メむンコンテンツぞスキップ

クむズず蚘憶

    クむズに匷くなるための方法論に぀いおはこれたで様々に曞かれおきたしたが、知識をベヌスずする競技クむズで特に重芁ずなる「蚘憶」に぀いお深く掘り䞋げたものはあたり倚くないように思いたす。ここ最近、蚘憶の心理孊や蚘憶術に぀いお色々ず調べおいたので、クむズにどのように生かすか、ずいう芳点で少したずめおみたいず思いたす。

    蚘憶の心理孊

    蚘憶の心理孊をクむズにどう生かすか、を具䜓的に考える前に、蚘憶の心理孊の抂芁を、特にクむズに関わる郚分に぀いおざっず敎理しおおきたす。知識をベヌスずしたクむズでは、ある知識に぀いお問題が出され、プレむダヌはそれに察しお解答したすが、蚘憶の心理孊ずいう芳点でこれを芋るず、根幹にあるのは「意味蚘憶」の「長期蚘憶」の「再生」です。それぞれに぀いお、順を远っお説明したす。

    なお、この節の内容の倚くはガブリ゚ル・A・ラドノァンスキヌ『蚘憶の心理孊基瀎ず応甚』(Radvansky, 2021)に基づいおいたす。より詳现な内容を知りたい堎合は、たずこちらの本を読んでみるこずをおすすめしたす。

    再生

    心理孊の孊術研究においお、蚘憶をテストする際には「再生」ず「再認」の2皮類の方法が䞻に利甚されたす。再生テストは蚘憶したものを実際に提瀺させる、ずいうもので、再認テストは芋芚えのある項目かどうかを同定させる、ずいうものです。知識をベヌスずしたクむズは、ほずんど再生テストず同じものを行っおいるず芋なしお良いでしょう。たた、早抌しクむズにおいおは「どこで抌すか」の刀断に際しお再認の胜力が寄䞎しおいる可胜性がありたす。

    長期蚘憶

    人間の蚘憶は感芚蚘憶、短期蚘憶、長期蚘憶などに分類され、それぞれ保持期間や容量が異なりたす。感芚蚘憶は感芚噚官の凊理の䞭で䞀時的に保持される蚘憶で、芖芚の凊理で甚いられるアむコニック・メモリなら250ミリ秒皋床、聎芚の凊理で甚いられる゚コヌむック・メモリなら4秒皋床ず、非垞に短期間だけ保持されたす。

    短期蚘憶はもう少し保持期間が長く、おおよそ数秒皋床の間、わずかな情報を保持する蚘憶です。積極的な泚意なしには、短期蚘憶は30秒以内にほが党おが忘华されたす。短期蚘憶の容量に぀いおは、Miller(1956)によっお"マゞックナンバヌ"ず呌ばれおいる7±2皋床の芁玠しか蚘憶できないず蚀われたす。ただし、䟋えば「09012349876」ずいう数字の列を「090-1234-9876」ず分けるような具合に、情報をより倧きな意味のある単䜍にたずめる「チャンキング」を䜿うこずで、より倧きな容量の情報を蚘憶するこずができたす。

    短期蚘憶の期間を超えお固定化された蚘憶を長期蚘憶ず呌びたす。これは保持期間が幅広い範囲にわたっおいお、数日で消えるものもあれば、䞀生涯ずっず芚えおいるようなものも含みたす。神経科孊方面の研究では、長期蚘憶には脳内の"海銬"ず呌ばれる噚官におけるシナプスの固定化ず、倧脳皮質における固定化ずの2段階が存圚するずみられおおり、前者は数日〜数週間皋床、埌者は数幎〜䞀生に至る期間保持されるず考えられおいるようです。

    知識をベヌスずしたクむズでは、䞻に問題ずなるのはこの長期蚘憶ずなるでしょう。特に、あらゆるゞャンルから出題されるクむズの堎合、解答に必芁な知識をむンプットするのにはそれだけで膚倧な時間がかかるので、少なくずもその期間から実際のクむズの堎たでの間は長く蚘憶を保持し続ける必芁がありたす。

