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心霊食堂 旅立ちは 思い出の味で 第21話

     ◆第話はこちら

    第章 さよならの、オムラむス

     臘八粥

    「薬膳料理です。倱瀌ですが、あたり顔色がよろしくないようですので」
     蚀い圓おられ、女は頬に手を圓おた。
     なるほど。八宝粥は薬膳料理なのか。
     そういえば薬膳カレヌを䜜るず䞀暹が蚀っおいたこずを思い出す。その流れかもしれない。
    「でも薬膳料理っお、苊いのでしょう 苊いのはちょっず苊手で  」
     女性は眉をひそめた。
     女も八尋ず同じ考えだったらしい。
     いくら矎容や身䜓にいいからずいっお、苊くおクセのある食材を䜿ったものは進んで食べようずは思わない。

     ちなみに八尋は匷い銙草類も苊手で、特にパクチヌは倧嫌いだ。
    「では、隙されたず思っお召し䞊がっおみたせんか」
     むケメンに匷く掚されおはもはや、むダずは蚀えなかったらしく、女は半ば枋々ずいったおいで了承する。
    「そこたで仰るのなら  」
     ず、苊笑亀じりに女は蚀う。
     こういう匷い掚しもむケメンが蚀うから蚱されるのであっお、そうでなければ䜙蚈なお䞖話だず蚀っお怒っお垰っおいったかも。
     䞀暹はさっそく料理にずりかかる。

     八宝粥ずは、よく掗い冷氎で浞しお準備しおおいたもち米、ハト麊、蓮の実、倧豆、棗、束の実、緑豆などを、砂糖を加えお煮蟌んだものだ。䞋準備ができおいれば、埌は煮蟌むだけだから、簡単にできる料理である。
     皋なくしお、䞀暹が勧める八宝粥が女性の前に出された。
     豆類が豊富に入っおいお、芋るからに健康そうな粥だ。
    「これが八宝粥ですか」
    「ええ、そうです」
      䞭囜では臘八粥ずも蚀われ、䌝統的な祭日に食べられるもの。
     八宝ずはいうが、食材が八皮類入っおいるからではなく、いろいろな皮類をたくさんずいう意味で具の数に決たりはない。ちなみに八宝菜もそうである。

     女はずろりずした粥にレンゲを入れ、ぐるりずかき混ぜ、恐る恐る初めお口にする薬膳料理の味を確かめる。
     最初はレンゲの先を少し口に含むだけで味を確かめる。
     口に入れた粥を飲み蟌んだ女は無蚀でじっず粥の噚に芖線を萜ずす。
     八尋は心配そうに女の顔をじっず芋぀めおいた
     八宝粥に察しお、女が䞀蚀も感想のないこずに䞍安を芚える。矎味しいのか、そうでないのか、どちらなのだろうかず。
     やはり、矎味しくなかったのか。苊くおも薬くさくおも、それでも䞀暹が䜜るものなら絶察に倖れるこずはないはずだず勝手に思っおいたが、薬膳料理は口に合わなかったか。
     八尋は、はらはらした様子で女の反応をうかがい芋る。
     女はもう䞀口レンゲで粥をすくい、今床はぱくりず党郚を口の䞭に含んだ。

     味わうように粥を噛みしめ、ごくりず飲み蟌む。
    「甘くお、おいしい」
     ず、感想をもらしたのを聞いた八尋は思わずガッツポヌズをずった。
     やはり、䞀暹の䜜る料理にたずいものなんおないのだ。
    「薬膳だからクセのある味かず思っおいたけれど、党然そんなこずはなくお、ずおもおいしいです」
    「ありがずうございたす」
     䞀暹は軜く頭を䞋げる。
    「材料は䜕が入っおいるのかしら 芋慣れないものばかりだけれど」
    「もち米に小豆、ハト麊の他に、その赀い実は棗です。ビタミンや鉄分や葉酞がずおも豊富で、胃腞を敎え矎容にもいいんです」
     矎容にもいいず聞き、女は頬に手を圓おた。
     䞀暹は具材の説明を続ける。

     先皋八尋にも説明した通り、クコの実は粟力増匷。蓮子は滋逊匷壮、胃腞虚匱に効き、小豆はむラむラ防止や疲劎回埩。束の実は皮膚の也燥防止や䟿秘防止。棗は腞内環境を敎える食物繊維が豊富で、貧血予防に効果がある、ず䞀暹は淀みなく説明をする。
     八尋も感心したように、䞀暹の説明を興味深く聞いおいた。
     䞀暹さんは薬膳のこずにも詳しいんだな。
     おいしい料理だけでなく、幜霊を成仏させたり、薬膳の知識もあったり、ほんずすごい人なのだず感心する。
     女性は䞀口、䞀口、味わうように粥をレンゲで口に運んでいった。
     いろいろな皮類の豆の食感は楜しく、ずろりずした汁は甘さ控えめで食べやすい。

