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『ダンジョン飯』の料理が現実に――CEATEC 2026で体験できるバーチャルエコノミー

    会場で「食べられる」展示

    2026年10月13日〜16日に幕張メッセで開かれたCEATEC 2026では、漫画『ダンジョン飯』に登場する架空の料理「マンドレイクの甘露煮」を試食できるブースがありました。1cm角の小さなサンプルで、1日500個の配布が予定されていました。

    出展したのは、国の研究プロジェクト「バーチャルエコノミー」に関わる2つのコンソーシアムです。その研究成果がまとめて一般公開され、実際に体験できる形で公開されたのは、今回が初めてだったそうです(INTERNET Watch)。架空の料理がなぜ経済の話につながるのか、順を追って説明します。

    バーチャルエコノミーとは

    バーチャルエコノミーとは、デジタル空間で生まれた価値を、現実の生活やモノ、サービスに戻して経済を回す仕組みです。内閣府の研究プログラム(SIP第3期)は、これを「サイバー空間からフィジカル空間への価値還流」と表現しています。

    メタバースとの違いは、価値がどこで完結するかにあります。メタバースでは、アバターの服やデジタルアイテムを仮想空間の中で買い、価値はその中で完結します。

    バーチャルエコノミーでは、仮想空間で生まれたものが現実に戻ってきます。冒頭の「マンドレイクの甘露煮」がその例です。山形大学の研究では、食感をデータとして数値化し、AIが仮想空間で料理を組み立て、3Dフードプリンターで現実の食べ物として出力します。現実には存在しない料理でも、データがあれば「調理」できるわけです。

    会場の試食サンプルは、「蓟蒻畑」で知られるマンナンライフが食感や味づくりの技術で手がけたものです。山形大学の3Dフードプリンターは出力に時間がかかるため、1日10個ほどの予定でしたが、料理ができあがる様子を目の前で見ることができます。

    この「現実とデジタルをつなぐ領域」を、研究者たちは「インターバース」と呼んでいます。現実世界(ユニバース)と仮想世界(メタバース)をつなぐ、という意味です。

    あわせて使われる「人間拡張」は、人の身体能力や知覚を技術で広げることを指します。他人の動作や触覚を、受け手の体や感じ方に合わせて変換して共有する、NTTドコモの「FEEL TECH」がその例です(NTTドコモ)。

    2033年に国内1.6兆円の市場へ

    このプロジェクトでは、2033年に国内で1.6兆円規模の市場ができると想定しています(INTERNET Watch)。内閣府の資料では、2030年の世界市場全体を約1兆ドル、そのうち現実へ価値を戻す領域を最大約3,500億ドルと推計しています(内閣府資料)。

    日本がこの領域に力を入れる理由は、センサーやロボットなどのハードウェアです。仮想空間の中だけでなく、現実の体や物とデータをやりとりする部分でこそ、日本のものづくりの強みが生きる、という考え方です。

    研究の中心は、産総研を中核とする「インターバース社会実装推進メタコンソーシアム」と、NTTドコモが参画する「人間拡張コンソーシアム」です。

    展示はどう「お金」につながるのか

    会場のデモはどれも、「現実をデータにする→そのデータを現実に返す」という同じ流れを持っています。この「返す」部分が、サービスとしてお金を生み出します。

    展示(出展者)

    データにするもの

    目指す活用先

    ゴルフスイング診断、ロボットアーム操作(H2L)

    腕の力加減

    スポーツ、リハビリ、熟練者の技能伝承

    3Dフードプリンター(山形大学)

    食感、味、栄養

    介護食、エンタメの食体験

    触れる動物園(TOPPAN)

    動物に触れたときの感覚

    触れる博物館・動物園、理数系の教育

    重さを感じるVR(commissure)

    重さや引っ張られる感覚

    体験型の理科教育

    リハビリ支援グローブ(広島大学)

    一人ひとりに合う力加減

    手や腕のリハビリ

    活用先は、各出展者や関係者が取材で挙げているものです(INTERNET Watch)。たとえば3Dフードプリンターは、介護食という安定した市場と、エンタメという伸びている市場を、同じ技術で狙える点が注目されています。

    すでに展示の外で動き始めたものもあります。リハビリ支援では、NTTドコモが2026年10月8日、広島大学の研究をもとにしたシステムとFEEL TECHを組み合わせた実証実験を、医療法人と始めたと発表しています(NTTドコモ発表資料)。

    ブースと関連セッション

    ブースはX(Transformation)パーク内、ホール6のブース番号6H242にあり、2つのコンソーシアムが合わせて11テーマを展示しました。入場は無料の事前登録制でした(CEATEC公式案内状)。

    会期中には、関連するコンファレンスも3つ開かれました。

    • 10月15日「サイバーとリアルがつくる次世代経済圏の最新動向と、身体性インターバース技術を活用した未来像」

    • 10月16日「サイバーとリアルがつくる次世代経済圏の最新動向とインターバース活用スマートシティの未来の都市」

    • 10月16日「フィジカルAI×6G ~次世代インフラがもたらす社会の変革と人間拡張~」

    まとめ

    バーチャルエコノミーは、デジタルで生まれた価値を現実の生活に戻すための経済の仕組みです。2033年には国内で1.6兆円規模の市場が想定されており、CEATEC 2026ではその技術が初めてまとめて一般公開されました。

    まだなじみの薄い言葉ですが、対象になっているのは料理の食感、熟練者の力加減、動物に触れた感覚といった身近なものばかりです。今後の展示会やイベントで見かけたら、ぜひ実際に触れてみてください。

    参考資料

    • CEATECで体験できる新概念「インターバース」と「人間拡張」の最前線(INTERNET Watch、2026年10月9日)

    • CEATEC 2026 案内状(CEATEC公式)

    • バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術・ルールの整備 課題進捗と今後の方針(内閣府、2025年6月5日)

    • FEEL TECHとは(NTTドコモ)

    • 一人一人の回復状況に応じてリハビリテーションを最適化する実証実験を開始(NTTドコモ、2026年10月8日)

    ハッシュタグ

    #バーチャルエコノミー #VirtualEconomy #インターバース #人間拡張 #CEATEC2026 #シーテック #SIP #サイバーフィジカル #フィジカルAI #社会実装 #フードテック #3Dフードプリンター

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    月風

     
     
    Analogical Reasoning|安全保障・国防×AI戦略|経済安全保障・地政学・地域研究|Iconography(図像学から転向) | Observe the asymmetry&Determine the watershed moment 非対称を観察し分水嶺を捉えよ

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