    意味蚘憶

    心理孊においお蚘憶を分類する方法には芳点の違いによりいく぀かの分け方が知られおいたすが、その1぀ずしお「゚ピ゜ヌド蚘憶」ず「意味蚘憶」ずいう分け方がありたすなお、これは厳密には宣蚀蚘憶の分類で、これずは別に手続き蚘憶などの非宣蚀蚘憶も考えられたす。゚ピ゜ヌド蚘憶は人が個人的に経隓した出来事に぀いおの蚘憶で、意味蚘憶は䞖界に関する䞀般的な知識を指しおいたす。䟋えば、あなたが先週の日曜に参加したクむズ倧䌚に぀いお思い出すのぱピ゜ヌド蚘憶ですし、「クむズ」ずは䜕かを思い出すこずは意味蚘憶です。クむズ党般ずしおぱピ゜ヌド蚘憶をベヌスにしたものも考えるこずができたすが、珟圚競技クむズで䞀般的に芋られるような「知識」を元にしたクむズは、意味蚘憶をベヌスにしたものずいえるでしょう。

    意味蚘憶では、䟋えばクむズに぀いお考える時に個別のクむズ倧䌚に぀いお具䜓的に䞀から怜蚎するこずはないように、ある皋床の情報が捚おられお抜象化された圢で蚘憶されたす。意味蚘憶ずしお保持される各皮の抂念に぀いおのモデル化には様々なものが提案されおいたすが、珟圚のずころおおよそ定説ずなっおいるのは、Collins & Loftus (1975)やAshcraft(1976)で提案されおいるような意味ネットワヌクモデルをベヌスにしたものです。ここでは様々な抂念がノヌドずしおおかれ、それらが関連性によっお様々にリンクづけられおいる、ずいう構造を考えたす。

    このモデルは、意味蚘憶に芋られる「プラむミング」ずいう珟象をよく説明したす。プラむミングずは、ある抂念の想起が別の類䌌抂念の想起を促すずいう珟象で、䟋えば"potato"の埌に"doctor"が提瀺されるより"nurse"の埌に"doctor"が提瀺される方が反応速床が速くなる、ずいう圢で衚れたす。意味ネットワヌクモデルに埓うず、"nurse"を想起したずきにネットワヌク䞊で呚蟺にある"doctor"も合わせお掻性化されるこずでこのプラむミングが起きおいるず考えるこずができたす。

    意味ネットワヌクの各項目ずなる抂念は具䜓的な事物を抜象化したものずなっおいたす。この際、䜕かしらの類䌌性によっお様々な圢で事物が「カテゎリヌ化」されおいたす。たた、このカテゎリヌ化は耇数の段階にわたっお行われるため、カテゎリヌ同士をさらに抜象化しお䞊䜍カテゎリヌが䜜られる、ずいうこずもよく行われたす。

    この時、カテゎラむズされた1぀の抂念はその各芁玠の平均ずなるような心的衚象によっお決定づけられたす。こうした衚象のこずを「プロトタむプ」ず呌びたす(Rosch, 1975)。なお、プロトタむプによるカテゎリヌの代衚化が行き過ぎお、捚象されおいる郚分も含めお同質なものず捉えおしたうのをステレオタむプず呌びたす。ステレオタむプは偏芋を匕き起こす原因になるものですが、䞀般論ずしおプロトタむプそのものは意味蚘憶による適切な情報凊理のためには欠かせない重芁な働きです。

    どのように抜象化しカテゎリヌ化するかは状況によっお様々なものが考えられたすが、人が生掻する䞭で遭遇する様々な状況の䞭では頻繁に出䌚うものが倚々あるため、人の脳内には特定の状況に察しお瞬時に理解できるようにするための枠組みが甚意されおいるず考えられたす。こうした枠組みのこずを「スキヌマ」ず呌びたす(Bartlett, 1932)。Alba & Hasher(1983)によれば、スキヌマは「遞択」「抜象化」「解釈」「統合」「再構成」の5぀の䞻芁な機胜を持っおいたす。

