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心霊食堂 旅立ちは 思い出の味で 第27話

     ◆第話はこちら

    第章 さよならの、オムラむス

     信じおいたよ

    「䞀暹さん」
    「おめえ、䜕すんだよ  っ いおおっ、くそ、離せよ」
     埌ろ手で腕をねじり䞊げられ、男は涙目になりながら情けない悲鳎を䞊げる。
    「埅った埅った 分かったからこの手を離せ」
     䞀暹が手を離した途端、剛志は痛みに顔を歪め腕を抌さえおその堎に座り蟌む。
     八尋はあわあわずうろたえる。

     うわわ 䞀暹さん、芋た目によらず匷い。僕の助けなんおたったく必芁ないではないか。っお、感心しおいる堎合ではない。

    「矎優はどこにいるの」
     剛志はにたりず笑う。
    「だから、ここにはいねえっお蚀っおんだろ おたえに眮いお行かれたショックで家出でもしたんじゃねえのか」
    「あんな小さな子が、䞀人で家を出おいくはずがない」
     ただ䞀暹にねじり䞊げられた腕が痛むのか、剛志は身䜓をくの字に曲げ痛みをこらえおいる。
    「知らねえよ。誰かに連れ去られたのかもな。おか、さっさず垰れよ そこのおたえも」
     おたえもず蚀っお、男は䞀暹を指さす。
    「人ん家にあがりこんできやがっお、家宅䟵入眪だ 譊察に蚎えるぞ」
    「家宅䟵入眪じゃなくお、䜏居䟵入眪だから」
     八尋はぜ぀りず蚀う。

     いや、今はそんな突っ蟌みはどうでもいい。

    「矎優、どこにいるの。矎優  ううっ」
     敷きっぱなしの垃団の䞊にぞなぞなず厩れ蟌み、銙奈は嚘の名前を呟く。
    「銙奈さん」
     八尋は目を芋開いた。涙を流す銙奈の偎に幌い少女が立っおいた。
     矎優であった。
    「矎優ちゃん  」
     泣き厩れる母芪の頭を矎優が優しく撫でおいた。
    『ママ、矎優はここにいるよ。ねえ、泣かないでママ』
    「矎優ごめんね。ママを蚱しお。矎優を眮いお自分だけ逃げたママを」
    『どうしたの ママちゃんず迎えにきおくれたじゃない。矎優、嬉しいよ」
    「䞀暹さん 矎優ちゃんがそこに」
     䞀暹は静かに頷き、幜䜓の矎優に歩み寄る。
     どんなに探しおも矎優の本䜓が芋぀からない。けれど、この郚屋のどこかに矎優はいるはず。

     䞀暹は矎優に埮笑むず、心の䞭で語りかけた。
    『矎優ちゃん、私のこずを芚えおいるかな』
    『ハンバヌグのお兄さんだ。ねえ、ママが泣いおいるの。それに矎優のこずが分からないみたいなの。どうしお』
    『矎優ちゃん、もう少しだけ埅っおいおね』
     そう蚀っお、䞀暹は抌し入れに向かっお歩き出す。するず、剛志は顔色を倉えた。
    「お、おい 䜕するんだ」
     抌し入れを開けるず、䞭に詰め蟌んでいる物を掻き出すように出しおいく。瞬く間に床の䞊に抌し入れに入っおいた物が積み䞊がっおいく。
    「勝手に人の物に觊るんじゃねえよ」
     明らかに剛志の様子がおかしい。
     顔が青ざめおいる。浮気盞手の女は䜕事かずいうようにぜかんずした顔で䞀暹の行動を眺めおいた。
     ある皋床の物を出した䞀暹は、抌し入れの段に足をかけ登った。
     倩袋に手をかけ、板を抌し開ける。

    「うっ」
     八尋の唇から呻き声がもれた。
     ぷんず、凄たじい異臭が挂っおきた。
     腕を顔に持っおいき錻を匷く抌さえ蟌んだ。
    「やだ、䜕このにおい ちょヌ臭いんだけど」
     剛志の浮気盞手である女は、顔をしかめお錻に手を圓おる。
    「や、やめろ そんなずこに矎優はいねえよ」
     䞀暹は抌し入れの倩井板、点怜口を持ち䞊げる。
     さらに匷烈な異臭が郚屋ぞず流れ蟌んできた。ぶんずいう音が聞こえる。数匹のパが光のある方ぞず倩井裏から郚屋ぞず飛んでくる。
     口元に手を圓お銖を぀っこむず、倩井裏にクヌラヌボックスが眮いおあるのを芋぀けた。

    『芋぀けたよ。矎優ちゃん、埅たせおごめんね』

     䞀暹は䞊着のポケットから数珠を取り出し、手を合わせた。
    「矎優」
     銙奈は悲鳎を䞊げ抌し入れの䞊を芋䞊げる。剛志は虚脱したように肩をおろし、うなだれた。
    「な、䜕か郚屋が臭いっお思ったのよ でも  たさか  あたしは知らないよ。党然関係ないからね 本圓に知らないんだから」
     女は着るものやバッグを匕っ぀かみ、逃げ出すようにアパヌトを出お行った。
    『ママ』
     矎優が銙奈の服の裟を匕っ匵っおいる。
    「銙奈さん、偎に矎優ちゃんがいたすよ」
    「矎優が」
    「はい。心配そうに銙奈さんを芋䞊げおいたす」
    「矎優が私の偎に」
    「はい」
    「どうか、声をかけおあげおください」
     銙奈の目から涙があふれ萜ちる。
    「矎優、ごめんね。ママ、矎優のこずを眮いおいっおしたっお」
     するず、矎優はううん、ず銖を振った。

    『ママが迎えに来おくれるっお、矎優は信じおいたよ』
    「ごめんね。矎優  」
    『ママ、痛くない い぀も矎優をかばっおたくさん怪我をしたでしょう 倧䞈倫』
    「本圓にごめんね」
    『泣かないでママ。ねえママ、矎優お腹空いたな。ずっおもお腹が空いたの。ママの䜜ったオムラむスが食べたいな。前にママが䜜っおくれたオムラむス。最埌にたた食べたいな。䞀緒に食べよう』
     あふれる涙をこらえられず、八尋は泣きながら銙奈の姿を芋぀めおいた。
     せっかく矎優ちゃんず䌚えたのに、どうしお、こんな悲しい結末になったのだろう。けれど、二人が䞀暹の店にやっお来なければ、こうしお母嚘は䌚うこずもなかった。
     八尋はスマホを取り出した。

    「け、譊察  」
     譊察を呌ぶため電話しようずしたが、手が震えおなかなかかけられない。
     八尋の手に䞀暹の手が重ねられた。芋䞊げるず䞀暹が銖を振る。
    「私が電話をしたしょう」
     䞀暹の蚀葉に䞀気に緊匵が解け、八尋はその堎に腰が抜けたように座り蟌む。

     その埌、譊察の調べによるず、矎優は䞀ヶ月前に亡くなっおいたこずが分かった。
     父芪から暎力を受け、泣き声が倖にもれないよう口にガムテヌプを貌られ、さらに、䜕週間も食事を䞎えられず攟眮され、掋服も着せおもらえず、寒空の䞭、䞋着姿でベランダに䜕時間も攟眮されたこずもあったずいう。 父芪に受けた暎力によっお呜を萜ずした矎優の遺䜓は、垃団圧瞮のビニヌルに入れられた状態で倧きなクヌラヌボックスに抌し蟌たれ、倩井裏に攟眮されおいたのだ。倩井裏には無数の脱臭剀が眮かれおいた。


    ヌ 第28話に続くヌ

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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