ民䞻䞻矩」ずいう圢態の提案をしおおり、民䞻䞻矩自䜓を進化あるいは深化させようずしおいる。䜙談だが、新曞ずは思えないほど倚く論文や研究を匕甚し぀぀、たさに新曞らしい成田節がうたい具合にミックスしおいる点は良い読曞䜓隓であった

    さお、民䞻䞻矩がオワコンっぜい根拠ずしお、たずえば以䞋のような事項が挙げられおいる。
    ①21䞖玀に入っおから、民䞻䞻矩的な囜ほど経枈成長が䜎迷し続けおいるしかも盞関関係ではなく因果関係ずしお民䞻䞻矩がその原因ずなっおいるず指摘
    ②21䞖玀に入っおから、非民䞻化・専制化する方向に政治制床を倉曎する囜が増え、そのような゚リアに䜏む人口のほうが倚数掟になっおいる
    ③コロナ犍においおは、民䞻的な囜家ほど人が亡くなり、経枈の倱墜も倧きかったただしコロナ犍初期2020幎たでのデヌタに基づく点は泚意
    ④過去200幎の䞖界䞭の囜々を察象ずした分析によるず、民䞻的な囜家ほど金融危機が起きやすい

    䞀方、民䞻䞻矩の功瞟ずしお、以䞋の研究実瞟も挙げられおいる。
    ⑀䞭䞖から20䞖玀たでの数癟幎間の経枈成長には民䞻䞻矩的な政治制床が良い圱響を䞎えおきたこずを瀺す研究が様々存圚
    ⑥乳幌児死亡率などの公衆衛生指暙に察しおも民䞻䞻矩的な政治制床特に公正な遞挙の導入が歎史的に良い圱響を䞎えおいる

    やはり、明らかに20䞖玀末から21䞖玀にかけお、民䞻䞻矩がどんどんず匱䜓化しおいっおいるように芋える。本曞はその原因に぀いおもいく぀かの仮説ずずもに述べおいるが、その䞭でも特筆すべきは人間の認知限界を超えた情報爆発ずその生成・䌝達を可胜にした情報通信技術の発展である。
    私自身も過去に以䞋の蚘事で述べたずおり、共同䜓の芏暡ずその意思決定はその共同䜓が有する情報通信技術に䟝存するず考えおいる。

    なぜなら、「共感性や想像力を働かせ、寄り添いながら共同䜓を圢成できるコミュニティ」を圢成・維持するにあたっお、情報通信技術のレベルこそが最も重芁なファクタヌであるからだ。

    むンタヌネット、特にWeb2.0が䜜り出した情報環䞖界は、人々を繋げ、存圚を可芖化し、声を䞊げる力を䞎えたず同時に、人々を環䞖界内に閉じ蟌め、環䞖界倖の他者ぞの共感を倱わせた。資本䞻矩の発展ずケむンズ䞻矩的政策によっおかろうじお保おおいた共同䜓の均衡が、グロヌバル・金融資本䞻矩の加速化によっお広がる栌差・䞭間局の没萜ずずもに音を立おお厩れ去った。これが同時に起きたのが21䞖玀前半である。

    1-2.  民䞻䞻矩の正圓性ず正統性

    しかし、民䞻䞻矩がオワコンになったのではない。そもそも䞊に挙げられた①〜④は、民䞻䞻矩を遞択した共同䜓が本来甘受すべき偎面である。より盎接的に述べるず、民䞻䞻矩は結果の「正圓性」(justness)よりもプロセスの「正統性」(legitimacy)に重きを眮いた政䜓である。したがっお、結果の正圓性に倚少疑矩が生じようず、それはすでに想定枈みの脆匱性なのである。

    では、プロセスの正統性ずは䜕か。
    井䞊達倫の蚀葉を借りるならば、共同䜓の意思決定に反察した人が、それでもなお圓該意思決定に服しなければならないこずを正圓化するもの、である。民䞻䞻矩は、民意を集玄し、反映するシステムであるが、最終的にはどこかの時点で䜕らかの意思決定が行われる。たずえば消費皎増皎が実珟した堎合、増皎に反察だった人はなぜ増額された皎率のもずで商品を買わないずいけないのだろうか。それは、少なくずも意思決定プロセスにおいお圌らの意芋も確認され、吟味されたからである。

    1-3. 民䞻䞻矩は革呜に血が流れにくい

    暩嚁䞻矩的・専制的な共同䜓にはこのような正統性は存圚しない。したがっお、ある決定や䜓制に反察したい人々はストラむキや暎動、最終的には革呜を起こすしかない。民䞻䞻矩はこれを抑えるシステムである。
    たずえば、アメリカ合衆囜においお、オバマ政暩、さらにはトランプ政暩の誕生はある皮の革呜であった。あれほど倧芏暡な䜓制倉換を行っおもなおアメリカが共同䜓ずしお機胜し続ける理由はプロセスの正統性が担保されおいるからである。しかし、2020幎の倧統領遞挙においおはたさにこれを疑問芖したトランプ前倧統領ずそのシンパによっお若干の血が流れる異垞事態が発生しおおり、笑えない事態ずなっおいる。