    スキヌマの内容は、その人がどのような文化的共同䜓に属しどのような生掻をするかによっお倉わっおきたす。Hirsch(1983)ではこのような文化的なスキヌマの集合䜓を「文化リテラシヌカルチュラル・リテラシヌず呌びたした。石田 䜐恵子, 小川 博叞 (2003)『クむズ文化の瀟䌚孊』では、䞀぀の説にすぎないず断った䞊でですが、クむズの題材はこの文化リテラシヌだずする説を瀺しおいたす。

    蚘憶力を良くするには

    蚘憶に関する心理孊の研究成果からは、蚘憶力を良くするための様々な方策が考えられたす。

    チャンキングず意味ネットワヌク

    クむズのための蚘憶では膚倧な容量が芁求されたすが、容量の増加に぀いおは䞊でも觊れた「チャンキング」が特に重芁になっおきたす。チャンキングは情報をグルヌプ化するこずで短期蚘憶の容量を増やすずいう戊略です。長期蚘憶される内容は䞀旊短期蚘憶に栌玍されおから脳内に固定化されるず考えられるので、長期蚘憶の容量を増やす䞊でもこの戊略は有甚です。

    䞊で、意味蚘憶に぀いお述べる際に「カテゎリヌ化」ずいうプロセスが登堎したしたが、これも䞀皮のチャンキングの過皋ずみるこずができたす。クむズの問題文ではしばしば「ドむツの物理孊者は誰でしょう」ずか「癜暺掟を代衚する䜜家は誰でしょう」ずか「バラ科の萜葉高朚は䜕でしょう」ずいった萜ずしが出おきたすが、「ドむツの物理孊者」「癜暺掟の䜜家」「バラ科の萜葉高朚」ずいった圢で人物・事物を捉えるのは䞀皮のカテゎリヌ化ずいえるでしょう。

    たた、䞊で蚀及した通り意味蚘憶は抂念ネットワヌクずしお蚘憶されるず考えられるので、蚘憶の際にはその事物を他の抂念ず結び぀けるこずが有甚ずなりたす。特に、新しい物事を芚える際に、既に蚘憶しおいる事物ず関連付けるこずは重芁です。

    チャンキングず既有知識ずの関連付けずは、教育心理孊においおAusubelが提唱しおいる「有意味孊習」の抂念ず関連しそうです。Ausubelは孊習を受容孊習-発芋孊習ず機械的孊習-有意味孊習の2぀の軞によっお4分類する考え方を提唱しおいたす。この埌者の軞は、孊習者によっお意味のある内容を孊習するものを有意味孊習、そうでないものを機械的孊習ずいったもので、特に孊習内容ず既有知識の関連性の有無を䞻県ずしおいたす。

    Ausubelは教宀での孊習に際しお、孊習内容に意味を持たせるため、具䜓的な孊習内容に入る前に「先行オヌガナむザヌ」を提瀺するのが良いずしおいたす。この先行オヌガナむザヌにはいく぀か皮類がありたすが、「説明オヌガナむザヌ」ず呌ばれるものは孊習内容を包括的に蚘述したもので、蚘憶の偎面で蚀えばチャンキングに寄䞎する偎面があるず思われたす。たた「比范オヌガナむザヌ」は既有知識ずの類䌌点や盞違点を提瀺するものですが、こちらは意味ネットワヌクの圢成に盎接的に寄䞎しおいるでしょう。

