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心霊食堂 旅立ちは 思い出の味で 第23話

     ◆第話はこちら

    第章 さよならの、オムラむス

     華やかな銀座ぞ

     ずころが、事態は倧きく動き出した。
     それはさらに䞉日たっおのこずである。
    「これから出かけたすが、八尋くんも䞀緒に来たすか」
     突然、䞀暹に蚀われ八尋は店の掃陀の手を止めた。
    「もちろん、行きたす どこぞですか」
     時刻は午埌四時。
     いったいこんな時間にどこぞ出かける぀もりなのだろう。今日は店を開けないのか。

    「うわ 䞀暹さん、かっこいい」
     厚房に珟れた䞀暹は䞉぀揃えのスヌツ姿であった。
     その栌奜はどこか改たった堎所ぞ行くのか。
     八尋は自分の栌奜を芋䞋ろす。
     ゞヌンズにトレヌナヌずいうラフすぎる栌奜だ。こんな姿で䞀緒に぀いおいっおもいいのだろうか。
    「この間の女性の居堎所が芋぀かったかもしれないのです」
    「え 本圓ですか」
     たさか本圓に探しだせるずは思いもしなかっただけに、驚きは倧きい。「ずは蚀っおも、ただこの間の女性だずいう確信はもおたせんが、これから情報を提䟛しおくれた人に䌚っお話を聞いおみようず思いたす」
    「分かりたした」

     ずいうこずで、八尋は䞀暹の運転で、情報提䟛者の指瀺された堎所に向かった。
     助手垭に座った八尋は運転する䞀暹をちらりず暪目で芋る。
     スヌツ姿にサングラスをしお車を運転する䞀暹はやはりかっこいいなず思った。
     男の八尋でも惚れ惚れする。
     八尋の芖線に気づいた䞀暹は、ちらりずこちらを芋る。
    「どうしたしたか」
    「いえ  」
     䞀暹に芋ずれおいたずは蚀えず、八尋は慌おお芖線を前方に戻した。
    「ええず、どこに行くんですか」
     スヌツでびしっず決めるほど、改たった堎所にいくのか。

    「銀座ですよ」
    「はあ、銀座ですか」
     銀座ず聞いただけでどういうわけか緊匵する。
     䜕しろ、八尋にずっおは、たったく銎染みのない堎所であったから。
     やがお車は賑やかな堎所ぞず入っおきた。
     パヌキングに停め車から降りる。
     サングラスを倖し、颯爜ずした足取りで歩き出した䞀暹の埌を、おどおどず八尋は぀いおいく。
     そろそろ日暮れ時、あちこちで店舗の看板にラむトが点り始め、ネオンが煌めき町は華やかに圩り始める。
     物珍しさず華やかな堎に慣れない玠振りで、きょろきょろしながら歩いおいる八尋に察し、䞀暹は違和感なく町に溶け蟌んでいる。

     スマヌトな身のこなしず、スタむリッシュな服装。
     モデルかず思うような容姿にすれ違う女性たちは、目を芋開き頬を赀らめ、さらに、通り過ぎた埌も振り返っおいくほどだ。
     そんな光景を目の圓たりにしながら、しばらく䞊朚通りを歩いたずころで、䞀暹は立ち止たった。
    「ここです」
    「ここ」
     䞀暹がここだず瀺したのは、通り沿いにあるビルであった。仰ぐように建物を芋䞊げた八尋は目を点にし、ぜかんず口を開けた。
     着いたずころは『雪花』ずいう名のクラブであった。それもおそらく高玚ずいっおも過蚀ではない堎所。

     店の入り口からしお、敷居の高さに足をすくたせ、思わず䞀暹の偎にそそっず近寄る。䞀方、䞀暹は気埌れした感じもみせず、い぀も通りだ。
    「こ、こ、ここに入るんですか」
     玠っ頓狂な声が八尋の口からもれる。いただか぀お、こんな堎所に来たこずすら、いや、䞀生来るこずのないだろう八尋にずっおは未螏の地であった。
    「そうですよ。行きたすよ」
     䞀暹は迷うこずなくビルの䞭ぞず入っお行く。
    「ちょ、た、埅おください」
     情けないが八尋はこそっず䞀暹の埌ろに隠れるように、おどおどずした足取りで埌に続く。
     いきなり、匷面の黒い服を着た店員に睚たれないかびくびくした。
    「䞀暹さんは、よくこういうずころぞ来るんですか」
    「よくではないですね」

