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こい぀ら䜕か倉な䞍穏小説『幞せな胞骚』

    䞍穏なBL小説を曞く䌁画開催䞭
    今回はい぀も参加しおくれる垞連䜜家・かし子嬢の我儘蚭定をもずに、本人含めた12人の䜜家が䞍穏なBL小説を曞いおたす。
    党参加者の䜜品は、投皿終了次第たずめ蚘事にしおnoteトップに固定し、Xでも拡散
    ポストを発芋したらリポストお願いしたす


    さお。
    䞍穏な話ず聞くず人物の背景に恚み぀らみ、暎力虐埅などの䞍憫な人の話を思い浮かべる人もいらっしゃるかず思いたすが。
    この䌁画では「治安のいい䞍穏」小説を党員、党力で自埋神経ぶっ飛ばしお曞いおたす。


    ゞャンルは、ほのがの日垞です。

    あらすじ
    和宀で本を読みながら昌寝をする巎の至犏の時間に、隣であられもない想像をする有時ゆうじ。
    食いしん坊な有時に食いたいものを腹䞀杯食わせ、離れおいかないように画策し続ける巎ずもえ。
    䞀芋は睊たじい二人の、互いを想いすぎる独占欲が捩れた食欲に向かう脳内の話。

    ※男性同士の恋愛話です。
    ※䞀郚、人が人を食べる描写がありたす。
    ※でも䜕も起きおたせん。

    『幞せな胞骚』


    正座した足の裏を巎が぀っず指で撫でた。
    畳の䞊に䜓重で圧迫された足銖より先にもう感芚はなく、雰囲気だけで笑う。
    この人は、おかしい人だず思う。
    掗濯物を取り入れようずベランダに近い和宀に移動した時は、リビングの゜ファに腰を沈めたたた黒目すら動かさなかったのに、掗濯かごを持っお戻る頃には「昚日からいた」くらいの顔で和宀の䞭心に、のしっずあぐらしおいる。
    気にせず畳に掗濯物を広げお正座するず、お気に入りの珈琲カップを音を立おお眮いお「俺がいる」アピヌル。
    そもそもこの和宀だっお、ただ俺が畳に正座しお掗濯物を畳む姿が芋たいずいう浮぀いた理由だけで、マンションの䞀宀に拵えおしたった。
    金に糞目のない裕犏さは結構なこずだが、初めから和宀のある物件を遞んだ方が無駄がなかったのにず蚀うず「愛は合理性ではない、愛する人のために拵える事がロマン」ずしたりず返す。

    「あれの続きやけど、」

    い぀いかなる時も自分の蚀動は党お蚘憶されおいるず信じおいる。

    「珈琲やアルコヌルは䞀皮の薬物のようやお本に曞いおおな、俺も実際そうやず思うんよ。
    䟋えば野球䞭継を芳たら、俺らアスリヌトは遞手ず同じように心拍を高めるやろそうゆう連鎖する興奮剀みたいな効果があんねん」

    ただ暖かいタオルの端ず端を合わせながら、適圓に話も合わせる。

    「ふうん。俺はオフだからっおカフェむンたっぷりの珈琲に、ブランデヌなんお萜ずしお飲むからそうなっおるだけに思うけど」
    「 ず、ずころで有時、俺から離れる時はキスしおからっお蚀うおるやん」

    郜合が悪くなった時の為に俺のミスをストックしおいる。
    笑っちゃうくらい奜きに隙がない。

    「今からでも間に合う」
    「10秒ルヌルや」

    すでに10分は経過しおたすけどねずは蚀わず、い぀になくご機嫌な唇に口付けおやるず、満足げに珈琲を飲んだ。
    隣にはミネラルりォヌタヌ、キスする前に珈琲でねば぀く口の䞭を䞭和させたのか、半分になっおいる。

    シヌズン䞭の2週間の䌑暇に入っお3日目。
    詊合の再開は再来週だから、来週たでは緎習もないしゆっくり過ごせるず、今日は深煎りの珈琲にブランデヌをひず匙たぜお楜しんでいる。
    なんでも、本ず和宀、和宀ず珈琲、珈琲ずブランデヌは盞性がいいらしい。
    ずは蚀え俺は本は読たないし、ブランデヌよりワむンが奜きだし、珈琲は䞀人の時ならむンスタントでもかたわないから、それらの盞性なんお分かる由もない。
    だけどそんな俺でも、和宀ず正座ず掗濯物の盞性が抜矀なのはよく分かる。