    心的むメヌゞの圢成

    蚘憶の匷床を増すずいう偎面では、心的むメヌゞの圢成が重芁ずされおいたす。蚘憶に際しお、脳内でより深く凊理されるものの方がより良く蚘憶されるこずが実隓的に分かっおおり、䞭でもむメヌゞの寄䞎が特に倧きいこずが知られおいたす。これは経隓的にはかなり叀くから知られおいるもので、埌に述べる"蚘憶術"の䞭でもむメヌゞの有甚性は非垞によく匷調されおいたす。

    心的むメヌゞは芖芚的なむメヌゞのみならず、聎芚・嗅芚・味芚・觊芚などの他の感芚も亀えおむメヌゞするこずで、さらに脳内でよく凊理され、よく蚘憶されるこずが期埅できたす。たた、情動の蚘憶はニュヌトラルな蚘憶よりも優れおおり、ずくに激しい情動は蚘憶が固定化しやすいこずが知られおいたす。これは悪く働けばトラりマのような蚘憶がなかなか消えずに苊しむずいった症状にも繋がるものですが、うたく䜿うこずができれば蚘憶を効果的に匷めるこずができたす。情動の皮類に぀いおは、ポゞティブな情報をネガティブな情報よりよく想起する、ずいう「ポリアンナの原理」が指摘される䞀方で、ネガティブな出来事が鮮烈に蚘憶されるフラッシュバルブ・メモリのようなものも知られおいたす。

    反埩ず干枉の防止

    蚘憶をする際に、暗蚘カヌドなどを䜿っお反埩しお蚘憶するこずでより定着させやすくする、ずいうのがよく行われおいるず思いたす。実際、蚘憶の再生テストでは高頻床情報の方が蚘憶が固定化されやすいこずが実隓的に明らかになっおいたす。

    効果的な蚘憶方法に぀いお調べるず、反埩蚘憶の際に、Ebbinghausの叀兞的な研究を匕いお、忘华曲線にそっお反埩タむミングを考えるず良い、ずいうのがよく蚀われおいるのを芋かけたす。Ebbinghausは子音-母音-子音の3文字からなる無意味綎り語の再生テストによっお、蚘憶しおから経過した時間が長くなればなるほど保持蚘憶量が少なくなっおいくこず、たた忘华の倚くは孊習された盎埌に起きおいるこずを発芋したした。たた、忘华速床に぀いおは「Jostの法則」ずいうものも知られおおり、等しい匷床の蚘憶に぀いおは、叀い蚘憶ほど新しい蚘憶よりゆっくり枛衰する、ず蚀われおいたす。

    蚘憶の忘华に぀いおは、研究史の初期には単に時間に応じお枛衰しおいく、もしくは蚘憶の䞍䜿甚が忘华を生み出す、ず考えられおいたした。ですが、珟圚は忘华はむしろ「干枉」によっお匕き起こされるずする考え方が䞻流ずなっおいるようです。すなわち、叀い蚘憶ず䌌たような新しい蚘憶がなされた際に、重耇した蚘憶痕跡同士が干枉しお、新しい蚘憶が忘华される「順向干枉」もしくは叀い蚘憶が忘华される「逆向干枉」が生じたす。

    蚘憶を良くする方法の1぀ずしお「寝る前に孊習する」ずいうものが挙げられるこずがありたすが、これは寝おいる間に新しい情報の蚘憶が少なくなるため、干枉が抑えられるずいう原理から成り立っおいるものず考えられたす。これは、必ずしも実際に睡眠するだけでなく、単に孊習に䌑憩を挟むだけでもある皋床の効果が埗られるこずが知られおいたす。

    干枉による忘华は、類䌌の蚘憶が積み重なるこずによっお起きるので、日垞生掻で入っおくる情報ず競合しないような物事の方が干枉の圱響を受けにくいず考えられたす。このため、蚘憶術においおはしばしば、心的むメヌゞを圢成するにあたっお、日垞で遭遇しないような奇劙なむメヌゞを䜿うこずが効果的ず蚀われおいたす。

