
メガおかしかった話
うちの4歳次男が最近ポケモンに大ハマリしている。
きっかけは保育園で配られたポケモンフレンダのミューだった。こういうゲーム系は極力避けてきていたので、親の了解なく配らないで欲しかったのだがそれも後の祭り。
当たり前のようにハマって今では毎週末フレンダの筐体にかじりついている。
そんな彼の将来の夢はポケモンフレンダーらしい。なにそれ、職業なん?
そして彼が好きなポケモンはメガガルーダ。メガレックウザ。メガルカリオ。
そう。メガが大好きらしい。というかポケモンはおしなべてメガシンカするものと思っているらしい。
「ねぇ、これとこれ似てない?」
と持ってきたのはゲコガシラとゲッコウガのフレンダピック。
「ゲッコウガはゲコガシラが進化したやつやね」
と言うと、「げっこるがはメガシンカ? げろまつ、げろがしら、メガげっこるが?」と聞いてくる。メガ盛りが過ぎる。あとゲコな。あんまりげろげろ外で言わん方がいいで。
そんな彼がある晩、絵を書いてくれと言ってきたのがメガれっくるざ(レックウザ)だった。
その日の父の残りHP的にメガは遠慮願いたかったが、ポケモンフレンダー次男は容赦ない。
「ゆけっ! メガれっくるざ!」
君に決めたじゃないのよ、と思いながら眠い目をこすってなんとか書き上げた。

ふぅ、やっと書けたと思ったら急に視界がおかしくなって、メガれっくるざの輪郭が全て点線になった。
ちょうど墨で描いたような、途切れ途切れの線に変化して、何が起きたのかびっくりして目が醒めた。
もう一度見ると普通の実線に戻る。
次男と少し話をしてまた絵に視線を戻すと点線だ。
おかしい。
怖くなってその日はそのまま布団に入り翌朝病院へ行った。
眼科なんて滅多に行かないので、どこがいいかは分からなかったが、近所で予約がとれた病院にとりあえず駆け込んだ。
先生は落ち着いた感じの大人の女医さんだった。
「ぽ、ポケモンが点線になったんです」
意味不明な私の説明を丁寧に聞いてくれる先生。
「そういえば、この前の健康診断で右目だけ視力が1年前の半分になっていて」
「あなた乱視があるでしょう?乱視だとね、健康診断で使うような測定器だと不利なのよ」
私の不安をひとつずつ丁寧に取り除いて、最終的に先生は微笑みながらこう言った。
「ドライアイね」
潤いをくださいと、パッサパサの瞳で伝えようと思ったが、先生があまりに落ち着いているのでやめておいた。
処方された目薬をさして空をみあげると、いつもよりクリアに見えた気がした。
コンビニ前で自転車を停めて一息ついていると、アツい視線を感じる。
顔をあげると大学生くらいの綺麗な女の子がこちらを見つめていた。
駐車場には自分しかいない。
にこりと微笑む彼女は……全く見覚えがない知らないひとだった。
1秒ほど(自分にとっては無限に等しい時間だった)見つめあったあと、彼女は自動ドアが反応しなくて困っているのだと理解した。
私もはっきりと笑顔を返して、彼女を助けに行こうと一歩踏み出した瞬間、ドアが開いて彼女の姿はコンビニの中に消えていった。
しばらく見ていたら、店内からこちらを見てまた笑っているような気がした。
今度は何科を受診すればいいのだろうか。
なんのはなしです科