    「䞀口のむ」
    「ブランデヌ」

    ぀いに本を持ったたた隣に寝そべっお、戯れるように足の裏を撫でるから「汚いよ」ず嗜めるように髪を撫でたら「有時は綺麗」ず耒めおくれる。
    神経質で他人の汗に觊れただけで蕁麻疹が出るのに、なぜか俺の䜓はどこもかしこもいいらしい。

    「ブランデヌは心臓にいい」
    「肝臓に悪い。俺は酔うず足にもくるし」

    網戞にしたたたのカヌテンがスカヌトの裟みたいにふわりずひらめいお、ちょうど巎の目の䞊に日光を通す。
    眩しがり屋の巎は目をギュッず閉じお、頬に抌し䞊げられた目尻や眉間がシワシワになる。
    飌い䞻に無理やりかたわれお迷惑を隠さない猫みたいな顔。
    この人は思慮深いのにたたに軜率で銬鹿だ。
    ゚レベヌタヌのボタンを連打するず早く来るずただ信じおるし、たぶたは軜く閉じおもギュッずしおも同じ具合にしかならないのに気付けない。

    「眩しい」

    俺の膝に顔を擊り付けおくる。
    正座だず高すぎるだろうず、巎の䜓ず反察に足を厩しお暪座りにするず、腰に腕を回しお膝に乗り䞊げお小さな頭を乗せた。
    嫌な䜓勢だなぁ、ず思う。
    ちょうど股間に奜きな人の顔がある、このデニムい぀掗ったっけず心配が過ぎる。
    巎は神経質だから匂いが気になるずすぐに蚀う、それはいい掗濯の合図だけど少しだけ傷぀く。

    「顔の䞊で畳むよ」
    「パンツは嫌や」
    「あら。ちょうどパンツの順番です」

    喉を鳎らすように「ん〜 」ず舌の奥をビリビリ震わせお唞りながら、俺のTシャツの裟をめくっお顔を突っ蟌む。
    錻先をおぞそに擊り付けられ思わずひやっずお腹をぞこたせた。
    嫁入り前の生嚘じゃあるたいし、自分の幌い芋栄が擜ったい。

    「なぁ、なんでシャツ着ぃひんの」
    「え」
    「むンナヌ着ろや」
    「うん。出かける時は着るよそんな事よりパンツ眮くよ」
    「いややぁ」

    あんもう、あなたもいく぀よず笑いながら襟元から顎を匕いお䞭を芗くず、かくれんがで芋぀かった子䟛みたいにバツが悪そうに眉根を䞋げた巎がはにかむ。
    ぶりっこしおぞこたせた腹のぞその前で瞌を萜ずし、薄い皮膚の腹筋に擊り寄った。
    唇が觊れた郚分に息がかかるず、濡れた皮膚の枩床がひやっず䞋がる。

    「なぁ」
    「はいはい、なぁに」
    「掗濯もん片したらたたこっちな」
    「はいはい、じゃあどいおください巎さん」
    「いいですよ有時さん。でも離れる時はキスしお」

    離れる離れるず文句を蚀うけど、クロれットはリビングを抜けた隣の郚屋ですよ、などず小蚀は蚀わないで奜きにさせる。
    俺がこの人を奜きにしたいから奜きにさせるのだ。
    キスを埅ち぀぀目を閉じお想像する。
    Tシャツから出おきた巎の薄い唇が少し突き出され、めくれた䞋唇の裏偎の粘膜郚分の毛现血管が芋える。
    ここが觊れるずプルプルで気持ちいい。
    少し遅れおねっずりず唇の内偎を吞い付ける、ちょっずひんやりすぐに生暖かい。
    巎の粘膜は心地よい。
    ちょうど俺に銎染む人肌で、倖気に觊れるず濡れおいるからすぐひんやりするのに、皋なくじわっず血液の枩床を感じれる。
    これがこの人の深郚の䜓枩。
    顔の角床を倉えながら、䞀昚倜を思い出す。
    倖に露出しおいる粘膜の䞭で䞀番䜓枩の高い巎の局郚が、俺の深郚に幕䞀枚隔おお抌し蟌たれおいく。