    空間蚘憶ず時間蚘憶

    蚘憶の䞭でも空間の蚘憶は特に優れおいるこずが知られおいたす。単なる盞察的な䜍眮関係だけでなく、距離や面積のような蚈量的な蚘憶に぀いおも良い成瞟を瀺したす。神経孊的にも、堎所现胞・栌子现胞・境界现胞ずいった空間情報の凊理に特化したニュヌロンがあるこずが知られおいたす。埌述する蚘憶術の「堎所法」では、この空間蚘憶の特性を利甚しお順序づけられた物事の蚘憶を匷化しおいたす。

    空間の蚘憶ず比べるず、時間の蚘憶は少し信頌性に欠ける偎面がありたす。順序に関する盞察的時間の蚘憶は比范的よく蚘憶されたすが、時間的距離や時間的䜍眮の蚘憶は誀りが発生しやすいずされたす。埌述の蚘憶術においおも、時間蚘憶を積極的に䜿うものはあたり芋られず、空間的な情報に眮き換えお芚えるなどの手段が取られるようです。

    蚘憶術

    物事を効果的に蚘憶するためのテクニックが叀くから様々に考案されおおり、「蚘憶術」ずしお知られおいたす。ここではいく぀か䞻芁なもののみ挙げるので、より詳现な内容に぀いおは以䞋の曞籍を参照しおください

    • ゞョシュアフォア『ごく平凡な蚘憶力の私が1幎で党米蚘憶力チャンピオンになれた理由』(Foer, 2011)

    • ドミニクオブラむ゚ン『蚘憶に自信のなかった私が䞖界蚘憶力遞手暩で8回優勝した最匷のテクニック』(O'Brien, 2011)

    • ネル゜ンデリス『党米蚘憶力チャンピオンが明かすどんなこずも蚘憶できる技術』(Dellis, 2018)

    • 平田盎也『䞖界最匷蚘憶術 堎所法』(平田, 2019)

    • 青朚健『蚘憶力日本チャンピオンの 超効率 すごい蚘憶術』(青朚, 2020)

    • 桑朚野幞叞『蚘憶術党史 ムネモシュネの饗宎』(桑朚野, 2018)

    語呂合わせ・むメヌゞぞの転換

    䞀般に最もよく知られおいる蚘憶術は語呂合わせでしょう。䟋えば元玠の原子番号順の䞊びH, He, Li, Be, B, C, N, O, F Ne, ...を「氎平リヌベ僕の船〜」ず芚えたり、√2≈1.41421356...を「䞀倜䞀倜に人芋頃」ず芚えたり、歎史の幎号を「鳎くよ(794)りグむス平安京」などず芚えたりするものはよく芋られたす。

    蚘憶術の基本戊略は、芚えにくい物事を芚えやすい圢に倉換する、ずいうものです。特に、倉換しお心的むメヌゞを圢成できれば蚘憶の固定化に有利に働きたす。

    日本語の語呂合わせでは、音韻の類䌌によっお連想させた蚘憶しやすい事物を䜿っお芚える、ずいう圢匏が䞻に取られたす。連想は必ずしも芚えたい蚀葉党おを䜿うずは限らず、頭文字などの数文字ず぀だけで構成するこずも倚いです。

    芚えやすいむメヌゞぞの連想ができれば良いずいう点を芋るず、必ずしも音韻による連想に頌る必芁はなく、類䌌の蚘憶術ずしおは圢態による連想を䜿うものも知られおいたす。䟋えば倢虹二䜜詞の童謡『すうじのうた』を匕いお、1ずいう数字を煙突のむメヌゞに、2ずいう数字をガチョりのむメヌゞに連想させる、ずいうような方法でも効果的な蚘憶術ずしお䜿えたす。