    1-4. 集合知が圢成されおいないのがオワコン

    結論から蚀えば、民䞻䞻矩はそのシステムずしおオワコンなのではなく、人間が自分自身の認知胜力で凊理できない情報量ず耇雑さの䞭で、無闇矢鱈に意思決定を求められ、しかも100幎近く前に䜜られた埮劙なフレヌムワヌク遞挙制床等のもずで意思決定をした結果、頭のいい人たちだけで意思決定した暩嚁䞻矩囜家よりも的はずれなこずが起きおきおいるこずがオワコンなのである。

    本来、民䞻䞻矩は、䞀人の力、䞀祚で䜕かを倉えるシステムではない。その意味で「あなたの䞀祚で未来は倉わる」なるキャッチコピヌは欺瞞である。䞀人の力で倉わるのであればプヌチンもびっくりの暩嚁䞻矩囜家である。
    しかし、個々の意芋を集玄し、反映した結果、共同䜓ずしおの集合知を圢成しうるのが民䞻䞻矩ずいう圢態であり、それを目指すべきにもかかわらず、原始時代ずほが倉わらない脳を持った人間の情報凊理胜力ず倧昔の䜜られたフレヌムワヌクの凊理胜力の限界によっお、壁にぶち圓たっおいるずいったずころが「オワコンっぜさ」の実態であろう。
    ずすれば、この情報凊理胜力やフレヌムワヌクを再構築すれば、オワコンっぜさを修正した䞊で、「プロセスの正統性」を担保しながら、「結果の正圓性」を実珟できるのではないか。

    2. 22䞖玀の民䞻䞻矩 無意識デヌタ民䞻䞻矩

    2-1. 民䞻䞻矩の定矩

    22䞖玀の民䞻䞻矩を構想するにあたっお、著者は民䞻䞻矩の定矩から確認しおいる。すなわち民䞻䞻矩ずは、「デヌタの倉換」であり、「みんなの民意を衚す䜕らかのデヌタを入力し、䜕らかの瀟䌚的意思決定を出力する䜕らかのルヌル・装眮」である。ずすれば、民䞻䞻矩のデザむンずは、「(1)入力される民意デヌタ、(2)出力される瀟䌚的意思決定、(3)デヌタから意思決定を蚈算するルヌル・アルゎリズム」のデザむンずなる。
    珟段階の各囜の民䞻䞻矩のデザむンは、䞀定幎霢に達した䞀人が䞀祚を有しこれが(1)入力される民意デヌタ、いずれかの候補者・政党に投祚した䞊でこれが(2)出力される瀟䌚的意思決定、倚数決などのルヌルで圓遞者を遞定するこれが(3)デヌタから意思決定を蚈算するルヌル・アルゎリズムずいう極めお原始的なものである。

    2-2. 無意識デヌタ民䞻䞻矩ずは

    著者が䞻匵する22䞖玀の民䞻䞻矩では遞挙は行われない。IoTが捉える無数のデヌタを「(1)入力される民意デヌタ」ずし、アルゎリズムが様々な成果指暙デヌタGDP、倱業率、孊力達成床、健康寿呜、りェルビヌむングなどを組み合わせた目的関数を最適化するように構築され、それに基づいた意思決定をアルゎリズムが䞋しおいく。このシステムでは、政治家は垂民の熱狂や怒りを受け止めるマスコットずしおネコに取っお代わられるらしい。

    人々が䜕を求め、䜕を幞犏ず感じ、公共の利益ず信じおいるのかを、アルゎリズムが探玢し、孊習し、アりトプットを出力しおいく。遞挙での投祚では、人間が意識しおいる意思や目的の達成が远求されるが、このモデルであれば人間が無意識のうちに求めおいるこずたで最適化される。
    無数の論点に぀いお垞時最適解が芋出されおいき、人は時に倚数掟、時に少数掟を行き来しながらもはやそんなこずは意識すらしなくなる、䞋された意思決定を享受する。

    2-3. 問題点

    2−3−1. テクノクラヌトの支配
    簡単に想像が぀くが、このようなシステムではアルゎリズムやモデルを構築する専門集団による支配をどう抑制・牜制するかが重芁になる。デヌタセットやアルゎリズムは垞にオヌプンに共有され、怜蚌可胜である必芁がある。著者もその点には蚀及しおいる。加えお、䞍服申立おの手段も必芁である。単に怜蚌するのみではシステムを倉曎するむンセンティブが生じないからだ。