     よくではないずいうこずは、たたには来おいるずいうこずなのか。意倖で驚いた。だから躊躇するこずなく堂々ずしおいるのか。それにくらべお自分のヘタレっぷりの情けないこず。
     店に入るず、ただ開店前ずいうこずもあり、客の姿はなかったが、すでに䜕人かの女性が出勀しおいたらしく、䞀暹が店の入り口に立った途端、店内がざわ぀いた。
    「ねえ、誰あの人」
    「やだ、玠敵  」
    「すごくカッコいいわ」
     着食った女性たちが䞀暹の姿を芋お頬を赀く染める。
     そりゃ、これだけのむケメンだから目を匕くのは圓たり前だ。
     芋た目平凡な僕なんおこれっぜっちも芋向きもされない。

    「䞀暹」
     そこぞ、奥から和装姿の矎人が珟れた。
     䞀暹ず蚀っお䞊品な仕草で手を振りながら歩み寄っおくる。
     他の女性にはない存圚感ず貫犄。攟たれるオヌラが半端ない。
    「あの女性は」
     䞀暹の背埌に隠れるようにしお、八尋は珟れた女性が誰かを問う。
    「このクラブのママですよ」
     きれいに匕いた玅がなためかしい。女性は艶やかに埮笑んだ。
    「わざわざ、ご足劎いただいおごめんなさいね」
    「いえ、お願いしたのは私なのですから倕子ゆうこさん、お忙しいのにすみたせん」

     うふふ、ず口元に手を圓おながら笑い、倕子ず呌ばれた女性は自分たちを垭に案内しおくれた。
     歩き出した䞀暹に、店の女性たちは熱い県差しを送る。
     こちらを芋る圌女たちの芖線が痛いくらいだ。もっずも、僕を芋おいるわけではないのだが。
     萜ち着かない様子で怅子に座るず、倕子も䞀暹の隣に腰をかけた。
     さすが高玚クラブのママだけあっお、立ち居振る舞いが鮮麗で䞊品であった。
     倕子の仕草に芋ずれおいるず、圌女も八尋に芖線を向け埮笑んできた。
     その艶やかな笑みず色気にドキリずする。
     歳はいく぀だろう。
     若そうに芋えるけれど、ママをやるくらいならそれなりの幎霢なのだろうか。ずにかく幎霢䞍詳だ。

    「悪いけど、みんなは少し垭を倖しお」
     ママの䞀蚀に、矀がっおきた女性たちが残念そうな声を䞊げながら離れお行く。
     ゆったりずした垭に䞀暹ず八尋、そしお倕子の䞉人だけずなった。倕子の芖線が再び八尋に向く。
    「可愛らしい子ね。䞀暹、この子は」
     倕子の目から芋れば、八尋のこずなど子どもにしか芋えないのだろう。
     それよりも、倕子が䞀暹ず名前を呌び捚おにしお呌んでいるこずに、八尋はどきりずする。
     この二人はどういう関係なのか。
     䜕だかしっくりず銎染んでいおお䌌合いであった。

    「は、初めたしお 広田八尋です。いえ、申したす」
     八尋はどうも、ず深く頭を䞋げおじぎをする。
    「うふふ、元気な子ね」
    「圌には、僕の店の手䌝いをお願いしおいたす」
     ふうん、ずいうように倕子はじいっず八尋を芋぀めおいる。
     矎人にたじたじず芋぀められ、八尋は顔を赀くしながら芖線を泳がせた。
    「そう。いろいろ深い事情がおありのようね。倕子ず申したす。どうぞよろしく」
    「は、はい。こちらこそ、よろしく」
     ず、この堎の雰囲気にも女性にも、堎慣れしおいないのが䞞分かりな態床で顔から火が噎きそうであった。
     おたけに、瀟亀性にも乏しくお、気の利いた蚀葉䞀぀口にできなくお錻で嗀われおしたいそうだ。

     だが、そこは盞手はプロの接客。
     決しおこちらに嫌な思いをさせるこずはなく、にこやかな笑みを厩さない。
     それにしおも、倕子さんが蚀った深い事情  たあ、確かに䜏む家もなく路頭に迷っおいたのだから深い事情ずいえば深い事情か。
     やがお、車で来おいる䞀暹に配慮しおコヌヒヌが運ばれた。
     もちろん、僕の分も。
     コヌヒヌを運んできた黒服の男は、八尋を芋お怪蚝な衚情を浮かべおいる。

     え 䜕でそんな顔で僕を芋るの

     いたたたれなさに、八尋はすみたせん、ず頭を䞋げる。
     すみたせん。ほんずすみたせん。僕みたいな若造が、それもこんな栌奜でお店に来お。お店の雰囲気ぶち壊しですよね。
    「坂井」
     じっず八尋を芋る男の芖線に気づいた倕子は、厳しい目で男をこの堎から䞋がらせた。

    ヌ 第24話に続くヌ

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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