    ストヌリヌ法

    耇数の芁玠を関連付けお芚えたいずき、各芁玠を蚘憶しやすいむメヌゞぞず倉換した埌、それらを繋げおストヌリヌを䜜る、ずいう方法が知られおいたす。䟋えば「リンゎ」「猫」「ドヌナツ」ずいう3぀を順番に芚えたいずき、「リンゎを猫が食べるず猫が茪っかになっおドヌナツになった」ずいったストヌリヌを考え、そのむメヌゞを蚘憶するこずで、順番を蚘憶したす。芚える量が倚くなっおくるずストヌリヌを考えるのが倧倉になっおきたすが、少量であれば比范的手軜に実践できたす。

    ペグワヌド

    これは既有知識ずの組み合わせによっお蚘憶を匷化する方法の1぀です。予め順序づけられたむメヌゞのリストを甚意しおおいお、それを蚘憶しおおきたす。これは芚えやすいものであれば良いので、アルファベットずか数字ずかず察応づけたむメヌゞで䜜っおおきたす。このむメヌゞ矀を「ペグ」ず呌んでいたす。ペグワヌドを䜿っお蚘憶をする際には、蚘憶したい内容をむメヌゞ化したものを、ペグのむメヌゞ矀ず結び぀けたむメヌゞにしお芚えたす。

    䟋えば『すうじのうた』に沿っお煙突、ガチョり、耳  ずいったむメヌゞ矀をペグずしお甚意したずしお、「リンゎ」「猫」「ドヌナツ」ずいうむメヌゞ矀を新たに芚えたいずしたしょう。この時には、䟋えば「煙突から枝が生えおリンゎがなっおいるむメヌゞ」「ガチョりが猫をくわえおいるむメヌゞ」「倧きな耳にピアスのようにドヌナツが刺さっおいるむメヌゞ」ずいったものを想像しお蚘憶したす。

    堎所法

    ペグワヌドのように既有知識ず芚えたいものを組み合わせる䞊で、空間蚘憶ず組み合わせるこずで蚘憶の匷化を図るのが堎所法です。ここでは家の䞭の玄関から奥の郚屋たでのルヌトずか、通勀・通孊路のような芋慣れた景色を䜿い、芚えたいもののむメヌゞをそのルヌト䞊のものず結び぀けお芚えたす。通孊路にカレヌ屋、橋、ガ゜リンスタンドが䞊んでいたずしお、「リンゎ」「猫」「ドヌナツ」を芚えるなら、䟋えば「カレヌにリンゎが入っおいる様子」「猫が橋から川に萜ちそうになっおいる様子」「ガ゜リンスタンドの絊油ノズルにドヌナツが匕っかかっおいる様子」などを想像しお蚘憶したす。

    堎所法は空間蚘憶の優れた特性を生かすこずができるため、短時間で倚量の物事を蚘憶するのに適しおおり、メモリヌスポヌツなどでよく甚いられおいたす。

    クむズのための蚘憶戊略

    クむズにも蚘憶術を応甚するこずは効果的ですが、どう䜿うかには少し考慮の䜙地がありそうです。メモリヌスポヌツでは長くおも1時間皋床の比范的短い時間の蚘憶が求められるこずが倚いですが、クむズでは䜕幎にもわたる長期蚘憶が必芁ずなっおくるので、现かな戊略は倉わっおきそうです。メモリヌスポヌツでは無䜜為な察象を順番に沿っお蚘憶するのが重芁ですが、クむズでは問題文ず解答は意味䞊の繋がりがありたすし、必ずしも順番に沿ったものばかりではありたせん。なので、堎所法の重芁床はメモリヌスポヌツよりは萜ちるこずになるず思いたす。もちろん賞の受賞者を順に芚えるなど、順番に沿ったものが察象の堎合は堎所法やペグワヌドは効果的です。

    クむズの問題は倧雑把に蚀うず事物の説明や関連事項の説明から解答を導く、ずいう圢匏になっおいたす。埓っお、意味ネットワヌク䞊で隣接した抂念を想起するずいうプラむミングのプロセスが重芁になりたす。なので、問題文䞭に出おくるワヌドから解答候補のワヌドをいかに連想できるか、ずいう郚分を匷化するのが基本戊略になるず思いたす。旧twitterで動いおいた語呂合わせbotおひでんぜ語呂合わせbotやくいず語呂合わせbotなどでは語呂合わせずいうよりは連想を扱っおいたすが、非垞に有甚な方法ずみお良いでしょう。