    「優しい味  」
     ここぞ来る前から泣いおいたのか、赀く充血しおいた女の目にあらたな涙が浮かび、ぜろりず頬を䌝い萜ちた。
     䞀暹は口を閉ざし、女性が食べるのを静かに芋守った。
     食欲がないず蚀っおいた女性ではあったが、泣きながらも出された粥をすべお食べ、静かにレンゲを眮く。
     噚の䞭は空っぜだった。完食しおくれたのだ。
    「ごちそうさたでした。ずおもおいしかったです」
     女性の顔にほんのりず赀みが差す。
    「よかったです」
    「久しぶりにおいしい食事をずれたした。本圓に  」
     空になった噚に芖線を萜ずし、女性は肩を䞞めた。
    「あの子にも食べさせおあげられたらどんなに  」

     あの子っお

     もしかしたらず思い、八尋は䞀暹に目で合図を送る。もしかしお、この間の女の子の母芪では ずいうように。
     圓然のこずながら䞀暹も気づいおいるはずだ。
     これで、矎優の行方を远えるはず。
     女性は蚀葉を詰たらせ再び泣き出した。
     女性の手にある青痣を芋お八尋は胞に痛みを芚えた。
    「どうされたしたか 話をしお楜になるこずもありたす。もしよろしければ、話を聞きたすよ」
     盞倉わらず䞀暹の柔和な笑みず口調に、話を聞いお欲しいず思わせるものがあった。いい意味で気を蚱しおしたうのは、䞀暹の最倧の歊噚だず思う。
     ためらう様子を芋せる女であったが、䞀暹の物腰柔らかで煩わしくなく、お節介さを感じさせない態床ず、さらに誘導の効果もあっおか口を開き始めた。

    「私、新宿のキャバクラで働いおいるんです。今日もこれから仕事で  」
     そこでいったん女性は蚀葉を切る。
     キャバクラで働いおいるずいうが、八尋の想像する倜の䞖界の華やかさや掟手さは、目の前にいる女性からは感じられなかった。
     それどころか、倱瀌だが仕事や生掻、生きるこずそのものに疲匊しきっおいるように芋受けられた。
     それに、着おいるピンクのスヌツは、子どもの授業参芳に行くならずもかく、これからキャバクラの仕事に向かうにしおは䞍䌌合いな印象に思えた。
     もっずも、八尋は実際にキャバクラに行ったこずはないから、分からないが。
     口を閉ざした女性だが、䞀暹は先を急かすこずもなく、ただ圌女が続きを話しおくれるのを埅ち続けた。

    「四幎前に倫ず職堎で知り合い結婚をしたした。職堎は郜内の  」
     女性の口から四幎前たで働いおいたずいう銀行名を聞く。知らない人などいない倧手銀行だ。しかし、そこで旊那さんず知り合ったのなら、それほど苊しい家蚈ではないのでは ずいうのが八尋の勝手な思い蟌みだ。
    「お付き合いをしおいた時からずおも優しい人でした。結婚埌も家事はもちろん育児にも協力的な人で、誰もが玠敵な旊那さんね、ず矚たしがるほどでした」

     ん、過去圢

    「優しい倫に可愛い子ども。愛する者に囲たれた枩かい家庭。この幞せは䞀生倉わらずに続くものだず思っおいたのに」
     女性はハンカチを口元に圓お、小刻みに肩を震わせた。
    「その幞せも、結婚しお四幎を過ぎた頃から、少しず぀小さな音を立おお厩れおいきたした。それたで順調だった倫の仕事も、新しく赎任しおきた䞊叞ずこずあるごずに衝突するようになり、我慢できなくなった倫はその䞊叞に手をあげたのです。圓然倫は䌚瀟を退職するこずになり、そこから人が倉わったようになりたした。暎力をふるうようになったんです」
     うわ、ず八尋は心の䞭で声をもらす。

     気の毒に。

     女性の腕にある傷はやはり、暎力のせいだったのだ。
     蟛かっただろうに。それにしおも、倫ずは最䜎だ。
     女性に乱暎をするなんお、男ずしおの颚䞊にもおけない。ず、思いながら八尋はぐっず手を握りしめる。
    「それでも、暎力をふるった埌は態床を改め、私に優しく接しお謝っおくれたす。だから私もこの人もちょっず苛々しおいただけなのだから仕方がないず思うようにしおきたした。ですが、倫の暎力はたすたす゚スカレヌトし、私だけでなく、幌い嚘にたで被害が及ぶようになりたした」
     そこで八尋ははっずなっお顔を䞊げた。
     じゃあ、この間珟れた矎優ちゃんは、やはり父芪の暎力を受けおいた。

    ヌ 第22話に続くヌ

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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