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会議の季節

    会議室と呼ばれる部屋がある。まあ多くの会社にはあるだろう。

    会議に愛され、会議を愛した部屋こと、ザ会議室。

    ご存知のとおり会議という生物は、だいたいウォンバットのような大きさで、基本的にウォンバットのような見た目をしている。生態もほぼウォンバットのようなものだと考えていいだろう。
    ちなみにウォンバットは時速40キロメートルで疾走することができる。

    ところで春は会議のシーズンである。
    通常は単独で暮らしている会議のオスと会議のメスであるが、会議シーズンになると暗く深い広葉樹の森から這い出してきてつがいを作り繁殖行動を行う。その季節を会議シーズンと呼ぶ。

    ”ダーウィンが来た”などに代表される教育系動物番組においては、繁殖行動を行う季節が恋の季節などと呼ばれているが、ともかく春になると、会議のオスと会議のメスが繁殖行為を行う。会議室で。

    文章が急にイヤらしい感じになったが、あくまでも学術的に忠実な描写を心がけているにすぎないので誤解なきように。
    それは会議室で行われている。

    会議シーズンが来る。
    するとどうなるか。
    増えるのである。倍々ゲームで増える。

    会議が増える。

    会議室の予約はいっぱいになり、ひとつの会議が終わるとすぐさま次の会議がはじまる。

    昨今のIT革命のおかげなのか、エックスとかいてどうしてトランスフォーメーションと読むのかいまだにわからないでお馴染みのDXのおかげなのかは定かではないけれど、会社の会議室はなんらかの超自然的な仕組みによって予約しておくことができる。

    先日、僕が会議室を予約したときのことだ。
    すこし前に会議室前に到着しておくのは、ビジネスパーソンとして当然の嗜みである。5分前から扉の前にスタンバイ。いつでもスタートできる状態で待機。

    ひとつ前の会議が続いていた。なんだか、かなり白熱しているようである。防音はしっかりしているから、会話を窺い知ることはできないけれど、雰囲気でなんとなくそう感じる。

    僕の予約時間を過ぎても、その会議の参加者は出てこなかった。ここで急かしたりしないのが、僕の良いところである。急ぐ内容でも無いから5分くらいは寛大に待とうかと鷹揚に構える。

    結果、予約時間を3分くらい超過したところで扉が開いて、人々がぞろぞろと出てきた。

    その入れ替わりで僕たちが、会議室にぬるっと入り込む。入室順の都合で、僕は入り口から遠い場所に座ることになった。先程の会議で、偉い人が座っていたイスだ。



    おもむろに腰を下ろす。
    座面がビックリするくらい熱々だった。お尻が焼けるかと思うくらい。布張りのイスなのに布ではありえないほど熱かった。
    ほんとに。

    僕は無言で隣のイスに座り直した。



    【おまけコーナー】

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    かつて横浜のとある動物園で飼育されていたウォンバット
    (ニョッキ氏撮影)

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