    ノンゞャンルのクむズでは非垞に広範な領域にわたる倚量の知識を芁求されたす。この量に察応するためには、チャンキングを䜿った蚘憶戊略が特に嚁力を発揮するず思われたす。䟋えば、歎史に぀いお芚えたいずきは䞀旊「叀代」「䞭䞖」「近䞖」「近代」「珟代」ずカテゎリヌ化しお、その䞭で䟋えば「叀代゚ゞプト」ずか「叀代ギリシャ」などず现分化しお、さらに「叀王囜以前」「叀王囜〜」「䞭王囜〜」「新王囜〜」「アレクサンドロス以埌」などず现分化しお、ずいうように现分化の階局を䜜っおいきたす。本などで説明する際にもこうした階局を立おお章立おされるこずが倚いので、基本的にはその単䜍を䜿うのが良いでしょう。

    カテゎリヌ化の基準には「時間」「空間」「ゞャンル」の3぀のパタヌンが特に䜿いやすいように思いたす。たた、基本的に最初はどの分野も歎史から入るこずで、自然ずカテゎリヌ化しやすいように思いたす。

    意味ネットワヌクは既有知識ずの関連付けによっお構築されるので、既有知識の守備範囲が広ければ広いほど、日垞生掻で新たな知識を獲埗し固定化できるチャンスが倧きくなるず考えられたす。なので、たずはできるだけ広いゞャンルにわたっお、各分野の基瀎的な知識を浅く身に付けおおくのが重芁そうです。浅くでも知っおいるものがあれば、たたたた耳にしたより深い知識を自身の脳内の意味ネットワヌクに䜍眮づけられる可胜性が高くなりたす。私は昚幎から日本十進分類法(NDC)をベヌスに䜜ったゞャンル衚を元にランダムにサゞェストされたゞャンルを調べる、ずいう勉匷法を行っおいたすが、基本的にはこの基瀎知識のカバヌ範囲を広げるこずを䌁図したものです。

    クむズの問題集や暗蚘カヌドを元に蚘憶するのは、幅広く知識を぀ける䞊では有甚でしょう。Ankiなどを䜿っお適床に時間を眮いお埩習する圢で蚘憶するのは効果的ず思われたす。ただ、その際に、既有知識ずの関連付けがない状態で䞞暗蚘するのはあたり効率的でないので避けた方が良いず思いたす。可胜であれば事実ベヌスで既有知識ず関連づけるのが理想的ですが、事実を調べる郚分でどうしおも時間がかかっおしたうので、最䜎限連想むメヌゞなどでも既有知識ず結び぀けた方が良いでしょう。

    蚀葉を芚える際には、できる限り語源を蟿っおそれを元に連想づけるのが良いず思いたす。ただ、語源が分かっおいない堎合や固有名詞などで特に語源がない堎合には、任意に考えた連想方法を䜿うこずになるず思いたす。その際には、正しい語源ず勘違いしおしたわないような奇異な連想むメヌゞを䜿うのが望たしいず思いたす。

    1぀の知識を芚える䞊で、できるだけ様々な゜ヌスにあたっお芚えるず効果が高そうです。異なる情報源では異なった物事ずの関連付けがなされるので、意味ネットワヌクの圢成に有利に働くからです。たた耇数の゜ヌスにあたるこずは情報の信頌性の確認ず重芁床・知名床の刀断にも圹に立ちたす。耇数の情報源にあるものの方が信頌床が高く、たた知名床も高くなるず考えられたす。情報の信頌性を刀断できるのは間違った情報による誀答のリスクを䞋げるのに繋がりたすし、知名床を知っおおくこずは問題傟向から解答候補を絞るのに圹に立ちたす。

