
今「いきづらい部!」を追う理由
最近、「ラブライバーはラブライブしか知らない」とか、「ラブライブ以外に趣味がない」とか、そういう偏見めいた声を目にすることがある。
実に失礼な話である。
確かに私はAqoursちゃんばかり追いかけているが、別にAqoursしか見ていないわけではない。他にもちゃんとチェックしている作品がある。
『イキヅライブ! LOVELIVE! BLUEBIRD』。
通称「いきづら」ちゃんである。
……あ、結局ラブライブだった。
最初は別に興味がなかった
私はわりと保守的な人間なので、最初からいきづらちゃんに好意的だったわけではない。むしろ当初は特に興味がなかった。
直接追いかけていたわけではなく、SNSなどを眺めていると副視野にチラチラ情報が入ってくる程度で、「ラブライブ、またずいぶんとユニークなことを始めたなぁ」と思っていたくらいだった。
そんな認識が少し変わったのが、Aqoursちゃんのfinaleライブである。
ライブが始まる前、スクリーンで何度もいきづらちゃんのプロモーション映像が流れていた。何度も何度も見せられた結果、知らないうちに脳へ刷り込まれてしまったらしい。finaleの翌日は新潟に出張だったが、その移動中はずっと「What is my life?」と、同じくfinaleの待ち時間で刷り込まれた「愛♡スクリ〜ム!」がリピートされていた。
そして決定打になったのが、数ヶ月後、Aqoursの永久hoursの衣装展示が開催されているアニメイトとμ's×Aqoursコラボポップアップストアに行くために魔境・池袋へ向かう電車内でたまたま見たyoutubeで視聴した「REGAIN AGAIN LLLLOVE」のライブ映像だった。
「あれ、なんかめちゃくちゃいいな?」
そこからだった。
期間限定配信と言いながら、いつまで経っても配信が終わらないYouTubeの1stライブ映像を何度見たことだろう。気がつけば普段聴く楽曲も、いきづらちゃんばかりになっていた。
そんな経緯を経た今、私は一つ思っている。
μ’sのFINAL、そしてAqoursのfinaleを経験したような古参ラブライバーこそ、今からいきづらちゃんを追った方が面白いのではないか、と。
古参に刺さる「μ’sからの源流」
その理由の一つが、このシリーズがμ’sのいた世界の延長線上にあることだ。
Liella!もそうだと聞いたことがあるが、私は未履修なのでそこについては触れない。
なお、ビジュだけでいえばきな子ちゃんが好みだ。
いきづらちゃんのキャラクターが作中で露骨にμ’sの名前を出すことについては賛否両論あるようだけれど、個人的には、それもまたラブライブというシリーズの源流を受け継いでいるからこその表現だと前向きに捉えている。
そして、その「源流」を音楽的に一発で感じさせてくれるのが「REGAIN AGAIN LLLLOVE」だ。
制作陣を見れば、畑亜貴さんと佐々倉有吾さんのタッグ。
そして曲を聴くと、μ’sの頃からラブライブを追いかけてきた人なら、たぶんかなり早い段階で反応すると思う。
「輝夜だ!」
と。
μ'sのライブでは中盤ブロックのスタートで一気にハイボルテージにするあの名曲「輝夜の城で踊りたい」だ。
なお、兵庫には「ホテルかぐや」というラブホがある。だからラブホは“お城”と揶揄されるのだ。※諸説あり
もちろん同じ曲ではない。でも、あの頃のラブライブ楽曲を身体に染み込ませている人間のセンサーに引っかかる何かが、確実にある。
これは巧妙な古参ライバーホイホイである。
というか、単純に曲が妙にいい
そして、もう一つの大きな理由。
いきづらちゃん、曲が妙にいい。
グループ曲だけではなく、個人曲やユニット曲もかなりいい。
まだスタートして間もないプロジェクトなので、個人曲については各キャラクターの自己紹介的な要素が強い。それでも妙に耳馴染みがよく、何度か聴いているうちに自然とお気に入りが増えていく。
