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「守破離」上達の流れ 成長の過程 #12

    どんなに外観が素晴らしい建物でも、基礎がいい加減であれば、いずれ歪みが生じ、最悪の場合は倒壊してしまいます。

    建物における基礎とは、自重やさまざまな荷重を地盤へと伝え、建物全体を支える下部構造の総称です。
    目には見えにくいけれど、最も重要な部分。それが基礎です。

    このことから転じて、物事の土台となるものを私たちは「基礎」と呼びます。

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    ■ 「基本」とは何か

    よく似た言葉に「基本」があります。

    基本とは、物事を成り立たせる論理的な基軸。
    そして、その基本を繰り返し積み重ねることで、揺るぎない「基礎」が築かれていくのだと私は考えています。

    たとえば武道の世界。

    初心者同士、あるいはまだ経験の浅い段階では、基本の習得度合いによる実力差は見えにくいものです。
    多少のセンスや体格差、力の強さだけで勝ててしまうことも少なくありません。

    「基本をやらなくても勝てる」

    そう感じてしまえば、基本をおろそかにしてしまうのも、ある意味自然なことなのかもしれません。

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    ■ 基本を軽んじた先にあるもの

    しかし、そこには大きな落とし穴があります。

    基本の稽古は単純な動作の繰り返しで、決して派手でも面白いものでもないかもしれません。
    けれど、算数で九九を覚えなければ複雑な計算が解けないように、基本を身につけなければ高いレベルに挑戦することはできません。

    やがて、こうした差ははっきりと現れます。

    以前は勝てていた相手に、気づけば勝てなくなる。
    それは相手が成長したからでもありますが、それ以上に、自分が成長していなかったという現実であることも多いのです。

    基本を積み重ねてきた人と、そうでない人。
    その差は、時間が経つほどに大きく広がっていきます。

    これは、ビジョナリーカンパニー2の「弾み車の概念」にも通じることだと思います。

    ■ 守破離という成長の道筋

    武道の世界には「守破離(しゅはり)」という言葉があります。

    これは、千利休の「規矩作法 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな」という言葉に由来するとされています。

    • 守(しゅ)
    まずは教えられた基本を忠実に守り、徹底して身につける段階。

    • 破(は)
    身につけた基本をもとに、応用し、工夫を加えていく段階。

    • 離(り)
    基本と応用を土台に、自分独自の境地へと発展させる段階。

    「守」があってこその「破」。
    「破」があってこその「離」。

    順番を飛ばして「離」に行くことはできません。

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    ■ 成長したいなら、まず足元から

    何事も、目的や目標があるからこそ成長できます。
    けれど、基本を学ばずに好き勝手に進んでしまえば、どこかで必ず成長は止まります。

    経験が浅いのであれば、無理に背伸びをする必要はありません。
    まずは先輩や指導者から教わる基本を、徹底的に身につけること。それが最短の近道です。

    もちろん、時には手厳しい言葉を受けることもあるでしょう。
    現代ではすぐに「ハラスメント」と捉えられてしまうこともあります。

    当然、理不尽な言動が許されるわけではありません。
    しかしその言葉の奥に、「成長してほしい」という願いが込められていることもあるのではないでしょうか。

    そして同時に、先輩や指導する側もまた、後輩の姿を通して自らを省みるべきです。
    基本を忘れていないか。
    初心を見失っていないか。

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    ■ 見えない土台こそが、未来を支える

    華やかな成果や目に見える実績は、人の目を引きます。
    けれど、本当に人を支えているのは、誰にも見えない「基礎」です。

    今日の地道な基本の積み重ねが、
    数年後の揺るぎない土台になります。

    遠回りに見えるその一歩こそが、
    実は、最も確実な近道なのかもしれません。

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