    蚘憶の再生の蚓緎ずしおは、問題文から1぀のワヌドを思い出すよりは、1぀のワヌドから耇数の関連物を連想する圢匏にした方がより効果的ず思われたす。なので、問題集を䜿っお蚘憶する際も、問題→解答の方向だけでなく、解答→問題の方向で思い出す緎習もしおおくず、応甚を利かせやすいず思いたす。これは特にデリバティブ前フリ昇栌問題ぞの察応力を増す䞊では盎接的に効いおくるトレヌニングになるず思いたす。


    色々ず雑倚に曞いおきたしたが、蚘憶の心理孊研究の成果を知っおおくこずで、他にも様々に実践的な蚘憶に圹立おるものがありそうです。ここたで曞いおきた内容の倚くは、クむズに取り組んでいる読者の方々ならおそらく、断片的には聞いたこずがあるような内容も倚いだろうず思いたすが、こうしお敎理するこずで、䜕かしらの参考になれば幞いです。

    参考文献

    • Alba, J. W., & Hasher, L. (1983). Is memory schematic?. Psychological Bulletin, 93(2), 203.

    • Ashcraft, M. H. (1976). Priming and property dominance effects in semantic memory. Memory & Cognition, 4(5), 490-500.

    • Bartlett, F. C. (1932). Remembering: A Study in Experimental and Social Psychology New York: Cambridge Univ.

    • Collins, A. M., & Loftus, E. F. (1975). A spreading-activation theory of semantic processing. Psychological review, 82(6), 407.

    • Dellis, N. (2018). Remember It!: The Names of People You Meet, All of Your Passwords, where You Left Your Keys, and Everything Else You Tend to Forget. Abrams.ネル゜ンデリス, 吉原かれん翻蚳(2020)『党米蚘憶力チャンピオンが明かすどんなこずも蚘憶できる技術』 X-Knowledge, ISBN 978-4-7678-2751-3

    • Foer, J. (2011). Moonwalking with Einstein: The Art and Science of Remembering Everything. Penguin. ゞョシュアフォア, 梶浊真矎翻蚳(2011)『ごく平凡な蚘憶力の私が1幎で党米蚘憶力チャンピオンになれた理由』X-Knowledge, ISBN 978-4-7678-1180-2

    • Hirsch, E. D., Jr. (1983). Cultural literacy. American Scholar, 52, 159-160.

    • Miller, G. (1956). Human memory and the storage of information. IRE Transactions on Information Theory, 2(3), 129-137.

    • O'Brien, D. (2011) You can have an amazing memory. Watkins. ドミニクオブラむ゚ン, 梶浊真矎翻蚳(2011)『蚘憶に自信のなかった私が䞖界蚘憶力遞手暩で8回優勝した最匷のテクニック』 X-Knowledge, ISBN 978-4-7678-1421-6

    • Radvansky, G. A. (2021). Human memory. Routledge.ガブリ゚ル・A・ラドノァンスキヌ, 川 惠里子翻蚳 (2021)『蚘憶の心理孊:基瀎ず応甚』誠信曞房, ISBN 978-4-414-30634-7

    • Rosch, E. (1975). Cognitive representations of semantic categories. Journal of experimental psychology: General, 104(3), 192.

    • 石田 䜐恵子, 小川 博叞 (2003)『クむズ文化の瀟䌚孊』䞖界思想瀟, ISBN 978-4-7907-0979-4

    • 青朚健 (2020)『蚘憶力日本チャンピオンの 超効率 すごい蚘憶術』総合法什出版, ISBN 978-4-86280-753-3

    • 桑朚野幞叞 (2018)『蚘憶術党史 ムネモシュネの饗宎』講談瀟, 講談瀟遞曞メチ゚ 689, ISBN 978-4-06-514026-0

    • 平田盎也 (2019)『䞖界最匷蚘憶術 堎所法』Discover, ISBN 978-4-7993-2428-8