
モチベーションを他人依存で終わらせてはならない #56
■メンタルとモチベーションの関係
現代では「メンタル」という言葉がさまざまな場面で使われています。
それだけ注目されているのは、成長や目標達成において無視できない要素だからです。
ただし、メンタルは固定された性質ではありません。
その時々の状況や経験によって変化する「心理状態」に近いものです。
そしてこのメンタルの状態に大きな影響を与える要素のひとつが、モチベーションです。
メンタルとは「行動や思考の土台となる状態」、
モチベーションとは「その状態を動かす動機やエネルギー」と捉えることができます。
つまり、
* メンタルが整っていれば行動しやすくなる
* モチベーションが高まればメンタルも前向きになりやすい
この2つは相互に影響し合う関係にあります。
そのため、成果は能力だけでなく、心理状態の影響を強く受けることになります。
■ モチベーションが生まれる傾向
モチベーションは、その生まれる傾向から大きく2つに分類されます。
* 内発的モチベーション(内側から湧く動機)
* 外発的モチベーション(報酬や評価など外部要因)
この違いを理解するために有名なのが、心理学者エドワード・デシによる実験です。
学生を2つのグループに分け、パズル課題を行わせました。
* 一方には金銭報酬を与える
* もう一方には報酬を与えない
結果として、報酬がないグループの方が長く自発的に取り組む傾向が見られました。
この結果は、「外的報酬が必ずしも行動を強化するとは限らない」ということを示しています。

■ 外発的モチベーションの役割と限界
外発的モチベーションには明確な役割があります。
* 行動のきっかけになる
* 初期段階の推進力になる
* 習慣化の導入として機能する
一方で、外的要因に依存した状態が続くと、次のような認知の偏りが生まれることがあります。
* 自分で考えて行動する力が弱くなる
ー指示待ちになりやすい
* 行動の責任を外部に求めやすくなる
ー自発的な工夫が減る
* 指示がないと動けない状態が固定化する
ー報酬以上の挑戦を避けるようになる
このような状態では、能力があっても成果につながりにくくなります。
つまり外発的モチベーションは「入口としては有効だが、中心に据えるべきものではない」という性質を持ちます。

■ 内発的モチベーションが生まれる構造
内発的モチベーションは単なる精神論ではなく、条件によって強まりやすくなります。
代表的な要素は以下です。
* 自律性(自分で選んでいる感覚)
* 有能感(できるようになっている実感)
* 関係性(誰かとつながっている感覚)
これらが満たされることで、「やらされている状態」から「やりたくてやる状態」へと変化します。
重要なのは、内発的モチベーションは“作れないもの”ではなく、環境と経験によって育つという点です。

■ 組織におけるモチベーションの機能
組織では、すべての人が常に内発的モチベーションで動くわけではありません。
そのため外発的モチベーションを適切に活用する必要があります。
ただし重要なのはバランスです。
* 外発的モチベーションは「入口」として活用する
* 内発的モチベーションを育てる環境を整える
* 長期的には自律性を高める方向へ移行する
また組織においては、他者のモチベーションを高める働きかけは、組織力そのものを強化します。
一方で、他者のモチベーションを下げる行為は、組織の機能を確実に損ないます。
■ モチベーションの本質
モチベーションとは、誰かに高めてもらうことを期待して依存するものではありません。
自らの意思で高めてこそ、高い成果につながります。
その上で、外的要因によって後押しされる場面があるなら、それは補助的に活用すべきです。
重要なのは、主導権をどこに置くかという点です。
最終的に重要なのは、モチベーションの有無を分析することではありません。
行動するかどうかそのものです。
小さくても構わないので、まず動いてみること。
その繰り返しの中で、結果として意欲や集中は後から形成されていきます。
モチベーションは出発点ではなく、行動の積み重ねの中で強化されていく側面を持っています。

外発的モチベーションですが、必要以上に促し過ぎると、極端な話し、指示を受けないと行動することが出来なくなってしまいます。
しかし、外発的モチベーションは有限であり与えるには限界があります。
認知バイアスの一種に、ダニングクルーガー効果と呼ばれるものがあります。
これは、能動的に行動できないにも関わらず、それを受け入れず自分を過大評価してしまう現象です。
この場合、自分が行動できないのは、自分に問題があるのではなく、指示を与えない側に問題があると捉えてしまいます。
モチベーションですが、まず、個人的には、受動的な外発的モチベーションに依存することなく、能動的に行動することができる内発的モチベーションを創造することが大切です。
そもそも、内発的モチベーションで行動を継続することで、それがあたりまえの基準となり、いずれ、モチベーション云々ではなく、やらずにはいられなくなるはずです。
また、それが個人的ではなく、会社などの組織においても、経営理念などの目指すべきビジョンが定まっていれば、お互いにそのビジョンの実現のために協力を惜しまない関係になれるはずです。
また、組織としては、個人的な内発的モチベーションだけに依存するのではなく、外発的モチベーションによって、それをサポートしてあげる必要があります。
その上で、個々に内発的モチベーションをより大きく創造してもらえるような環境、文化を整える必要があります。
結局のところ行動を促すために、モチベーションを持ち出すことではないと思います。
頭の中で、やる、やらないを悩んでいる暇で、やるべきことを、やってみることです。
結果的に、自ずと、やる気が湧いてくるのかと思います。
