
破格の牛肉がひっくり返った | 日記
一体全体、どうしてこうなってしまったのか。
休日の日、私は近所にある行きつけのスーパーで買い物をしている最中に、とあるものを見つけた。
それは、通常より三分の一の値段で売られている味付け牛肉だった。他と並んでいるものと比べ、半額以上の破格で売りに出されている代物に、私は思わず立ち止まり、引き返しては二度見して見比べた。
別段、消費期限が迫っていることを示す値引きシールが貼られている形跡もなく、包装や中身の然程変わりもなさそうだ。唯一違いがわかるとしたら、グラム数の記載が無いだけであった。
手の感覚だけで重さを確かめてみるも、極端に軽いというわけでもなかった。ここまでくれば、もしかしたら店員さんがバーコードラベルを出す段階で、値段の表記を間違えてしまったのかもしれない。
買うか買わないかと、私はスーパーの一角でひとり迷いに迷っていた。ここしばらく牛肉を食す機会が無かったとはいえ、ぼやぼやしていたら他の人にとられては、折角の機会を逃してしまう。
迷いの末、私は意を決して手に取り、カゴの中に放り込んだ。翌日の夕飯のメインディッシュは、数ヶ月ぶりの牛肉で決定だ。
他の店舗にも寄るところがあったため、牛肉を含めて計3点で会計を済ませる。そして、持ち込んでいたエコバッグに入れ、そのスーパーを後にした。
家に帰り、店をはしごした末にパンパンになったエコバッグを台所に置き、買ったものを一つずつ中から取り出していくと、ある異変に気づいた。なんとエコバッグの底から、正体不明の液体が滴っているではないか!
いったいなにが起こっているのか、私は急いで買い込んだものを取り出していくと、最初に買った例の牛肉がひっくり返っていたのだ。
それを証拠に、トレーの開け口なる箇所から、予め牛肉に絡みついていたたれが漏れてしまっていたのである。
袋詰めする段階で底面を下にして入れた筈なのに、なぜどういった原理でひっくり返ってしまったのか。そうと考える余裕もなければ、まして「なんじゃこりゃ!」と悲鳴を上げる暇をかましている場合でもない。
私はすぐさま浴室に向かい、バケツを用意しては蛇口をひねって水を満杯まで入れると、底部分がたれによってすっかり濡れてしまったエコバッグを放り込んだ。
まさかこんな形で、エコバッグを洗濯する羽目になるとは、まったくもって思いもしなかった。だが、帰る道中でエコバッグ自体が破れて想像もつかぬ大惨事になるよりかは、粗方濡れてしまった程度で済めば、まだマシなのかもしれない。
安いものにはワケがある。これまで何十通り…いや何百通りの「ワケ」なるパターンを経験してきたつもりだが、ただ今回のトラブル(?)を乗り越えて食すことができれば、安いに越したことはないだろう。
それよりもあの牛肉…もといあのトレーは、どうして宙返りになるような事態となってしまったのだろうか。さては、自分の想像を超えるような原理が働いては、ひっくり返る仕組みになっているのかもしれない。
おそらく店員さんも、そうした未曾有の状況に追い込まれ、収拾がつかなくなってしまった挙句、あの破格を設定せざるを得なかったに違いない…と、そう思うことにするのであった。