まぁ、これはラブライブシリーズ全般に言えることなのかもしれないけれど。
野球にたとえるなら、個人曲はシングルヒット、ユニット曲はツーベース、そして全体曲はホームランとわりと明確に色分けされてる印象だ。
もちろん例外もある。
花火ちゃんの「HIBANA」と「First Ride」、SH1ONちゃんの「Silent Stella」あたりは、個人曲なのに普通にスタンドまで持っていくホームラン級だと思っている。
まだ聴いていない古参ライバーがいたら、ぜひ一度しっかり聴いてみてほしい。
「Little Green委員会」や「マジカル♡レシピ・シルブプレ!」みたいな、個人的には「これフェアか? ファールか?」と判定に迷うようなファールラインぎりぎりの曲ですら、何度か聴いていると妙にクセになってくる。
そして、ここからが一番言いたいことである。
十数年後のラストライブを想像してほしい
ここまで楽曲を聴いて、ライブ映像を見た上で、古参ライバーには一つ想像してみてほしい。
十数年後。
彼女たちのラストライブが開催される日のことを。
その頃には、おそらくドーム級の大きな会場に立っているだろう。
そこへ至るまでに何十曲という楽曲が生まれているかもしれない。ライブのセットリストには、我々がまだ名前すら知らない未来の名曲たちが並んでいる。
でも、そのライブの重要な場面で流れる曲の中には、きっと今すでに存在している曲がある。
「What is my life」
「REGAIN AGAIN LLLLOVE」
「Dou-Da?Doing!」
例えば、中盤の幕間演出が終わる。
暗転したステージから始まるのは、まるで1stライブの再演を思わせるメンバーひとりずつ登場する演出。そして「REGAIN AGAIN LLLLOVE」のイントロが流れた瞬間、巨大な会場のボルテージが一気に跳ね上がる。
本編最後を飾るのは「Dou-Da?Doing!」。
ラストライブなのに、歌っているのはこれから先の未来のこと。
そしてアンコール。
1stライブの頃とは比較にならないほどグレードアップした衣装をまとった彼女たちがステージに現れて、最後に歌うのが「What is my life」。
――どうだろう。
想像しただけで、ちょっと泣けてこないだろうか。
少なくとも、μ’sとAqoursを長く追ってきた人間には、この想像が持つ意味が分かると思う。
我々は一度や二度、その歴史を見てしまっているからだ。
最初から巨大な存在だったわけではない女の子たちが一歩ずつ経験を積み、歌もダンスもMCもどんどん変わっていく。キャラクターとキャストが一緒に年月を重ね、いつしか何万人という人間を前に堂々とステージに立つ存在になっている。
そして最後の日に、初期の曲を歌う。
そのとき、同じ曲なのにまったく違って聞こえる。
μ’sやAqoursを追ってきた人なら、それがどれだけ強烈な体験なのかを知っているはずだ。
だからこそ思う。
その歴史をもう一度、最初から見届けるつもりなら、今が一番いいタイミングなのではないか。
完成されたグループを後から知るのも楽しい。でも、「この曲、最初はこんな感じだったよな」「この頃はまだこんなライブをやっていたよな」と振り返れるのは、その時代をリアルタイムで見ていた人間だけの特権である。
今週末、いきづらちゃんの2ndライブが開催される。
まだ全体曲はそれほど多くなく、ソロやユニットの楽曲が中心になるライブかもしれない。
でも、それすら十数年後から振り返れば、彼女たちの歴史を構成する大切な1ページになっているはずだ。
μ’sのFINALを見た。
Aqoursのfinaleも見た。
だったら、その次に始まった物語を、今度は最初の方から見てみるのも悪くない。
私はこれからも継続的に、いきづらちゃんを追いかけていきたいと思っている。
そのためにも、まずは「ビジュがとにかくタイプ」だから推してる藤野こころさん以外のキャストさんの名前と顔を、いい加減ちゃんと覚えたいものである。