    柔らかかったものが早急に硬くなっお、自分の充血した粘膜を抌す、粘膜同士のこね合いはキスよりも心地いい。

    「あ」
    「ん」
    「なんでもない」

    今日はブランデヌのせいでちょっず䜓枩が高いず䌝えるのは、陜も高いうちからはしたない気がしお黙った。
    巎は気にせずたた畳に寝そべっお、う぀䌏せに䜓制を倉えながら匕き寄せた座垃団を半分に折っお胞の䞋に挟み蟌む。
    最近お気に入りの本を開いたけど䌏せ目の瞌がもう重く、畳に肘を぀いお顎を乗せた。
    さっきキスした唇がむにっず歪んでただちょっず濡れおいる。

    「掗濯おおきにな、晩飯俺するさかい」
    「うん」
    「なん食いたい」

    倧きく息を吞った巎の胞が膚らんだのだろう、肩から背䞭が盛り䞊がり、ゆっくり吐きながら萜ちる。
    う぀䌏せの深呌吞は苊しいだろうし、さっき飲んだ珈琲がただ胃にあるだろうに、圧迫しお倧䞈倫かず思う反面、今たさに巎を手の平サむズにしお耳元で振ったら胃がチャプチャプ鳎るのかななんおバカな想像をしおいるず、巎がピクッず痙攣で䜓をこわばらせた。
    俺を芋䞊げお同じリズムでもう䞀回、びくりっ。

    「どうしたの」
    「しゃっく ッり倧人になっお初めおかもしッ んく、」
    「ふふブランデヌのせいかな」
    「かなあ」

    均等なようで䞍芏則な痙攣に抵抗しようず、巎は薄い唇をきゅっず内偎に噛んで现い錻を摘み息を止めた。
    そしおなぜか぀いでに目たで閉じる。
    錻を぀たむ理由たでは理解できるが、なぜ目たでず笑いながら「砂糖氎いる」ず聞いたら、ブハッず吹き出しおしたい、远い蚎ちみたいにしゃっくりが出た。

    「なんで砂糖いれんねんな  あ、止たったわ」
    「おめでずう。この手の察凊っお地方によっお異なるもんね」
    「そやな。ほんで、なん食いたいん」

    倧人のしゃっくりっお長続きしないんだねなんお適圓に蚀いながら掗濯物を抱える。
    だけど頭の䞭は痙攣する巎の充血した暪隔膜でいっぱいになっおいた。

    「ハラミ食べたい」
    「ハラミあぁ〜ほなあこたで行くあの〜、」

    ハラミが唐突すぎたのか、咄嗟に肉屋の名前が出ない巎が「あぁ〜」ず開けた口の、歯の奥に隠れた小さな赀い舌先。

    「タンも食べたい」
    「おう、焌肉な」
    「うん」ぐう、ず返事ず同時に腹がなる。

    センタヌ分けの前髪越しに俺を芋る目が冷ややかだ。
    でも口角だけにゅっず䞊がっお、代わりに眉根がぐんず䞋がっお、眉間が広くなっお、絶察に笑いを噛み殺しおいる。
    䜙所行き顔の時は猫科の獣みたいにぎゅっず寄っお嚁勢がいい眉間が、俺の空腹の音にデレデレ。
    きっず巎の脳内はたらふく良い肉を食わせた埌に俺を奜きにするこずでいっぱいだ。

    「晩になったら腹䞀杯食わしたるやん、有時さん」
    「期埅しおたす、巎さん」

    畳でデニムの裟を擊りながら和宀を出お、リビングの隅に隠れお喉元を撫で䞋ろした。
    悪い癖だなぁ、恋人の䜓のパヌツに性欲より先に食欲が湧くなんお。

    「節操なしでなく、奜き嫌いなしっおこずにしよう」

    クロれットに掗濯物を片した぀いでお颚呂の準備をし぀぀、少し小腹を満たしおおこうず、頂き物の冷蔵庫のスむカを思い出しおキッチンに盎行する。
    よく冷えた小玉スむカを半分にし、皮から赀い果肉を削いで䞀口代に切っおタッパヌに詰めお冷蔵庫にしたうず、残りはそのたた皿に乗せおスプヌンず䞀緒に和宀に持っお戻った。

    「巎、スむカ 」

    仰向けに䜓制を倉えた巎は、さっき胞の䞋に挟んでいた座垃団を枕にしお顔の䞊に本をかぶせお眠っおしたっおいた。
    俺の声に寝息が乱れ、敎えようず倧きく吞い盎す、本が邪魔で息がしにくかろうが巎は䞀床寝るずなかなか起きない。
    みぞおちの䞊で組たれた指を芋ながら、さっきのように隣に暪座りになるずスむカを畳の䞊に眮いお芳察する。

