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50首連作『アラート、それは呼び声』

    2025年度角川短歌賞投稿作品



    きらめくようなレットミーシーつらつらと情報商材ばかり海辺に

    どこにいても見つけてくれる頼もしさちょっとキュビズムっぽい顔して

    快晴の空の裂け目にはためいてミスプリントの新千円札

    蟻たちを潰さないようきらきらと魔除けのような歌をうたって

    金属の質感 春の公園の遊具おそろしい夢をみている

    蜘蛛の巣をひとつひとつと潰しつつ登ってゆけばあちこちかゆい

    蒼天のランドスケープ 知ってる? こころのなかの水晶体はいつかわれる

    とりどりの色や太さの声たちの絵の観測点として屋上

    飛行機に乗ったことないひとたちの鳥をみているときの睫毛は

    あらゆる音に色のあること思いだす ねいろ、の音色ふるふる籠る

    風にふれ倒れた穂からあらわれるうすく桃色がかる鷺たち

    追憶を辿ってゆけば傷ついた子犬ばかりで抱えて帰る

    まっしろく冷やされながら運ばれる焼かれるすこし前の冒険

    マンションに人しか居ない 玄関のひかりはいつも勝手にしろい

    はじめからなかったような欠損のわたしの海の波のはげしさ

    内側のドアノブに落とすただいまに施錠音やけにおおきく返る

    手巻き寿司パーティーこれはどうしても救えなかった切り身のひかり

    ジェネリックドラえもんたち青ざめる 湯水のような罵声を浴びて

    断熱シート あなたの名残りが向こうがわ海の生き物みたいにひかる

    泣いているアンチ・ヒューマン鍵の束こんなに鳴らす夜のまにまに

    戯言に本当ばかりがきらめいてあなたのひとりあそびが見たい

    廃ホームページを反転させてみてリンクを踏んで 夢はきれぎれ

    球体の氷の溶け方 誰だって先端は少し恐怖と思う

    ハートのかたち歪む朝には足と手でペットボトルをばくんと潰す

    どの人に騙されてるか言ってみなさい わからないほどやられってるのね

    多言語が生む混沌をいとおしむ 天使を俯瞰の画角で見れば

    撃鉄にかかるゆびさき大写しされ笑むように恥じらうように

    破かれたフィルムはつづく いいんだよレンズフレアはいくつあっても

    銃口を向けられ挙げた両の手がサボテンダンスのようだ 落陽

    あなたのなかの強いひかりよ悪魔主義それでこんなに優しいんだ

    おじいちゃんの教育の嘘のところ 好きだった みんな怒られて笑ってた

    信仰はよくわからない 真新しい六法全書を天使が燃やす

    手紙にはなんにも書いていなくって酸っぱい花の香りしました

    れんこんを鶏と煮つけるくらいにはお元気ですよ。お元気ですか。

    病院の匂いが部屋に舞い込んで電話の声を高めにたもつ

    立札に名を教わったアナベルのぽんぽん浮いているような白さ

    背表紙のどこまでも波 ふれながら囁く漂流瓶をさがして

    語り部の吐息に揺られ舟はゆく 前のページに跡をつけつつ

    せーのってエンターキーをふたり押す その日椅子にはあなたが座る

    背泳ぎの視界を裂いて水鳥の世界を跨ぐような呼び声

    公園のわたしのパンダ動かない 滑るコインは土に還らない

    ひとしずく心を運ぶいくつもの回路の果てに誰かの砂漠

    人知れずはじまっていたお祭りのカラーひよこを野へとはなって

    あなたの物語は感情移入を拒むよう冬眠中の昏い水底

    アンテナの被膜が剥げてはつなつの元気はつなつ どうかしている

    花びらを毟っていって真ん中も数えていいかAIに訊く

    学者にもユニコーンにもなれないで隣家の生活音を聞いている

    届いたら教えてシュールレアリスム言いたいことは何もなかった

    金色の鼻毛が生えていたことのあるわたしならいる ここにいる

    香る 正体のわからないものたちの咲いているような焦げているような

     
     
    たたみがわろろ、と読みます。 短歌やってる人(不人気)。 ほんとは小説書きたい人。 それ以外でもうるさくするかも。

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