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いろんな景色が見たい。

    大切な景色を、失ってしまいました。

    私は、旅に出るのが趣味です。
    中学生までは鉄道に興味を持っていましたが、かつてnoteで語った通り諸般の事情で身を引くことに。
    その代わり、旅先で見る景色というものに惹かれるようになりました。
    ランドスケープ、という言葉がまさにそれ。
    たまたま立ち寄った街で見た、何気ない光景が心に残っていたりする。

    最近ハマったのは、東京都中央区の晴海。臨海副都心の北の端に浮かぶ島です。
    かつて東京国際見本市会場が所在し、東京モーターショーやコミケで賑わった晴海ですが、その跡地に作られた東京2020オリンピック・パラリンピックの選手村が、分譲・賃貸住宅として転用され、今は「HARUMI FLAG」という大きな街になっています。
    かつての見本市や選手村としての、 "非日常" の賑わいが嘘のように、ここに住む人々が "日常" を過ごす場所に変貌を遂げました。
    西端の晴海ふ頭公園にはたくさんの親子連れ。まるで東京とは思えない、穏やかで優しくて、どこか愛おしさすら感じる景色。
    控えめに言って、最高でした。

    ところで、私が晴海に赴いたのは9月22日でした。
    「奇跡の5連休」の4日目。
    本来は計画していなかった、突発的な旅でした。
    なぜそんな旅をすることになったのか。
    その原因が、あの忌まわしき台風25号です。

    9月20日。私は、学校で出逢った盟友とともに、来春の廃止が決定していた久留里線久留里~上総亀山間に乗りに行く計画を立てていました。
    休日おでかけパスを使って、木更津駅や上総亀山駅周辺の街並みをカメラに収めて、2026年の夏を終わらせる。
    そんな、今年最大の旅計画といっても過言ではないほど楽しみにしていた日でした。
    しかし、数日前から台風の接近が報道されるようになり、9月20日も危険な予報に。
    「列車が動かなくなるかもしれない」と、その日の旅は一旦延期することにしました。

    これが最後だったのです。

    台風が猛威を振るったのは翌日、9月21日。
    千葉豪雨で被災したばかりの地元が、また大雨に冒されていきました。

    その結果は、ご存知の通りです。

    亡くなった方は、10月24日時点で、15名。

    なんで、千葉ばっかり。
    心の底からそう思いました。

    そして、JR東日本から発表された、千葉県各地の鉄道運行計画。
    久留里線久留里~上総亀山間は「運転再開の見込みは立っていません」。
    絶望以外の、何物でもありませんでした。

    そうだろうなと、思った結果です。
    10月23日、ついに復旧断念の報が入りました。
    ただただ、悔しくてたまらなかった。

    本当は、行くはずだったんです。
    別に、行動が遅かったわけではなかったんです。
    それなのに。
    見れるはずだった景色を、目の前で失ってしまった。
    見れるはずだった景色に、二度と出逢えなくなってしまった。
    この気持ちが、皆さんにわかるでしょうか。

    私は、今まで何度か大切な景色を失ってきました。

    子供のころ、よく首都高湾岸線で東京や横浜に出かけていたんですが、舞浜のテーマパークを通り過ぎたあたりで、見えてくるんですよ。
    葛西臨海公園の観覧車。
    そしてその奥に、もう一つ観覧車。
    そう、お台場・パレットタウンです。
    同じ場所から、一度に2つの観覧車が見えた。
    そのワクワク感は、幼い私にとってこの上ない感動でした。
    あの時は、パレットタウンがなくなるだなんて思いもしませんでした。
    結局、パレットタウンの観覧車には一度も乗ることができず、2022年に営業終了。コロナ禍でも、感染対策を万全にして行けばよかった、と、今年になってから思い始めました。
    大江戸温泉物語や、ヴィーナスフォートなんかもそう。
    お台場の魅力に気づいたのが今年に入ってからだったのは、少し遅すぎました。

    他にも、幼いころからよく買い物に連れて行かれたショッピングモールや、癒されに行った温浴施設。
    名前は出しませんが、子供のころに見た景色はほとんどなくなってしまいました。

    でも、それらの景色は、なくなってから大切さに気付いたもの。
    今回は違います。

    大切な景色になると思ったから、なくなるとわかっていたから、見に行こうとした景色が、見れないまま失われてしまった。

    私が感じた喪失感は、計り知れません。

    でも、盟友と約束していることがあります。

    「必ず、上総亀山に行こう。」

    もう、列車は動かない。鉄路で辿り着くことは叶わない。本来見たかった景色は見れない。
    それでも。
    失った景色を、失ったままで終わらせたくありません。
    「景色を失ってしまったこと」も、私の人生においてはかけがえのない景色です。
    だからこそ。
    辿り着けなかった景色を見に行く。
    それも立派な景色だから。

    「景色」という言葉は、ランドスケープという意味に限定されません。
    先ほども言ったとおり、「景色を失ってしまったこと」も、私の人生においてはかけがえのない景色です。つまり、私が生きていく中で、体験や経験を通して得るものすべてが、私を構成する「景色」なんです。

    学校の仲間と、くだらない話に花を咲かせること。
    ふとしたきっかけで、胸に惹かれる音楽に出逢うこと。
    私が生徒会長として、行事を運営する中で、達成感や後悔を覚えること。
    全部、私の中で大切な「景色」です。

    いろんな景色が見たい。

    ここ最近の、私の大きな信念の一つです。

    恋に落ちるように、次の瞬きで大切な景色に出逢うかもしれない。
    今はやり過ごしていることが、後から大きな意味を持つ景色になるかもしれない。
    どんなものだったとしても、それも景色。
    まだ16年しか生きていない私にとって、大切な景色はまだまだこれから生まれてくるはずです。
    私の人生を支える楽曲の一節を引用して、締めたいと思います。

    まだ見ぬ素敵な景色がある
    信じて進んでみよう

    ポルノグラフィティ『むかいあわせ』

    令和8年千葉豪雨、台風25号により亡くなられた方々に哀悼の意を表すとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
    一日も早い復興を、お祈り申し上げます。

     
     
    いろんな景色が見たい高校2年生。 青春を生きる中で感じたことや、大きな出来事、親友のバンド「G1RL」のことなどを語ります。 ポルノグラフィティの大ファンです。

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