    ゆっくり息を吞う巎の胞が膚らむ。
    倧胞筋で匕っ匵られたシャツのボタン糞がみちみち音を立お、すんずしがむ。

    「1人で食べちゃうよ」

    独り蚀に盞槌するようにカヌテンがひるがえっお、スむカの衚面の粒々を反射した。
    人の䜓の氎分が筋肉に蓄えられるように、スむカの果肉も氎分がたっぷり含たれおいる事を連想する。
    床に手を぀きスプヌンで果肉をすくう。
    しゃりっずした感芚が指に䌝わり、甘そうな氎分ず䞀緒に皮がツヌ っず皿に溢れた。
    倧きめの䞀口を頬匵る、ただ少し早いけど十分に甘いず頷きながら手の甲で口元を拭う。
    歯茎だけでも剃り朰れお溢れた氎分を飲み䞋しながら、隣で巎が倧きく息を吞うのを芋る、吐く息に合わせおスむカにスプヌンを入れる。
    巎の肋骚が息を倧きく吞うために開いおいるのを想像しながら、すくい䞊げる。

    「巎は、おバカで軜率で無防備で本圓に可愛いね。䞀緒にすくっお食べちゃいたい」

    俺の声にたた息が止たる、眠りは深いようで浅い。

    「ねぇ、巎の心はどこにあるの」

    もう䞀口運んだ぀いでにスプヌンを咥えお、巎の肌觊りのいいかりゆしのボタンを二぀倖しお、組たれた指の手前たでシャツをはだけお胞をあらわにする。
    俺の口内の粘膜で枩たったスプヌンを口から抜いお、胞鎖乳突筋ずくっ぀いおいる鎖骚ず倧胞筋ず、スルスルず肌の䞊を滑らせた。
    鎖骚の真ん䞭の窪みからゆっくりスプヌンを滑らせるず、胞骚柄、胞骚䜓、そしお䞀番䞋の剣状突起、組たれた巎の指の骚。
    でもやっぱり、スプヌンでコツコツず胞骚をノックする。
    そのたた暪に倧胞筋を削ぐようにスプヌンをスラむドさせるず、ピクッず動いお半袖の腕に鳥肌が立った。

    「 心臓にあるんだね」

    スプヌンでマグロの䞭おちをそぎ取るように肋骚ず肋骚の間を滑らせ぀぀、想像する。
    今俺は巎の䞭おちを削いで、巎の血液で枩たったスプヌンを口に運んだ。
    巎の心臓に近い肉、食べた。

    「俺が倧奜きで、俺の倧奜きな巎の心臓に近い肉食べたい」

    スプヌンを口から抜き取り、今床は匷めに胞をガリガリガリ 、肉を削いでぱくり。

    「巎の心が食べたい」

    匷く擊りすぎお内出血で肌が赀くなった、なぜか気分が良くなっお軜く持ち盎したスプヌンを揺らしお肋骚をコツコツっず叩く。
    肉を削ぎ切ったら剥き出しの骚をマリンバみたいに叩き、䞀息぀いお最埌に胞骚をはずすんだ。
    そしお倧奜きな巎の心臓に問いたい。
    俺のこずを䞀日のうちのどれだけ思っおいるのかを、心臓ず顔を合わせお盎接聞いおみたいの。

    でもそれは叶わないから、俺は仕方なくスむカをすくう。
    巎はこんなにシャリっずしない。
    䜓をずらしお巎の内出血した胞に耳を圓おる、暪座りの足が少し䌞びお裞足の芪指の爪が畳をガリリず掻いた。
    䞋半身に血が巡る、はぁはぁしながら口にスむカを含み、顎の裏で果肉を朰しお口内に赀い氎分を充満させながら心臓の音を聞く。
    スプヌンでこそいだ巎の䞭おちの肉を食べながら、胞骚の䞋に守られた倧切な心臓に問いかける。

    「奜きねぇ、俺のこず、倢の䞭でも愛しおるのねぇ」

    胞骚が抌し䞊げられ、ふっふ、ず息を现かく吐く。
    俺にのしかかっお果おたばかりの、巎の幞せな胞骚の震えみたい。

    「俺ね、巎の胞骚になりたい。
    そしたらずっず偎に寄り添っお守っおあげられる、心臓を俺が䞀生ね
    安心しおずっず俺を奜きでいられるよ、俺が守っおあげるんだからね」

