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【毎週ショートショートnote】ナンパ細胞

    ある研究者が、画期的な細胞を開発した。
    接触した相手に好意を抱かせる物質を分泌する、いわば“ナンパ細胞”である。

    「恋愛市場を活性化させ、少子化対策にもなる」
    彼はそう豪語し、細胞を応用したスプレーを売り出した。

    製品は爆発的に売れた。
    街では、出会う人々がすぐに打ち解け、カップルが量産された。
    人間関係の摩擦は減り、離婚率も下がった。

    ところが数年後、奇妙な現象が報告された。
    誰もが、通りすがりの全員を恋人のように扱い始めたのだ。
    配偶者や恋人の区別もなく、会う人すべてと手を繋ぎ、ハグをし、愛し合ってしまう。

    「これは困った」と政府は研究者に相談した。
    彼は原因を探るため、顕微鏡でナンパ細胞を観察した。
    そこには、絡み合い、楽しそうに増殖しているナンパ細胞たちの姿があった。
    まるで人間同士が握手を交わし、抱きしめ合う様子を、細胞が真似ているかのようだった。

    彼は頭をかいた。
    「まったく、細胞のほうが、人間よりよっぽどリア充してるじゃないか」

    (412文字)

    前回のお題はこちら⇩


    *この記事は下記企画に参加しています*

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