
「待つ時間」 #シロクマ文芸部
待つ時間、雨は降り続けた。
タバコに火をつける。もう13本目だ。
遅刻を確信してから3時間がたつ。
◆ ◇ ◆
「行きたくねぇな〜」
このセリフはもう20回目だ。
ふ〜っと煙を吐く。
煙で輪っかをつくった。
ぽん、ぽんと出来上がっては消えていく。
「ハート型ってどうやったっけ?」
ふと呟いた。
「......」
ちょっと考えたが、やったことなかった。
窓の外を見ながら
理想的な言い訳を考える。
昨日、上司とは一緒に飲んでたんだ
下手なウソは破滅を意味する。
「体調不良です」
うん、却下だ。完全に二日酔いだと思われる。
もっと捻り出すんだ。
「彼女が急に熱を出して.....」
うん、まず彼女がいなかったな。却下だ。
もっと発想を広げよう。
「天井が破れて2階の人が落ちてきたんです」
うん、悪くないな。意外性もあって、遅刻とかどうでも良くなりそうな気がする。
プルルル。携帯が鳴った。
うん、今回はこの作戦で行こう。
「はい、もしもし」
「おい、いつ来るんだ」
「すいません。実は......」
「外見てみろ」
「え?」
窓の外を覗くと、上司が立っていた。
雨に濡れるのも気にしてない。
「......」
「天井が破れて2階の人が落ちてきたんです」
「は?」
終
シロクマ文芸部 お題「待つ時間」参加作品