    玠盎な俺の心臓が䞋半身に血液をポンプする。
    腰にたたがっおTシャツを脱ぐ、はだけた巎の胞に自分の胞を抌し付ける、手ず䞀緒に腰を動かすずぶ぀かった胞骚が擊れおいく。

    スむカは畳の䞊でそろそろ俺たちの䜓枩くらい枩たっお、ひるがえるカヌテンをポツンず芋おいる。

    はぁはぁ、はぁはぁ、あぁ  巎の眠りは今きっず浅い。
    でも。
    気付かれおもいいわ、俺、今ずおも幞せだから。

    お尻を高く䞊げおぶるっず震えお、䞋着を汚しおしたった。




    郜合のいい倢に浮かれた、でも郜合が良すぎおすぐに忘れた。
    䜕事も悪いこずの方が蚘憶に残りやすい。それが身を守るための原始の人間の防衛本胜だ。
    遮光カヌテンが仕事をしないせいで、顔の䞊に眮いたたただった本を取るず、青い畳に芖点を合わせる。
    ただ少し掗剀の残り銙がする、がんやりず有時の现いアキレス腱が芋える、この俺を眮いお郚屋を出お行こうずしおいる。

    「有時 離れる時は、」

    急な俺の声に驚いおピタッず足を合わせお止たる、有時の肌は石鹞の匂いがしそうなほど癜くお綺麗だ。

    「キス、したよ本の䞊から」
    「は」
    「ブックカバヌ汚しちゃった、ごめんなさい。リップクリヌム塗っおたから」

    おいおい。
    本を閉じ確認するず、玺色で本屋の店名が入った茶色のブックカバヌに、うっすらず唇のあずがある。
    リップの油分を玙が吞ったんだろう、唇を窄めたシワの郚分が劙にリアルで普段のキスより人を誑し蟌む気がしおそわそわする、どうかしおる。

    颚が冷えたのかサッシは閉じられおいお、倕暮れのオレンゞが眩しく、その䞭で癜い有時の足が揃っお俺に振り向いたこずに満足する。
    䞭指が長い有時の、䞀芋ひし圢に芋える足の圢が奜きだ、ブックカバヌの唇の跡よりセクシヌだ。

    ず蚀うか。
    「自分今日、デニムやなかったっけ」

    俺の問いかけに有時はゎクっず喉を鳎らし、喉ず鎖骚の間あたりをするっず撫でた、バツが悪い時の癖だ。

    「うん、おや぀にスむカ食べたら汚しちゃっお。着替えたの」
    「 䞋だけ」
    「うん。それで、ごめんなさい。巎の䞊にもこがれお慌おおシャツはだけお舐めちゃった」

    確かにシャツの胞がはだけおいる。
    続け様の卑猥な蚀い蚳にスケベ心が疌いお錻の䞋が䌞びる。
    なかなか倧胆ずいうか、気が぀いおおきたかったトラブルずいうか、いやいやここはゞェントルに、ず咳払い。

    「かたぞんよ、腹ぞっおたもんな」

    觊っお分かるものでもないが、確認がおらはだけたシャツの隙間に手を入れお掻く、巊胞の蟺りがピリピリず痛痒い。
    汗ばんでるし、早い汗疹か
    起き䞊がりながら埌頭郚の髪を撫で付け、胡座をかく。

    「おか、ごめん晩飯俺やったな」

    開きっぱなしの匕き戞から有時がリビングの掛け時蚈に芖線を送っお「もう6時半」ずお腹を撫でお笑う。

    「䜕食う蚀うおたっけ晩飯リク゚ストしおくれおたよな」

    今から買い出しお甚意するず遅くなる。
    最悪近所の倖食で枈たせようかず膝を立お、はだけたシャツのボタンを止めようずするず、有時が前にしゃがんで膝を぀き、ボタンを留め始めた。
    顔が近いずキスしたい、なのに有時は喋り始める、聞いたのは俺のくせに歯がゆい。

    「 あのね、マグロの、䞭おち」
    「ん、マグロな。せやったら倖で食うおこよか今の時期は逊殖やけど」
    「うん」
    「おか、䞭おちお矎味いけど倉なずこ指定するな」
    「んふふ、䞭おちの気分なの。行こお腹すいちゃった」
    「自分、スむカ食うたんやろ」

    あんなの殆ど氎分だもんず唇を尖らせ、俺の襟を敎えお先に立った有時が手を䌞ばす、掎たった瞬間に匕き起こされる。
    手はしっずりしおいお、手の平のしわの郚分にただ氎分が残っおいる。
    珈琲カップも無いし掗い物をしおくれたのだろう。

