
秋の炉
「秋の炉」
秋の炉に 語りべまなこ 細めつつ
炉、といえば冬の季物ですよね。
かつての農山漁村では、炉は一年中使われるものでした。
その中でも、秋冷の季節、まさに今時分にさえざえと燃える炉明かりは、冬の寒さを凌ぐ温もりとは違い、どこか華やぎを添えてくれたのでは、と思いましたが、実際はどうだったのでしょうか。
少し、思い起こしてみましょう。
薪のはぜる音に重ねて、鉄瓶が湯気をたて微かに鳴ってやみません。
時折渦巻いては消える煙も、情趣をにじませてくれます。
炉にひそかに入れておいた栗や芋から、こんがりと香りが立ち始めれば、申し分ありませんね。
わたしの知らない、古のどこかの家族の団欒。どうかとこしえに、その想いたちが引き継がれていきますように。