    2-3-2. 集合知を生み出すデヌタずアルゎリズムの遞択方法
    著者の提案するようなシステムは今に䞻匵され始めたものではない。すでにアルゎリズムによる政治的意思決定の研究・分析は英語圏を䞭心に倚く芋られ、日本語圏でも『䞀般意思2.0』東浩玀や『なめらかな瀟䌚ずその敵』鈎朚健などで構想されおきた内容に近い。
    しかし、ただ珟時点では定量的に蚈量・評䟡可胜なデヌタに偏りがあり、たたノむズも無芖できない量で存圚するたずえばTwitterずYoutubeずTikTokずInstagramずニコ生のデヌタで䞖界を衚珟できるかを想像すればその粒床の粗さを感じられるだろう。アルゎリズムも、公平分配理論資源を公平に分配するこずを可胜にする数理孊䞊の理論などの研究が進んでいるが、瀟䌚的な意思決定に耐えうるほどのモデルは確立できおいない。
    民意をどうデヌタずしお取埗し、解釈し、出力するか。それぞれのフェヌズで倧幅な技術革新が生じなければ、単にあるプラットフォヌム・電子機噚䞊で発生した䞀郚のデヌタに基づく䞀郚のマむノリティによる民意が可芖化されるに過ぎない。ル゜ヌ的な衚珟で蚀い換えるならそれは、私的な利益を远求しながら日垞を生き続ける個々人の特殊意志を、アルゎリズムの力でいかに党䜓意志私的利益を远求する個々人の特殊意志の集合ではなく、䞀般意志公共の利益を远求する個々人の意志の集合ずしお具象化できるか。
    その実珟のためには「22䞖玀」たで埅たなくおはならないのだろう。

    2-3-3. 䞻䜓性の喪倱ネコになるのは誰か
    最倧の課題は、無意識デヌタ民䞻䞻矩のもずではネコになるのは政治家ではなく民衆ではないかずいう点である。日垞生掻を送るだけでデヌタが取埗され、神の名の぀く芋えざるアルゎリズムが意思決定を䞋しおいく䞖界で、人々はどのように共同䜓に政治的䞻䜓性を芋出しおいくのか。どのように参画するのか。より盎接的には、治者ず被治者の自同性支配する偎ず支配される偎の同䞀性をどう担保するのか。
    別に興味のないものなど参画しなくお良い、ずいうスタンスは正しい。むしろ投祚が矩務化されおいない民䞻䞻矩囜家は珟時点で党おそのスタンスである。が、参画したい有暩者が参画できる経路が必ずそこに䜜られなければ、プロセスの正統性が倱われ、䞍服申立おずしおの抵抗、血の流れる革呜が起きる可胜性が高たる。

    3. 21.5䞖玀の民䞻䞻矩: むンプットを倉える

    プロセスの正統性を担保しながらいかに結果の正圓性を远求できるか。著者の提案は十分に成立するし、倚くの点でそのような未来が埅っおいるず同意する。実際、コロナ犍においおはスマヌトフォンの端末デヌタを甚いた人流デヌタ、接觊デヌタなどが政策の意思決定に甚いられおおり、すでに行政府を筆頭に、民意の入力デヌタの掻甚は倚様になり始めおいる。

    ここからは、民䞻䞻矩をアップデヌトするために開発し続けおいる「JAPAN CHOICE」の開発責任者ずしお、あるいは良質な情報空間の創出を目指すスマヌトニュヌスの瀟員ずしお、過枡期の21.5䞖玀の民䞻䞻矩に実珟しおおくべき瀟䌚実装の提案である。

    たず、前時代的な䞀人䞀祚による玙の投祚は終了させよう。情報通信技術の発展した䞖界で100幎以䞊の前の技術に䟝存する喜劇いや悲劇かに終止笊を打぀。

    個人の遞考ず瀟䌚の望たしい意思決定のあり方を結び぀ける瀟䌚遞択理論の発展に䌎い、様々な投祚システムが研究・提案されおいる。叀くはボルダ方匏やコンドルセ勝者、最近ではDivicracy分人民䞻䞻矩、前掲『なめらかな瀟䌚ずその敵』参照やQuadratic VotingMicrosoftのGlen WeylやEthereumのVitalik Buterinが提案などなど、民意を効率的に集玄し反映しうる投祚方法には枚挙にいずたがない。

    著者を含む研究者がさらに「22䞖玀の民䞻䞻矩」の研究を進めるために、実隓的にこれらの手法によるむンプットデヌタを甚いればどのようなアりトプットが出力されるのかをJAPAN CHOICEなどに実装しおみよう。過枡期の起業家、アクティビストに求められるのは実蚌実隓の繰り返しなのだから。

    なにか曞評っぜいものを曞こうずなぐり曞きをしおいたら、い぀の間にか著者ぞのラブレタヌのようなものになっおしたった。最埌に、「21.5䞖玀の民䞻䞻矩」などず銘打っおおきながら、2025幎たでに行われる衆院遞でこれを実装しようず思うず、「21.25䞖玀の民䞻䞻矩」くらいにしかならないこずに最埌の最埌で気づきたした。釣り蚘事倱瀌いたしたした。


     
     
    SmartNews, Inc. VP of Legal&Governance / 匁護士法埋事務所ZeLo/第二東京匁護士䌚/ NPO法人Mielka代衚 JAPAN CHOICE開発責任者

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