    「店に電話しおみるわ、今からでマグロいけるか聞いおみる」

    行き぀けの割烹にコヌルしながら、なんか焌き肉の口やったのになぁず銖を傟げお巊胞を掻く。
    やっぱり痛痒くおシャツの䞭を芗くず、内出血をおこしおいた。
    やはり掻き毟ったのかこんな綺麗に肋骚の隙間を削いだように掻くものなのか
    電話口の店䞻ずやりずりしながら繁々ず芳察する。

    「 あ、そうです、マグロの䞭おち食いたいな っお」

    そう、それこそこれ、スプヌンでこそいだみたいな傷跡、マグロの䞭おちも肋骚の間をスプヌンで掻き出すし。
    ベランダの斜錠を確認しお仕事甚のカバンから財垃を出しおポケットに抌し蟌む、廊䞋で有時ずすれ違っお玄関で通話を終えた。

    「有時いけるっお、ちゃっちゃ行こか」
    声をあげるず、リビングから有時が顔を出す。
    「車は俺運転しようか」
    県鏡ケヌスを芋せた、䜕でもない気遣いに胞がギュッずするず、たた内出血が䞻匵するように痒い。

    「えぇよ、15分くらいやし歩こう」

    カりンタヌの隅に䞊んで座り「本日のお品曞き」に目を通す、鰹もいいなぁ、タタキでなく刺身で食えるのは迷う、ず方杖を぀く。
    有時はカりンタヌの裏で店䞻がマグロを切り分けおいるのを半口開けお芋おいる。
    刃の長い包䞁を噚甚に扱い、身が切り出されるずごくっず唟を飲む。
    食物連鎖の頂点みたいな食欲の有時は、鉄分豊富な赀い肉が奜きだ。

    だけど、食べさせすぎるず行為䞭に吐いおしたうから皋々に、ず考えながらお手拭きを畳むず、店䞻が「癜瀬さん、焌酎のいいのが入っおるよ」ず額の皺を深めお目線だけ䞊げた。

    「あ〜今倜はいいですわ、烏韍茶で」
    「はいよ。お連れさんもいいですか」

    有時は、赀黒くぬる぀く包䞁を癜い垃巟で拭う店䞻の呌びかけに応じず、手元を芋たたた䞊の空。
    仕方なく腿の少し内偎をポンず叩くず「はい」ず我に垰っお俺を芋た。

    「酒飲むかっお聞いおくれおる」
    「巎は」
    「俺は遠慮した。 酔うお圹立たずなったらあかんやろ」

    この埌、ず口パクで䌝えるず有時は慌おお足を閉じた、同意みたいに柔らかい内腿に手が挟たれる。

    「僕も同じでいいです」
    「じゃ、先にりヌロン2ね。熱心に芋おたね、そうだ今倜は珍しいのあるよ、マグロの目玉」

    業務甚冷蔵庫から出おきたのは、皿に乗っおラップをかけられた包䞁でくり抜かれたマグロの片目、氎晶郚分が濁った県球だけで俺の握り拳くらいある。
    カりンタヌの察角線䞊の蚳ありそうな男女の2人連れの、悪魔みたいな爪の女が仰け反っお悲鳎をあげた。
    逆に有時は芖線の合わない目玉に前のめり、口たで開いおいる。

    「どうやっお食べるんですか」

    そっちか。

    「煮付けで3人前だね先に予玄しおくれたら出したすよ」
    「矎味しそう」
    「おうおう、あんたいける口だねじゃあ、これはよ」

    調子に乗った店䞻は、切り出した身を隣のたな板に眮き、血が぀いたたたの手で反察の冷蔵庫を開けた。
    厳重にラップをかけたシルバヌのバットが無造䜜に眮かれ、黒い肉片がごろりず乗っおいる。
    血に塗れお時間が経っお黒くなった人の頭に芋えお絶句する。

    「これ、どこの郚䜍か分かるかい」

    ラップが倖され匷烈な生臭さに俺はお手拭きで口元を芆ったが、有時は薄く開いたたたの唇を震わせお、ゆっくり瞬きしながら手を䌞ばす。
    衛生面を気にしお慌おお手を掎むず、「ごめんなさい」ず䞞たった指先がい぀もより玅朮しおいお、汗で指王が光っおいた。

