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うま味を足すと、塩味も強くなる?

    お吸い物をひと口。ちょっと物足りないけれど、塩を足すとしょっぱくなりそう。

    こんなとき、「だしをきかせればいい」とよく聞きます。たしかに、だしの風味があると、同じ一杯でも印象は変わります。では、塩を足さなくても、しょっぱさそのものが強くなるのでしょうか。

    2026年11月1日に公開されたスープの研究を読むと、「塩味が強い」と「もうひと口飲みたい」は、分けて考えるとよさそうです。

    スープにうま味や香りを足してみたら

    うま味は、昆布だしなどに感じる、甘味や塩味とは別の基本的な味です。香りも食べたときの印象をつくりますが、それぞれが塩味の感じ方をどう変えるかは、実際に味わってみないと分かりません。

    JiangさんとSakaiさんは、いくつもの風味が重なるスープを使い、各30人が参加する二つの実験を行いました。一つ目は、うま味成分や香りが塩味を強く感じさせるか。二つ目は、パッケージから受ける印象が、食べたときの塩味やおいしさの評価に影響するかを調べたものです。[1]

    結果は、試したうま味成分や香りで、塩味がはっきり強まったとは言えませんでした。パッケージを変えた実験でも、参加者がつけた塩味やおいしさの点数に、統計的に明確な差は見つかりませんでした。[1]

    これは、試したスープと条件での結果です。うま味や香りがどんな料理でも無関係だと結論づけるには、別の具材や濃さでも調べる必要があります。

    塩水で見つかった効果は、そのままスープに移せる?

    背景として、2021年2月9日公開の研究を見てみます。こちらは今週の新情報ではありません。

    日本の成人561人が、濃さの異なる食塩水を味見した実験です。うま味成分の一つ、グルタミン酸ナトリウムを加えると、特に一番薄い食塩水で塩味を強く感じる傾向が出ました。おいしさの評価も、加えた条件で高くなる傾向がありました。[2]

    ここで面白いのは、二つの研究で、味見したものが違うことです。食塩水なら、調べたい成分を足した変化を追いやすい。スープには、もともと具材や調味料の風味が重なっています。そこに何かを足したとき、食塩水と同じ変化が起きるとは限りません。

    二つの実験は配合や参加者も異なります。違いの原因がスープの複雑さだけだと確かめたわけではありませんが、塩水で見えた効果を料理にそのまま当てはめない理由にはなります。

    塩を足す前に、「何が足りない?」と味見してみる

    次に汁物が物足りなく感じたら、鍋に調味料を足す前に、一口分だけ小皿に取ってみてください。

    例えば、お吸い物なら、洗ったゆずの皮をほんの少し浮かべたものと、そのままのものを、温度をそろえて味見します。問いは二つ。「しょっぱさは変わった?」と「どちらをもうひと口飲みたい?」です。

    香りを足したほうが好きでも、塩味の強さは同じに感じるかもしれません。逆に、香りは十分で、少し塩を足したいと分かることもあります。どちらでも、鍋全体の味を直す前に、何を変えたいかが見えてきます。

    これは好みを探すための味見で、ゆずで塩味が強まると実証した研究の再現ではありません。実際に塩分の量を知りたいときは、舌の印象と分けて考えます。顆粒だしやめんつゆを使うときは、食塩相当量の表示も見ておくと、何を足したかが分かりやすくなります。


    参考にした論文

    [1] Yinan Jiang、Nobuyuki Sakai. “Sensory and Cognitive Modulation of Saltiness Processing in Everyday Food: Evidence from Two fNIRS Experiments.” Foods, 15(21), 3916。2026年11月1日公開。今回の新着の査読付き原著論文。掲載誌の抄録と公開日を確認し、本文では抄録で確認できる結果を紹介しました。
    論文のDOI / 掲載誌の抄録

    [2] Rieko Morita ほか. “Effect of Monosodium Glutamate on Saltiness and Palatability Ratings of Low-Salt Solutions in Japanese Adults According to Their Early Salt Exposure or Salty Taste Preference.” Nutrients, 13(2), 577。2021年2月9日公開。背景として参照した査読付き原著論文。著者の一部は、うま味研究団体や調味料メーカーとの過去の研究助成・関係を開示しています。
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    飲食店、食品業界で19年、現在は食品メーカーの商品開発やレストランのメニュー開発に携わっています。料理人の経験を活かし、料理と現場の困りごとをラクにする情報を発信中。 現場の業務改善相談はこちらから→ https://coconala.com/users/6105740

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