    「心臓ですね」
    「そマグロのホシ癜瀬さんのあたりではハヌトだね」
    「ハヌト。このマグロから取り出したんですか」
    「そうだよ」
    「芋おみたかったです、取り出すずころ」
    「これも煮付けで5人前コリコリで矎味いんだよでも癜瀬さん達スポヌツ遞手だし、2人で食っちたいそうだね」
    「2人で 心臓、食べたい」

    顔を背けた女性客に配慮しお「すいたせんね」ず店䞻は愛想笑いしおバットを仕舞った。
    俺は刺身の倚少の生臭さは平気だが、血そのものの生臭さは苊手だ。
    煮付けや塩焌きの魚の血合いもい぀も有時が食べおいる。
    猫もたたいで逃げるほどの箞捌きで、魚の粗煮も噚甚にはしで身をほぐしながら茶碗片手に黙々ず食う、俺はその様を芋おいる方が奜きだ。

    この埌、綺麗にこそぎ取ったマグロの䞭おちを食べ、店䞻特補の鯵の南蛮のレシピを聞いたり特段倉わった様子はなかったが、マグロの話題になるず膝に手を眮き、声も出さずに頷きながら解䜓の話を熱心に聞いおいた。


    「ほんで、なんなんマグロの解䜓でもすんのん」

    垰宅埌の玄関、キヌトレヌに鍵を投げお有時を振り向くず、座っおサンダルのベルトを倖しながら「たさか」ず錻で笑った。
    こうゆう時、笑った方がなぜか信ぎょう性が増す。
    俯いた銖の骚が癜い皮をぜこっず抌し䞊げるのを芋ながら、店䞻が競り堎でマグロの鮮床を芋る方法を話しおいたのを思い出す。

    『尟っぜの付け根の少し䞊をね、骚ごずバツっず切るんです。そんで䞭の肉で鮮床を芋るんだよ。尟っぜずセットで床にゎロゎロ䞊んでる感じだね。あっしらは、それを端から目利きすんですわ』
    『尟っぜをですか人ならズドンず足銖を切るようなものですね』
    『そうだねぇ癜瀬さんもお連れさんもいい肉詰たっおそうだねぇ』
    『それはもう、巎は日本䞀䞊質ですよなんお、ふふ』

    足銖を切るずは随分倧胆な衚珟、人に䟋えたらそうだろうが、骚を䞀刀䞡断はかなり䞍快な衚珟でもある。

    「巎、珈琲淹れようか」
    「ありがずう、頌む 」

    でも。

    先に掗面台に向かう有時の足銖に浮かぶアキレスが、スリッパを履いお俺を眮いお先に掗面台に入る、俺はこの瞬間が嫌いだ。
    前を歩かれるだけで䞍安になる、いっそアキレス腱を切っおやりたいくらいに。

    『ズドンず足銖を切る』

    「有時」
    「はい」
    「和宀にお願い」
    「 分かった」

    有時が先にキスをしお掗面台を離れる、俺は無心でブラシを䜿っお爪の間たでガシガシ掗う。
    いやや、いやや、でも。あかん、むラむラする。
    これは独占欲やない、もっずどす黒くお、恋ずか愛の埌に来るものだ。

    リビングを早歩きで通り過ぎお電気も぀けずに畳に倒れ蟌む。
    ザリ、ず音がしお頬の皮が擊れたけど気にせず座垃団を手繰り寄せる。

    「俺も少しブランデヌいれようかな」

    脇にブランデヌの瓶を挟んでカップを二぀持った有時が、スリッパから裞足の足を抜いお畳を螏んだ。
    リビングから差し蟌む灯りで癜目を光らせ足の甲を芋る、倪い血管が青く盛り䞊がり、螵が畳に着くたびに骚が甲の皮を䞁寧に拵えた扇みたいに抌し䞊げる。

    右足、巊足、アキレス。
    アキレス、くるぶし、うちくるぶし、芪指、人差し指、䞭指、薬指、小指、我慢、できずに、手を䌞ばす「あん、だめ」ず足を螏み鳎らしお避けられた。

    「危ないよ、どうしたの」

    俺の隣に腰を䞋ろしおカップを眮いた有時の党身を、芖線で䞉埀埩する。
    完璧な愛しさに絶望する。
    やっぱりこの矎しい足は、有時に぀いおいないずいけない。

    足を舐めたい、骚を口の䞭で転がしお少しず぀溶かしお飲みたい。
    䞍意打ちで有時のTシャツを捲り䞊げ、きちんず蚀い぀け通りに着蟌んだ黒いむンナヌを、皮を剥ぐように捲り䞊げたら、衣擊れみたいな掠れた声がした。

    「珈琲は 」

    応答なしで抌し倒し、畳を転げたブランデヌを掎んで有時の腹にボトボト垂らす、䜓枩でじわっず湯気みたいに銙りがたった。

    「ちょっず 」
    「肌から盎接の方が酔いのたわりが早い」
    「熱い」
    「有時は少し酔ったほうが色っぜい」

    俺もベロっず䞀口舐めた。
    ブランデヌず珈琲の匂いが空気䞭で混ざる、ぞそに溜たった茶色いアルコヌルを指に぀け、有時の口に突っ蟌み舐めさせる。
    酒は気狂い氎ずも蚀うず講釈を垂れながら、アルコヌルに足を取られお立おなくなった、想像䞊の有時の匕き攣るアキレス腱をガブリず噛んで、䌚話を切り替えた。

    「アキレス、食うたこずある」
    「アキレス腱」
    「おん、牛のな。圧力鍋で煮蟌むんや、ずろずろになるたで」

    はぁ、ず恍惚の熱いため息、欲情し始めた有時の心臓がうるさい。
    俺のシャツの前をはだけお、指でたっすぐ胞骚をなぞる、矎味しく食べれるっお幞せだねなんお赀身みたいな唇で問いかけながら。

    「アキレス腱も、食べたい」
    「ほなたずは、マグロの心臓食べに行こか」



    ※巎のセリフは、寺田寅圊「珈琲哲孊序説」から䞀郚匕甚しおたす。


    この話は、なみさんず巎さんず有時さんの脳内劄想だけの話です。


    今回はお題を提䟛しおくれたかし子嬢が奜きず蚀っおくれた巎パむセンの話ず、カニバリズムで曞きたした。
    せっかく奜きず蚀っおくれたし、远加情報を少し。

    䜜䞭の鮮魚割烹「かもめ」の倧将、東颚谷こちがみ 平祐ぞいすけさんは元サヌファヌで持垫ず蚀う異色な経歎の持ち䞻。
    江戞っ子感を出しおいたすが、息子の名前はカノアハワむによくある名前で自由を意味するずいうミヌハヌさが売りの68歳。
    最近の悩みは、かぁちゃんが可愛がっおいるトむプヌドルのティアラ2歳に自動逌やり機だず思われおいるかもしれないこず。
    がんばれ倧将

    先月の投皿小説「ケヌキの䞊の苺」も同じカップリングで曞いたのですが、『巎の芖点でも読んでみたい』ずコメントをいただきたした。
    い぀もなら猛ダッシュで曞くのですが、毎幎この時期は䞍敎脈でふせっおおりたしお曞く䜓力がなく、今回の䜜品で有時ず巎の二人分の芖点で曞かせおもらいたした。
    二人の本音ず建前の違いをお楜しみいただけたら幞いです、い぀も小説を楜しんでくださっおありがずうございたす。

    にゃんこ系攻め×ダメ男補造機受けの話でした。


    今回はお題の提䟛者であるかし子嬢が蚭定を现かく提瀺しおくれたので、もしかしたら今たでで䞀番楜だった気がする。
    䜓調が悪い時だったので助かりたした、ありがずう
    䞀蚀に「䞍穏な小説」ず蚀っおも千差䞇別、そんなかし子嬢の奜きな䞍穏の现かすぎる詳现はちょっず長いので省きたしたが、気になる方はこちらをクリック

    #noteでBL  䌁画は、䜜家さんの曞きたいや、苊手を克服したいにも今埌できる限り応えおいきたいず思いたす。
    䜜家さんも読者の方もリク゚ストをしおください。
    どんな蚀葉より、それが䞀番の助けです。
    もちろん、読者の方の我儘にも応えたいのでご意芋・ご感想・リク゚スト现い蚭定やカップリング指定も可募集しおたす。
    私がやっず小説ず呌べるようなものが曞けるようになっおきたのも、長幎寄り添っお䞁寧な感想や意芋をくださる方々のおかげです。
    自分がしおもらえお嬉しいこずをしようず思っお、レビュヌやたずめ蚘事を䜜っお拡倧したこの䌁画は、参加しおくださっおいる䜜家さんも有難いですが、読んで参加しおくれる方の存圚の方が倧きく感じる瞬間がたくさんありたす。
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